【完結】嵐を呼ぶうたわれるものとケツだけ星人(うたわれるもの 二人の白皇×クレヨンしんちゃん)   作:アニッキーブラッザー

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第3話 モテモテのおじさんだぞ

「いざ、参る!」

「どこ行こうとしてやがる!」

「逃げられると思っているのかァ!」

 

 ヤバイ、捕まる! 速度が違う! ミカヅチの大剣が振り下ろされる! 

 

「ハクとーちゃん、危ないぞ! オラに任せろォー!」

 

 もうこれまでか? そう思ったとき、先頭を駆け抜けていたしんのすけが突如止まり、振り向き、そして何を考えたのか、ミカヅチに飛び掛った。

 

「あ、危ないぞ、しんのすけ!」

 

 振り下ろされたミカヅチの剣に向かって飛ぶしんのすけ。

 ミカヅチも予想外だったのか、慌てて剣を止めようとするも、止められない。

 このままでは、しんのすけが斬られる! 

 だが、

 

「必殺、ケツだけ取り~!」

「……な、ば、バカなッ!」

 

 ヤマト八柱将にして双璧。最強の武士ミカヅチの剣を……いつの間にか下穿きをズリ降ろしてケツ丸出しになっていた、しんのすけのケツで、白刃取り……

 

「うそおっ!」

 

 いやいやいや、そんなバカな! ミカヅチの剣をケツで白刃取り? そんなことができるのか? 

 

「こ、小僧、き、貴様ァ! 何者だァ!」

「必殺、おならカウンターッ! ア~ンド、おならジェットー!」

 

 ──―ぶっ! 

 

「ッ、ぐはあっ!」

 

 さらに、その状態から、おならをしやがった! ウソォ! その屁をくらって、ミカヅチがよろめいた! 

 そして、その屁の勢いで、しんのすけの体が前方へ飛び、自分たちを再び追い抜いて前へ行った。

 

「お、おいおいおいおい、なんだそりゃあ! つっ、目が染みる! 俺よりもスゲエ威力だ!」

「なんとも品のない……しかし、子供といえども侮れません! 待ちなさい!」

 

 さらに、そのおならの威力はすさまじく、クロウとベナウィにまで影響を及ぼしやがった。

 これは、正に神をも凌駕する御技! しんのすけ、一体何者? 

 

「おーい、ハクとーちゃんも、おならターボで加速しないと危ないぞ~!」

「出来るかーっ!」

「主様の放屁。空気に流すの勿体無い」

「全て自分たちが吸い込みます」

 

 しかし、あの三人を足止めしたのは大きい。このまま逃げ切って、後はこの手足の縄さえ解けば……

 

「うわあああ、な、なんなんだこいつらは!」

「禍日神が来るぞーッ! 逃げろーっ!」

 

 いやあ、ホントすまない。平和なオンカミヤムカイをここまで騒がせるつもりは自分にも無かったんだ。

 信心深い国で、大神たる自分がこうして恐れられるのは非常に罪悪感を感じるが、許してくれ、民よ。

 そう思いながら、自分たち四人はケツだけ歩きで駆け抜ける。

 すると……

 

「しんのすけ、前方によそ見している人が居るぞ! 危ない、ぶつかる!」

「えっ? お、おお、危なかったぞ」

 

 その時、誰もが自分たちを怯えて道を開ける中、どういうわけかこっちを全く見ていない人が前方に立っていた。

 

「ふう、はあ、はあ、はあ、何故か大騒ぎがあったおかげで助かった……このまま隠れていれば……ッ!」

 

 その人物は、まるで皇族が身に纏うような立派な衣を纏った、自分と同じぐらいの長髪をした男。

 なにやら息を切らせて、何かから逃げて来たかのように様子。

 そして、眼前まで迫ったしんのすけと自分たちの存在に男がようやく気づき、思わず飛び退きそうな顔を浮かべるも、その男が自分と目が合った瞬間……

 あの男……アレ? 

