新訳:ペルソナ4~迷いの先に光あれ~   作:四季の夢

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第七話:雪子救出開始

4月17日(日)晴れ

 

この日、マヨナカテレビに動きが見られた。

 

『こんばんは~』

 

 突如、マヨナカテレビに映し出されたのは紅いドレスとティアラを纏った一人の少女。その少女は洸夜に見覚えのある人物。そう、天城 雪子だった。

 その姿は昨日見る和服の雪子ではなく、洋風なお姫様を連想させる姿で雰囲気もまるで別人にしか見えない。

 

『今日は私、あの天城雪子がなんと!“逆ナン“に挑戦したいと思います!題してーーー』

 

 やけに高いテンションの雪子?はまるで枷が外れたかのように生き生きとした様子だ。

 その台詞の後に流れるジャラララララララ、と言う音が止むと同時にでかでかと題名が画面の上から姿を現した。

 

【やらせナシ! 雪子姫、白馬の王子様さがし!】

 

『もぉ、超本気ィ!! 見えないトコまで勝負仕様……』

 

 そう言って雪子?は下の方を手で隠す。何が勝負仕様なのかは心が一切の穢れを持たない賢者以外の者に想像がつける筈だ。

 そして、最後に雪子?再びカメラ目線で振り向くと……。

 

『もぉ、私用のホストクラブをぶっ建てるくらいの意気込みで、じゃあ行ってきま~す!!』

 

 そう言って雪子は後ろの方に建っている城の中に消えて行ってしまった。

 そしてそれを部屋で見ていた洸夜は……。

 

「な、何だったんだ今のは……?」

 

 今までのマヨナカテレビとは違い、番組らしくなっている事に困惑していた。

 しかもテレビの中に居るのは、つい昨日会って話した天城雪子だと言う事実に洸夜は多少なりショックだったが、今回のマヨナカテレビのお陰で洸夜はある確信を得た。

 それは山野真由美・小西早紀・そして今回、誘拐?されたであろう天城雪子。この三人にはマヨナカテレビに映った以外に共通点がある。

 それは……。

 

「メディア……なのか? 不倫騒動で騒がれた山野アナ。その山野アナの遺体の第一発見者で報道されていた小西早紀。……そして、山野アナが泊まった事で注目されていた旅館の女将の娘……天城雪子。全員が誘拐される前に必ずメディアで取り上げられていた……」

 

 被害者達の顔に不思議と見覚えのあった事、その事に納得する洸夜。

 もちろん、洸夜はそれ以外にも狙われる理由を考えてはいた。最初は山野アナの事件の関係者を狙っているかと踏んだが、雪子が誘拐された事によって状況が変わる。

 旅館に宿泊していた山野アナは人気の高い女子アナだ。しかも、その時は既に不倫騒動で騒がれている為、その様な人の対応をするのは恐らく、雪子の母である現女将。

 その為、雪子が山野アナと会った可能性は低く、誘拐される可能性が高いのは直接会った女将の方だが現に姿が消えているのは雪子の方。

 そうなると、それ以外で共通点は性別を除けばメディアしか無いのだ。

 

(記しておくか……)

 

 洸夜はここまでの推理を白いノートに書き留める。このノートは、洸夜が今回の事件について記録している言わば調査レポート。

 机に置いてある二冊の黒と白いノート。白いノートの方には事件について、黒いノートにはテレビの世界にいるシャドウについて記されている。

 コレは、自分にもしもの事が起こった時の為の言わば保険。自分に何か起こっても、悠かイゴールの関係者に事件についての事を残す為のモノだ。

 

「……それはそうと」

 

 洸夜の頭の中にある疑問が残った。

 

(山野アナ達の遺体が発見されたのは雨が続いた日の翌日。二人続けて……これは偶然なのか? これに関してはまだ情報が足りないか)

 

 何かが重なるとそれも関係あるかと疑ってしまって仕方がない。だが、今は確認する術はない。

 

(……どの道、明日辺り悠も動くだろう。俺も準備だけはしておくか)

 

 そう思いながら洸夜は明日に備え、ノートを本棚に収納して眠りに着いた

 

▼▼▼

 

 4月18日(月)晴れ

 

 雪子がテレビの中に入れられ、洸夜が行動を起こすと思い気や……。

 

 現在、豆腐屋

 

