【完結】嵐を呼ぶうたわれるものとケツだけ星人(うたわれるもの 二人の白皇×クレヨンしんちゃん) 作:アニッキーブラッザー
思わず五歳児の子供にゲンコツしてしまった。
トゥスクル及びヤマトの重鎮と皇族を前にケツ出して「ぶりぶりぶり~」とやらかしたしんのすけに、自然と「ポカッ」と振り下ろしてしまった。
「んも~、ハクとーちゃん、痛いぞ~」
「お前が悪いッ!」
「やれやれ、女の子を泣かすだけでなくDVまでしちゃいますとは、ますますゲスの極みを越えるゲスの神ですな~」
「ふぐっ! た、確かに自分は神ではあるが……と、とにかく、しんのすけは少し黙ってなさい。大体、皇女さんの前でよりにもよってケツ出す奴があるか!」
「んもう、それはおらのちょっとした、で・き・ご・こ・ろ」
自分はかつての時代でも、そしてこの時代でも子供なんていなかったが、子供が居たらこんな感じなのだろうか? とにかく、こんな手のかかる子供を育てている、自分と声が似ているという野原ひろしという男に、同情と尊敬を抱いてしまう。
「え~い、この無礼者! よ、よ、余の前に、で、で、臀部を晒すとは何事じゃ! それに、ハクよ! とーちゃんとはどういうことじゃ! そ、そなたに隠し子が居たなど、余は聞いておらぬぞ!」
「ハク殿! よもや、我らの前から消え、その後も姿を現さなかったのは、ソレが原因だったと申すのではないだろうな!」
しんのすけのケツだけ星人でズッコケた、皇女さんとムネチカが怒りに染まった表情で立ち上がった。
「い、いや、待ってくれ、……いや、お待ち下され、聖上! 某は決してやましいことなどはしておりませぬ」
「そーそー、ハクとーちゃんは、ウルゥ姉ちゃんとサラァ姉ちゃんとしか、やましいことはしないんだぞ?」
「よくいった、しんのすけ」
「そう、やましく甘美で淫猥な日々を私たちと過ごしていたが故に、主様は……」
「ハク……やはり……君は、この場でクオンのために捕らえた方がよいのかもしれんな……」
余計なことを言うな、しんのすけ! それに、ウルゥルもサラァナも乗っかるな! ハクオロまで完全に裏切るし!
「ほう……余をほったらかしにして……随分とふざけたことを……のう? ハクよ」
そして、こんな風に足止めされていたからこそ……
「ようやく追いついたぞ、貴様らァ! ッ……これは聖上……」
「遅くなりました……おや? これは聖上……皆さんもおそろいで」
「総大将? な~にしてんですかい? まさか、また抜け出そうとしたんですかい?」
ミカヅチ、ベナウィ、クロウまで追いついてしまった……
「ミカヅチよ、良いところに来たのじゃ。これより、ハクを捕らえる」
「御意に」
ミカヅチはすぐさま、皇女さんへと膝をつき頭を下げる。
頭を下げたミカヅチ、そして傍らのムネチカに対し、皇女さんは……
「しかしじゃ、余の半身でありながらもその役目を放棄しただけでなく、隠れてなにやら不忠なる行為をしていたと思われるこやつを、ただ捕らえるだけでは生ぬるい。二度と余の前からいなくならぬよう……」
皇女さんは、目をカッと見開き……
「ミカさん、ムネさん、懲らしめてやりなさい」
「「御意!」」
ちょ、ちょっと待て! いや、冷静にやめてくれ! 機動力、守備力、馬鹿げた火力の攻撃力、その三位一体でこられたら、正直、自分の力が術によって押さえつけられてなくても、勝てる自信なんて全くないぞ!
