ボバ・フェット(偽)はウィッチとともに空を飛ぶ 作:KeI77777
Q初感想です。
スト魔女でこういうタイプの話は珍しくて一気に読んでしまいました!とても面白かったです。投稿ペースがすごくはやいですが、無理しない程度に頑張ってください。
あと誤字報告ですが、過去編の那佳ちゃんの『佳』が全部間違ってますよ。
修正お願いします。
Aさっそく誤字直しました。
ありがとうございます。
ただたくさんのウィッチ達を出したいだけの小説だった・・・(欲望)
それがどうしてこうなってしまったんだ・・・。
書きたいときに書いて、飽きるまでやるのでご安心を。
飽きたら?
試合終了です(安西先生並み感)
ダースモールのお話し書くかもね。
ほんへ、開始。
KEY(ドM)
「くっそ!!どこいったあいつ?!」
「気を付けろ!!まだ近くにいるはずだ!!」
そういって警戒する二人のウィッチ。
アドリアーナ・ヴィスコンディと、マリアン・E・カールである。
普段ならまず手を組むことがない二人は、とある男を倒すために一時的に協力に当たっていた。
銃を構えながら森を上から見下ろす。
「森の中に逃げるって反則じゃないのか?!」
「いや。ルールにそんなことは書いていなかった。それに、ここらへんはぎりぎり領域内だ。合法だよ。」
「こすい真似をして・・・・!!」
その時、彼女たちの近くに影が映り込む。
「そこか!!もらった!!」
すぐにその方向に銃を構えてアドリアーナが掃射する。
パァン!!という破裂音が鳴り響き、風船が割れる音が鳴る。
「ダミー!?・・・・・・本物は?!」
「ここだよ。」
声のする方を見ると、ペイント弾を顔に当てられたマリアンの姿が。
彼女をワイヤーで動けなくして、後ろに回り込み、盾にしているボバ。
「卑怯だぞ!!」
「戦いは死ぬか生きるかさ。」
そういいながらペイント弾入りの銃を撃つ二人。
マリアンを抱えながら飛ぶボバをアドリアーナが追う。
「こら!!私をどこに連れていくつもりだ!!撃墜判定は出ただろう!!」
「あっ。弾切れちゃった。ちょっと借りるね。」
何をするー!!と叫ぶ彼女から銃を奪う彼。
その姿は女性に暴行を働いている悪漢にしか見えない。
おおよそ、女性陣からの評価は下がるばかりだった。
「いたぞ!!あそこだ!!」
そういって集まってくる他のウィッチ達。
残り7名が残っていた。
「そーら!!返すよ!!」
ワイヤーでぐるぐる巻きになっていて、身動きが取れないマリアンを彼女たちの方に投げるボバ。
「わわわ!!マリアン!!」
「ちょっ!!」
それを慌てて受けとめるジェニファーとイザベル。
そのままマリアンから奪った銃でペイント弾を三人ごと掃射していく。
「ひっどーい!!」
「サイテーだよ!!」
「ごめんね。お嬢ちゃんたち。」
すぐに離脱して距離をとる彼。
それを追う彼女たち。
「絶対逃がさん!!痴れ者め!!正々堂々たたかえー!!」
「いやぁ。正面から戦うとしんどいから。」
彼女たちの銃撃を危なげなく躱していく。
そして、ボバを追い越して正面に回ったハインリーケが銃を彼の顔めがけて放つ。
「これで終わりじゃー!!」
右腕をすっと出して、火炎放射器ですべてのペイント弾を焼き尽くしていく。
「なんじゃそれは!!一体いくつの武器を持っておるんじゃ!!」
「さぁ。いくつだろうね。」
・・・・・・・・・・・・・・・
「あーあ。やっぱりこうなったか。」
仕方がないと言わんばかりに空で追いかけっこしているボバと506のウィッチ達を見つめてそういうトゥルーデ。
そして、口をあんぐりと開けて彼の戦い方に驚いているロザリーさん。
無理もない。
「あ、あの。あの人っていつもあんな戦い方をするんですか?」
