第五十三話:修学旅行
現在:稲羽市(悠の登校路)
堂島と菜々子に見送られた悠は修学旅行の為に勉強道具や着替え等をスポーツバックに入れ、陽介と一緒に学校へと向かっていた。
また、今回の修学旅行は人数の都合で一、二年生合同と成っている為、悠達の周りには二年生だけでは無く一年生も同じ様な荷物を持って通学路を歩いている。
そんな周りを見ながら陽介が悠に話し掛けた。
「いかにも修学旅行だな」
「まあ、実際に修学旅行だからな」
陽介の言葉に悠は普通にそう返答した。
「にしても他校で勉強するらしいけど、やっぱり修学旅行は楽しみだよな?」
「ああ、個人的にはかなり楽しみだよ」
悠の言葉に陽介は驚いた。
まさか、悠がそこまで修学旅行を楽しみにしているとは思っても無かったからだ。
「お、おいおい相棒……そんなに楽しみなのか?」
苦笑しながらそう言う陽介の言葉に、悠は笑みを浮かべた。
「……兄さんがペルソナに覚醒したのは五年前。その頃、兄さんは辰巳ポートアイランドの月光館学園に入学した時期なんだ」
「月光館……? ああ、この間そんな事を話してくれたもんな……ってよくよく考えてみたらそれって……」
陽介は悠の言いたい事が分かり表情に驚きの色を混ぜ、悠もそんな陽介に頷いた。
「うん。あの時期、基本的に兄さんはあまり家に帰って来なかった。理由を聞いてもなんかはぐらかしてたし。でも、兄さんが関わったシャドウの事件……その舞台が学園都市なら納得出来る」
「た、確かに……でも、それだけで判断は軽率じゃねえか?」
「……陽介には言っても良いかも知れないな」
考え込む様にしながらそう言った。
そして、そんなリアクションをされたら気になってしまうのが人間だ。
陽介は普通に聞き返した。
「どういう意味だ?」
「二年前……兄さんが高校を卒業して帰って来たんだ。だけど、その時の兄さんは精神が病んでいた。何があったのかも教えてくれないけど、黒の駅で見た限り、時期的に考えてもそこしかない……」
「へ~そうだったのか……確かに、洸夜さんの記憶だと何か街中だったもんな。あの凄い格好のお姉さん達と解決したシャドウ事件の場所が学園都市か」
納得した様に陽介は頷くと、不意に辺りを見回した。
すると、前方に少し背が低く帽子を被った人物……直斗を発見する。
直斗を見付けてからの陽介の動きは早かった。
咄嗟に力を入れダッシュで直斗へと近付く。
「よお! お前も今登校か!」
そう言いながら陽介は直斗に挨拶のつもりで軽く背をポンッと叩いたつもりだった。
だが……。
「わあぁぁぁぁっ!?」
それほど迄に予想外だったのかそれとも突然、体を触られたからなのか直斗は体をビクつかせながら、叫んでしまった。
その叫びに陽介を追い掛けてきた悠は勿論、やった張本人である陽介と周りの学生も固まってしまう。
そして、その状態が数秒経った後、直斗はゆっくりと振り向いて非難の目で陽介を睨み、陽介は思わず謝罪した。
「い、いや……なんつうか、わ、悪かった……まさか、こんなに驚くなんて思わなくてよ」
「……つ、次からは気を付けて下さい。と言うより、いきなり触らないで下さい。普通に驚くんですよ僕は……」
照れからきてるのか表情を赤くしながら言う直斗だったが、知らない者が見たら今の発言は誤解を招きかねない。
それに対し陽介は思わず手を左右に揺らしながら抗議する。
「いやいや……俺が悪かったけど、その発言は誤解されそうだから止めてくれ!」
「?……なにを誤解するんですか?」
陽介の言葉の意味が分からないと言った様に不思議がる直斗に、陽介は意味を説明しようとする。
ただの挨拶の筈が事態が面倒になったら堪ったものではない。
「いや、だからな……その発言だと、まるで俺が――」
陽介がそこまで言った時だった。
「陽介……!」
声のする方を陽介と直斗が見ると、そこには見てはいけない物を見てしまったと言わんばかりの悠の姿だった。
そして、悠のその姿に陽介は嫌な予感がした。
