遊戯王THE・STORY 『メタモルとユベルと時々私』 作:半生緋色
「
というよりも、教師をしていれば自然と優秀な素質のある生徒の情報は集めてしまうものだ。
特にデッキ破壊で入学試験を突破した有名人の情報なら集める必要すらなく耳には入る。
その子は異様に「そういった」カードに好かれていた。
入学と同時に着々と頭角を現し、戦うたびにそのデッキの精度や展開のスピードが上がっていった。
当然有名になればそのデッキ内容は噂になり、おのずとその子に対するメタデッキを使うものも出てきた。
デッキ枚数を増やすもの、墓地利用に特化したもの、暗黒界、その子は様々なデッキと戦って、そして負けた。
それもそうだ、一つの特殊な勝利方法に特化するということは、それを潰されてしまえば、もはや何もできない。
汎用性の高いカードであらゆる展開に対応できる、所謂王道デッキとは正反対の戦略。
ただ、その子はメタデッキを使われ、無残に負けるその度に嬉しそうにそれに対抗したデッキを作り上げてきた。
デッキ破壊が駄目ならメタポで手札を補充しつつのチェーンバーンや墓地を肥やしてのマジカルエクスプロージョン、はっきり言ってピーキーなデッキばかりだ。
それを回しきる実力があるのなら、所謂「普通」のデッキを使っても戦えていただろう。
変わった戦いをするため、色々なカードを工夫してデッキを作っていた。
それだけ聞いてもデュエルが大好きなのは間違いなかった。
だが、その藍沢がアカデミアをやめたと聞いて当時の私は驚いたものだ。
それが、私の知る藍沢という[女の子]のこと。
そんな「藍沢」を名乗る相手が目の前にいる。
彼はかなり小柄で中性的に見えるが、間違いなく女ではない。
あまり人に素肌をさらしたくないのか、黒いだぼだぼな服にパーカーを被ってはいるが、隙間から覗くその喉元には喉仏がきっちり出ている。
ならば、おのずと別人ということになるが…少なくとも戦法、デッキ内容は噂通り「藍沢」のものだろう。
なら油断できる相手ではない。
そう思いエンドフェイズにツインツイスターでカードを二枚破壊した
だが破壊したカードを確認して違和感を覚える。
一枚は、デッキ回転のエンジンだろう≪王家の神殿≫、これは効果を使う前に破壊してもよかったが、あの場面の手札なら捨てておいた方がいいと判断。どうせ破壊してもエンドフェイズには伏せを5枚そろえてきただろう。
なら、エンドフェイズに破壊しておいた方が伏せを増やされるよりはいいだろうと。
だが、もう一枚破壊した伏せを見て少し違和感を覚える。
≪バトルマニア≫
なぜバトルマニアなんて入る余地がある?
「いいカードを破壊したようだな」
相手の反応を伺うように鎌をかける。
「…べ、別に、そんなカードなくても、次の私のターンが回ってきたらあなたのデッキをこのメタモルで丸裸にして見せますよ」
だからと言って目に見えるほどの動揺はどうかと思うが。
相手のデッキは相手の動きから遊びがなく何かに特化していると考えるのが筋だ。
なら、バトルマニアを入れなければいけない何かが其処にあるということ。
破壊されて明らかに動揺している相手の表情を見れば、それは次のターン発動する予定だったカードということ。
ということは…
あの特殊召喚したカードは≪メタモルポッド≫ではないな。
少なくともあれが≪メタモルポッド≫なら、発動すれば貫通ダメージは避けられない。というより、バトルマニアを使う利点がない。
つまり、相手は
「…デッキ枚数も心もとないですよ?迷っていたらこのまま押し切らせてもらいます」
こちらの思考を読んだかのようにかけられる声に苦笑が漏れる。
「私のターン、ドロー!」
藍沢陽彩
LP4000
手札3枚
セットカード3枚
セットモンスター1枚
試験官
LP4000
手札7枚
セットカード1枚
モンスター
≪
≪
セットモンスター1体
カードをドローし、相手の場を確認する。
手札はこれで7枚、墓地も肥え、よほどのことがない限り突破は可能だろう。
…いや、深く考えまい。今は全力で相手に当たるだけ。
「私は手札より、永続魔法≪
「ん、また知らないカード…」
「手札の≪
≪
効果モンスター
星3/地属性/機械族/攻1000/守1000
(1):このカードが召喚に成功した場合に発動する。
相手に600ダメージを与える。
(2):このカードが攻撃する場合、
