新訳:ペルソナ4~迷いの先に光あれ~   作:四季の夢

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この洸夜編を最初に投稿してから6年経過していたという衝撃の事実(;´・ω・)


第五十話:黒の終焉

 

『……道化師の戯れ』

 

 洸夜の影はそう呟いた瞬間、周囲の仮面が高速で洸夜の影の周りを回り始めた。

 そして洸夜の影が手を伸ばすと一つの仮面を掴み、それを顔へと装着する。

 

 その瞬間、風花はすぐに異変に気付いた。

 

「アルカナが変わりました! 今は【魔術師】で、耐性も変化! 弱点は氷結! 火炎・疾風属性吸収です!」 

 

「周りの仮面を付けることで能力が変わるのか……!」

 

 風花の言葉に悠は思わず周囲の仮面を見渡した。

 よくよく見れば仮面にはアルカナの絵が刻まれており、どの仮面が何のアルカナかは見れば分かった。

 

「【太陽】に【塔】に【審判】まで……! 全てのアルカナの仮面があるのか!」

 

「なに、先程のシャドウとそこまで差はないさ。――これで最後だ! 行くぞ!」

 

――応!

――ハイ!

 

 美鶴の声に明彦達が応え、美鶴は一気に駆け出したのを見ると悠とクマも互いを頷き合った。

 

「やるぞクマ!」

 

「よっしゃー!――キントキドウジ! ブフーラミサイル発射クマ!」

 

 クマは気合十分な声を出し、ペルソナを召喚すると同時にミサイルを発射した。

 そのミサイルは何も遮る物もなく、そのまま真っすぐに洸夜の影に直撃する。

 

『――ッ!?』

 

 直撃した瞬間、盛大に洸夜の影はバランスを崩し、仮面も顔からズレ落ちていた。

 そして、その隙を悠も美鶴達も見逃さなかった。

 

「今だ!」

 

「一気に畳み掛けろ!!」

 

「良し! 行くぞ!!」

 

 二人の言葉に一斉に洸夜の影に群がる明彦達。

 悠と美鶴も混ざり、一斉に洸夜の影を袋叩きにし始めた。

 

『ッ!――デスバウンド!!』

 

 だが洸夜の影も甘くはない。すぐに広範囲の物理技を使い、悠と美鶴達を薙ぎ払ってきた。

 それを受けた悠と美鶴達だったが、全員が受け身をとってダメージを最低限に抑えていた。

 

「対応が速い……!」

 

「だが弱点は分かっている! アルテミシア! マハブフ――」

 

 美鶴が弱点属性を突いて攻撃をしようとペルソナへ指示を出そうとしていたが、それよりも先に洸夜の影に動きが見えた。

 

『……道化師の戯れ』

 

 そう呟くと再び仮面が高速回転を始め、洸夜の影はすぐに仮面を付け変えた。

 新たに付けた仮面のアルカナは【悪魔】の絵と数字があり、洸夜の影は再び能力を変えた。

 

 しかし風花も負けてはいない。

 すぐにユノの能力を発動し、洸夜の影の能力を探知した。

 

「アルカナは【悪魔】です! 弱点属性は光! 氷結・闇無効です!」

 

「なら! 来い! 【だいそうじょう】!――マハンマオン!!」

 

「行くよカーラ・ネミ!――ハマオン!」

 

 次は悠と乾の出番だと言わんばかりに二人で前に出ると、ペルソナを召喚して強力な光を放った。

 しかし洸夜の影も反撃してきた。両手を合わせると、その空間に巨大な闇が集まりだし、それを放ってきた。

 

『マハムドオン!!』

 

 巨大な闇が放たれると悠と乾の攻撃とぶつかり合い、やがて相殺する。

 すると洸夜の影はそのタイミングで威圧する波動を放ってくる。

 

『デビルスマイル!』

 

「うっ! これは……!」

 

「チッ! 状態異常か……!」

 

「身体が……震える……!」

 

 明彦と真次郎。そしてチドリはすぐに異常に気が付いた様だった。

 突如として恐怖心が沸き、震えてしまい身体が思う様に動かないでいると、今度は悠が動いた。

 

「させるか! 来い! 【ルシフェル】!!――メシアライザー!」

 

 悠が召喚したのは大天使・堕天使ルシファーの別名でもある仮面――巨大な翼を広げる神々しいペルソナ【ルシフェル】であった。

 

 ルシフェルは召喚されると同時にすぐに光の雨を降らすと、明彦達から恐怖心を一瞬で取り払う。

 そして明彦達は、これ程までのペルソナを使役する悠に驚きを隠せなかった。 

 

