清く明るく楽しく人理修復しようか【FGO】   作:如月龍

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巌窟王の台詞「慈悲などいらぬ!」から派生した小話です。
身構えずに片手間に読むくらいでちょうどよい緩さかと思います。

いいキャラしてますよね、彼。


慈悲などいらぬ

 

 

「なんて言ったっけ、あの王様?」

 

「んーと、あれ、ナントカ王…?」

 

「本当に王様だった訳じゃないみたいよ」

 

「「そうなの?」」

 

そんな噂話を聞いた。

名はそこまで有名じゃない。

英霊なんてもんでもなく、反英霊。

 

「クラスはアヴェンジャー。よろしくなマスター」

 

「うん!希望通りだよ、よろしくね巌ちゃん!」

 

「が…がん…!?」

 

俺は横目でそれを憐れむように見る。

急に変なあだ名を付けるのはマスターの癖だ。

岩ちゃん、真名エドモン・ダンテス。

通称の巌窟王から彼女はそう呼ぶのだろう。

 

「諦めろ。俺を始め被害者は増えるばかりだ」

 

「あ!キャスニキ~。巌ちゃんのお世話、しばらくお願いね」

 

「…な?」

 

彼は仲間を見付けたかのような目で俺を見る。

おいおい、仮にもアヴェンジャーのあんたがそんなんでいいのか…?

突っ込みはしないでおくが。

 

「そうだな、食堂から案内するわ」

 

「ああ、頼む」

 

意外と素直な奴だと思った。

我がマスターが連れ歩くには難易度が高すぎる御仁。

手に余るかと思いきや、借りてきた猫のようにおとなしい。

 

「まあまあ。仲間になるんだから肩の力を抜いてくれや!」

 

「いや…!その、仲間というか」

 

「なんだい水クセぇ」

 

「おー俺!そいつ新入り?」

 

「!?」

 

向こうからやって来たのは槍の俺。

案の定びびってる(?)巌窟王を見て、イタズラ心が湧き上がる。

目配せすれば、槍の俺もそのようだ。

 

「おう兄ちゃんよ。あんた強いのか?」

 

「…俺はアヴェンジャー…復讐に生きる男、目的の為なら手段は選ばん」

 

「ほーう。それでマスターに売り込みしようってわけか」

 

「な、そういうことじゃ、」

 

「いいぜ。俺ら2人で相手してやろうか?まずは分身とか、これくらいでどうだ…?」

 

ジェスチャーで示すのは、取引対価の額。

勿論カルデア内はギャンブル禁止。

ちょっと虐めてやるくらいのつもりだった。

しかし。

 

「なんだい、お金の話かな?」

 

「げっ…」

 

厄介な奴が来ちまった。

内心舌打ちをする。

かの有名なダビデ王の名を欲しいままにするれっきとした名君。

しかし実際は…口にするより見てもらった方が早いだろう。

余談だが、マスターはこいつの事を「高田純次」と呼んだことがある。

 

「いい儲け話、あるよ?そこの新入りくん、着任祝いで負けておこうか」

 

「はいはい、いい大人がギャンブルなんかするもんじゃないですぜ」

 

「「!」」

 

いつからいたのか、緑のフードを下ろした優男が呆れた声を出した。

今日はとことん運が無い。

ダビデに見付かった時点で計画は頓挫したようなものなのだが。

 

「あんちゃんの方がこういうの得意って顔してんじゃねえか」

 

「まあ得意っすけど。此処ではやりませんよ。ダンテスさんでしたっけ。美味しい飯ありますから食堂行きましょ」

 

馬鹿は放っといて。

言外にそう聞こえた気がした。

あいつ、覚えてろよ。

年功序列ってやつを叩き込んでやる。

 

「なんだ、あんたらも来るんすか?」

 

「エミヤの飯だろ?食うに決まってんじゃん」

 

「…そっすか。ほらぁダンテスさん、何か言いたげっすよさっきから」

 

背は高いが俯いて帽子で表情を隠している。

だが先程からキョロキョロとしているのも確か。

 

「………ない」

 

「ん?よく聞こえなかった、」

 

食堂が近くなりざわつきも大きくなる。

そんな大所帯でがないが、1人1人の存在感がでかい。

 

「…れは……で…………ない」

 

「おや、きたかダンテス殿」

 

聞いていたとおりエミヤがキッチンに立っていた。

待ってましたとばかりに俺はカウンターにつく。

巌窟王も何かブツブツ言っているが、無理矢理隣に座らせた。

 

「お好きな食材はあるかね?」

 

「ていうかあんた背ぇ高いよなーどんくらいっすか?」

 

「巌窟王って詳しくねぇんだけど宝具どんなの?」

 

席につくやいなや、矢継ぎ早に質問が飛ぶ。

あ、待てこれやべぇんじゃね?

なんか小刻みに震え出したし。

表情見えねえけど、なんかやばい。

 

この時俺たちはまだ、復讐者の炎を甘く見ていた。

 

とかナレーションしてる場合じゃねえ!

巌窟王は机に両拳を叩きつけ、叫んだ。

 

「飯などいらぬ…!!」

 

そのあまりの迫力に、誰もが静まり返った。

 

「巌ちゃーん!お迎えきたよぉ」

 

次に聞こえたのは間抜けなマスターの声。

迷子にならずに来れたかとか、

走ったら転ぶぞとか、

言いたいことはたくさんあるが、そうじゃねえ。

 

「…世話をかけたな」

 

…今なんと言った?

世話をかけた…いや、その前。

 

「お迎え…だと…?」

 

「サポートでお借りしたの~だけどもうお返ししなきゃね」

 

「おいマスター」

 

「行こ、巌ちゃん!じゃあね!」

 

止める間もなく、巌窟王はマスターを担いで走り去る。

歓迎してたのは俺らの早とちりだったということか。

いや知らされてない。

待てよ、サーヴァントが来るなんて話も聞いてないぞ。

 

「よく考えたらあのマスターにほいほい高レアが来るわけ無いんすよ……!!」

 

一足早く現状を把握したロビンは呟いた。

あとにはもちろん、残されたサーヴァントたちの怒号が響いていた。

 

 

 

 

「ていうか…反抗期の息子かよ」

 

先程の巌窟王の一言を思い出して皆が吹き出すのも無理はなかった。

 





巌窟王欲しかったです。
福袋に入んないかなーとか、またピックしないかなーとか、
毎日お祈り捧げられるレベルです()

たくさんのお気に入りありがとうございます。
これからもよろしくお願いします。
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