「お兄さん、木綿と絹を二つお願い」

 

「ありがとうございました。またのお越しを!――これでピークは過ぎたか?」

 

 豆腐を買って帰って行くお客さんを見ながら、一息着いていた。

 

「ご苦労様、洸夜さん。ありがとうね、今日はもう上がってもらって大丈夫ですよ」

 

「はい。それでは先に上がらせてもらいます」

 

 そう洸夜は商店街にある豆腐屋で現在バイト中だった。本来ならば今日はバイトが休みなのだが、今朝方に洸夜の携帯に豆腐屋から連絡があった。

 内容は足を怪我してしまい、急遽だがバイトをお願いしたいとの事。

 雪子の事も心配だったが、快くよそ者の自分を雇ってくれたお婆さんの頼みを無下には出来なかったのだ。

 だが幸運な事に早く上がる事ができ、洸夜は帰宅しようとした時だった。ポケットの携帯が震え出す。

 

 buuuu!buuuu!

 

「携帯……?」 

 

 何か嫌な予感を覚えながらも洸夜が携帯を見ると、ディスプレイには『堂島遼太郎』の名前が写し出されていた。

 

(この時間帯に叔父さんからは珍しい。まだ仕事中だと思うんだが……)

 

 そう思いながらも洸夜は聞いた方が早いと判断して電話を取る。しかし、嫌な予感は当たり、堂島から掛かってきた内容を聞いた洸夜は頭痛に悩まされることになる。

 

▼▼▼

 

現在、稲羽警察署

 

「全く俺がいたからよかったものの……!」

 

「「す……すいません……」」

 

 現在、悠と陽介は警察署で堂島に怒られていた。原因はこれかのテレビの中の戦いにゴルフクラブだけでは心許ないと言う事で、陽介がジュネスの倉庫から持ってきた模造刀。

 持ってくるまではよかったのだが、陽介がそれを振り回していた所を警察に見られてしまい現在に至る。

 

「お前はこう言う事するようには見えなかったんだが……」

 

 今だ信じられないと言った感じの堂島。

 引っ越してまだ一週間も経ってないが、悠の真面目な態度には関心していた程であり、悠がこんな事をすると微塵も感じていなかった為、尚更信じられ無かった。

 

「すいません……次から気をつけます」

 

「え!? いや……その、今回は俺が悪かったんであんま……コイツの事を叱んないで下さい」

 

 悠が堂島に謝罪するのを見て、陽介は今回の一件は自分に非が有ると思って一緒に謝罪した。その様子を見た堂島はため息を吐きながらも二人の態度から反省したのを感じて頷いた。

 

「まぁ、今回は何とかなったが次はどうなるか解らんからな。あんま、問題を起こすなよ……」

 

「「はい……」」

 

 堂島の言葉は少し厳しい様に感じるが、その言葉からは心配してくれているのが感じ取れた。

 

「あぁ……そうだ。一応、洸夜の奴を呼んどいたからな、ちゃんと事情を説明しとけよ」

 

 そう言って堂島は最後に爆弾を落として仕事場に戻って行き、その言葉を聞いた悠の表情は少し青くなる。

 

(……マズイ。いくら兄さんでも補導されたなんて聞いたら良い顔をしない。だからって、理由も話す訳にもいかない。ペルソナやシャドウなんて非現実的なモノを話したって信じてもらえる訳がない……)」

 

 昔から警察の厄介にだけはなるな、そう言われてきた。だが実際に補導された事によって、兄である洸夜がどんな反応をするか、悠が心配していると陽介が口を開く。

 

「なあ相棒、洸夜って誰なんだ?」

 

「そう言えば、陽介は会ってなかったな。洸夜は俺の兄さんだ」

 

「えぇッ! お前って兄弟いたのかッ!?」

 

 自分は一人っ子に見られ易いのだろうか? そんな疑問が悠の頭を過ぎった時だった。

 

「あれ? 君って確か、堂島さんの所の……?」

 

 誰かに声を掛けられて悠が振り向いて見ると、そこには右手にコーヒーを持った堂島と一緒に行動している頼りなさそうな刑事がいた。

 

「貴方は確か、叔父さんと一緒にいる……」

 

「堂島さんの相棒を勤めさせて貰ってる足立透だよ。宜しくね」

 