「こんなペルソナまで……! フッ、半人前扱いは出来ないな」

 

「……ったく、大した奴だ。本当によ」

 

「凄いペルソナ……強い力を感じる」

 

 歴戦のペルソナ使い達からのお褒めの言葉に悠は、内心で照れながらも笑みだけを浮かべていた。

 そしてこれだけで終わらない。次は反撃だと、悠は手を前に出してルシフェルへ指示を出す。

 

「ルシフェル!――明けの明星!!」

 

 巨大なエネルギーがルシフェルへと集まりだした。

 メギドラオンすら超える最強技。それを放とうとすると案の定、洸夜の影は妨害の動きを見せた。

 

『ゴッドハンド!!』

 

 巨大な拳がルシフェルへと向けられると、そのまま放とうとされる。

 だがその瞬間、真次郎と順平が前に出た。

 

「順平! 前に出るぞ!」

 

「了解っす!」

 

 二人は前に出るとそれぞれのペルソナを召喚し、同時に障壁を出現させた。

 

『ハイパーカウンタ』

 

 それは物理技を跳ね返すスキルであり、二人は強力な物理技を受けると、必死の形相で一気に撥ね返した。

 そしてその衝撃は洸夜の影へ一気に撥ね返る。

 

『――ッ!? 何故だ……何故だ……何故だ……!』

 

「追撃します!」

 

 怯んだ洸夜の影へアイギスが更に追撃を開始する。

 空へ浮いて頭部と各指先の銃口を一気に解き放つと、洸夜の影の顔面へと直撃させた。

 そしてそのダメージが仮面に集中すると、やがて仮面に亀裂が走った。

 

「ダメージを確認! 離脱します!」

 

 そう言って流れる様に離脱するアイギス。

 彼女が退いた瞬間、ルシフェルの明けの明星も放たれ、そのまま洸夜の影へと直撃した。

 

『――ッ! ありえない……ありえない……我は道化、何者にもなる道化なり』

 

 洸夜の影に直撃すると、洸夜の影はその威力によってバランスを崩した。

 同時に【悪魔】のアルカナの仮面は砕け散ってしまい、洸夜の影のアルカナは再び【道化師】へと戻った。

 

 すると洸夜の影は再び仮面を掴もうとしていた。

 

『道化師の戯れ……』

 

「させるか! アルテミシア!!」

 

 そこへ美鶴が妨害に出る。

 アルテミシアの鞭を使い、洸夜の影の腕を縛り上げると、そのまま氷漬けにしてしまう。

 

「メーディア! マリンカリン!」

 

「アオォーン!!」

 

 そこへチドリとコロマルが援護攻撃を行う。

 メーディアはマリンカリンで洸夜の影の気を逸らし、そこへケルベロスがマハラギダインを放った。

 

『……我は……我は道化なり!』

 

 洸夜の影の左腕は美鶴によって氷漬けになり、炎もその身に受けるが不気味に呟きを続け、再び右腕で仮面を取ろうとした。

 

 そこにゆかりが弓を構えながら前に出て来た。

 

「イシス!――マハガルダイン!」

 

 自身は矢を放ち、同時にイシスが巨大な疾風を放つ。

 矢は右腕に刺さり、そこへ疾風が洸夜の影へと迫ったが、洸夜の影は素早く右腕を前に出した。

 

『マカラカーン!』

 

 洸夜の影が目の前に出現させたのは、属性攻撃を撥ね返す障壁だった。

 マカラカーンにイシスのマハガルダインがぶつかると、そのままゆかり達へと撥ね返る。

 

「まずい!」

 

 それを見た悠は駆け出して前に出ると、すぐにペルソナカードを砕いた。

 

「行け!――オンギョウキ!」

 

 現れたのは漆黒の鬼――オンギョウキだった。

 オンギョウキは全員の前に出ると、腕を翳してマハガルダインを全て吸収する。

 

「オンギョウキは疾風吸収だ。このぐらい何ともない!」

 

「ありがとう悠くん! ちょっと油断したわ……!」

 

 悠へゆかりは礼を言うと、少し頭を冷やす為に後方へと下がった。

 それと同時だった。洸夜の影は左腕の氷を砕くと、アルテミシアの鞭を薙ぎ払った。

 

「チッ!」

 

 美鶴は舌打ちをして一旦下がると、その隙に洸夜の影は新たな仮面を手に取って顔に付けた。

 その仮面は【審判】だった。

 

『……漆黒の蛇』

 

