新訳:ペルソナ4~迷いの先に光あれ~   作:四季の夢

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ロックマン全シリーズのクロスオーバーなゲームを出してくんないかな……絶対に涙腺崩壊の場面が多すぎるぞ(´;ω;`)


第二十一話:一つの真実の序章

 同日

 

 現在:堂島宅

 

「兄さん……」

 

 悠はそれしか言葉が出なかった。先程までいなかった筈の兄が帰宅しており、何事もない様な表情で見詰めているからだ。

 同時に動く事も出来ず悠がそのままでいると、やがて洸夜の方が動き出し、足下に落ちている白いノートを拾い上げた。

 

「……見つかったか」

 

 白いのノートの中を見ながら洸夜はそう呟くと、悠の隣の押し入れに向かった。

 

「驚きはしない。いつかはこうなると思っていた……だが、こんなにも早くお前にバレるとは思わなかったぞ」

 

 洸夜は押し入れを開けると何やら取り出そうと両手で何かを掴み、それを取り出した。

 

「……なにそれ?」

 

 洸夜が取り出した物に悠は呆気になったが、しかしそれは無理もないだろう。押入れから出した物、それは1メートルはあるであろう緑色の巨大な顔だけの怪物の"人形"だったのだから。

 

「昔、応募者全員サービスで貰えたゲームのキャラクターだ。だがただの人形じゃない……こうやって眼球を指すと……」

 

 洸夜が人形の眼球を指でぶっ指すと、まるで叫び声でも上げるかのように人形は口を大きく開き、その中から色々と物が飛び出してきた。

 

「こんな風に鞄の役割にもなる。……って待て、なんで知らない? 悠、お前はここからそこの二冊のノートを出した筈だろ?」

 

「いや……ノートは本棚の辞典のケースに入っていた……」

 

「なに……?」

 

 悠の言葉に洸夜の表情が変わる。信じられないようだと言った感じだ。

 ここで悠も何か言えれば良かったのだが今の悠は洸夜のノートの中身、そして兄の登場に混乱しており、何故に兄がこんなにも普通に会話しているのかもあって、そこまで余力はなかった。

 

「そんな筈は……俺は万が一の為にこの絶対に触りもしないコレにしまっていたんだが……」

 

 洸夜がそう言って人形の頭を叩いた時だ。人形の口から小さな何かが飛び出した。

 

「これ……」

 

「……!」

 

 口から出てきたのは一言で言えば『しおり』だった。本に挟むあの栞だ。

 だが、普通の栞ではなく、それはとても輝いていた。まるで宝石の様な白銀細工のしおりに悠は目を奪われたが、洸夜は何かに気付いた様に目を開いた。

 

「……そういう事か」

 

 何かを察したのか洸夜はその栞を拾い、空いている方の手を布団の下に手を突っ込むと己のペルソナ全書を取り出してそれに挟んだ。

 

(マーガレットとエリザベスと同じ本……!)

 

 何度も見ているから悠は一目で分かった。ペルソナを宿す事が可能な本。一つだけ二人と違うのは洸夜のペルソナ全書は黒色という事だ。

 だが、悠は黒故に二人の全書とは違う重みと深みを直感的に感じ取る。

 

(兄さん……本当に……)

 

 悠は兄がペルソナ使いだという事に殆ど確信していると……。

 

「それで……何か俺に聞きたい事があるんじゃないのか?」

 

「……!?」

 

 背を向けたままだが、兄からの重き言葉が悠に圧し掛かった。

 

「何もないならそれで終わりだ。……お前にはまだ早過ぎた……それだけの事だ」

 

 洸夜の言葉通り、ここで悠が何も言わなければそこで話は終わるだろう。洸夜も自分からこの事に追及する事はないだろうと分かる。

 だが、この兄の存在を乗り越えれば悠は事件ではないが、別の真実の一旦を知ることが出来るだろう。ここが洸夜の件で悠の勇気が試される最後の分岐点。

 そして悠はその答えを出すのだった。

 