「お前……そんな小さな後輩に何をした! しかも同性……!」
そういい放つ悠だったが、口元がニヤけそうになってピクピクしているのを陽介は見逃さず、悠の意図が分かった。
「あ! てめぇ! 俺をおちょくろうとしてるだろ!」
「って言うか今、小さいって言いませんでしたか?」
悠の言葉に直斗が反応するが、悠は敢えてそれを無視して学校とは逆方向を向くとそのまま走り出した。
「皆、聞いてくれ! 陽介が!!」
「なっ!? おいコラ止めろ!」
誤解発言をしながら逆走する悠を追う様に今度は陽介が走り出す。
悠の無駄に無表情なところが逆に自分をおちょくっている様で笑えない。
そして十数メートル程、悠と陽介が走った時だった。
「あ、鳴上君……?」
「どうしたの、学校はあっちだよ? 忘れ物?」
悠の前方に登校中の雪子と千枝が見えた。
その様子に陽介は嫌な予感がするが、それが見事に的中した。
悠は逆走しながら二人に手を振った。
「二人共、助けてくれ。陽介が……」
「え? 花村君?」
「花村がどうかした?」
自分達の背中に隠れる悠の言葉に、雪子と千枝は前方に視線を戻した。
すると……。
「うおぉぉぉぉぉっ!! させるかぁぁぁぁっ!!!」
二人の目に入ったのは朝とは思えないテンションと形相の陽介の姿。
これ以上、悠の好きにさせまいと凄い勢いで追い付いて来た陽介だったが、鼻息が荒く息も乱れながら何か叫んで近付いて来る者を見た雪子と千枝の反応は……。
「えっ!? あれ花村君っ!?」
陽介の姿に驚く雪子、そして……。
「う、うわぁぁぁぁ!? こっち来んな!!」
陽介目掛けて回し蹴りで迎撃する千枝だった。
千枝の蹴りはそのまま陽介に吸い込まれる様に腹に当たった。
――と、思われたが……。
「っ!? 何の!」
「っ!」
陽介は咄嗟に両腕をクロスして千枝の蹴りを防御したのだ。
蹴りの衝撃で陽介はザザザザ……! と靴で地面が擦れる音を出しながら数メートル後退したが、その表情は、どうだと言わんばかりにどや顔であった。
「フンッ! 俺も甘く見られたもんだぜ。お前に蹴られまくって早数ヶ月。 里中、その蹴りは……既に見切った!」
無駄に堂々とした陽介。
どうやら陽介のシャドウとの戦いで得た経験値は、このような場面で開花した様だ。
そして、そんな陽介に蹴りを防御されたのが悔しかったのか千枝は、拳を握り締めながら悔しそうに陽介を睨んだ。
「ちょこざいな!……つうか、夜に下ネタ電話してくる奴が無駄に格好付けんな! 」
「あ!? バカ! こんなところで暴露すんな! 普通に冗談の域だろ!」
「花村君……」
「陽介、やっぱりお前……」
千枝の言葉に陽介から少し距離をとって哀しみの視線を陽介へ送る雪子と悠。
そんな二人のリアクションに陽介は、それ見たことかと千枝に抗議した。
「里中! お前のせいで俺の好感度が下がったじゃねえか!」
元々の原因は悠にあるのだが、既にそんな事は忘れている陽介は千枝の事しか悪い意味で頭に無かった。
また千枝も、そんな陽介の抗議に対して鼻で笑って返答した。
「ふん! 日頃の行いが良かったら、そう簡単に好感度は下がらないっつうの!」
「なにを~!」
そう言って千枝と陽介は、お互いガルルルと獣宜しくな唸り声をあげながら顔を近付けて睨み合った。
また、悠と雪子を除く登校中の学生は一瞬、陽介と千枝のやり取りを見るが日頃から見慣れているのか気にせずに学校へ向かう。
ある意味、二人の日頃の行いが立証された瞬間でもあった。
そんな事をしている内に今度は、騒ぎを聞き付けた完二とりせが周りと同じ様な荷物を身に付けてやって来た。
「朝から馬鹿みたいに騒がしいと思ったら……やっぱり先輩達かよ」
「あ! 悠センパ~イ! 雪子センパ~イ! おはようございます!」
完二は予想通りの事に溜め息を吐き、りせは敢えて陽介と千枝をスルーして悠と雪子の下へと向かう。
そして、そんな風に賑かな空間で悠は不意に空を見た。
理由は兄である洸夜の事でだ。
時間的に考えて今は学園都市のホテルの中だろうか?