 

「き、君は……」

「あ、あんたはッ!」

「ハクッ!」

「ハクオロッ!」

 

 何かから逃げるように自分たちの前に突然現れた男。

 それは、かつて大神として十数年間地の底に封印されるも、ようやく解放されてただの人へと戻った男。

 トゥスクル始祖皇にして、クオンの実父でもある、ハクオロ────

 

「ハク! き、君はここで何をしている! それに、な、なんなんだ、その姿は!」

「あんたまで何でこんなところに! くそ、トゥスクル総動員で自分たちを追い詰めようとは……」

 

 まさかこいつまで居るとは思わなかった。そしてまずい。自分が受け取った力は、全てこいつから受け継いだもの。

 こいつは大封印をされていたから使うことはなかったものの、今、自分が持っている能力や力を全て知り尽くしている。

 こいつにまで出られると……

 

「ッ、あ、危ない! とにかく、こっちに隠れるんだ!」

「えっ?」

 

 だが、ハクオロは意外にも、慌てて自分たちを引っ張って物陰へと連れ込んだ。

 急なことでワケが分からず、自分たちは思わず目を丸くしてしまった。

 

「ハクオロ? あんた一体……」

「しっ、静かに! そして気配を隠すんだ。でなければ、見つかる」

 

 そして気づいた。物影に隠れながらも、大通りの様子を恐る恐る伺うハクオロ。その額には尋常でない汗をかいている。

 まるで、何かに怯えて逃げているかのように……

 

「ぎゃああああああ、禍日神が他にもーっ!」

「賢大僧正(オルヤンクル)が憑かれてご乱心~!」

 

 大通りから再び悲鳴が聞こえてきた。

 さっきまでは自分たちの所為で街は混乱に溢れていたが、今は? 

 すると、その時、空が段々暗黒に蝕まれていっているのが分かった。

 何か黒い瘴気のようなものが空気を漂い、その空気を纏った何者かが街中をうろついている。

 この禍々しいものは一体? まさか、本当に禍日神? 

 

 

「ハァ~クゥ~オ~ロさ~ん、逃げられると思っているんですか! どこですか! もう逃がしません! 馬車の中で、随分とウルトリイ様とお楽しみだったようですね~! それに、どうしてカルラさんとトウカさんまで混ざっていたんですか! どうして私には声をかけてくれなかったんですか!」

 

「主様ァ~! 逃げられると思っていますの~? 十年以上も放置されていた罪はまだまだ償ってもらいませんといけませんわ~? たった、八回程度の契りで逃げ出せるなんて、考えが随分甘いものですこと」

 

「ハクオロ様……いいえ、ハクオロ! あなた様が帰還されてから、どれだけ私が全てを投げ出してでも会いにいきたかったか! ようやく再会できたあなたの腕で、どれだけ抱かれたかったと思っているのです? まだまだ足りません! さあ、私をマーマにしてくださいまし!」

 

「聖上~! 某は~! 某は~!」

 

「おじさま~! もう逃がさないからね~! お姉さまばっかりずるい! クーちゃんに腹違いの妹をカミュも作ってあげるんだから!」

 

「おとーさん。アルルゥも、大人の女になった」

 

 

 アレがこの国に現れた禍日神! 

 にしても、全員あれが本性なのか? エルルゥさんもウルトリィさんも、あんなに恐くて……ヲイ……

 

「……ハクオロ……」

「ッ、な、何も言わないでくれ、ハク! このままでは……せっかく帰還したというのに、私はすぐに常世にいってしまう!」

「いや、あんたは十年以上も引きこもっていたんだから、それぐらい応えてやれ! 男の甲斐性だろ!」

 

 ジト目で睨むと、ハクオロは顔を青ざめさせながら俯いていた。

 ウルゥルとサラァナが「ジーっ」と自分を見てくるが、それは気にしない。

 とりあえず、今のうちにこの縄を解いて、自分たちも早々に逃げ──―

 

「ハクとーちゃん、このおじさんと知り合い~?」

 

 と、しんのすけが呟いた瞬間、顔を青ざめさせていたハクオロが急に眼光が鋭くなった。

 

「ッ、とーちゃん……だと? ハク、まさか君はクオンというものがありながら!」

「ち、違う違う! そんなんじゃなくて!」

「というより、何故、君まで逃げている! いつまで、クオンから逃げ回る! というより、今ここで君を捕まえればその手柄で私のこともウヤムヤに……」

「いや、待て待て! 早まるな、ハクオロ! って、しんのすけ、何度も言わせるな! 自分はお前のとーちゃんではない!」

 

 思わずハクオロに胸倉つかまれる。元大神でも大国の始祖皇といえども父親の顔している。

 だが、そんな風に騒いだのが運のつき。

 

「あらあら、こんなところに居ましたの?」

 

 自分たちは建物と建物の間の路地裏まで入って隠れていた。

 だというのに、突如起こった轟音が自分たちを挟んでいた二つの建物を両方爆発と共に吹き飛んだ。

 

「「えっ?」」

「お、おお、なんだ! また新しい怪人か!」

 

 恐る恐る声の方向へ顔を上げる自分とハクオロ。

 するとそこには、両拳を突き出した状態で、満面の笑みを浮かべている、白桜閣の女将さん! カルラさんが! 