「兄さんと……兄さんとペルソナやシャドウ、そして事件について全部だ!」

 

「……」

 

 悠は正面から受けた。洸夜もその言葉に動きを止めたが、やがて振り返った。

 

「何から聞きたい……?」

 

「!」

 

 悠は扉を開いた。事件ではないが、別の真実への扉をだ。

 そして悠はすぐに洸夜に聞きたい事を考えた。

 

・陽介の影

・千枝の影

・雪子の影

・完二の影

・シャドウ

・テレビの世界

・事件について

・エリザベスとの関係

・ペルソナ使い

 

 恐らく、全てを聞けるかは分からないが今の悠の伝達力ならばそれは可能かもしれない。

 悠は早速、洸夜へ問いかけた。

 

「陽介達の大型シャドウとの戦いの時、助けてくれたのは兄さん?」

 

「そうだ。花村戦のマカラカーン。里中 千枝の時の疾風ガードキル。そして天城 雪子のシャドウと完二の時のペルソナ……全て俺がしたことだ」

 

「……なんで自分達に正体を言わなかった?」

 

 悠にはそれが謎だった。洸夜が自分達に表で協力してくれれば明らかに色々な幅が広がった筈だからだ。

 

「色々とあるが……俺とお前等の力の差が大きすぎた事もある。あまりの力差は時に周りの成長を妨げる。ペルソナの力の源は心の強さにある。宿主が成長しないならば仮面も同じだ。ワイルドも他者との絆により成長する。俺が教えたからではなく、お前自身の意志の行動にこそ意味がある」

 

「……じゃあ、シャドウについては……シャドウとか、ニュクスっていうのは?」

 

 悠は質問の問いに対する質問は諦めた。疑問は後からいくらでも考えれば良い。今は出来るだけ多くの事を兄から聞き出す事だけを悠は選んだ。

 

「あの世界のシャドウについては俺もお前等と同じ程度にしか分かっていない。ニュクスついては……今回の事件には関係ない」

 

 洸夜は悠から目を逸らす。表情もどこか暗く感じたが、固い意志に悠は気付いた。

 ニュクス、この存在に関してお前に言う事は何もない。……そんな意志を。

 

「テレビの世界……今回の事件について……」

 

「あの世界については……昔、似たような世界を体験した事がある。あの世界も人に対する影響力はとても大きかった。……だからこそ、あの世界にも言える事がある。――本来ならば、人が踏み入ってはいけない領域なんだとな」

 

「似たような世界……?」

 

 本当ならば問いの答えに対し、新たに質問することは避けたかった悠だが、流石に今の言葉は聞き逃さす事は出来ない。

 そんな悠に対し、洸夜は小さく一言だけで返答する。

 

「『影時間』……言えるのはこれだけだ」

 

 ニュクス同様、洸夜はそれだけしか言うつもりはない様だ。

 

「事件について……」

 

「事件の情報はおまえらの方が詳しいと思うが……犯人ついては一言で言えば迷いがない。……メディアに映り、マヨナカテレビに映った後で間もなく誘拐。証拠も残さない、慎重且つ大胆……悪い意味で迷いがない奴が一番危険だ」

 

 迷いにも色々とある。犯罪に手を染めようとした時に本当にするのか迷うが、その迷いは最後の砦。思いとどまらえるせる事が出来る最後の理性。 

 既に二人も死んでいるにも関わらず、続けて迷いなく行っている時点で犯人にそんな迷いはないだろう。

 

「エリザベスは?」

 

「あいつは……一言で言えば親友以上の友だな。腐れ縁とでも言った方が良いかも知れないが、本当にそれぐらいだ」

 

 どうやらエリザベスについてもそれ程まで詳しく話す気はないらしい。恥ずかしさからか、他の理由があったとしても洸夜の表情は色々と複雑そうだった。

 

(聞きたい事は……まあ、大体は聞けた)

 

 最低限だが得られた物はやはり大きい。

 しかし、それで終わりではない。悠は最後の質問を問い掛けた。

 

