良かった……マイナ登録しておいて(;´・ω・)
現在:天城温泉旅館(洸夜と菜々子の部屋)
混浴騒動から少し落ち着き、洸夜と菜々子。
そして美鶴達は全員で夕食を食べ、それぞれの部屋へと戻った。
部屋に戻った洸夜は菜々子と共にテレビを見ていて、後数時間したら菜々子を寝かせるだけが最後の仕事となった時だった。
「鳴上先輩!」
楽しそうな順平の言葉と共に部屋の扉が叩かれる。
「おいおい……あとは菜々子を寝かせるだけなのに」
楽しそうな順平の声に洸夜は騒々しさからやれやれと思いながらも、テレビの前で立ち上がり、部屋の扉の前まで来ると扉を開けた。
「はいはい……って、全員いるのか?」
扉を開けた洸夜の視界に映ったのは大量の酒やドリンク。そしてお菓子を大量に持った順平達だった。
順平の後ろには美鶴とアイギス。そして真次郎と明彦を始め、ゆかり達も一緒にいた。
そして順平は洸夜の言葉に当然だと言わんばかりに嬉しそうな顔で頷いていた。
「そりゃ夜はこれからっすよ! 売店で色々と買ってきたすから皆で飲み食いしましょうよ!」
「ハァ~菜々子もいるから程々に頼むぞ? 取り敢えず、入ってくれ」
洸夜は仕方ないと思いながら全員を入れると、順平達はテーブルや周りに大量のお菓子などを置き始めた。
そして、そんな光景を見た菜々子は目を輝かせていた。
「うわぁ~! お菓子がいっぱいだね!」
「好きなの食べて良いからね、菜々子ちゃん」
ゆかりはそう言って菜々子の前にお菓子を置くと、菜々子は嬉しそうに頷いてお菓子を食べ始めた。
それを見た洸夜はやれやれと、頭を掻いた。
「あ~あ、歯磨きしたのに……まぁ、良いか。今日ぐらいは。叔父さんには内緒だぞ菜々子?」
「うん! こういうのってなんか楽しいね!」
「おっ! 菜々子ちゃんも分かるか? やっぱり楽しいよな。こういうのって!」
「おい伊織、お酒は分けておけ。間違って飲まない様にな」
菜々子の言葉に順平も笑顔でそう言うが、美鶴は菜々子が誤って酒を飲まない様に注意を促すと、順平や風花達が酒を菜々子から遠ざけて代わりにお茶やジュースを近くに置いた。
そして菜々子はお茶を持つと、アイギスの方へ向けた。
「アイギスお姉ちゃん! 乾杯しよう!」
「はい。良いですよ」
菜々子の言葉にアイギスも微笑みながら頷くと、近くにあったドリンクを持って菜々子と乾杯した。
「洸夜は何か飲むか?」
「あぁ……じゃあ炭酸系で。アルコールは無しで頼む」
隣に座る美鶴からの問いに洸夜はそう言うと、美鶴は適当に置いてあったサイダー缶を手に取って洸夜へ渡した。
「ありがと。――ほら美鶴……乾杯」
「ん? あぁ、ちょっと待て。――乾杯」
洸夜からサイダーを向けられた美鶴もすぐに近くのジュース缶を持つと、洸夜と乾杯した。
そして互いに一口だけ口を付けると、お互いに小さく一息入れた。
「ふぅ……あぁ……なんか最近だけで色々とあって疲れたな」
「ふっ……同感だ。現在進行形で色々と起こっているからな」
洸夜の独り言の様な呟きに、美鶴は小さく笑いながら洸夜の方を見た。
まるで面白いものを見ている様な彼女の顔に、洸夜は少し照れくさくなって敢えて気付かないフリをした。
そして洸夜が顔を逸らしていると、売店で買ってきた饅頭を食べていた順平が洸夜へ話しかけてきた。
「つうか聞いてくださいよ鳴上先輩! 俺っち、今、野球のコーチしてるんすけど……これがまた大変で!」
「何言ってんのよ? それを言ったら私だって仕事とか大変よ。鳴上先輩! こっちも聞いてください!」
「順番だ……順番」
二人からの言葉に洸夜は気怠そうに呟くが、なんやかんやで耳は傾けた。
そして二人の愚痴を聞きながら洸夜達は会話したり、菜々子の相手をしたりとした。
仕事が云々やら修行がどうとか。
挙句には政治への不満や宇宙の話など、暇つぶしの極致に達した時だった。