「そうです。しぶとく生き残って、相手の隙ができるまで待ち続けて、その時が来たら一気に攻勢に出て、またじっと待ち続ける戦い方です。・・・・・おおよそ人相手に戦うあいつはいっつもあんな感じなんです。」
背中のジェットパックを噴かせて、あちらこちらに飛ぶ彼。
ウィッチ達はストライカー・ユニットを足につけているが、彼は背中だ。
だから地上に降りて隠れたり、建物を蹴って、ありえない軌道を無理やり行ったりやりたい放題ができる。
・・・・・・・・・改めて考えるとずるいなぁ。
「え、えーと。あれでもまだ手を抜いているんですか?」
「ネウロイ相手のあいつは容赦なく戦車砲の威力に匹敵する武装を連射していますよ。
近寄ったら剣で叩っ斬り、離れたらライフルで攻撃。おおよそ敵に回したくないです。」
「あ、あはははは・・・・。」
自分がもし彼を敵に回したら、ということを想像してしまったのだろう。
ロザリーさんの頬から冷や汗が垂れている。
冷静そうに水を飲んでいるけど動揺を隠しきれていない。
「それに、本当に気を付けた方がいいことはそれじゃないんです。」
「え?どういうことですか?」
意を決して口を開くバルクホルン。
「・・・・・・・あいつは、女ったらしなんです。」
「・・・・へ?」
キョトンとした顔つきでトゥルーデを見やる彼女。
まぁ、この人たちもそうなっちゃうんだろうなぁ。
・・・・・・・私は構わないけどさ。
彼が「これ、エーリカの綺麗なブロンドに似合うと思って」と言いながら渡してきたかんざしをいじりながら思い出す。
・・・・・やっぱり、今のうちに彼を刺しておこうかなぁ・・・・。
そんな考えが自然と頭の中をよぎってしまった。
・・・・・・・・・・・・・・・
遂に始まった模擬戦。
残り5人まで減らせたがどうするか。
近くの森に身を隠しているがばれるのも時間の問題だろう。
確かさっき奇襲で倒したのがマリアンって娘と、ジェニファーとカールか。
速いうちにシャーリーから聴いていた実力者というマリアンを落とせたのは大きい。
しかし、アドリアーナとハインリーケ、そしてジーナ・プレディがまだ残っている。
特にジーナはB隊で隊長を務めているほどだ。
もっさんやエーリカ並みに手強いと考えて差し支えないだろう。
懐から、先ほど男を物置に放り込んだ時に見つけたものを取り出す。
まあ、彼女たちなら死にはしないだろう。
木の近くによってとある細工を施す。
さて、これで一人くらい消せればいいんだけど。
・・・・・・・・・・・
「あいつはどこじゃ!!でてこい!!」
「少しは落ち着け!!怒って冷静さを失えば相手の思うつぼだぞ!!」
「なんか手玉に取られている気がする・・・・。コーラ飲んで落ち着くこうっと。」
「すっごく反論したいけど。今は何も言わないでおこう。・・・・それよりも彼はどこだい?」
「どこに行ったんでしょうか。・・・・ううう。こんなシビアな戦いがあるなんて聞いてないよぉ・・・。」
うっそうとした森の中を低空飛行で抜けていく5人。
さきほど仲間が3人やられて怒り心頭といったハインリーケを先頭に飛び続けている。
「さっきあの男が撃墜判定をされた3人から銃を奪ったのが見えた。こっそり回収していたらしい。」
「えー!!弾切れさせようと思っていたのにー!!殺る気満々じゃないですかー!!」
「とはいっても、多勢に無勢。連携をとれば戦えないことも・・・。」
その時、彼女たちの前方にターゲットが姿を出した。
「よし、みんな連携をとって・・。」
「B隊に先を越されてたまるか!!いくぞ!!イザベルの弔いだ!!」
「A隊の貴族さまには荷が重いでしょ!!私が倒すんだから!!ジェニファーとマリアンのかたきー!!」