「兄さんの正体」

 

「ようやく本題か……」

 

 まるで待っていたと言わんばかりに洸夜は堂々としている。どうやら、悠の質問は全部想像通りのモノの様だ。

 

「俺は……お前より前に覚醒したペルソナ使いだ。……もう五年になる」

 

「!……じゃあマヨナカテレビは?」

 

「悠……誰がマヨナカテレビで己と向き合う事がペルソナ覚醒の絶対条件なんて言った?……絶対なんてこの世にない。絶対なんてものはただでさえ少ない人間の知識、それだけの知識に満足して自分の世界に勝手に線引きした奴の常套句だ」

 

 つまり、お前達の常識よりもペルソナの世界は広いと言いたいらしい。

 

「つまり……」

 

「俺のペルソナ能力の覚醒は今回の事件とは全くの無関係という事だ。俺は別の事件で覚醒した。――その事件は既に解決したから話すことはないぞ?」

 

 言おうとしている事を先に潰されてしまった悠は別の事を聞くことにした。

 

「その事件は兄さん一人で?」

 

「いや……勿論、仲間がいた。もう会う事は出来ないがな」

 

 そう言った洸夜が一瞬だが、机の方を向いたのに悠は気付く。ふと、悠自身も机の方を見ると、それらしいものは三つある写真立てだ。

 

(もしかしてあれが……)

 

 何かあったのかは悠にも分かった。洸夜の表情からは悲しみを感じ取ることができ、仲間と言った者達と何かがあったのだと。

 その仲間というのがその写真立てに映る人物達なのだろう。何かがあったとしても、想い出までも変わるわけではない。

 

 

「悠……ワイルドには無限の可能性がある」

 

 悠へ背を向け、ペルソナ全書をパラパラとめくりながら洸が話し始めた事で悠も意識を話へと戻した。

 

「星の数以上にある可能性の中を選び続け、その可能性の中で誰と出会って絆を築くか……それすらも無限の選択肢であり、その選択肢は自身にしか決められない。……だが選んだ答えはやり直す事は決してできず、無限故に選択肢はお前自身にも想像が出来ない答えを示す可能性もある」

 

「想像の出来ない答え……?」

 

「あぁ……例えば、お前がこの事件の犯人の共犯者になるとかな」

 

「!」

 

 冗談半分なんだろう。楽しそうに洸夜は話すが、聞いた悠自身は思わず息を呑む。

 だが、あまり悠は驚いていない自分に気付いていた。無限の可能ならばそんな結果も必ず選択肢の中にある筈だからだ。

 

「可能性の選択肢……その答えはワイルドの旅の終わりの中で一つの結果となって自身で得る事ができるだろう」

 

「……兄さんの答えは?」

 

 自分達は違うが、目の前の兄はこの事件同様に非現実的な事件を終わらせている事を悠は思い出す。

 ならば、洸夜なりの可能性の答えがある筈なのだ。

 しかし、悠の問い掛けに洸夜は窓の外を見上げ、力なく首を横へと振る。

 

「俺は……何もなかった。何も出来なかったんだ……悠」

 

「なにも……?」

 

 背を向けたままで言う洸夜の声、その声に悠は今まで聞いた中で悲しみが一番が感じ取ることが出来てしまった。

 一体、何があったのだろう。疑問には思うが悠はそれを口にすることはない。兄が絶対に答えないと分かっているからだ。

 

「俺は……”利用”してしまっていたんだ。……その結果、俺は仲間達に苦しみの絆を――」

 

「こうやお兄ちゃ~ん! おなかすいた~!」

 

 洸夜の言葉は二人の最愛の妹、菜々子の一階から来た無邪気な声に遮られてしまった。

 そのあまりのタイミングに悠は思わず言葉が出なかったが、洸夜は楽しそうに笑い出した。

 

「ハッハッハッ! もうそんな時間か……」

 