相手はダメージステップ終了時まで魔法・罠カードを発動できない。
(3):1ターンに1度、自分メインフェイズに発動できる。
自分の手札・フィールドから、
「アンティーク・ギア」融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを墓地へ送り、
その融合モンスター1体をエクストラデッキから融合召喚する。
≪
融合・効果モンスター
星8/地属性/機械族/攻1000/守1800
「アンティーク・ギア」モンスター×2
「古代の機械魔神」の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):このカードは他のカードの効果を受けない。
(2):自分メインフェイズに発動できる。
相手に1000ダメージを与える。
(3):このカードが戦闘で破壊され墓地へ送られた場合に発動できる。
デッキから「アンティーク・ギア」モンスター1体を召喚条件を無視して特殊召喚する。
廃墟の地下からソリッドヴィジョンで現れた要塞の上、融合召喚された砲手のようなモンスターが仁王立ちする。ステータスだけ見れば弱小モンスターにすぎないが、その能力はデビルの名前に負けず凶悪なものだ。
「≪
宣言と共に放たれた砲撃、それは相手の姿を打ち抜き…
藍沢陽彩 LP4000→3000
「っく…、って、とんでもない効果じゃないですか!しかも除去しないと毎ターンって…」
「お互い様だろう。そちらもデッキデスを使っているんだ。ああ、それと補足するが≪
「うう、嫌みですか!いや、まあ…うん、最善手なんでしょうけど。最初とは違い…今からが本気ということですか」
「本気かどうかはこれからの動きで君が判断すればいい。続けていくぞ」
そう軽く相手に返しながらも、少し感心する。気づいているのだろう、やろうと思えば先攻1ターン目で使ったカードだけでも現状以上の場を整えることはできた。
それをしなかったのは相手の実力を図るためであったのだが。
しかし、今は違う。出し惜しみをすればやられる。元より相手のメタモルが効果を使うなら手札を余らせたところで墓地へ送られるだけだ。
ならば、さらなる攻撃の布陣を。
…今だけは試験官としてではなく、一人のデュエリストとして本気でぶつかろう。
それに、出せる全力をぶつけた方がきっと彼も楽しめるだろう。
「続けて私は手札の≪パワーボンド≫を発動!フィールドの≪
≪
要塞を守護する二体の巨体と手札のモンスターが混ざりあい、轟音と共に更なる巨大な影が現れる。試験会場のどこにいても目立つその巨体の後姿を見ながらも、私は相手に視線を飛ばす…さあ、これぐらいの対処はできるのだろう?そう問い掛けるように。
――――――――――――――――――――――――――――――
「……ちょっとそれは大人げないんじゃないですかー」
「いや、君ももう子供じゃないんだからそういうことは言わない」
思わず呟いた言葉に、試験官はごくまじめにそう答えた。
そんな軽い問答を挟みつつも、私は相手の場に現れた更なる巨人の姿に目を向ける。
うわぁー…大きいなー。
威圧感から目をそらすために、そんな気の抜けた感想を抱きながらも、
私は心の底からワクワクしている自分に気づく。
持てる力を出しあうのはやっぱり楽しい。見たことがない何かが其処にあると思うと自然に感情が高鳴る。
やっぱり私はデュエルが今でも好きだ。
ただ、そのワクワク感だけがデュエルの楽しさではない。
お互いの全力を出し合って決着をつけてこそだ。こんな浮ついた心でミスなんてしてしまったら、せっかくのデュエルが台無しになってしまう。
小さく息を吐き、瞳をつぶる。
高鳴る鼓動をそのままに、意識だけをデュエルに集中する。
浮かべる笑みはそのままに、瞳を開き、真剣に現状を判断する。
…あれだけのリスクを背負ってモンスターを出す以上、「こちら」と同じように相手にも何かがあるのだろう。
嫌だな…。いや、楽しいのだけど。
さあ、全力で殴り合おう!と思う私と、出来ればそれがわかるまでは攻撃してほしくはないと考える私がいる。
『で、どうするんだい?』
うまく整理できない揺らぐ心、あ、これ完全に浮ついたままだなーなんて思いつつも、パートナーの声に一瞬我に返る。今は判断しなければいけない。とりあえず更なるゆさぶりを…かな?