隊列を乱して先に進んでいってしまうアドリアーナとカーラ。
「ジーナさんが連携の重要性を強調したばかりなのにー!!ど、どうしますか!?」
「たわけ!!我らも行くに決まっておろう!!行くぞ!!ジーナ!!」
「ええ。私もやられっぱなしはいやだからね。」
追随するは黒田、ハインリーケ、ジーナ。
前方には彼を追い続ける二人。
銃を連射しながら追い詰めている。
「こらー!!いつまでも好き勝手できると思っていたら大間違いなんだからー!!」
「待て!!この!!」
すると、突然何かに引っかかって地面に倒れるアドリアーナとカーラ。
「いったああああ!!な、なにこれー!?」
「顔を打った・・・。・・・ゴムホース?」
二人が見上げたところには木と木の間に縛られてピンと張られてゴムホースがあった。
飛んでいるうちにそれにあたってしまったらしい。
「4、5と。」
ぱしゅぱしゅと二人に向かって撃ち、撃墜判定をつけていく。
顔にぺしゃっと青色のペイントが付き、妖怪みたいな顔色になる。
それに吹き出す黒田。
「似合っているよ。その化粧。ブルベリージャムみたいで。」
「んがあああああああっ!!絶対あんたは私が倒すううう!!」
「撃墜判定でてるから無理だね。速く帰りな。」
そして、また飛び立つボバ。
・・・・・・・・・・・・・
「これで残り3人かぁ。・・・・・うん。これはひどい。」
「ちょっと506のウィッチ達に同情したくなってきたぞ・・・。」
撃墜判定がでて、元の場所に帰ってきたものの、怒り心頭といった顔つきのウィッチ達の姿を見てそうこぼすバルクホルン。
あのエーリカでさえひどすぎると悲しみの意を示している。
「ふああああ。なんか安心したらあくびが出てきちゃった。・・・・・ん?」
「どうしたエーリカ?」
「いや、なんかこう、ビリビリと・・・・。」
「大変です!!」
そういって必死の形相で駆け込んでくるウィッチ。
手には電報を持っている。
「どうしたの?」
「ネ、ネウロイが・・。ネウロイの部隊がセダンとディジョンに近づいていると!!」
その報告を受けて静まり返る場。
きわめて冷静に報告を聴くロザリー。
「数は?」
「それぞれ50!!大型が1機!!中型が9機!!小型が40の編成です!!」
「バルクホルン大尉、エーリカ大尉。」
「聴いておりましたよ。我々はディジョンの防衛に向かいましょう。行くぞエーリカ。ミーナに飛びながら連絡を入れる。」
「はいよー。・・・あーあもう少し彼の戦いぶりを見たかったのにさー。」
ストライカー・ユニットをつけに向かうバルクホルンとエーリカ。
そして未だ軍事演習を行っていた残りの四人に指示を飛ばすロザリー。
「ネウロイがセダンに向かいつつあると報告に上がりました。・・・・装備を模擬専用から通常の戦闘用に換装次第、すぐにセダン近くのポイントまで向かってください。」
「了解した。じゃあ、我々B隊はもちろんディジョン防衛にあたろう。」
「じゃあ、俺は・・・・。」
「お主がおらんでも大丈夫じゃ!!行くぞ!!」
装備を変えに向かうA隊の皆。
一人残されたボバ。
「あー。動かないほうがいいですかね?」
「・・・・できれば同じく防衛にあたってほしいのですが。そうですね。ハインリーケはああいってましたけれども、できればセダンの方に行っていただければなーと・・・。」
「了解しました。ミス・ロザリー。」
飛び立っていく。
「・・・・・・・・・ボバ・フェットね。」
昔、知り合いに聴いたことがあるけど、まさかね、とロザリーは考え直した。
・・・・・・・・・・・・・・・
194X年。
ディジョンの軍事基地。