 そう言って洸夜は菜々子の為に夕飯を作りに一階へ行こうとし、それを悠は慌てて呼び止めた。

 

「待ってくれ兄さん! 一緒に戦ってはくれないのか!? 兄さんがいるだけでも――」

 

「悪いが、俺は共に戦う気はないぞ、悠。――その代わり、部屋の中はもう少し見て行って構わない。まあ、これ以上は面白いものはない筈だがな」

 

 洸夜はハッキリとそう言い残し、そのまま部屋を出て行ってしまう。

 

「……」

 

 悠は嵐が去った様な感覚に襲われたが、今は自分の出来る事を優先することを選んだ。

 地味に高い伝達力のお陰で時間に余裕があり、洸夜の許可もあって一々、勇気を持って調べる必要はなくなったからだ。

 

(押し入れは……)

 

 悠は早速だが押し入れに目を向けたが既にそれらしい物は本当になかった。目の前に転がっている悪趣味な人形よりも凄いの期待していただけに悠は少しがっかりした。

 

(やっぱり机か……)

 

 やはりそこしかなかった。洸夜が向けた写真立て、それが気になった悠だが一応はと引き出しも開けようと試みる。

 

(空きそうなのは一段目だけか……)

 

 そこはプライバシー故か、一段目以外は鍵が掛かっており開く気配はない。悠は仕方ないと思いながら一段目を開けると、中にあったのは白銀の拳銃が一丁だけに眠っていた。

 

(拳銃……?)

 

 思わず息を呑みながら悠は拳銃を手に持ってみた。

 ズッシリとした重みがあり、至る所の装飾もかなり手が込んでいる。アンティークショップ等でこれが並んでいれば悠も思わず買いたいと思う程に拳銃の価値は大きくなった。

 だが、悠は気付いた。

 

「実弾は撃てないようになっているのか……」

 

 よくよく観察すると明らかに撃てないように細工されている事に悠は気付いた。だが、そこまでしなければ本物の拳銃と疑わなかっただろう。

 それ程までリアルに作られている拳銃を悠は戻し、今度こそ写真立てに手を伸ばした。

 

(左から見るか……)

 

 悠は順番通りに見る事にし、左の写真立てから手に取って見ると、写真には洸夜と三人の同い年ぐらいの男女が映っていた。

 紅い長髪の女子、第一印象は凄い美人だ。短髪の男子、印象はかっこよく見えるが写真からでも分かる雰囲気は凄い。最後の男子はどこか鋭さを感じた。

 

(この人達が兄さんの仲間だった人?……凄い個性的だ)

 

 自分達も中々に負けてはいないのだが、悠がそんな事に気付く事はなく、二枚目、三枚目と手に持って行った。

 

 活発そうにも見える女子、お調子そうに見える男子、幸薄そうな女子、小さな少年と赤い目が印象的な犬。……そして、金髪のどこか印象に残ってしまった女性がいた。

 

(不思議な人だ……)

 

 その女性の青い瞳に吞まれそうな感じを悠は覚えた中、眼帯をした一人の男性にも目を奪われる。

 

(誰なんだろう……)

 

 流石に眼帯は印象が強かったが、明らかにこの写真に写る者達の中では年上だろうがそれ以上は何も分からない。

 

(戻すか……)

 

 悠が写真立てを戻そうとした時だ。留め具が緩かったのか、一つの写真立ての後ろが外れてしまった。

 蓋はポトっと落ち、悠は写真だけでもキャッチしようとした時に気付く。写真が()()落ちた事に。

 そして悠が取ったのは二枚目の方だった。

 

「これは……」

 

 写真に写っていたのは洸夜と片方の目が隠れてしまっている一人の男子。そして、そんな二人に挟まれながらピースしている男子の計三人が写っていた。

 

「この人は……」

 

 悠は洸夜と真ん中の一人には目もくれず、片目が隠れた男子に目を奪われる。

 その男子の存在感に違和感を悠は覚えた。不思議だと、そう思って悠は仕方なかった。その時だ。

 

