遊戯王THE・STORY 『メタモルとユベルと時々私』 作:半生緋色
書きなれてないのでいまだに文章のきり時がわからない
デュエルアカデミア
それは、少年少女を一流のデュエリストに育成する学校
プロデュエリストを目指す子供たちにとって、最高の環境であり、
実際多くのプロがこの学校の卒業生である。
他にもカード関連企業の就職に有利など、様々な恩恵があったりする。
…まあ、私はそこを一回やめたのだけど。
なら、デュエルアカデミア・ユニバーシティとは
様々な理由があり、デュエルアカデミアに入学できなかった者や、
アカデミア卒業後もプロの道をあきらめきれなかった者、
それとは違い研究者としてデュエルにかかわりたい者、
それらを取りまとめた一つの大きな学校である。
もちろん、運営しているのはアカデミアと同じあの会社だ。
あくまでもプロデュエリストを目指すだけではなく、
カード開発や研究、デュエルエナジーの応用など、様々な学部があり、
まさに、デュエルの総合大学のようなものである。
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「…うわぁ」
門をくぐって進んだ会場の中は人でごった返していた。
会場は複数に分かれているとはいえ、さすがは一番人気のデェエリストコース。
正直受験番号から嫌な予感がしていたが、これほどとは…
何気にすごい髪形のデュエリストが何人かいるが、これは初代決闘王リスペクトなのだろう。
……うん…ちょっと、離れていよう。
これは髪形がという問題ではなく、ただあまり目立ちたくないからだから!
人混みから離れるように会場の隅に移動した私は、カバンの中から受験内容が書かれた紙とデッキを取り出す。
再度確認するように隣にいる私のパートナーと共に内容を見る。
ああ、それにしてもタテモノノスミスは落ち着くなー。タテモノノスミスはいつも私を癒してくれる…
DAUSデュエリストコース入学試験内容は筆記試験、面接、試験デュエルの三つである。
こことは違う別会場で行われた筆記試験、面接の二つはすんなり乗り越えた。
問題は試験官とのデュエルである。正直私はデュエルから離れてここに至るまでちゃんとしたデュエルは数えるほどしかしていない。
『まあ、君なら大丈夫じゃないかな?いい趣味をしたデッキだし、何より僕もいるんだから』
いい趣味ってどういうことかな?なんて、問いただしたくなるが今は人の目があるので声は上げず、じっと隣を見つめるだけで済ます。
まあ、これもきっと彼(仮)なりの励ましなのだろう。
…きっと、たぶん、おそらく、めいびー。
気を取り直して辺りを伺う。
いくつかのデュエルフィールドで、すでに順番が早い受験者がデュエルをしている。
試験デュエルはLP4000、先行ドローのスタンダードなもの。
ただ、相手の対応力を見るためなのか試験官が基本的に先攻である。
試験官の使用デッキはフィールドによって違うようで、遠くでは儀式モンスターを使っている試験官の姿も見える……儀式?