不意に再び洸夜の部屋の扉が叩かれた。
「洸夜さ~ん! りせが来ましたよ!」
「ちょっと久慈川さん! 声が大きいですよ!?」
「も、もうちょっと静かに!? 他のお客様もいるから……!」
「っていうか、洸夜さんいるのかな?」
「今度はりせ達か……はいはい、今行きますよっと」
随分とお客が多いものだ。そう思いながら洸夜は再び扉の方へ向かい、扉を開けるとそこにはりせ・直斗・雪子・千枝の四人が立っていた。
手には袋に入った缶ジュースやお菓子があり、洸夜はすぐに彼女達の目的を察すると同時に疑問を一つ感じた。
「あれ? 悠達は一緒じゃないのか?」
「えっ? 悠先輩ですか?」
「いえ、私達の所には来てませんよ?」
「クマ君辺りが来そうだと思ったけど、そういえば来なかったね?」
りせ達はそう言って不思議そうに互いに顔を見合わせ、それを見て洸夜も本当に悠達が来ていない事に気付けた。
何かあったのか? それとも男子組で盛り上がっているのか不思議に思いながらも、りせ達をこのままにする訳にもいかず、洸夜は四人をすぐに招き入れた。
「取り敢えず入ってくれ。既に先客がいるがな」
「うわ! 本当だ。靴が沢山置いてある……!」
りせが入口の靴やサンダルを見て驚いていると、順平達もりせ達の姿に気付いた。
「ん? うおっ! りせちーじゃん! それに探偵王子と若女将! それと……元気っ娘?」
「いや……確かに私だけ肩書ないですけど」
順平の言葉に千枝がツッコミを入れる中、順平や美鶴達は彼女達の場所を作ってあげると、真次郎が酒を指差した。
「おい……酒は隅にどかしとけ。間違っても飲ますなよ?」
「分かってますって……荒垣先輩は心配性なんすから」
真剣な表情の真次郎の顔に、若干の冷や汗を流しながら順平達がりせ達から酒を遠ざけると代わりの様に缶ジュースやお茶をテーブルの上に置きだした。
そしてりせ達の姿を見た菜々子は嬉しそうな顔を浮かべていた。
「あっ! りせちゃん達だ!」
「ヤッホー! 菜々子ちゃん! 美鶴さん達も、既に盛り上がってたんですね!」
「なに、そういう訳でもないがな」
菜々子に手を振りながらりせ達は、美鶴達にも挨拶すると美鶴達も笑顔で彼女達を出迎えた。
そして各々は、それぞれの場所に座ると再び会話が始まった。
「風花さん……探知の時ですけど、もうちょっと上手く出来る様になるコツってありませんか?」
「う~ん……私の場合、実戦での経験と共に成長した感じだからコツって言われると困るけど、ペルソナと一体になる感覚とか、意識をペルソナだけに集中させたりしてたかな」
「うわ……真田さんの筋肉って凄いですよね? 私ももうちょっと筋肉増やしたいんですけど」
「それならプロテインだ。プロテインと修行は全てを解決してくれるぞ?」
「美鶴さん。いつも当旅館をご贔屓にしていただきありがとうございます」
「なに、こちらこそ拠点として使わせてもらって感謝している。事件解決次第だが、もう暫く利用させてもらうから宜しく頼む」
「……アイギスさん、本当にロボットなんですね。その……触ってみても良いですか?」
「はい、どうぞ。触っていただいても問題ありませんので」
りせは風花と探知ペルソナについて相談し、千枝は明彦と筋トレで盛り上がり、雪子は美鶴と世間話をし、直斗はおどおどしながらもアイギスと会話を楽しんでいる。
そんな会話が暫く続き、皆が会話と共に飲み食いし、時間が10時になった時だった。
不意に菜々子が目を擦っていた。
「菜々子……もう寝るか?」
「うん……ちょっと眠い」
菜々子はそう言って小さく頷くと、洸夜は寝室の襖を開けた。
そこには布団が敷かれており、菜々子は目を擦りながら寝室の中へと入って行く。
そして最後に美鶴達の方を振り返ると、小さく言った。
「おやすみなさい」
「あぁ、おやすみ」
「……ゆっくり寝ろ」
