新訳:ペルソナ4~迷いの先に光あれ~   作:四季の夢

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第五十五話:江戸川の野望

 

 現在:月光館学園【体育館】

 

 どうしてこうなった。洸夜と美鶴達は目の前の光景に頭を抱えていた。

 

「さあ、八十神の生徒さん。この薬品を混ぜたら完成です!」

 

 体育館のステージの上に立ち、怪しげな薬品を混ぜ合わせながら体育館内に設置されているテーブル、その上に置かれた謎の薬品を持った悠達に指示を出す江戸川の姿があった。

 

 そして、完成された栄養ドリンクにも見える液体を手に持ちながら八十神の生徒達は黙り込んでいた。

 

「お、おい。本当にこれ飲むのか……?」

 

「だ、大丈夫だろ……先生の指示だぞ?」

 

「でも、ネットでこの学校の保険医は黒魔術してるって書いてあったぞ……実はこの薬で意識を奪った後、俺達を!」

 

「バカ! 折角覚悟を決めたのに!!」

 

 江戸川の指示によって完成させてしまった薬品を見て、江戸川の胡散臭さも手伝い生徒達も手が出せずいる。

 勿論、それは悠達にも言える事だった。

 

「どうしてこうなった……」

 

 悠は薬品と睨めっこしながら不意にそう呟いた。

 

「さっき友達から話聞いたんだけど……今回の企画って諸岡先生が担当してたんだって。だけど亡くなったから色々と予定が崩れて……」

 

「そして、その隙を突いてあの江戸川って先生はこの特別講義を開いたんだとさ……」

 

「混乱に乗じて行動するたぁ……あの江戸川って先公、プロだ……!」

 

 雪子・陽介・完二の三人も悠同様に薬品を手に持ちながら話していた。

 だが、誰一人として口に運ぼうとはしない。

 その理由は江戸川の胡散臭さだけではなく、もう一つあり、悠達はステージの隣で倒れている一人の女子生徒へ目を向ける。

 

「う……うぅ~……苦い……怖い……」

 

 そこにいたのは現月光館生徒会長である伏見の姿があった。

 

 彼女は最後の砦として江戸川に立ち向かったが、江戸川が作った『ゴーヤミンZ』ととか言う緑の液体を飲まされ、現在に至る。

 江戸川いわく、ゴーヤ■十本と言葉を濁しながら言っていたが、名前を聞いただけで苦みを感じてしまう。

 

「健康、神話、黒魔術……時に犠牲も必要……」

 

「保険医の言葉じゃないでしょ!?」

 

 保険医とは思えない江戸川にりせのツッコミが飛んだ。

 

「くそ!……俺等はどうすれば!」

 

「落ち着いて完二くん……突破口は絶対にある。そうだよね、千枝?」

 

 雪子はそう言って親友である千枝の方を向くと、そこには“空”になった瓶を持つ親友の姿があった。

 そして千枝も雪子からの視線に気付くと、照れたように笑う。

 

「ハ、ハハ……」

 

「千枝! それ全部飲んだの!!?」

 

 雪子はさりげなく完食していた親友に驚きを隠せなかった。

 確かに食い意地はあった方だが、まさか得体の知れない薬品も考えずに飲むとは思わなかった。

 そして、完食していた千枝に陽介達も近付く。

 

「里中! お前、どこも問題はねえのか!? 頭か? 頭が問題か!?」

 

「そこは元々ッスよ」

 

「いや、意外に美味しかった……って、あんたら蹴り倒すよ!!?」

 

 言葉通り今にも陽介と完二を蹴り倒しそうな勢いを見せる千枝。

 その隣では悠とりせが未だに謎の薬品を睨めっこを続けていた。

 はっきり言えば飲みたくないが、千枝は美味しいと言っていたのは事実であり、案外 ジュース感覚で行けるかも知れない。

 そう思って悠は意を決して薬品を口に運ぼうとした時だった。

 

「――ブフォッ!! マジィィィッ!!?」

 

 悠のクラスメイトの一人が噴水を作り出し、そのまま倒れてしまった。

 騒然となる周り、雪子達は疑問の目を美味しいと言った千枝と移す。

 

「千枝……」

 

「肉しか食わねえと思ったら……味覚がおかしかったのか」

 

「先輩……」

 

「千枝先輩……」

 

「違うって! 本当に美味しかったんだから!!」

 

 最早、同情の目を向けられてしまった千枝は何とか誤解を解こうとするが、仲間達の目はそう簡単には変わらない。

 するとそんな中、先程倒れたクラスメイトが飲んでいた薬品を江戸川は指でとって口にするとその原因を口にする。

 

「……これ、配合を間違えたんだね。……上手く配合すれば美味しいけど、間違えると異常なまでに苦くなります。まあ、その方が健康に良いんだけどね。まあ、話をちゃんと聞いてないとこうなるよ……ヒッヒッヒッ」

 

 そう言って江戸川は再びステージへと戻って行くが、残された悠達は再び薬品と睨めっこを再開させた。

 配合に自信があるかどうかは問題ではなく、はっきり言えば飲みたくない。

 しかし、江戸川に監視されている様で拒否はできない。

 よく、こんな学校で兄は生き延びたなと感心してしまいそうに悠はなった。

 

「配合次第かよ……おい、相棒! こんな配合で大丈夫か!?」

 

「大丈夫だ、問題ない」

 

 悠はそう言って薬品を飲んでしまった。

 ノリが良いと言うのは時に命を持っていかれる。

 

(あっ……)

 

 気付いた時は既に遅く、また一つの噴水が生まれた。

 

「なにやってるんでしょうね……」

 

 その様子を一人、直斗は調合を成功させたドリンクを飲みながら悠達を見ているのだった。

 

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