さすが試験というべきか、戦う前に相手のデッキがわからないようにはしているのだろう。
番号が呼ばれる直前までどのデュエルフィールドで戦うのかはわからないようだ。
なら、いろいろ考えるよりも自分のデッキを信じて試験を受けるだけだ。
「それにしても儀式デッキか~。…戦ったことないから戦いたいな」
『なら、受験票すり替えてみる?』
「それは魅力的…。いや、駄目だから!」
思わず出した声にさすがに周りの視線が集まる。あ、はい、すみません…。
あ、距離をとるのはやめてください。私のトラウマが…
周りから見たら私は独り言をつぶやく不審者なのだから仕方がないとはいえつらいものがある。
それにしても、こういう場に来て改めて実感する。根本的に私はデュエルが大好きなのだろう。戦いたいという戦意だけがふつふつと湧き上がる。
そうしているうちに、
『受験番号1192番、
…さて、どうやら次は私の番みたいだ。
受験番号を呼ばれ、指定されたデュエルスペースに移動する。
既に待機していた試験官に小さく礼をすれば、不正対策なのだろう試験用のデュエルディスクを受け取る。
懐かしいずっしりとした重みを腕に感じつつ、私は過去から生まれ変わったデッキをディスクにセットする。
「みんな、ごめん。それと頼りにしてるから」
そっとデッキを撫でれば、小さくつぶやく。
「では、準備ができ次第開始する。何か質問はあるか?」
「あ、えっと…特にないですハイ」
「ならば、所定の位置につき、デュエル開始の宣言をする」
コクリともう一度私は一礼し、所定の位置につけば私は試験官に合わせるように久しぶりにあの言葉を口にする。
「「デュエル!!」」
試験官 LP4000
藍沢陽彩 LP4000
「先攻は私だ。ドロー!」
開始の合図と共に、試験官がドローする。
昔通っていたデュエルアカデミアは、なかなかキャラの濃い先生方が試験官をしていたのを思い出し、語尾に何かつけないのかな?なんて期待をしていたが、どうやら普通らしい。
自身もその間手札を確認すれば、子供のころからいつも私の手札に来てくれるカードが一枚
「…うん、私はまだ嫌われてないみたいだ」
手札に来たあるモンスターに思わず笑みを浮かべる。
『僕もいるのになー』
なんだか耳もとで何かが聞こえた気がするが、今はデュエルに集中しよう。
「…試験中によそ見をするとはいい度胸だ。だが、そんな余裕をいつまで持っていられるかな?私は手札からフィールド魔法
ディスクにカードが置かれた瞬間、あたり一面が歯車だらけの街のフィールドエフェクトに包まれる。がちがちと歯車が回る音が聞こえるその街は、過去にアカデミアで見たことがあるカード。
この効果は知っている。確か古代の歯車のリリースを一体少なくできる効果と、もう一つは…
「さらに、自身のフィールドにモンスターが存在しないとき、自分の場の表側表示のカードを破壊し、このカードを発動できる。マジックカード
「…ん?」
フィールド魔法
(1):このカードがフィールドゾーンに存在する限り、
お互いのプレイヤーは「アンティーク・ギア」モンスターを召喚する場合に
必要なリリースを1体少なくできる。
(2):このカードが破壊され墓地へ送られた時に発動できる。
自分の手札・デッキ・墓地から「アンティーク・ギア」モンスター1体を選んで特殊召喚する。
通常魔法
「古代の機械射出機」の(1)(2)の効果は1ターンに1度、いずれか1つしか使用できない。
(1):自分フィールドにモンスターが存在しない場合、
自分フィールドの表側表示のカード1枚を対象として発動できる。
そのカードを破壊し、デッキから「アンティーク・ギア」モンスター1体を召喚条件を無視して特殊召喚する。
(2):墓地のこのカードを除外し、自分フィールドの表側表示のカード1枚を対象として発動できる。
そのカードを破壊し、自分フィールドに「古代の歯車トークン」(機械族・地・星1・攻/守0)1体を特殊召喚する。
宣言と共に辺り一面を爆音ととも土煙が舞う。
現れたと思った歯車の街は、一瞬にして彼方から放たれた砲弾によって廃墟となった。
その廃墟には大きな影が二つ…なんだろう、とても嫌な予感がするぞ。 一つは私の想像通りならあれだけど…なんでもう一体?
不思議そうにその影を眺めていた私に対し、試験官が丁寧に言葉を続ける。
「破壊された
土煙が晴れて現れた二体のモンスターの存在感に実体がないとはわかっていても少し圧倒される。機械の巨人と機械の竜…うん、これは殺意が高いな。
それに何だろうあのカード…?そもそも古代の機械なんて、アカデミアの一部の人しか持ってないカードなのに、新規で作られたカード?
カードの効果は適用時のみ説明される。それはデュエルの進行を妨げないためであるし、デュエリストの実力はその未知のカードに対する対応力も加味されているからだ。それ故に基本的にデュエルで公開情報がないのは常識だ。
逆に言えば効果で手札に加えるカードが宣言する必要はない。サーチ効果外のカードのサーチなど違反した場合はデュエルディスクが処理してくれる。
それゆえに墓地での効果を説明してくれるのはあくまでもこれが入学試験故にだろう。
しかし、一般には流通しないような専用カード、それを入学試験で使ってくるとは…
色々言いたいことがあるが、とりあえずこれは言っても問題ないだろう。
「…それ少し大人げない気がします」
あ、試験官視線をそらした。ずるい
ただ、本来なら先攻でここまで展開する必要はないはず。なら、これも試験の判断基準のうちの一つ。
この程度の困難は対応して当然ということなのだろうか?
