見ていて可愛い、口を開いても可愛い。
一口で二度おいしい組み合わせの誕生です。
感想コメントありがとうございました。
エミヤはからかいがいがあって(黒歴史多すぎて)好きです笑
俺の一日は、ネタ探しに始まる。
…いや。仕事なんてしたくない。
したくはないんだが。
「ネタが見つかれば仕事もすぐ終わる。そうだろう?」
「まあそうだねぇ…」
「今はポ○モンGOとやらが流行りなのだろう!?これをネタにせずにいられるか…!」
「君のそういう愚直なところ、本当にすごいと思うよ…」
「素直と言え!馬鹿者!」
やれやれ、と肩をすくめるのはかの音楽家だ。
貴様こそ作曲の苦労などあるだろうが。
分かってもらえると思ってたのだが。
「あいにく僕は天才でね」
「…貴様に聞いた俺が愚かだった」
「ところでそのポ○モン…絶対にマスターの前で言うなよ」
なぜだ、という意味を込めて奴の顔を見上げる。
全く、どいつもこいつも背丈ばかり高くなりおって。
その癖詰まっているものはガラクタばかりなのだから勘弁してほしいものだ。
「君知らないの?マスターの端末、非対応機種なんだって」
「…は!これだから流行に鈍感な奴らは。それでよくFate/GOがプレイ「おおーっとメタ発言は禁止だよー」
遮られてしまったので、仕方なく立ち上がる。
まずはプレイヤーに話を聞くことが最優先事項だ。
俺もマスターのレベリングの成果あってついにタブレットを入手した。
強化したのちのアイテムが筆ペンからタブレットに変更というのもおかしな話だが、まあ流行に敏感なこの俺からしたら当然だ。
「おっと。無駄な時間を取られてしまった」
「あら!アンデルセン!」
「……!!」
開けたドアをすぐさま閉めたがもう手遅れだった。
此奴に物理は通用しない。
一体どういう仕組みなのか、いつか暴いてやりたい気もする。
だがそれも、相手が此奴でなかったらの話だ…!
「隠れても無駄よ!今日こそは人魚姫について熱く語るんだから!」
「待て待て!俺は忙しいんだ。あの喜劇作家のところにでも言ってろ!」
「いやよ!あの人は全然ダメ!」
何がダメなのか、何となく察して口を紡ぐ。
まあ分からんでもない。
何しろ此奴はナーサリー・ライム。
その名のとおり、バッドエンド物語そのものなのだから。
「そうね…あなた忙しいって、ネタをお探しかしら?」
「ああ分かっているなら服の裾を離せ。お前に構ってなど」
「お手伝いをするわ!」
何をどう手伝うのか、突っ込んだら負けな気がした。
何と戦っているのかとかそういう突込みはご遠慮願う。
此奴と話すこと自体がもうバトル、いや戦争ものだというところから理解してほしい。
「君が何故そんなに嫌がるのかも不思議なんだけど」
「まだいたのか音楽家!此奴はなぁ」
前に此奴が来たばかりのころ、俺も興味があったので話を聞いてやったことがあった。
おいにやけるんじゃない。
決して同情心に絆されたとかではないぞ!
とにかく聞いてやったのが運の尽きだった。
あの日は数時間、いや二桁だったかもしれない。
「此奴の話は永遠に終わる気がしない!今だってそうだろ…!?」
あの日あれだけ話を聞いてやったのに、まだこの有様だ。
しかも話す内容は俺の過去の作品ばかり…。
ネタにならないどころじゃない。
あとはもう、察してほしい。
「まあ気長にがんばってよ。僕はこれで」
「おい!逃げるのか貴様!」
「アンデルセン!逃がさないわ!」
「ああもう…!」
こうなったら梃子でも動かぬのは承知している。
無視だ、無視。
今日の目的は人魚姫からネタ探しの手伝いにシフトしているはずだ。
だとしたら黙ってついてくるだけ…だと信じたい。
「おやおやこれは…おもしろ、珍しい組み合わせですね」
「おい、いま馬鹿にしなかったか?」
「いいえ、滅相もない」
にこやかに笑うその端正な顔すら嘲笑に見えてくるほど、俺はひねくれている。
ああ。自覚はあるさ。
というかこれはあながち間違っていない気もするんだがな。
「同じキャスターとして仲良くしたいと思っていたのですよ」
同じなのはクラスだけで、偉業も業績もすべてあちらのが上。
仲良くできないこともないが、俺なんかに構っているほど暇でもないだろう?