美鶴や真次郎達がそう言って菜々子へおやすみを伝えると、洸夜は一旦襖を閉めた。
そして菜々子が布団に入るのを確認し、菜々子が寝るまで傍に座っていた。
それから20分程度だろうか。菜々子の呼吸が寝息へと変わるのを確認すると、洸夜は静かに立ち上がり、襖を開けて寝室から出た。
「寝たよ……随分と楽しんだからな」
「そうですか。菜々子ちゃん、楽しんでくれたなら私も嬉しいです」
洸夜の言葉に今回の発起人である雪子が嬉しそうな表情を浮かべる。
父子家庭である菜々子を思っての彼女なりの優しさであり、洸夜もそれには感謝していた。
「今日はありがとう、雪子ちゃん。菜々子は本当に楽しそうだったよ」
「いえ、そんな……! 喜んでもらえたなら良かったです」
洸夜からのお礼に雪子は慌てて手を振るが、洸夜からすればありがたい事に変わりはなかった。
また、菜々子の事に風花達も感心した様に頷いていた。
「でも凄いですね菜々子ちゃん。まだ小さいのに、しっかりしていて」
「父子家庭っすよね確か……それにしたって大したもんすよ」
風花と順平の言葉に皆も頷くと、洸夜も同感なので頷いた。
「実際、菜々子はしっかりしている。知らない人が家に来ても本当に玄関を開けないし、大したもんだ本当に。――そんな菜々子の為にも事件を早く解決して安心させてやりたい」
洸夜の真剣な表情の言葉に場が静かになった。
ここからは真剣な話になる。それを皆が察したからだ。
「実際……どうなんですか現状は? 警察はまだ捜査しているんですか?」
「いえ……警察は久保の逮捕でこの事件に幕を降ろすつもりです。ですが、犯人はまだ捕まっていない。事件はまだ終わっていないんです。僕が誘拐されたのが証拠です」
「そんな……それじゃ犯行はまだ続くってことじゃないですか。なのに警察が動かないなんて……」
ゆかりの言葉に直斗はそう言うと、それを聞いていた風花が信じられないと表情を険しくした。
しかし現実は厳しいと、美鶴が首を横へと振った。
「連続殺人と言われているが、実際は洸夜と君達が助けた者達の件は事件化していない。最初の二人だけだ……だから警察も事態の深刻さを理解していない所がある」
「現実は最初の二人……そして雪子ちゃん、完二、りせ、直斗。計六件の犯行だ。悠達や俺達が助けているからアレだが、事態は想像以上に深刻だ。しかも脅迫状の件もある」
「……堂島宅に届いたっていうアレか」
洸夜の言う脅迫状に明彦が思い出す様に言って、表情を険しくした。
テレビに入れるという殺人行為。それが六件、最早、犯人の精神は普通ではないのが誰でも分かった。
犯人はテレビに入れる=死ぬを理解している筈だからだ。
それを理解していながらも犯行を続けるのは狂人の域だ。
「分かっているのはモロキンを殺害したのが久保だってことぐらいだし……今は後手感があるんですよね」
千枝が何とも言えない表情を浮かべながらそう言うと、皆の表情も深刻さが増した。
そんな中で洸夜は静かに指を一本ずつ上げた。
「今、分かっている事は……まず久保は犯人じゃない。次にりせの時もそうだったが、犯人は短時間で誘拐できる。そして最後に――」
「犯人は僕達の行動……テレビの中から被害者を救出していることを知っていて、尚且つ鳴上先輩の場所――存在も知っている。それが刑事である堂島刑事の家であることも」
洸夜の言葉に直斗も補足する様に言うと、洸夜と直斗は互いの顔を見て頷き合った。
一番深刻なのはそこなのだ。犯人は悠に気付いている。
洸夜自身に気付いているのか分からないが、少なくとも脅迫状の宛名は悠だった。
何故、悠なのか。何故、悠だけなのか。リーダー格を狙ったか、それとも悠しか分かっていないのか。
どちらにしろ犯人の方が先手を打てる状況なのがマズイ。
洸夜はそこも心配でいると、順平が何かに気付いた様に言った。