悠はそう思いながら荷物を背負い直した。
これから行く場所は一人の弟、一人のペルソナ使いとして重要な所なのは間違いない。
兄である、洸夜がペルソナ使いとしての原点であり、兄である洸夜の身に何かが起こった場所なのだから。
悠は内ポケットに入れていたイザナギが宿る愚者のペルソナカードを握りながら、そう思ったのだった。
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現在:巌戸台駅
「ふぅ……やっと着いたな」
「いや、まだだって……この後、モノレールに乗らないと」
現在、悠達【八十神高等学校】の生徒達は無事に辰巳ポートアイランドへと到着していた。
そして、これからモノレールの乗って月光館学園へと向かう為、モノレールを待っている。
また、基本的に田舎である稲羽市から出た事が無いからか、悠、陽介、りせ等と言ったメンバー以外は普通の駅ですら物珍しそうに見ていた。
だが、悠は悠で全く別の意味で街を見ていた。
「これが……兄さんが居た街」
――そして、シャドウの事件が起きたもう一つの街。
悠はこの街に来るまでは、心の何処かで本当に洸夜がこの街でシャドウと戦っていたのか自信はあったが確信は持てなかった。
しかし、今は確信を持って言える。この街で何かが在ったと。
電車から降りて街に足を踏み入れた瞬間、初めて来たにも関わらず懐かしさの様な不思議と安心できる何かが身体の隅々まで流れるのを感じたのだ。
まるで、誰かが自分を見守ってくれている様にも感じられる。
悠は兄の戦い抜いた場所であるこの街からの歓迎されている様な雰囲気に、嬉しそうに空を眺めながら目を細め
た。
そんな悠の様子に千枝が気付く。
「鳴上くん。この街がさ……洸夜さんのペルソナ使いとしての出発点だったのかな?」
「多分……いや、絶対そうだと思う。なんか、不思議な感じがするんだこの街から……どんな感じかって説明は出来ないけど、なんか誰かに見守って貰っている様に安心出来る」
悠は自分が感じた事を千枝に返答する形で答えた。
普通ならば意味が分からないだろう。
言った悠自身もそう思っていたのだが、皆の反応は悠の予想とは全く違った。
「あ……! それ、私も感じてた」
「二人も?……実は私も」
「俺もだぜ!」
「私も……ストーカーとかそんな嫌な感じじゃない何か最も大きく安心出来る感じ……」
「……俺もッス。不思議ッスね……ペルソナ使い全員が何かを感じるなんて」
千枝の言葉を皮切りに次々と皆が悠と同じ感覚を覚えた事を口にし、悠はそんな皆の様子に最早なにか疑う余地は無かった。
「此処が、もう一つのシャドウ事件の場所……」
悠の呟きに陽介も悠の様に空を眺めた。
「俺……まさか修学旅行でこんなに不思議な位に清々しい気分になるなんて思わなかったぜ……」
「私も……なんか、この街から懐かしさに近いモノも感じる」
「洸夜さんや他のペルソナ使いの人達が戦い抜いた街……」
「やべ……なんか緊張して来やがった……!」
「ふふ……皆、同じ気持ちなんだね」
陽介、千枝、雪子、完二、りせの順でそれぞれがそう言った。
悠も皆の様子にゆっくりと頷いて返した……その時。
「ワン! ワン!」
「へ………? うわっ!?」
「な……犬?」
悠達が話をし会話が落ち着いた瞬間、一匹の犬が悠達のクラスメイトの集団の隙間を猛スピードで抜けて来たのだ。
綺麗な白い毛皮に宝石の様に綺麗な赤い眼をした犬の突然の登場に、周りのクラスメイトがパニックになり、悠達も状況を掴めない中、その犬と悠の眼が合った瞬間、一直線にそのまま悠へ飛び掛かって押し倒した。
「ぬおっ!?」
「相棒!」
「鳴上くん!」
「なっ! 鳴上が犬に押し倒されてるぞ!」
「まさか……鳴上の灰色の髪に同族的な何かを感じたのか……!」
「こ、これが都会か……!」
犬に押し倒された悠の様子に心配する陽介達とクラスメイト達だが、当の被害者である悠は未だに現状が理解出来ないでいた。
しかし、そんな時……悠は犬の様子に気付いた
「ハッ! ハッ!……クゥン……!」
「あれ……?」
「……な、なんかその子。鳴上君を襲っているって言うよりは……なついてる?」
雪子の言葉に悠も他のメンバーも同意せざる得なかった。
嬉しそうに尻尾を振りながら舌を出してジッと悠を見ている姿は、明らかに好意を持っている姿であった。
そんな犬の姿に悠も無意識にジッと眺めていた時だ。
さっきは驚いて気が付かなかったが悠は、犬の姿に見覚えがあった。
特徴ある赤い眼の犬。
自分は何処かで見た事が無かっただろうか?