 軽い感じに話し掛けてくる足立に、悠も自己紹介しながらそれに答える。

 

「鳴上 悠です。宜しくお願いします」

 

「ああ、宜しく。ところで君達って天城さんと同じクラスだよね? 天城さんについて何か聞いてない?」

 

 悠達も雪子の映ったマヨナカテレビを見ている為、足立の言葉に二人は顔を見合わせた。

 

「あ、あの、天城さんに何かあったんすか!?」

 

「えっ!? いや、その、実はね……」

 

 陽介の勢いに圧されたのか、足立は少し気まずい感じで語り始める。

 足立の話によれば雪子が昨日辺りから家に帰って無い、そう家の人達から相談を受けたらしい。

 しかし警察の中には山野アナが旅館の接客態度に過剰にクレームを入れ、それが原因で接客をしていた雪子の母親がストレスで倒れたという情報を得ていた為に少しややこしくなってしまった。

 この状況で雪子が行方不明になったのは、実は何か後ろめたい事があるからじゃないかと思っている人達がいるとの事。

 

「そう言う訳だから、警察署の中もピリピリしていてね……」

 

……と、足立がそこまで言った時だった。

 

「足立ぃッ! コーヒー持って来るのにどんだけ掛かってんだッ!!」

 

 堂島の怒鳴り声が警察署の廊下に響き渡り、その声を聞いた足立をビクッ!と肩を揺らす。

 

「い、今行きます! ……って言うか今の言って良かったのかな? ゴメン! 今の無し! 忘れて……」

 

 そう言って足立は堂島の所に駆け足で去って行くが、足立の言葉を聞いた悠達は易々と忘れられる訳が無く、事態が嫌な方向に流れている事を感じ取っていた。

 

「相棒……もしかしてコレってマズイんじゃね?」

 

「確かにマズイ……このままじゃ、雪子が犯人にされてしまうぞ」

 

 二人がそう言って、今の状況に焦りを感じていた時だった。

 

「悠!」

 

 自分の名を呼ぶ聞きなれた声を聞き、悠は振り向くと洸夜がこちらに近付いて来ていた。

 どうやら既に洸夜は警察所に到着していた様で色々と手遅れを察した。

 そして、二人の前に来た洸夜は呆れた様子で悠を見つめる。

 

「全く……越してきて日が浅いのにやってくれたな……」

 

「人生初補導」

 

 こうなれば勢いでこの場を乗り切ろうと考えた悠はVサインを見せた。

 

「ほう……それはおめでとう。――そして馬鹿野郎!」

 

 洸夜のチョップが悠の脳天を直撃する。

 

「あだっ!?」

 

 綺麗なチョップが決まり、悠は無表情のまま頭を抑える弟に洸夜はため息を吐く。

 

「悠……今日は叔父さんがいたから良かったものの。人がいたジュネスのフードコーナーで模造刀を振り回したって電話来たぞ? どうなんだ……?」 

 

「あっ! ちょっ!? それに関しては俺がやったんだ! 相ぼ――悠は悪くねんだ!」

 

 洸夜と悠の間に陽介が入った。今回の件、悠は完全に自分のとばっちりを受けたに過ぎない。

 叱られている悠。そして本当に心配した様子の洸夜の姿に陽介は罪悪感で何も言わない訳にはいかなかった。

 そしてそんな陽介の姿の方を洸夜は向いた。

 

「君は……そうだ悠に聞いたな。確か……花() 陽介君だったか?」

 

「わーい満点だ!……って誰が小学校低学年の満点回答すか!?」

 

「花()だよ兄さん」

 

 あぁ、そんな感じだった。陽介の名字を知らない洸夜はそれに聞き覚えがあると感じ、そのまま脳内保管しようとし始めた。

 

「花村! 村だよ村! なんで相棒も間違うんだよ!?」

 

「ワンランク上げてみた」

 

「上げた結果、間違ってんじゃん!?」

 

 陽介が警察署だと忘れてツッコミの嵐を披露するが、その後ろで騒ぎを聞いた警官が不振そうにこちらを見ている事に洸夜は気付いた。

 

「少し静かに。ここは警察署――」

 

「見付けたッ!」

 

 突然、廊下に響く声に荒野の言葉は遮られ、三人がその声の主の方を振り向くと……。

 

「里中!」

 

