遊戯王THE・STORY 『メタモルとユベルと時々私』   作:半生緋色

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 デュエル部分が割と長くなったので、短いですがプロローグ編です。
次回はたぶんデュエル編なので、ここは実は読まなくてもある程度大丈夫だったりします。
拙い文章ですがよろしければお付き合いください。


DAUS入学試験編
prologue


 子供のころ、私はデュエルが大好きだった。

 

 映像で見た昔の初代決闘王に憧れて始めたデュエル。

 最初は難しかったルールも回数をこなして覚え、デュエルするたびに新しい知識が入ってきた。

 知らないカードを知ることができた。新しい知り合いができた。

 それが楽しくて楽しくて、何時しか私はデュエルの虜になっていた。

 

…今思うと子供ながらに、よく覚えられたものだと思わなくもないが、そこはきっとそれぐらいデュエルが大好きだったのだろう。

 

そんな子供時代を送っていたのだから、将来の夢がプロデュエリストになるのは自然のことで、私も本気でその道に進もうと様々な努力をした。

過去の有名デュエリストのデュエル内容を調べたり、迷信かもしれないがドローの練習もしたり…。

あの頃は近くのパン屋さんで売っていたドローパンの食べ過ぎで少し太ったのもいい思い出だ。

ただ、その努力の結果なのか、私は自分のある一つの才能に気が付いた。

 それは、ある特定のカードを引き込む力。

 才能というよりも呪いに近いかもしれないそれを使いこなすために、私はそのカードに特化したデッキ作りを始めた。

 

 それが、きっと一番の間違いだったのだろう。

 

 …そのカードがもし、他の人が使うようなバトルに強いようなエースモンスターだったのなら、少しはこの後の結果が変わったのかもしれないけど。

 でも、私はそのカードが大好きだったから仕方がない。

 

 そこから私は人とは違うデュエルに突き進んでいった。

 

 目指していたデュエルアカデミアには無事合格。

 入学試験で調子に乗ってしてしまったあるデュエル内容で有名になった。

 

 …そこからはあまり思い出したくない。

 

 私は私の期待に応えてくれるカード達の力で勝ち続けることができた。

 ただ、子供の時と違いデュエルをすればするほど私の周りから人は消えていったが…

 

「お前とデュエルしても何も残らない」

 

「ワクワクもない、何をされるのかもわかってる。君は結局何がしたいんだ?」

 

 最後まで私と一緒にいてくれた友人に最後に言われた言葉。

 

 私はそれが耐えられなかった。

 

『私がしたかったデュエルはこんなことだったのかな?』

 

 そう自分に問いかけて、何も答えを出すことができなかった私は

デュエルアカデミアを去るのにそんな時間かからなかった。

 

 

―――――――――――――――――――――

 

 それから数年過ぎた、現在

 

 なら、今の私はどうなのだろうか?果たしてデュエルが好きなのだろうか…正直言ってわからない。

今でも私は勝ちたいだけなのか?

私のデッキにワクワクはあるのか?

今だに答えは出ていない。

 

 そんな私が、今この場にいることを考えると笑えてくる。

 

 受験票を片手に、じっと目の前の建物、デュエルアカデミア・ユニバーシティ通称「DAUS(ダウス)」その受験会場を見つめながら私は考える。

 大きく開かれた門を見上げながら、その門に書かれたデュエルアカデミアという言葉に

 

『どの面を下げてここにいる?』

 

 そんな風に言われた気がした。

 思い出したくない思い出を更に思い出してしまう。

 

『君が嫌なら、別にやめても僕はいいんだよ?』

 

 そっと隣から聞こえた私をここに戻らせた張本人の声に、はぁ…とため息を一つ。

 それで本当に困るのは自分なのに、いたずらっぽくそう言う彼(仮)に私は小さく首を振る。

 私はこの数年の間に、答えは出てないけど彼と出会って一つだけある目標ができた。

 その為には、もう一度あの場所を目指すのが一番の近道なのだから。

 

「心配しなくても、これは私が決めたことだし。…それにさ、少しだけ楽しみでもあるんだ」

 

 そう決意表明するように呟きながら私は止まっていた足を前に進める。

 

「もしかしたら、昔みたいにみんなと笑顔で楽しいデュエルができるかもしれないし…なんてね」

 

『かもしれないんじゃなくて、そうすればいいんじゃないかな?デュエルは本来楽しいものだって…僕は誰かに言われた気がする』

 

「あれ、少しは思い出してきた?やっぱりデュエリストが多いから、そのえっと…デュエルエナジーだっけ、それが会場から出てるのかなー」

 

『…誰かはわからないけど、とても大切な人だった気がする。忘れてはいけない…のに』

 

「って、ああ…試験前なのになんだか重そうな話はダメ。重いと落ちそうじゃないか!」

 

 思わず大きな声を上げてしまったが、まあ、怪しい人に見えるだけで済むだろうし…だめだけど。

 ただ彼とのそんな他愛もない話が楽しくて、私は今まで進めなかった試験場の門を自然にくぐっていた。

 

 

 

 これは偶然の出会いから、様々な苦難を乗り越えていく一人のデュエリストの物語

 

 

 




というわけで、次回は入学試験編です。
私に話しかける姿の見えない存在の正体とは(タイトルから目をそらし
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