 そして洸夜の影が放ってきたのは【漆黒の蛇】と言われるスキル――ペルソナ【サタン】の専用スキルであった。

 

 その名の通り強力な万能スキルであり、洸夜の影が腕を翳すと巨大な蛇が悠達へ襲い掛かる。

 

「なっ!――ルシフェル! 明けの明星!!」

 

 嫌な予感を抱いた悠はすぐに最大戦力であるペルソナ・ルシフェルを再度召喚した。

 そして巨大なエネルギーを放つと漆黒の蛇とぶつかり合い、巨大な爆発を生んで相殺した。

 

「ぐわっ!!」 

 

 そのあまりの爆風に悠は腕で顔を隠し、美鶴達も同じ様に顔を守っていた。

 そして爆風が晴れた瞬間、洸夜の影の腕が伸びてきて、そのまま悠を掴んだ。

 

「うわっ!」

 

「センセー!?」

 

「しまった……!」

 

 悠が捕まった事にクマが叫び、美鶴が険しい表情を浮かべながら洸夜の影を睨んだ。

 そして美鶴達がペルソナで洸夜の影を攻撃しようとするが、洸夜の影は悠を前に出して盾にした。

 

 それを見た美鶴達も思わず攻撃の手を止めるしかなかった。

 

「クッ! これでは……!」

 

「攻撃できないぞ……!」

 

「チッ……面倒だぜ」

 

「悠さん!!」

 

 美鶴と明彦と真次郎は思わず攻撃の手を止め、乾が悠へと叫ぶと悠は苦しそうにしながらも刀を手放しておらず、戦う意思を見せながら美鶴達を見た。

 

「俺に……構わず攻撃を……!」

 

「んなことできっかよ! 何とか助けてやる!」

 

「でもどうすれば……!」

 

 順平が悠の言葉に反論するが、風花の言う通り、どうすれば良いのかと迷っていた。

 並みの攻撃を撃てば悠に間違いなく当たってしまう。

 

 だから攻撃の手段は限られており、内心で焦りながら必死に考えていた時だった。

 アイギスが前に出ると、彼女から蒼白い光が溢れていた。

 

「この力を……今一度!――オルフェウス!!」

 

 アイギスが召喚したのはアテナではなく、別のペルソナ――吟遊詩人オルフェウスであった。

 別のペルソナの召喚。その光景を見た悠とクマは驚きの表情を浮かべる。

 

「他のペルソナを……! アイギスさん……まさか俺と同じ【ワイルド】を!」

 

「センセイと同じクマ……!」

 

「その話は別の機会に!――オルフェウス!」

 

 今は悠を助けるのが先決。

 それを理解しているアイギスは二人の話を遮り、手を前に出してオルフェウスへ操る。

 

 そしてオルフェウスは洸夜の影の目の前に現れると、背中のハープを弾き始めた。

 その音色がとても心地よい音色だったが、それを聞いた洸夜の影は苦しみだした。

 

『ぐうぅ……オルフェウス……オルフェウス……!』

 

 まるで怨み言の様に呟く洸夜の影だったが、その腕が緩んだのを悠は気付いた。

 

「今だ!」

 

 そして捕まっていた右腕に洸夜の刀を突き刺した。

 

『グアァァァァ!!!』

 

 シャドウを弱体化させる刀と、オルフェウスの音色が手伝い、洸夜の影は悲鳴をあげながら悠を手放した。

 その瞬間に悠は刀を引っこ抜き、何とか着地するとアイギスの隣に立った。

 

「アイギスさん……ありがとうございます。――けど、その力は……!」

 

「悠さんのご想像通りです。私もアナタと同じ力を持っています」

 

 アイギスはそう言うと洸夜の影へ銃口を向け、洸夜の影の仮面へと一点集中で弾丸を浴びせた。

 洸夜の影は腕で防ごうとするが、オルフェウスの演奏が続いており苦しみによって動きが鈍かった。

 

 そこに美鶴が動いた。

 

「終わらせるぞ! アルテミシア!!」

 

 美鶴がペルソナへ指示を出すと、アルテミシアは洸夜の影の全身に鞭が巻き付けた。

 そして縛り上げると同時に、ゆかり達もアイギスと共に洸夜の影の仮面へと攻撃を集中させると、審判の仮面に亀裂が入り、やがて粉々に砕け散った。

 

『アアァァ……! 仮面が……仮面が……!!』

 

 洸夜の影は苦しそうに大振りにもがくが、その動きは美鶴が必死に抑えつけていた。

 そこへ明彦と真次郎が駆け出して来た。

 