そこで駐屯している506統合戦闘航空団、ノーブル・ウィッチーズのB隊のウィッチ達が話していた。
黒髪の袴のような和服を身にまとった活発的な少女が周りのウィッチ達から話の続きを促される。
「それで、私たちはディジョンの基地の方に行ったから知らないんだけど、その時彼はセダンの方に行っていたの?」
「ええ。ロザリーさんとハインリーケさんから聴いたんですけど、鬼気迫る様子でネウロイをつぶしていったとか。」
「ああ、確かに。彼ってどことなくウィッチには甘いけど敵には容赦しないもんね・・。」
黒田の話を聴いて納得するウィッチ達。
皆一様にうんうん、とそうだそうだと頷いている。
模擬戦でワイヤーで縛られてうえ、投げ捨てられたマリアンがふふふ・・・と自虐的な笑みを浮かべて笑う。
「お前らはいいよな・・・。私なんて初めてのお姫様だっこが縛られた上に味方の方に投げ捨てられて、仲間の足を引っ張るトラップ代わりにされたんだから・・・・。」
「マ、マリアン。落ち着いて?私なんてまだしてもらったことさえないよ?」
「それってロマンチックな雰囲気で彼に初めてそういうことしてもらえる可能性がまだあるってことじゃないか!!」
静かに猛るマリアン。
同情のまなざしを向けるウィッチ達。
話を変えるためにジェニファーが別の話題を出す。
「そ、そうだ!!黒田さんはそういうことしてもらったりとかはないの?」
「ええっ!?わ、私ですか・・・・・。うう・・・。」
顔を赤らめて頬を染め、羞恥心に身を焦がしている。
何かを言おうとしては口をぱくぱくとさせて、声にならない声を漏らしている。
「あ、あの・・・・私今までそういうこととかに縁がなかったんですけど・・・・。いろいろありまして・・・。」
一体何があったんだ?と疑問を浮かべる乙女たち。
彼が今度来たときは問い詰めよう、と結束を密かに固めた。
「じゃ、じゃあ次は・・・。」
ジェニファーがそういおうとしたとき、何かの通信音がなる。
ピリリリリリ、と規則的に電子音を鳴らし、コールしている。
「「「「「・・・・・・・・」」」」」
その音の出どころである黒田の方を一斉に向き、猜疑の目を向ける。
「あー、こ、これはですね・・・・。」
この場から逃げようと、後ろ向きに歩きながらドアの方へと近づく黒田。
すっと、ジーナが他の4人にハンドサインを出して、取り押さえるように指示を下す。
「確保。」
「「「「ラジャー!!」」」」
「きゃ、きゃあああああっ!!?」
皆に伸し掛かられて、床に倒れる黒田。
ジーナが彼女の懐に手を入れて、音が鳴っている機械を取り出す。
「・・・・・これか。」
すっと目を細めて見つめる。
ぴっとボタンを押して、上から皆に乗っかられて潰れている黒田の顔に近づける。
しーっ、と唇に手を当てて、黒田以外のウィッチ達に黙っているように命じたとき、彼女たちにとって聴きなれた声が聞こえてきた。
『・・・・・あれ?那珂?那珂?おかしいな。ついたのに。』
その声を聴いて心臓が跳ねるウィッチ達。
彼女たちにとってのそれは、手紙でしか彼と会話できずに、悶々としていたところに垂らされた救いの糸のようなものだった。
みんながアイコンタクトで「絶対切るなよ」と黒田の方を向く。
腕をなんとか出して、通信機を手に持ち、会話を始める。
「もしもし・・・。黒田那珂です・・・」
『おおよかった。大丈夫だった?つながらなくって心配だったからさ。』
「い、いえ。」
自分の身を案じてくれるのは嬉しいが、今はちょっとまずい。
そういいたくても、紙に「会話を引き延ばせ」と書かれたものを手わたされてしぶしぶそれに従う彼女。
「ど、どうしたんですか?いきなりかけてきて。」
『いやー。那珂の声が聴きたくなっちゃって。・・・・嫌だった?』