「…私はカードを2枚セットし、ターンエンドだ!さあ、この場面どう対応する?」
それを証明するかのように、試験官はこちらをうかがうように薄く笑みを浮かべて声をかけてくる。
試験官
LP4000
手札2枚
セットカード2枚
モンスター
「私の…ターン。ドロー!!」
少し言い淀んだが気合と共にデッキからカードを一枚ドローする。
気合は大事だ。少なくとも弱気な時よりもいいカードは絶対に引ける。
引き当てたカードを見れば、こちらを見ている試験官ににっこり微笑み返す。
「私はモンスターをセット。さらにカードを二枚セットし…」
「こちらの古代の機械は、攻撃宣言時相手の魔法トラップは発動できない。さらにゴーレムは貫通ダメージを与える。それをわかってこの布陣なら…」
「さらに、手札からマジック発動!《太陽の書》!私はセットした自分のモンスターを選択。表側攻撃表示になるのは…《メタモルポッド》!!」
「《メタモルポッド》だと?だが、手札を補充したところで攻撃力が低い弱小モンスターを残すのは…」
表側表示になる私のフェイバリットカード、《メタモルポッド》
いついかなる時も私の初手に来てくれる、瞳の素敵なナイスガイ(?)
メタモルポッドさんだけは、いついかなる時も私のことを裏切らない。
あらゆるデッキに投入可能な素敵モンスターである。
さらに、相手と自分の手札をすべて捨てさせドローさせてくれる。
昔、相手のデッキを、カードを知りたいと願った私にとって願ってもない効果であった。
それに特化した私のデッキはここからが違う。
「私はリバースした《メタモルポッド》の効果にチェーンして、手札から月の書を発動。《メタモルポッド》を裏側守備に表示変更。そして、手札をすべて捨て、5枚ドローする」
お互いにカードをドローし、手札を確認すれば試験官が苦々しい表情でこちらを見ている。
うん、その表情嫌いじゃない。なんて思った私はやっぱりどこか性格が悪いのだろう。
「…効果を使いまわす…だけでは済まなさそうだな」
「もちろん。このままあなたのデッキを丸裸にしつつ、続く受験者に情報を渡してあげようかな…なんて?」
「君も十分大人げない気がするが…」
私はそっと試験官から目をそらした。
それにしても…ああ、やっぱり試験官の驚いた顔、他の受験者の顔がたまらない。
やっぱり初手《メタモルポッド》さんは楽しい。
決まった時のドッキリ感は十分エンタメになると思うのになー。
ただ、この楽しさはあくまで大部分は私だけのもの。
「私は伏せていた《魔法石の採掘》発動。手札を二枚捨て、墓地の太陽の書を回収。もう一度カードを一枚伏せ《太陽の書》を再度発動。《メタモルポッド》を表側にして、チェーン。今度は《皆既日食の書》」
私は慣れた手順で再度メタモルポッドの効果を発動する。
いつか誰かが言っていた。デッキ破壊は『恥ずべき戦い方』らしい。
子供時代なら許されたが、ここはあくまでDAUS…
プロデュエリストになるには人を魅せれるデュエルをしなければいけない。
なら、ここからの展開は相手の予想を裏切らないといけないかな。
そう思いドローした手札を確認していると、私の動きを聞きつけたのか、このデュエルを見ているギャラリーが増え始めている。
「おいおい、入学試験で試験官にデッキ破壊で挑ん出るやつがいるぜ?」
「まさか、プロデュエリストを目指す奴がそんなことしないだろう?」
「でも、昔一人だけアカデミアの入学試験でデッキデス勝利したやつがいるらしいぜ?」
ギャラリーから聞こえた言葉に、心が抉られる。
すいませんそれ私です。しかもそれで勘違いして調子に乗りました。
「評判通りか…しかし、外野の声に惑わされるな。君が見せたいデュエルを魅せればいい」
不意に聞こえた声にそちらをむけば、微笑む試験官の姿。
あ、なんだろう…心配してくれているのだろうか?