 そこには走ってきたのか、肩で息をしている千枝の姿が会った。

 

▼▼▼

 

 現在、稲羽警察署受付

 

 悠と陽介は千枝に今までの状況を洸夜に隠れながら説明した。

 

「何よそれ……! 雪子が疑われてるのッ!」

 

「バッ! 落ち付けって……気持ちは解るけどよ……」

 

 千枝を宥めようとする陽介は視線を自分達を見ている洸夜へ向けたが、親友である雪子の危機に大人しくする程に千枝は大人ではなかった。

 

「落ち着いてられないよ! すぐにあの世界から助けに行こう!」

 

「あの世界……?」

 

 千枝の言葉を聞いた洸夜の目が真剣なものへと変わる。

 

(そうか、彼女もあの世界を知っているのか……)

 

 悠と陽介しかあの世界に入っていたところ見ていなかった為、洸夜は千枝がテレビの世界の事を知っていた事が意外だったのだ。

 しかし、その言葉を聞いた陽介は洸夜が怪しんだと勘違いし、必死に誤魔化そうと慌てて洸夜の前に出る。

 

「えっと!?……あのせ……あのせ……あの石灰石が良かったんすよね!!」

 

「?……石灰石?」

 

「そうそうそう!! 実は里中は石灰石マニアなんスよ!」

 

(キツイぞ陽介……!)

 

 どこの世界に石灰石マニアの女子高生がいるんだと、悠は内心で呟くが冷や汗まみれの陽介も無理やりなのは分かっているようだ。

 

「へっ? 石灰石? そんな事よりも雪――うぐっ!」

 

「流石は八十神高校一の石灰石マニアだ!」

 

 悠が墓穴の中に墓穴を重ねようとする千枝の口を閉じさせその場を乗り切ろうし、そのまま小さな声で千枝へ話しかけた。

 

「助けにって言うが……あそこは危険なんだ」

 

 悠は何とか落ち着かせようとする。少なくともペルソナに覚醒していない千枝はシャドウと戦う力はなく、このまま行ったって足手まといにしかならない。

 

「……ったく、相棒の言う通りだ。お前はあそこがどう言う所か知らないからそう言う事が言えるんだよ」

 

 なんとか無理やり押し通したのか、陽介は絶妙な距離を取りながら悠の意見に頷くが千枝は納得しなかった。

 

「そんなの、あんただって同じだったじゃん」

 

「うっ」

 

 千枝の言葉に黙ってしまう陽介。悠もそれに関しては正論の為にフォロー出来ない。

 

「でもな……武器も取り上げられたしよ」

 

「え? 武器? それなら売ってる場所知ってるからついて来てよ」

 

 陽介の言葉に普通に返す千枝。

しかし、武器を売っている店って一体……等と言う疑問が頭の中に残る悠と陽介は互いに顔を見合わせる。

 

「どうする?」

 

 陽介が悠に意見を求める。

 

「此処に居ても仕方ないし、まずは行ってみよう」

 

 その言葉に千枝は頷き、今にも走り出しそうな感じに体を動かし始めた。

 

「じゃあ案内するから行こう!」

 

「何処に行くんだ? 何処に……」

 

 見守っていた洸夜だが、今にも移動しそうな三人を呼び止めた。

 雪子救出に行くのは予想の範囲内だが、どうも今の様子を見る限り三人の結束がバラバラで不安なのだ。

 だが洸夜はそれよりも知りたかった事がある。……悠の覚悟をだ。

 

「悠……また何かするつもりか?」

 

「……うん」

 

 悠はいつもの無表情に見えるが、兄である洸夜は悠の表情が真剣なものだとわかった。

 

「お前はもう高校生だ。……俺は同じ事はもう言わないぞ?」

 

「大丈夫」

 

 悠の瞳が段々と強くなって行く。それを見て洸夜の瞳も強く、そして鋭くなった。

 

「……俺はお前を守ってはやれるが、お前がやる事の責任はとってやれないぞ?」

 

「うん。……自分の選んだ道。その行動の責任は自分でとる」

 

 ここまでの会話の間、悠は一回も洸夜から目を逸らさなかった。

 その事に洸夜は多少驚き、更に言えば今まで身を流れに任せてきた悠がここまで自分の意志を示している事に驚きと共に嬉しく思えた。

 いつの間にか前に進み始めた弟の姿。洸夜はその姿に思わず笑みを浮かべた。

 