そう告げると、俺はさっさと歩きだした。
「アンデルセン…あなた、友達いないでしょう」
「そういうお前もな」
「失礼ね!私がお茶会に招待すればみんな来てくれるんだから!」
それはエミヤの入れるお茶とお菓子がおいしいから、とは言わないでおこう。
俺も人の子、決して面倒だからとかそういうことではなぞ。
「それにあいつは…やめておけ」
「なぁに?」
「…百聞は一見に如かず、という言葉もあるな。自分で確かめろ」
「けちねー」
思い出したくもない、あのマッドサイエンティストめ!
全く、マスターさえしっかりしていれば…いや、どうにかなることがあるのか?この個性派集団は…。
「ん?そこにいるのは…いい子にしていたか?プレゼントをやりたいところだが、あいにく手持ちが…」
「いや、結構だ。毎日精が出るな」
「あら、サンタさん!今日もサンタさんなのね!」
此奴は季節感というか常識というかとにかく色々無さすぎる。
王とは勝手な奴ばかりで、特にオルタという存在は度を越している。
幸いこのカルデアにオルタは二人しかいないから助かっているが。
とにかく何かの影響なのだろうが、此奴はサンタをやめようとしない。
可哀想など程に。
「ところでサンタ。貴様、俺にもいい子と言ったか?」
「ああ。子どもたちにはいい子にしていたかちゃんと確認しているぞ」
「…一つ忠告しておこう。俺は見た目は確かに子どもだが…中身は子どもではない!」
「落ち着いてアンデルセン。怒る時点で子どもと一緒よ」
「怒ったりなどするものか!呆れているのだ。そこらの判断もつかんのか!」
「これはすまなかった…ゆるしてくれ」
何を思ったのかオルタは俺に近づく。
かがみ込んで何をするのかと思いきや、俺の頭に手を置いた。
少々ぎこちないがそれはそれは優しく、まるで子どもをあやすように。
思考の追い付くのが早いか、それを勢いよく振り払った。
「サンタさん、それ、火に油を注いでるわ…」
「油どころか…原油レベルだぞサンタ…」
いや怒ってない。怒ってなどいないが。
「ぶほh!…原油…っ火にガソリン…っ傑作!」
その声に我らは一斉に振り返る。
誰もいないと思っていたのだが、たまたま通りかかった不運な人物がいた。
こともあろうか笑い転げている。
この俺の醜態を見て。
「おい。話がある…行くぞ。…覚悟はできているな?…マスター?」
「ひぃ!」
「マスター。注意した方がいいぞ。此奴は子どもというと怒るようだ」
サンタが余計な口を挟む。
が、今はマスターの躾が先だ。
此奴だけは許さん。許さんぞ。
絶対に。
「こらアンデルセン、大人げないわ!」
「さんざん子ども扱いしておいて今度は大人か…」
随分と都合がいいんだな。
俺はマスターを引きずって歩く。
筋力はなくとも仮にもキャスター。
もがいてようが暴れようが此奴には負けるわけがない。
いや、負けたくはないな。
「待ってえー、ごめんってばぁー」
「…なにをしているのです、アンデルセン…とマスター」
「あ!助けてメデューサ!」
現れたのは美しき三姉妹の末、メデューサ。
その伝説にも興味はあるが、今はそれどころじゃない。
こっちが先だ!
「マスターの頼みとあらば…さて、アンデルセン」
ふと嫌な予感がした。
しかし遅かった。
名を呼ばれほとんど反射的にそいつを見た。
一瞬、ほんの一瞬だけ目が合った。
「さて。今のうちにお逃げくださいマスター」
「ありがとぉぉぉ大好きメデューサ!」
頬にキスしてマスターは走り去る。
俺は何もできずにその場に立ち尽くしていた。
そう、何もできるはずがない。
俺はまんまと魔眼の餌食になっていた。
くそ、なんという悲劇。許すまじマスター。
「ごめんなさい。かわいいマスターが第一ですので」
その忠誠心は見上げたものだ、が。
時と場合を選んでほしい。
声も出せずに無様な姿をさらしたまま、ピクリとも動けない。
「まあ!これは面白いわ!」
待て!何をするつもりだ!
いつになったらこれは解けるんだ!?
おいメデューサもどこへ行く!?
二人しておいて行くんじゃない……!!
あとには可愛く飾り付けられたアンデルセンの像が残るのみだった。
その後しばらくカルデア内で彼の姿を見た者はいない。
理由は…ご想像にお任せする。
ポ○モンGO非対応機種の作者です…。
今でこそ下火になったような気がしますが、当時は置いてけぼりでさみしかったです。
スマフォ買い替えはしませんけど。
FGOが非対応にならないようにだけ、祈ってます…。