悠がそんな疑問を持った時、隣にいた雪子が犬の首輪に付いているあるモノに気付いた。
「あれ、その子の首輪に付いてる“鈴"……洸夜さんから貰ったのに似てる……」
そう言って雪子は財布に付けている洸夜から貰った鈴を取りだし、犬の首輪に付いてる雪子の鈴より少し濃い色の眼と同じ“赤い鈴"を見比べた。
鈴は少し傷が付いているが、洸夜の鈴特有の模様が入っている。
この鈴は嘗て、洸夜がある町の駄菓子屋の店主が趣味で作っていた鈴。
だが、そも独特の模様の為に大量に売れ残っていた所を洸夜が大量に安く纏めて買った物だった。
たまにストックを買う為に洸夜がその駄菓子屋を訪れるが、やはり売れ残っている事から持っている者は限られる。
その結果、悠達からすればその鈴の所持者は洸夜の関係者にしか思えないのだ。
「あれ、確かこいつ……」
雪子が自分のと犬の鈴を見比べていると、陽介が何かを思い出した。
そんな陽介の行動に完二が気付く。
「花村先輩。なんスか? 何か心当たりがあるんスか?」
「いや、確かこの犬って――」
そこまで陽介が何かを思いだした時だった。
一人の青年が陽介の言葉を何かを叫びながら遮って、此方に走って来たのだ。
「コロマルゥゥゥゥッ!!? こら、何してんだ! ハァ……ハァ……お、お前……大丈夫か……?」
走って来たからか青年は、息を切らしながら犬の名前であるコロマルの名を呼び、悠に心配の言葉を掛けながらコロマルを抱き上げると悠に片手で手を差し伸べた。
傷が入った帽子から髪の毛が飛び出ている何処か頼り成さそうな青年だが、飼い主かどうかは分からないとは言え自分を助けてくれた事は事実。
悠は下を向いていた顔を上げた。
「大丈夫です。ありがとうございます」
そう言って悠が青年の手を握り返し、青年の顔を見た時だった。
「……あり? お前って確か、鳴上先輩の……?」
「え……?」
悠の顔を見た瞬間、青年の表情が変わった。
一体、どうしたのだろうか?
悠も疑問に思ったがすぐさまに別の疑問が生まれた。
この青年は先程、自分の事を何と言った?