「けど妙な話っすよね? これ以上、助けるな……助けたら家族に危害を加えるとかなら分かるっすけど、助けるなってだけって……なんか半端な脅迫状だよな」
「警告……ってことなのかな?」
順平の言葉にりせが心配そうに呟くが、アイギスは別の考えだった。
「いえ。家まで特定されている状況での警告にしては弱い気がします。もしや犯人にはこれが出来る精一杯だったのでは?」
「これ以上、助けるな……あの脅迫状が犯人の精一杯?――駄目だ、材料が足りない。これじゃ全部、想像で終わってしまう」
アイギスの言葉に直斗も必死に考えるが材料があまりに足りな過ぎた。
「あの……荒垣さんは堂島さんの家を見てくれていたんですよね? 怪しい人物に心当たりは?」
「……いや、いねぇな。来たのは回覧板、宅配、それとよく堂島刑事といるアホ面の刑事ぐらいだ。妙な動きの奴はいなかったな」
直斗からの問いに真次郎は首を横へと振った。
駅裏などの治安の悪いエリアで活動していた真次郎だ。怪しい人物がいれば多少なりとも印象に残っている筈だ。
だから真次郎の言葉に洸夜も一切の疑いを持たず、信じることが出来た。
「……因みにだが、犯人がペルソナ使いの可能性は?」
「それも分かりません……クマさん、テレビの世界に人がいれば気付けるけど、私達が救出しに行った時も他に人がいるって言ってなかったし」
洸夜の言葉に雪子がそう答えた。
最近のクマは鼻が悪いと言っているが、それでも人がいるかどうかは分かるらしい。
だから犯人が入っている事はない。そう断言できる様だ。
「……犯人は普段、テレビの世界に入っていないのか?」
「あっ! もしかして犯人はテレビの世界のことをよく分かってないんじゃ! 例えば、遊び半分でやってるとか!」
洸夜の言葉に今度は順平が気付いた様に手を上げて答えるが、明彦がそれを否定した。
「いや、それはありえんだろ。思い出してみろ……仮にテレビの世界――シャドウの存在を知らずとも、テレビに入れられた二人は死んでいるんだぞ? 死ぬことは既に判明している以上、それは通らん。犯人は死ぬと分かって入れている筈だ」
「あっ、そっか……じゃあマジで何なんだ?」
「単独犯か複数犯……それだけでも分かれば良いんだけど」
チドリはせめてそれだけでも分かればと思ったが、警察の捜査が終わろうとしている以上、新たな情報はない。
犯人の最後のアプローチは直斗誘拐と脅迫状だけなのだから。
「全ては迷いの中か……」
洸夜の呟きに皆の言葉も止まった。
誰もが必死に考えているのが分かるが、情報があまりに無さ過ぎる。
これ以上、言葉が出ない中、ふと、洸夜の脳裏に昨日のマーガレットの占いが過った。
――【死神】のタロットカード……【死の予兆】
「皆……万が一、俺が――」
――俺の身に何か起きた時は、悠達を頼む。
そう口にしそうになった時、洸夜は我に返った様に首を振った。
死ぬ気はない。仮にそんな事態になっても乗り越えてみせる。
洸夜はそう思い、視線が集まる中で静かに首を振った。
「……いや、何でもない。――ところでゆかり達は明日には帰るのか?」
「はい、大学や仕事もあるので一応、そのつもりです」
「私も大学がありますので……けど! もし何かあればすぐに来ます!」
「俺っちも! 天田やコロマルだってすぐに駆け付けるって言ってたし!」
分かっていた事だったが、やはりゆかり達は一旦は稲羽を離れる様だ。
多少は想像通りであり、洸夜もそれには驚かずに頷くと最後に明彦の方を向いた。
「明彦はどうするんだ? 一旦は稲羽から離れるのか?」
「俺か? 俺は……」
皆が見守る中、明彦はやがて口を開くのだった。
END
明彦は稲羽に――
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残る
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一旦、帰還する