「ハハ……」

 

「……?」

 

 悠は何故、兄が笑ったのか分からなかった。そんな様子に陽介と千枝も心配そうに見守っている。

 そしてそんな様子を知ってか知らずか、洸夜は。

 

「だったら行け……悠。己の意志で選択し、そして前に進め」

 

「!……分かってる。今度こそ……自分の意志で」

 

 悠の言葉に洸夜は嬉しそうに笑みを浮かべると、陽介と千枝の方を向いて二人にある物を投げ渡した。

 

「おっと!」

 

「うわっ!」

 

 突然の事で驚く二人だったが、うまくキャッチすることが出来た。一体、洸夜が自分達に何を渡したかと思い、キャッチした手の中を見ると、そこには小さな鈴がそれぞれの手にあった。

 陽介がオレンジ、千枝が緑色の鈴だ。

 

「お守りだ……」

 

 洸夜はそう言って悠達に背を向け、その場を後にする。

 そして、その後ろ姿に悠は黙って見送り、陽介と千枝は軽く頭を下げると警察署を後にするのだった。

 

▼▼▼

 

 現在:警察署

 

 悠達がいなくなった後、洸夜は警察署の中にある自販機の前でコーヒーを買い、それを飲みながら悠達の事を考えていた。

 

(……まだまだ見ていて危ういが、迷いはなかった。……全く、お前を思い出してしまうよ……『湊』)

 

 洸夜は今はもういない親友の事を思い出しながらコーヒーを飲み干し、隣のゴミ箱へ入れた時だった。

 後ろから洸夜は話しかけられる。

 

「あれ? 君は確か堂島さん所の……?」

 

「あっ……あなたは確か……!」

 

 洸夜は振り向いてみるとそこには以前、事件現場で自分を無茶苦茶な理由で捕まえて堂島に大目玉を喰らった刑事の足立が立っていた。

 洸夜からすれば忘れる筈のない相手であり、足立も覚えているのだろう。洸夜の表情を見る顔は引きつっている。

 

「は、ははは……や、やあ僕は足立透だよ。堂島さんの相棒を勤めさせて貰ってる。君は確か、鳴上君のお兄さんだったよね? 堂島さんから色々聞かせて貰っているよ。……覚えてるよね?」

 

「色々と衝撃的でしたから。……まあ、過ぎた事なんで今はどうでも良いですよ。俺は鳴上 洸夜です」

 

 そう言って握手する洸夜と足立。流石に前の事もあってどこかギクシャクした挨拶だった。

 

「よ、宜しく。……そう言えば、君ってさ……天城雪子ちゃんについて何か知らない?」

 

「……突然ですね。意味が分かりませんが?」

 

「いや、実は……」

 

 足立は洸夜に悠と同じ話を聞かせ、洸夜は足立の話から周りの警官達がピリピリしている理由に納得した。

 

「なる程……署内がピリピリしている理由はそれですか……」

 

 今思えば、悠達が補導されたのもかなり動きが早く感じる。署内、町中、どうやら思っている以上に警察は警戒を強めているようだ。

 足立もどこか怠そうな感じで覇気がない理由もそれによる疲労なのだろう。

 

「そう言う事。だから、天城さんについて……」

 

 軽い感じで足立が言った時だった。

 

「足立ッ!! コーヒーのお代わりにどれだけ時間掛けてんだッ!!」

 

 堂島の怒鳴り声が廊下を介して奥から響き渡り、足立は慌てて返答した。

 

「す、すいません! あ、それよりさっきの事言って良かったのかな……? ゴメン! 今の無し! 忘れて……」

 

 そう言って足立は悠達に言った事と同じ事を言い残し行ってしまうが、やはり忘れてと言われて忘れられる訳が無い。

 

「彼女が疑われているのか。救出が長引けばマズイかも知れないな……」

 

 このままでは、雪子が犯人と言う先入観が警察内で広まるかも知れない。

 最悪、救出が間に合わず雪子がシャドウに殺害されたら、彼女が自殺したと思われる可能性もあり、洸夜の目が鋭くなった。

 

「俺も行くか……!」

 

 そう言って洸夜もテレビの世界に行く為、自宅へと急いだ。

 

 

END

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