こんな時にやさしい言葉かけられると試験官さんが男前に見える不思議……私の勘が言っている、まず間違いなくいい人だ。
って、違うぞ。デッキ破壊相手にある程度余裕の表情を浮かべられるというのはなかなか不気味だ。というか、評判って何のことだろう?…これはきっと、何か対策があるに違いない。
「…私はさらにカードを2枚セット、手札より《王家の神殿》を発動!」
《王家の神殿》
永続魔法
「王家の神殿」の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1):自分は罠カード1枚をセットしたターンに発動できる。
(2):自分フィールドの表側表示の「聖獣セルケト」1体と
このカードを墓地へ送ってこの効果を発動できる。
手札・デッキのモンスター1体または
エクストラデッキの融合モンスター1体を特殊召喚する。
発動したのは昔決闘王を決める大会で、あるデュエリストが使ったカード…の調整版である。
オリジナルはフィールド魔法なのだが、それを一般流通用に効果を調整されたカード。
フィールド魔法ほど大きなヴィジョンは出てこないが、壊された街の瓦礫の中から現れる古代エジプトの神殿というのはなかなか不思議な光景である。
因みに私は墓守の一族とかそういった特殊な家系ではなく、一般人です。
…今は色々あって一般人かはわからないけど。
「なかなか変わったカードを使う…」
「みんなが知っているカードより、こういうカードの方がワクワク感があるでしょう?まあ、私の戦術はたぶん知っての通り異端ですから。それじゃあ、デッキの回転を上げていきますよー」
そう楽しそうに宣言しながら、デュエルディスクを操作し考える。
ここまで相手が反応してこないということは、あの伏せカードは攻撃反応系なのだろう。もしくはまだタイミングを待っているか。
前者ならいいのだけど、後者だとかなり厄介な相手だ…。
「私は《王家の神殿》の効果で今伏せたトラップカードを発動!《硫酸のたまった落とし穴》。私は裏側守備表示になっている《メタモルポッド》を選択!」
裏側守備になったメタモルさんが表側表示になって硫酸に落ちていく…。
壺の中から断末魔が聞こえるが、仕方がないじゃないか、これも私の愛の形なのだから。
「リバースした墓地のメタモルポッドの効果発動。お互い再度手札を墓地に捨て、5枚ドロー。いいカードは引けましたか?」
私はちょっと煽るように声をかける。悪戯心もあるが私のデッキとしては、次のターン全力で私を潰しに来るように。
そのために今は嫌われてもいいから挑発する。
それにギャラリーもいるし、盛り上げた方がいいだろう。
「なかなかいい挑発だ。だが、君は墓地が肥えることの危険性はわかっているのかな?」
「もちろん。でも、それはお互い様でしょう?」
なんて言っているが、実際怖いです。墓地は第二の手札なんて言われているし、墓地利用に特化したデッキなら返しのターン、私の布石を防ぎきってライフは削りきられるだろう。
だが、試験官のデッキはたぶん古代の機械。そこまでそういったカードはないはずだ。
「…私は手札より、魔法カード《浅すぎた墓穴》を発動。お互いに墓地からモンスターをセットする」
私はデュエルディスクを操作し、あるカードを墓穴の効果でセットする。試験官も墓地から一枚少し考えながらもセットしている。
「手札から更にカードを1枚セットこれで私は…」
さあ、私の布石はここまでだ。うまくカードを全部埋めれた。これで次のターン…決着がつけばいいな。
そう思って私はターンエンドを宣言しようとしたとき。
「セットしていたマジックカード発動。《ツインツイスター》。手札を一枚捨て、君の《王家の神殿》と、そうだな…三枚目に伏せたカードを破壊する」
そのカードの発動によって私の思惑はあっけなく砕かれたのであった。
藍沢陽彩
LP4000
手札3枚
セットカード3枚
セットモンスター1枚
試験官
LP4000
手札6枚
セットカード1枚
モンスター
セットモンスター1体
最後試験官の手札が6枚なのは≪皆既日食の書≫のエンドフェイズ時効果ですです。
次回は2ターン目から