 

 

「あら? あらあら。これは面白いですわね。女を泣かせ続けた男が二人揃って、何をしていますの?」

 

 

 自分もバレたあああああああああああああああ! 

 

 

「あなたまで……私たちの娘を泣かせ続けているあなたまで居たとは想いませんでした。ハクオロさん、その方と何をしているんですか?」

 

「嗚呼、我らが大神。安らかな眠りだけでは生温かったようですね」

 

「なんと! 聖上だけでなく、貴公まで! 大人しくしろ。クオンのため、この場で斬……捕らえる!」

 

「そうだよ~、ちょ~っとお仕置きしちゃうよ。おじ様と一緒にね♪ あのとき、クーちゃんをあんなに泣かせたこと……まだ許してないからね」

 

「二人ともボロボロのオボロボロにする」

 

 

 エルルゥさん、ウルトリィさん、トウカさん、カミュ、アルルゥたちにも見つかった! 完全に、ハクオロと一緒に自分も標的にしているッ! 

 

「くっ!」

「こうなったら!」

「ハクオロ防壁!」

「ハク防壁ッ!」

「「………………………………………………………………」」

 

 何とか逃げようとハクオロを前に放り出して、その隙に逃げようとしたが、ハクオロも自分と同じことを考えていたようで、二人で同じ体勢のまま固まってしまった。

 

「…………ハクよ…………私は娘をこれ以上泣かせたくはない。君は、私と違って融通が利く。帰りたまえ。私は二人に全てを託し、後は隠居しようと……」

「いやいや、今までサボっていた分、ここで挽回しないでどうする。自分が帰れない間は、あんたがしっかりとしないと……」

 

 互いが互いに譲り合うような形で一歩も引かない自分とハクオロ。

 すると、そんな時だった! 

 

「ねえねえ、ウルゥ姉ちゃん、サラァ姉ちゃん、このおじさん誰? それに~、あそこにも綺麗なお姉さんたちがいっぱい居るけど、おら、もうどうしていいか分からないぞ」

 

 たくさんの美人な女たちを目にしたことで、しんのすけが嬉しそうに興奮気味にクネクネした。

 だが、そのしんのすけの言葉に対して……

 

「しんのすけ。アレらは『お姉さん』ではない」

「見かけは非常に若作りをされていますが、実年齢は既に『熟女』の域に達していると思われます」

「ババア」

「ちなみに、一人の殿方に複数の女性が群がることを、神代言語で『はーれむ』と呼びます」

「ババアハーレム」

「でも、主様ご安心を。私たちはまだまだ主様好みの実を咲かせることが出来ますので」

 

 その言葉は、自分もハクオロも言葉を失い……

 

「えっ……お、おばさん? ち、ちなみに、おらのかーちゃん、29歳だけど、あの人たち……」

「全然年上」

「痛々しいぐらいです」

 

 ……ブチッ! 

 

「「「「「あ゛?」」」」」

 

 世界が闇に包まれ、暗黒の雷が鳴り響いているかのような錯覚に陥った。

 殺される! そう思った瞬間、走ろうとした自分の袖をハクオロは引っ張った。

 

「私を置いていかないでくれ!」

「知るか!」

「クオンに言うぞ! 私は君ほど自由な身ではなかったとはいえ、君の先代だ! 君の能力をクオンに詳細に教えるぞ?」

「ぐぬっ! ……」

「とにかく、今は逃げるぞ。私もせっかく復活したのに死にたくはない」

「ならば、対価は?」

「…………十数年前、私がこっそり隠しておいた秘蔵の酒。誰にも見つからずにひそかに保存されていたこともあり、今が最高の飲み頃だ」

「契約成立だ!」

 

 眼前に迫る、恋に狂った美しき禍日神たち。

 どこまでも追いかけてくる彼女たちからは、恐怖しか感じなかった。

 

「「「「「絶対に、逃がさない!」」」」」

 

 こうして、自分、ハクオロ、しんのすけ、ウルゥル、サラァナの五人の逃亡が始まった

 

 

 自分たちの旅はこれからだ! 

 

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