「さあ、もう逃がさぬぞ、ハク! ヤマトへ連れ帰り、もう二度と余は手放さぬからな! 戻ったら、祝言じゃ! かーっかっかっか!」
皇女さんが高笑いと共に、あの巨大な大剣を振り回す。
だが……
「お待ち下さい、ヤマトの帝様」
「ええ、聞き捨てなりませんわね」
「その御方は既に我らの娘との将来が決まっております。我らオンカミヤムカイもそれを望んでおります」
「うむ、ハク殿は、クオンと結ばれ、我らトゥスクルの繁栄をもたらすのだ」
「ハクちゃんは、クーちゃんのお婿さんになるから、ヤマトじゃなくて、トゥスクルにこれからはずっと居るんだよ?」
「ハクはうちのこ」
「ええ。ですので、連れ帰るのはトゥスクルです」
「そういうことですぜ~、ヤマトの皆さん?」
あ、あるええ? なんか、問題があらぬ方向に……
「むむ? 無礼者! いかに、和平を結んだトゥスクルとはいえ、余の半身たるハクをくれてやるわけがないであろう! 控えろ、田舎者共! ハクは誰にもやらん! ハクはずっと余のものなのじゃ!」
「彼は我等ヤマト総大将。その魂も未来永劫、我らと共に!」
「そういうことだ。控えろ、トゥスクルたちよ。それとも、和平を破棄して、今、我らと一戦交えるか?」
こ、これは、ほ、本当に戦争が起こる? 自分の所有を巡って? いや、そもそも自分はそのどちらにも行くつもりはなく、タタリ浄化の旅が……
「ちょ、ちょっと待ってくれ! 自分は、そのどちらにも……そう、自分は……某は今、果て無き旅の途中に居ます。永劫の苦しみの中に居る全ての同胞に安らかなる救いをもたらす日まで、某の旅は終わりませぬ。聖上、そしてトゥスクルの方々。皆のお気持ちは心より嬉しく思います。しかし、某は果たさねばならぬ役目がありますゆえ、どちらにも行くわけには……」
「ッ、……ハク……」
マジメで真剣な重い口調で語る自分に、一触即発だったヤマトとトゥスクルの戦争は何とか静まり……
「そっか、ハクとーちゃんは、どっちにも行かないで、ウルゥねーちゃんとサラァねーちゃんとしっぽりする方を選ぶんだな?」
「そう、某はしっぽり……な、……なにいいいいいっ?」
「そーかそーか、ハクとーちゃんは、尽くす女の子を選ぶんだな。おら、そういうのいいと思うぞ?」
「いやいやいやいや、待て待てしんのすけ! お、お前は何を!」
「主様、デレた」
「しっぽりどころか、ねっとりずっぽりとこれからもお相手します」
そう、ヤマトとトゥスクルの戦争は回避され、その火種は……
「おっ、そ、そうだ、自分はピアノのお稽古に行く時間だ……そ、それでは」
「「「「「ハク──────ッ!」」」」」
こっちに飛び火した! ……だけでなく!
「そーなん? おにーさんは、尽くしてくれる女の子が好きなん? せやったら、うち、これからい~~~っぱい、おにーさんに尽くすえ」
「うむうむ! 良人を支えてこそ、いい女なのだ! そして、私はあの日よりももっといい女になっているぞ! ……って、わ、私はそ、そういう意味で言ったわけではないぞ! た、ただな、その、お、お前の子種的なものを少々戴きたいというのはあるが、その……」
「もう、引き下がりません! どこまでだって、私はハク様に尽くします! ハク様の旅が永劫続くというのなら、私も永劫尽くします! ダメだと言われたって、ついて行きます!」
燃え上がった火に、油がさらに注ぎこまれたッ!
いや、もはや、油だけでなく火薬も放り込まれて……
「あ、……アトゥイ……ノスリ…………ルルティエ……」
変わらぬ微笑み、変わらぬ照れた様子、そして再会の喜びと己の意思を力強く示す表情。
「やっと……やっと見つけたえ……おにーさん」
「ああ、やっと我らも追いついたぞ……ハク」
「っく、ハク……さま……ハク様なのですね?」
ああ、三人まで……
「……ハク……クオンの父として複雑だが……君には同情せざるをえない」
完全に哀れんでいらっしゃるハクオロ! しかも、さっきまでの女性陣の矛先がウヤムヤになってホッとしたのか、完全に気配を消して静観している。
「えっ……は、ハクとーちゃん? ど、どーいうことだ? ま、また増えたのか? おじさんなみにプレイボーイ? 週刊文夏が居たら、ハクとーちゃん取り上げられまくるぞ? ハクとーちゃん、誰が本命なんだ?」
「しんのすけ、愚問」
「私たちに決まっています」
そしてこっちも爆発物を容赦なく次々と投下するし……
そしてこんな状況の中……
「何を言っているのかな? ハクは……わたくしが本命……そして、わたくしのものに決まっているかなッ!」
「兄様は……ひっぐ、あ゛に゛さま~……」
最後の爆弾が放り込まれた。