「合わせろシンジ!!」

 

「分かってるぜ!!」

 

 拳とハルバードを持って駆け出して行く二人は洸夜の影の懐に入ると、全身全霊の力で腹部に強烈な一撃を叩きこんだ。

 

――その時だった。

 

『ゴバッ!!』

 

 洸夜の影が何かを吐き出した。

 それは人の形をしており、それを見た美鶴達はすぐに正体に気付いた。

 

「洸夜!!」

 

「今度こそ本物です!」

 

「うわっとと! キャッチしろキャッチ!!」

 

 吐き出されて宙に舞う洸夜をキャッチしようと順平達が右往左往していたが、それより先にアイギスが空中に飛んで洸夜を抱きしめる形でキャッチする。

 

「洸夜さん……!」

 

 アイギスはようやく取り戻せたと嬉しみの表情で洸夜を見るが、洸夜を気を失っていて返事はなかった。

 

 だが呼吸はしており、それを見たアイギスはまずは一安心しながら着地すると、もうこれで迷いが消えたアイギス達の視線が洸夜の影へと向けられる。

 

「決着の時です!」

 

「これで終わらせるぞ!」

 

 アイギスと美鶴が叫び、それに明彦達が頷くと一気に全員が動いた。

 まずはゆかりと順平だった。

 

「イシス! マハガルダイン!!」

 

「やるぞトリスメギストス!――空間殺法!!」

 

 美鶴達によって抑えられている洸夜の影へ、まずはイシスが疾風を放ち、それに合わせてトリスメギストスが縦横無尽に金色の翼で斬りかかる。

 

『ッ!! ありえない……ありえない……ありえない……我は道化……! 道化師……! 何者にも――成る!!』

 

「!――大きな攻撃! メギドラオンです!」

 

 アルテミシアの拘束の中、両手を無理矢理に広げてエネルギーを溜める洸夜の影だったが、それはタッチの差で風花に読まれた。

 そして風花の声を聞いた乾やチドリ、コロマル達が動いた。 

 

「カーラ・ネミ!――槍の心得!」

 

「メーディア!――アギダイン!」

 

「アオォーン!!」

 

 乾は槍に力を纏わせ、洸夜の影の右腕に持っていた槍を投げると、槍は吸い込まれる様に腕に飛んでいき、そのまま突き刺さった。

 

 左腕の方にはチドリとコロマルによる火炎が放たれ、左腕のエネルギーと混ざり、両腕が大きく爆発した。

 

『馬鹿な……馬鹿な……馬鹿な……何故、我が負ける? 負けるのか……道化である……何者でもある我が……!』

 

「そうだ……お前は負ける。罪を重ねた私達自身によって!」

 

「はい、もう終わりの時です! この長い戦いの!」

 

 美鶴はそう言って一瞬だけ目を閉じると、すぐにカッと開き、アルテミシアによって洸夜の影の両腕を凍らせる。

 

 そこへアイギスが背中から折り畳み式のガトリング砲を取り出すと、一気に火を吹いた。

 

「アキ! 分かってんだろうな!――カストール!!」

 

「あぁ、任せろ……!――カエサル!!」

 

 そして真次郎と明彦も動いた。 

 二人は駆け出すとペルソナを召喚し、一気にそれぞれが凍った腕に一閃する。

 

 すると洸夜の影の両腕は切断され、洸夜の影は絶句する。

 だが叫ぶよりも前に動く者達がいた。

 

「さぁ! 終わらせてやれ!」

 

「はい!――クマ!」

 

「任せるクマ!――キントキドウジ!!」

 

 明彦の言葉にスタンバイ状態の悠が洸夜の影の前に立ち、クマに指示を出すとミサイルが発射される。

 そのミサイルの上にはイザナギが乗っており、ミサイルが洸夜の影を通過した瞬間、イザナギが飛び降りた。

 

『我は……誰だ……?』

 

「お前も、もう……苦しまなくて良いんだ!――イザナギィ!!」

 

 洸夜の影へ最後に優しくそう言うと、悠は腕を前に出してイザナギの名を叫んだ。

 そして――

 

「――終わりだ」

 

 悠がそう呟くと同時にイザナギは、洸夜の影の顔を真っ正面から一閃した。

 すると洸夜の影は徐々に霧の様にその姿が消え始め、最後には完全にその姿は消滅した。

 

 こうして洸夜の影(道化師)との戦い――黒の絆の戦いは終わりを告げた。




本物の洸夜が最後に出たのが6年前という事実(;´・ω・)
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