「…えらいことになっとるのぅ」
森の奥深くに構えた拠点で、自然王ナチュレが唸った。
大きな泉を覗き込み、興味津々にスタジアムの試合を観戦していたナチュレは、その後に起こった出来事も見ていた。
群がるプリム、ボスパックン、攫われるピーチ。
赤い雲の中、悠々と飛行する戦艦ハルバードの行く先にあるものは…。
「この方角は…パルテナの方じゃな」
光の女神パルテナ。
冥府軍と戦うため、一度共闘した女神。
しかし、ナチュレはまだ、パルテナのことを認めたわけではない。
招待状を受け取った彼女を監視するため、この地へやってきた。
パルテナ軍と戦力を等しくするために、最近、新しい幹部を雇い入れた。
「ん?なんじゃ、これは」
巨大な暗黒空間となった空中スタジアムから脱出するカービィとピーチ姫。
ハルバードを追うつもりらしい。
それもそうか。
戦艦ハルバードの主はカービィの知り合い。
あの選手につけられた仮面はメタナイトの悪い趣味だ。
それはそうと、ナチュレは、この森の自分の縄張りに、何かが落ちるのを見つけた。
と、その時、土を踏む音が聞こえて、ナチュレはその方を見た。
雇いたての幹部、ブラックピットだった。
「やっと来たか。何道草食っておったのじゃ」
「用件ってなんだ」
「ほれ、これじゃ」
ナチュレは、シンプルで小さな手紙を彼に渡す。
彼は仲間を一通り読むと、懐にしまった。
「羨ましいことよの。まあ、そんな事より」
「ブラピ、お主、今までどこにおったのじゃ!せっかくわらわの配下となったのじゃから、パトロールくらい行ってこんかい!」
「へいへい」
「おおそうじゃ、南の方を見て来るのじゃ。何かがあるはずじゃからの」
「わかった」
ブラックピットは渋々ながら南の方へ歩いていった。
パンドーラの力がなくなった今、ブラピが飛べるのは彼女のおかげである。
ブラピは手紙を取り出す。彼女から渡された、スマッシュブラザーズへの招待状。
ブラックピットを見送った後、自然王ナチュレは再び湖を覗き込んだ。
ここよりさらに南の、開けた所に落ちたUFO。
煙をあげる機体から、空中スタジアムの受付嬢と宇宙服を着た白いカモメ?がむせながら出てきた。
「雌猿め、わらわの森に落ちよって…」
自然王は人間が嫌いだった。
生態系を破壊し、他の生き物を蹂躙し続けるからである。
ナチュレは、指で泉の水に触れた。
場面が変わり、泉には、森の方のエリアを彷徨う勇者が映っていた。
ここを覗いたのはけっしてこの彼がかっこいいからとかではない。
パルテナに頼まれた、ファイターの情報収集をしなければならないからである。
「はぁーん、リンクさま〜…これは違うの。もう少し愛を込め…いや、愛ってなんじゃ!妾は猿には興味ないのじゃ!」
森の奥深く、1人でノリツッコミをする、自然の女神がいた。