「お~い! 今、帰ったぞ!」

 

「!」

 

 帰宅した堂島の声で悠は我に返り、急いで写真立てを戻す。

 最近は堂島に何故か目をつけられている為、あまり怪しい動きは避けたい。悠は洸夜の部屋を出ようとして最後に振り向いて見渡した。

 全てではなく、寧ろ深まった謎もあるが兄である洸夜の事を悠は少し理解できた気がした……。そう思った時、悠は胸が熱くなるのを感じた。

 

”我は汝……汝は我……汝、新たなる絆を見出したり……絆は即ち、まことを知る一歩なり。汝――”

 

『築け……黒の繋がり……”死の絆”を――!』

 

「っ!? 駄目だ!!」

 

 悠に悪寒が走った。今まで絆を築いた時に感じる事のなかった悪寒と声。気付けば悠はコミュを自らの意志で抑え込んでいた。

 

(今のは……一体?)

 

 その答えはまだ、悠は知る事が出来なかった。

 

 

▼▼▼

 

 同日

 

 現在:ベルベットルーム【洸夜】

 

 電車の姿のベルベットルーム。洸夜のベルベットルームには洸夜とエリザベスの二人だけが見詰めあっていた。

 

「ようこそベルベットルームへ……しかし、残念ながら主様は御席を――」

 

「何の真似だエリザベス」

 

 洸夜はエリザベスの言葉を遮った。どこか怒りを感じているようにも見える。

 

「どう……とは?」

 

 エリザベスは身に覚えがない様な素振りをするが、洸夜は気付いていた。

 

「とぼけるな……何故、あんな真似をした? 俺のノートを本棚に移したのお前だろ?」

 

「……」

 

 エリザベスは黙ったが、その表情はバツが悪そうな顔だ。

 そんなエリザベスの顔を見て洸夜も悲しそうにするが、そのまま首を横へ力なく振った。

 

「悠の可能性に賭けたとでも言いたいのか? ……俺の事が悠にバレれば俺が無茶せず、力も使わなければ負担にならないとでも思ったのか?……ふざけるな。俺は悠達と行動を共にする気はない……できない」

 

「ッ!――何故ですか! これ以上……貴方様がご自身の力に目を背け続ければ仮面達が……その命が……」

 

「……ありがとう、エリザベス」

 

「!」

 

 洸夜の言葉にエリザベスは言葉の続きを奪われる。その洸夜の表情はどこか儚い笑顔だった。そしてエリザベスは同時に悟った。 

 洸夜が既に覚悟を決めている事を。

 

「例え俺が悠達と行動を共にしたとしても、俺はあいつ等と一線を引く。あまり意味はない事だ」

 

「何故……何故そこまで……貴方様の”黒きワイルド”は霧の世界を通じ、日々日々力を増しております。……このままでは本当に命が消えてしまいます……」

 

 洸夜にもエリザベスの気持ちは痛いほどに伝わっていた。だが、それでも首を横にしか振らない。

 

「エリザベス……興味が出たのは嘘なんだろ? 本当は俺の為に残ってくれたんだろう? すまない……だが、俺は変わらない。俺の身勝手でこれ以上、誰かを傷付ける訳にはいかない……悠達を巻き込む訳にはいかないんだ……」

 

「それでも……私は貴方様が……貴方にはこれ以上、命を燃やして欲しくはございません……!」

 

「すまない……だから、もう俺の事は良い。この町を去ってお前の本来の目的の為に生きろ。未来を捨てた俺の為じゃなく……『あいつ』の為にお前の命を……心を使え」

 

 洸夜はそう言って意識を現実へと戻して行き、ベルベットルームから消えようとした時だ。

 

「私は諦めたくはございません……絶対に貴方も……『あの方』も救わせて頂きます。――それが私の意志でございます!」

 

”また三人で……”

 

 最後にエリザベスのその言葉を聞きながら洸夜は現実へと意識を戻し、ベルベットルームを後にするのだった。

 

 

 

 

END

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