「嫌なわけないです!!むしろいくらでも!!」
体中を皆からつねられる彼女。
やきもちを妬かれる。
『?どうしたの?』
「な、何でもないです・・・。」
『そうそう。また扶桑皇国のスイーツを贈ろうか?“美よし”のおばちゃんのスイーツ好きでしょう?』
「本当ですか?!ぜひぜひ!!・・・いたっ。」
違う、そうじゃない。
それはそれで嬉しいけどもっと別のことをしてほしいんだと心の中で訴えかける乙女たち。
通信機の向こうにいる彼が、今のこの状況を見たらきっと固まることだろう。
「そうですね。おばちゃんともまた会いたいです。・・・・・あ、あのですね。」
『・・・・ああ、二人っきりでデート行きたいとか?』
ガタガタッと皆が立ち上がって冷徹さをもって黒田を見下ろす。
その表情は「この、泥棒猫!!」と言ったところだ。
やけになって答える黒田。
「それもぜひお願いします!!あと寂しいのでたまには帰ってきてください!!」
「うん。そうするわ。ただいまー。」
そういって通信機を手にもち部屋に入ってくるマスクにアーマー姿の男。
首をぐりんと向けて彼の方を一斉に向けるウィッチ達。
涙目で助けを求める黒田。
「「「「「・・・・・・・・」」」」」
「・・・・・・・・・・・。」
ゆっくりと後ずさりをし、
そのまま後ろ歩きで部屋を出た。
・・・・・・・・・・・・
「で?なんで那珂にだけ通信機を渡したの?」
あのあと、結局逃げ切ることはできずに彼女たちにつかまってしまった。
俺の腕が鈍ったのか彼女たちが成長したのか。
嬉しいやら悲しいやら。
ソファーに座らせられ、両脇をがっちりとマリアンとジェニファーに拘束されて、カーラにはコーラの入ったボトルを口に突っ込まれた。
それをげっほげっほとむせながらもなんとか飲む。
喉を甘くてしゅわしゅわした泡が通っていくのを感じる。
「やっぱりコーラは美味しいだろ!?」
と尻尾をぱたぱたと振って感想を聞いてくるカーラに「うん。そうだね。君の飲ましてくれるコーラは最高だよ。」と返しておき。ジーナの質問に答える。
「え?あれは506のB分隊全員で使うようにって那珂にいって渡したものなんだけど・・。」
「え?」
「「「「え?」」」」
もしかして、那珂は自分がもらったものだと勘違いしていたのだろうか。
呆けている那珂に詰め寄る彼女たち。
「どういうことだ?」
「い、いやー。」
首に手をやり後頭部を掻いて、
「―――――――ごめんなさい。」
と綺麗な土下座を披露し始めた。
背中に乗っかって弾劾し始めるカーラと、お説教するマリアン、
そしてそんな二人をオロオロとしながらもなだめるジェニファー。
これは彼女のミスだな。
そう考えて、いじられている那珂を放っておくことにし、部屋の中を見回す。
ここを離れる前と全く変わっていなかった。
帰ってきたのか。
何だか少しほっとしてしまった。
うつらうつらと首を揺らす俺の隣に座っていつの間にか指を絡めてくるジーナ。
「・・・・どうしたの?」
「・・・・・寂しかった。やっと来てくれたんだね。嬉しいよ・・・。」
こちらの肩に頭を乗っけてくる。
「何だかこうしていると、君がいた頃のB分隊を思い出すよ・・・。」
「ああ。そうだね。俺もジーナに会えてうれしいよ。」
「・・・・・そこで“皆”じゃなくて”ジーナ”にって言っちゃうところが酷いところだね。」
こちらの頬をぎゅっと彼女がつねってくる。
頬がひりついて痛みが広がる。
腕をあげたようだ。
お返しにと彼女の頬をむにゅむにゅとつねり返す。
「・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・。」