――鳴上先輩の。
明らかに相手が年上である為、相手は明らかに誰かと自分を間違えている。
鳴上先輩と呼び……自分と間違えている人物、そんな人物は悠の中で一人しかいなかった。
悠はそう考え、青年の顔をよく見ると思いだした。
「あっ! 順平さん!?」
「おぉ! やっぱり悠じゃねぇか!――あっ、そっか。今日が修学旅行だもんな!」
それは順平だった。洸夜の世界――黒の駅を共に戦い抜いた仲間であり、洸夜の嘗ての仲間の一人。
同時に犬――コロマルの事も思いだす。
「そうだ……コロマルだ」
「おう……って、たった昨日の事なのに忘れんなって。俺っち達、悲しいわ」
悠の様子に露骨に悲しそうにする順平に、悠は立ち上がりながらも頷いた。
まさかこんな早くに再会できるとは思っておらず、悠は紹介する様に陽介達の方を向いた。
「陽介、皆……テレビの世界で説明した人達だ。兄さんの嘗ての仲間で、昨日黒の駅を一緒に攻略した順平さんとコロマルだ」
「あぁ……確かに見覚えあると思った! そっか、洸夜さんのシャドウと戦って俺等を救ってくれた人か!」
「あぁ! そうだった……思いだした!」
陽介と千枝達も思い出した様に順平の顔を見ると、順平も陽介達の方を見た。
「よぉ! 俺は伊織 順平だ! あの後、俺等はすぐに帰っちまったから心配してたぜ。全員、無事でよかったな」
「全くだぜ……洸夜さんのシャドウ、強すぎたからな」
順平の言葉に完二が思い出す様にそう言った。
また見た感じ――というよりも全員が修学旅行に来ている時点で無事なのは明白であり、順平も安心していた時だった。
順平の背後から、これまた聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「順平! 遅いわよ! コロマルは捕まえられたの?」
「あっ、ゆかりさん達……!」
声のする方を悠が見てみると、そこに立っていたのはゆかりを始めとしたメンバー達だった。
洸夜、美鶴、明彦、真次郎はいなかったが、それでも無事に帰還出来ていたことに悠は内心で安心していると、ゆかり達も悠の存在に気付いた。
「ゆ、悠くん!? どうしてここに……って、そうか修学旅行ね」
「他の皆さんもご無事で安心しました」
ゆかりとアイギスが悠達の姿を見て、安心した様にそう言った。
ゆかり達は周りの学生達を見てだが、すぐに修学旅行だと分かり、下手に混乱はしていない様子だった。
そして皆を心配するアイギス達の姿を見た陽介達はと言うと……。
「おぉ……! スゲェ美人だらけ! レベルたけぇ……!」
「た、確かに……里中先輩達にはねぇ魅力だらけだぜ」
「うっさい! この馬鹿コンビ! 魅力なくって悪かったわね!」
「二人共サイテー!」
アイギス達に見惚れていた陽介達に千枝とりせは怒り、それを見てゆかりや風花達が苦笑していると、悠はゆかり達へ話しかけた。
「ところで、ゆかりさんやアイギスさん達はなんでここに?」
「あぁ、それはね……時間があるから桐条先輩や鳴上先輩達の見学にでも行こうかなって」
「はい。美鶴さん達の一世一代の活躍を見に行く為、私達も月光館学園に向かうつもりだったんです」
二人のその言葉に悠は納得した。
「じゃあ向かう場所は一緒なんですね」
「そうなりますね。悠さん達もこれから月光館学園ですよね?」
「うん、今はモノレール待ちなの」
「どおりで駅中に学生がいると思った……」
乾の言葉に雪子が答えると、チドリは辺りを見渡しながらそう呟いた。
確かに目立つレベルの規模だと悠も思っていると、りせが何かを思いついた様に手を上げた。
「あっ! じゃ、はいはーい! 私、山岸さんと話してみたいです」
「えぇ!? ど、どうして……?」
りせの言葉に風花は心底驚いた様子で声をあげた。
何故にアイドルのりせが自分なんかに、そう表情に出ている風花を見て悠は苦笑してしまう。
「だって山岸さん、私と同じ探知能力を持ったペルソナ使いなんですよね? だから勉強と思って色々と聞いてみたいんです」
「あぁ……そ、そう言う事なら。私で分かる程度で良いなら、うん……少しお話してみる?」
「おねがいします!」
そう言う、りせの笑顔が眩しいのか風花は少し表情を眩しそうにしている。
「あっ! じゃあ私も色々と聞いてみようかな。もう少しペルソナについて知りたかったし」
「なら、少しだけなら色々と教えてあげられるし……丁度良いわ。モノレールの中で話しましょ?」
雪子の言葉にゆかりがそう言うと、モノレールがタイミングよく入ってきたところだ。
こうして悠はゆかり達と共にモノレールに入ると、色々と話しながら月光館学園へ向かうのだった。
END