「えっと…では私は、特殊召喚にチェーンして永続トラップ発動!≪最終突撃命令≫」
発動したのは表側表示モンスターを強制的に攻撃表示に変更するカード。
私の不意打ちには最適なカードで、これと≪バトルマニア≫があれば、初見の相手なら沈めることができると踏んでいる。
これで何の準備もなく、相手がこのまま殴ってくれれば私の勝ち。
晴れて試験合格!やったね!で済むのだが…
だが、今の私は嫌な予感がして堪らない。あの盤面で使わなくてもいい≪パワー・ボンド≫を使用した相手に対して。
「また変わったカードを使う。それは本来こちら側が使うようなカードだろう?」
「正面から先生のカードを倒すために必要なんですよ。ほら、
「ブラフ…というわけではないか。本当にそのカードが私の
超えられないけど、まあ迷ってください。できれば殴らないでそのままパワーボンドのダメージで私の勝ちに…そう思う私を尻目に試験官は、私の答えを待たずに言葉を続ける。
「…バトルだ!私は《
ああ、殴ってきた!?いや、頑張るんだ私。焦ってはいけない!相手に何もなければ私の勝ち!信じるんだ、私の新しいパートナーを…がんばれ
『…期待には答えないとね』
そう呟き、私のパートナーがフィールドにヴィジョンとして現れる。なんとも頼りになる背中だろう。後かわいい。そういってしまいたい気持ちを抑え、私はユベルの効果を説明する。
「セットモンスターは≪ユベル≫。≪最終突撃命令≫の効果!≪ユベル≫を攻撃表示に変更!そして≪ユベル≫の効果発動。…ユベルは相手から受けた痛みをそのまま返す。攻撃表示のこのカードが相手に攻撃されたとき、攻撃モンスターの攻撃力分のダメージを相手ライフに与える。終わりです!」
当初の予定通り、相手のエースモンスターに≪ユベル≫を殴らせることはできた。これで何もなければ…
「ダメージ反射タイプのモンスターか。だが…」
振り下ろされた巨人の渾身の右ストレートを、立ち上がったユベルが棘を召喚して受け止める。そして、直撃の轟音響き、砂煙まうその中から勢いよく棘が試験官の方に延び…
勝ちたい。とは思う。でも、今は勝った!とはどうしても思えなかった。
試験官LP4000→12800
『…なるほど。向こうの方が君と比べて一枚上手だね』
私にしか聞こえないユベルの声に、どうやら彼は何のカードか察したらしい。
倒したと思った相手のライフが回復していく。私もその回復した数値で何となくそのカードを察した。
「残念だったな。私は伏せていたトラップカード、≪レインボーライフ≫を発動した」
レインボーライフ。多分パワーボンドのリカバリー用カードだろう。もしくは、バーンデッキ対策か。試験官なんだから、ある程度あらゆる場面に対応できるカードは入ってるとは思っていた…が
「ごめんユベル。私のミスだ」
少なくとも、≪最終突撃命令≫を発動していなければ、ユベルの効果分のダメージを回復されることはなかった。結果論であっても、パワーボンドの段階でもう少し疑うべきだった。
『なら、諦めるかい?』
そんな私の言葉に、ユベルは冷たく返す。
まさか。ここで諦めたら私は何のために戻ってきたのか。というか、私のこと嫌いになるでしょ?なら、私はユベルに嫌われないためにも、失敗した分ぐらいは取り戻さないと。
その答えがわかっていたようにユベルは微笑む。ああ、やっぱりかわいい。初めて見た時から一目ぼれだったが、ずっと一緒にいてその気持ちはさらに高まってくる。
「≪ユベル≫は戦闘では破壊されず、戦闘タメージを受けない。ライフを回復されても、私の戦略はデッキ破壊もある。デッキが残ってる限り…まだ、私は負けてません」
「いい闘志だ。破壊できないなら追撃はできないな…だが、ライフは回復させてもらう。
≪
先ほどと同じようにモンスターの攻撃に対しユベルは棘で返すが、その数値分ライフが回復する。
試験官 LP12800→13800
「私はカードを2枚伏せ、エンドフェイズだ。≪パワー・ボンド≫の効果でダメージを受けるが、≪レインボー・ライフ≫の効果で、その数値分ライフを回復する」
試験官 LP13800→18200
「なら、そのタイミングで私はトラップ発動。≪バースト・リバース≫。ライフを半分払い、私は墓地から裏側守備表示でモンスターをセット!」
藍沢陽彩 LP3000→1500
「ただでさえ少ないライフを削ってくるか」
「…次のターンで勝つぐらいの意気込みじゃないと、どちらにしろ負けちゃうでしょ?」