辞め時がわからなくなって互いのほっぺたをいじりあう俺たち。
だんだん彼女の顔が茜色に染まってきている。
・・・・・恥ずかしいんだろうなぁ。
でもやっぱり止まらないお互いの指。
恋人みたいだ。
皆が気が付かないうちに手を放すと、「あ・・・・。」と寂しそうな声を出したので
ソファーの後ろのもたれかかる態勢をとり、彼女と手をつないだ。
これならばれない。
那佳をいじり終えた彼女たちに聴く。
「手紙では皆元気そうだったけど、こうして実際に会えてよかったよ。」
「全く!!いきなり行方をくらましちゃんだからジェニファーが悲しんだんだからね!!」
「え、ええ?!!マリアンとカーラもそうだったじゃないですかー!!」
「何のことかな。」
またやいのと騒ぎだした彼女たち。
本当に姦しいことこの上ない。
さて、様子を見に来たが大丈夫そうだな。
立ち上がってドアの方に向かう。
それに気が付いたジーナが声を掛けてくる。
「・・・・・・・もう帰ってしまうのかい?」
袖を指でつかんで上目遣いに見つめてくる。
瞳がかすかにゆれていることが分かった。
「ああ。いろいろとね。・・・・・・ジーナ。」
彼女の耳元でぼそぼそとささやく。
「~~~~~!!?」
いつも平静な彼女が珍しく取り乱し、真っ赤な顔つきでこちらをキッとにらみつけてくる。
「~~~~!!き、きみのそういうところは嫌いだよ。」
「残念だ。俺はジーナのことが好きなんだけどねえ。」
いい加減に照れ隠しで殴られそうだったので、皆が騒いでいるうちに今度こそ部屋を飛び出て、基地を走り去った。
・・・・・・・・・・・・・
『で、逃げてきたの?』
「いや、帰ってきただけさ。・・・・撤退だからな。」
はいはい、と全くこちらの言葉を信じていないやつに答える。
今回は俺は悪くないからね。
もう少しみんなと一緒に居たかったけど。
「小型のネウロイの群れがセダンの方に近づいているって本当か?」
俺がB隊の皆とすぐ別れた理由。
ルパンからの情報で小型のネウロイの群れが押し寄せてきていると聴いたのでそれの駆除に来たのだ。
ジェットパックを点火しながら夜の空を飛び続ける。満月だけが、この暗闇を唯一照らしてくれる明かりだった。
ブラスターライフルを握り締め、索敵を行っていると前方に黒い塊が見えた。
「A隊の皆は?」
『もうとっくに戦闘を行っているみたいよ。急ぎな。』
ああ、と短く返事をして戦場に加わる。
こちらの接近に気が付いたネウロイが3匹取り囲むように飛んでくる。
両腕のワイヤーを射出し、2体を絡み取り、そのまま真ん中の一匹を挟み込むように叩き潰す。
2匹のネウロイに挟まれた中心のネウロイは潰れて、コアも粉々になったようだが、残りの2匹は外殻が削れただけでまだ生きていた。
ならば、とすぐに動きが鈍いうちにブラスターライフルでコアを撃ち抜き、消滅させる。
そのままもう一匹も片付けようとしたら、別の方角からの銃撃により、コアごと体を撃ち抜かれて粒子になって消えた。
「ほう。なぜお主がここにおるのか、あとでたっぷり聞かせてもらうぞ。」
耳に響く、彼女の凛とした声。
カリスマ性、存在感をいやにでも感じさせるものであり、
そちらの方を向くと、いつもと変わらない金髪のブロンドヘアーをたなびかせ、頭にライトグリーンのような淡い緑の色のティアラをつけた女性がいた。
「あとでね。・・・・・・・くるよ、ハインリーケ。」
「妾の背中を任せてやろう。ありがたく思うのじゃな。」
「これはこれは。光栄ですね。姫様。存分に守らせていただきましょう。」
月を舞台に、夜の舞踏会が始まった。
・・・・・・・・・・・・・
そのころの502
