出来心です。反省はしている、後悔はする筈がなかろう卿達。
お帰りください獣殿!!
『それじゃ、英霊召喚始めるよー』
そうDr.ロマンが軽く言いながらフェイトシステムを起動させ、召喚陣から眩い光が放たれた。
いつもなら、光が収まればそこに英霊が佇み、お互いの理念を確認した上で人理修復に手を貸して貰う筈だった。
どんな一騎当千の英雄達も、元を正せばその大半が人間の英雄だ。人理焼却という過去最大の危機には彼らも快く協力してくれた。
でも、そんな私の考えは間違いだった。
いつもなら既に召喚は終わり、光が止むはずなのに一向に光が消える予兆が見えない。
それどころ光は次第に強くなり、どうじに息苦しさも増してきたような気がする。
『な、なんて魔力だ────って本当になんだこの魔力は!!?』
ド、ドクター?
『ま、魔力計が振り切れている………!! しまった、早くそこから逃げるんだ二人ともッ────!!』
ダヴィンチちゃん……?
スピーカから聴こえていた二人の声がブツンと切れた。
嫌な予感がする。
───マシュ!!
「はい先輩───ッ危ない!!」
───えっ?
次の瞬間、光が放たれていた召喚陣が爆発した。眩い閃光に耳をつんざく爆音に、私とマシュの体は吹き飛ばされ、部屋の壁に叩きつけられた!
痛い。
泣いてしまいたい程の激痛が身体を襲って、今にも意識を落としてしまいそうだ。
でも私はまだマシで、問題は私を爆発から庇ってくれたマシュだ。目立った怪我は無くとも、苦悶の表情を浮かべたまま気を失っていた。
私も、マシュのように意識を失いそうだけどそうはいかない。
歯を食い縛りながら気を強くもって煙に隠れた召喚陣を見つめる。
召喚される英霊の中には、正しい者だけでなく、反英雄とも言われる者もいる。そんな英霊の前で意識を失っていたら何をされるか分かったものではないし、
せめて出会い頭にはちゃんと挨拶をしておきたいという私の意地も含まれていた。
やがて、煙が晴れていくと、召喚陣の上で傲岸不遜に立つ白い軍服を着た一人の男がいた。
「問おう、卿が私を呼んだのか?」
その男は黄金だった。
金の長髪も、獣の如き眼光も、無駄なく引き締まった人類の黄金比とも言える肉体も、そのどれもが今までに出会った英霊達を遥かに凌駕していた。
「──再び問おう、私を呼んだのは卿か?」
獲物を見定めた獣のように鋭く細められた視線に身体を貫かれたような錯覚さえも覚えた。
────コワい。
それは人間ではなく、生物としての本能が、この男は危険だと訴えてくる。
でもだからと言ってここで退くわけにはいかない。自惚れではないが、私の背には人類の未来、手伝ってくれる英霊達、Dr.ロマンやダヴィンチちゃんといったカルデアのスタッフの皆、そして可愛い後輩のマシュもが背負われているのだ。
ここで怯えて足を下げ、逃げる訳にはいかない!
「私が、あなたの……マスターです。」
「ほう、私の眼光にも耐えるか。 並みの人間なら私の姿を見ただけでも意識を失うのだがな。」
なんとも言えぬ傲慢な態度。
いつかどこかで出会った英雄王を思わせるが、体にかかるプレッシャーは英雄王に出会った時以上だ。
「本来、私が特定の個人の元に仕える等といったことはあまりしないのだがな………これも一つの未知か。
よかろう。卿が“未知”である限りは私も力を貸してやろう。」
なんと傲慢で傲岸不遜、徹底的なまでの上から目線なのだろうか。
しかし、その言葉には威厳と強い自信に満ち溢れ、それが酷く頼もしく思えた。
「───して卿よ、名はなんと言う?」
「
息がつまりそうな圧迫感をこらえ、なんとか絞り出せた自分の名前。
「───ふむ、ではこれより私、ラインハルト・トリスタン・オイゲン・ハイドリヒは卿の爪牙となり、並みいる凡百の敵を蹴散らすことをここに誓おう。」