「ならば、次を楽しみにさせてもらおう。…間違っても≪自爆スイッチ≫なんて入れてないとは思うが。ターンエンドだ」
藍沢陽彩
LP1500
手札3枚
≪最終突撃命令≫
セットカード1枚
≪ユベル≫ ATK/0
セットモンスター1体
試験官
LP18200
手札1枚
≪
セットカード2枚
モンスター
≪
≪
うん、強がってみたけど、かなり厳しいのは変わらない。…自爆スイッチなんて引いたら押してしまいそう。入ってないけど。
って、違うよ!そんなことしないよ?心を読んだのか、すごく憐みの目で私のことを見るのをやめてくださいユベルさん。
頭の中でそんな問答がありつつも、気を取り直して場の確認をする。
相手のデッキ枚数は残り15枚…ん?41枚デッキ?私の評判と言っていたし何かを足したのかもしれない。
私のデッキはサーチなどしていないし、40枚デッキではないのでそれより多く19枚。
うまく先ほどセットしなおしたカード、メタモルポッドさんを使えば、削りきれないということもないが…それも引き次第か。
「私のターン…ドロー!」
運命を託し、引いたカードを確認する。…思わず笑みがこぼれた。やっぱりデッキが答えてくれた時が一番うれしいものだ。
「どうやら、勝負を仕掛けられるカードを引いたようだな」
表情を見たのだろう、相手の言葉に視線を向ければ私はそっと今引いたカードをディスクにセットする。
「私はカードを一枚セット。…決まってくれればいいんですけど、それで大人しく負けてくれますか?」
「いや、試験官としてそれは御免被る。だが、何を仕掛けてくるかは楽しみにしているぞ」
「ではお言葉に甘えて…私はモンスターを反転召喚!もちろん≪メタモルポッド≫。効果を発動!それにチェーンして、手札よりもう一度≪月の書≫対象は…≪ユベル≫!」
「…メタモルポッドを使い回さない?」
「≪ユベル≫は裏側守備表示になり、その後お互い手札をすべて捨て5枚ドロー!」
問題はここからだ。私のデッキ枚数は18枚。そこから伏せたカードを使いこの現状を打破できるカードは数枚。分の悪い賭けだけど私はデッキを信じてカードを5枚ドローする。
…カードを引いた瞬間閉じた瞳をゆっくりと開く、そして…
「…ありがとう」
来てくれたカードに感謝の言葉を。
ここまでデッキが答えてくれたのなら、私は全力で回しきるだけだ。
「まずは、その魔神さんにご退場願います!トラップ発動≪つり天井≫。フィールド上にモンスターが4体以上いるとき、表側表示のカードをすべて破壊する!これでその二体のモンスターを破壊する」
発動と共に、上空より巨大なトゲ付き天井が落ちてくる。そのサイズたるや究極巨人をも巻き込むためかいつも以上に巨大なそれは、相手の要塞を守る二体のモンスターを粉砕する。
自分のフィールドでもガチャンと陶器が割れる音が聞こえた気がしたが、きっと気のせい…ではなく、これも一種の私の愛である。ゴゴゴっと…壊れた巨人の中から現れる一回り小さい…といってもそれでも十分巨大なゴーレムに殴り倒されるかもしれないなら自分の手で…と。
「≪
「ん…更に?」
「≪
「……へ?」
思わず漏らしてしまった声、急いで視線をフィールドに戻すとそこには何事もなかったかのように要塞の上に立つ≪
「さあ、このターンで私を倒すか魔神を破壊しなければ、次の私のターンで君のライフはさらに減る。君の起死回生のカードは最初のターンから伏せていた≪つり天井≫ではないのだろう?」
試験官のそんな挑発するような声に、私は思わず笑みが漏れる。
ここで決めなきゃ負けるかもしれない…けど、それでも
ごめんユベル。私ワクワクが止まらない。
「それはお互い様です。そんなに見たいなら…受け取ってください。私は手札を2枚伏せ、さっき伏せたマジック発動!≪手札抹殺≫」
「ここでも徹底したデッキ破壊か。だが、私のデッキはそれでもまだ5枚…」
「もちろん残しません!さらにチェーンして、手札より≪連続魔法≫発動!手札をすべて捨て、効果を発動する。このカードは直前に使った≪手札抹殺≫と同じ効果になる!あなたの手札はメタモルポットの効果で5枚…二回手札交換をすればデッキ枚数は0。私は今度こそ勝たせてもらいます!」
答えてくれたカードを次いで発動する。不意打ちのように相手に強制手札交換を強いる私のデッキのエースカードともいえる≪手札抹殺≫と≪連続魔法≫。私は試験官を見て、そう勝利の宣言をする…が
「その発言はまだ早い。…私はセットしていたトラップ発動≪貪欲の瓶≫!墓地からカードを五枚選びデッキに戻し、1枚ドローする」
当然のようにそれに対応する試験官に私は思わず楽しそうな笑みを深める。悔しい…けど、楽しい。
「……削りきれない」
「手札が一枚増えるから、抹殺の効果で6枚交換を二回だな。これで私のデッキは2枚残る。≪
相変わらず場に残るこの場面では本当に悪魔にしか見えないモンスターを苦々しく見つめる。だけど…
「だが…君はあきらめないのだろう?」
「当然!私はさっき伏せた≪思い出のブランコ≫を発動!墓地に≪連続魔法≫のコストで墓地に捨てた≪
その
試験官 LP18200→16800
「はは、流石だ。だが≪
まだそんな効果あったんだ…なんてゲンナリしながらも、言葉の途中で止まる試験官を少し不思議そうに見つめる。あれ?何かあったんだろうか?そんな疑問に答えるように試験官はゆっくりと言葉を続ける。
「…対象モンスターがいないので不発だ。私のデッキ枚数は残り2枚。≪
強制効果ゆえの自身の残りカードを公開する。最近は特に義務はないのだけど、そこは試験官の律義さなのだろう。
だが、これでハッキリしたことがある。デッキに残ったカードではこの場をひっくり返すことができない。
「なら、私はこれでターンエンド。エンドフェイズ時、≪
そう宣言し私はターンを終了する。少なくとも今の私に出来ることは全て出し切った。だから、きっと現状を打破できないと読んだ私の予想を上回ってくれるだろう相手に私は唯々楽しそうに笑顔を向ける。
藍沢陽彩
LP1500
手札0枚
≪最終突撃命令≫
セットカード1枚
セットモンスター≪ユベル≫ DEF/0
試験官
LP16800
手札6枚
≪
セットカード1枚
モンスター
≪
ターンが移り試験官がカードをドローする。そのとき不意に声が聞こえた。
「…君は今日のデュエルをどう思う?」
これも試験に影響するのかな?なんて少し考えてしまったけど、私は素直に答えることにした。
「楽しかった…かな?うん、楽しかったです」
答えを聞いて満足そうに、試験官はうなずく。やっぱりこの人いい人だ。そんな思いが私の中で確信に変わった。
「試験デュエルなのに、楽しむのか?」
「真剣なデュエルほど出せる力を出し切らないと。楽しくなければ出せないでしょう?…といっても、楽しいデュエルなんて久しぶりで。本当にありがとうございます」
続く言葉に思うままに答える。少なくともここまで全力を出せたのだ相手のおかげだった。
「感謝されるのは、デュエルが終わってからにしてほしいものだが。…私は手札より≪
藍沢陽彩LP1500→900
「≪
「よく覚えていた。…その通りだ。そして≪
「…思いっきり使ってるじゃないですか」
「いや、試験官としてただで負けるわけにはいかなかったからな」
苦笑いを浮かべる試験官に私も苦笑で返す。切羽詰まった状況なのに交わされるそんな他愛もない話。ああ…これはたぶん
「ただ、≪
「同じカードを二枚?」
「私は墓地の≪
隣に要塞がもう一つ現れたかと思うと、旧要塞は地下からの大爆発で粉砕。轟音とともに瓦礫の中から現れた見たくなかった顔に、どうすることもできない私は唯々眺めることしかできなかった。
「…だからもう一枚発動したんですね。私の伏せを警戒して」
「そういうことだ。あらゆることを想定して全力を尽くす。君が目指す場所はそういう場所だ…。それに私は君を信用している。きっとその伏せているカードは≪
「あはは…ただのブラフだったんですけどね」
伏せていた≪魔宮の賄賂≫のを見ながらそうつぶやく。試験官の言葉はどこまでも優しいものだった。だからなのだろう、何となくではあるが気づいていた自身の敗北という事実を私は受け入れていた。
「私は≪
宣言と共に要塞の上の≪
私はただ茫然とその様子を見ながら…
「あ~あ…それでもやっぱり、勝ちたかったな」
そう小さくつぶやくのだった。
藍沢陽彩 LP900→0
お付き合いありがとうございます!
これで次から学園関係がかけるぞやったね!
ちなみに藍沢はユベルは現状第一形態しか持ってません!
なので月の書で守るという、よくわからないプレイングをしています.
また気づいている人が多いと思いますが、バースト・リバースはアニメ効果版です。今後使う機会が多いカードなのですが、ライフコストが多いので早い目にこちらのカードに出ていただきました