ボバがハインリーケと一緒にネウロイを殲滅しているときに、彼女たちは考えていた。
どうやったら彼が戻ってくるのか。
聴けば他の組織のウィッチ達も彼に懸想していると聴いた。
ウィッチとしては魔力を失うようなことはできない。
しかし、なんとしても彼のことはつなぎとめておきたい。
そんな鬱屈とした思いを皆が抱えていた。
その中でも一歩リードしているヴァルトルートとロスマンは二人っきりで話し合っていた。
「子供は何人くらいいたらいいだろうか・・・・。うん、やっぱり女の子もいいけど男の子もほしいなぁ・・・・。・・・・もっとお酒控えようかな・・・。」
「将来のことを考えるそうした方がいいでしょうね。彼もあなたの体のことを心配していたし。」
「えっ?本当?うれしいなぁ・・・・。」
金髪にミドルロングの髪の長さの女性。ヴァルトルートは彼との家庭を夢見る。
「彼が髪を伸ばしたほうがいいっていうから髪を長くしているんだけど・・・変じゃないかな?」
「それは直接あの人に聴いてあげると喜ぶと思うわ。・・・・・私ももっと伸ばそうかしら。」
完全に色ボケし始めている彼女たちは、家庭を作る気満々だった。
生きているうちに女性が夢見る物。
マイホーム。素敵な旦那にかわいらしい子供。
それが手に入るとあっては張り切らずにはいられなかった。
髪をかきあげて話を続けるロスマン。
「でね。前にジョゼが、彼が他の組織のウィッチ達からも手紙をもらっているということを言っていたじゃない?」
「ああ。正直妬いたね。・・・・・うん、抱きしめてもらえなければ許せないくらいに。」
ハグ一回で許すとはずいぶん寛容であるともいえた。
しかし、その抱擁は男である彼にとっては自分より背が高い女性相手にやられることとなるのでプライドが傷つき、なおかついい匂いと柔らかな感触に包まれる最高のひと時でもある天国と地獄だった。
「それで、ちょっときになったのは彼が結局どんな手紙をもらっているのかってこと。」
「んー、見たいけども見たくないような・・・・。ああ、最近断酒しているから手が震えて
きた。代わりに彼に慰めてもらおう。」
懐から自身とボバが写った写真を取り出し、見つめる。
涙をほろりと流し、テーブルに突っ伏すヴァルトルート。
「はあああああっ・・・・。あいたいいいい・・・・・・・。」
ワイングラスを片手に“伯爵”を自称していた彼女は、跡形もなくただの少女となっていた。隣でそれでも優雅に紅茶を飲んでいるロスマンに疑問のまなざしを向ける。
「・・・・・・・寂しくないの?」
「待つのも恋愛の一つだからね。・・・・女は港っていうし。」
「早くうううう・・・。」とうなだれ続けるヴァルトルートと冷静さを失わずにいるロスマンであった。
・・・・・・・・・・・・・
「おらあぁっ!!」
サンドバッグに魔力をこめたこぶしを叩き込み続ける少女。
目は釣り目で、髪は短く切りそろえられており、小柄の体系のウィッチ。
菅野直枝はたまった鬱憤を晴らすかのようにそれを叩き続けていた。
彼が偶然502に来てから、その気持ちはますます募るものだった。
文通を通して接している関係も、文学の中で見た遠距離恋愛のシチュエーションと考えれば特に不満はなかった。
しかし、それでも自分のためだけに時間を割いてでも会いに来てほしいというのが彼女の本音だった。
彼が他の女にうつつを抜かしているというのは知っていた。
それに関しても言いたいこと、聴きたいことがあるとかんがえてはいたが、気が収まるかというと話は別であり、こうして体を動かして有り余る衝動を発散していたのである。
たたきつけたパンチの数が100を超えたあたりで、彼女に声がかけられる。
「直枝ちゃん。」
菅野直枝が後ろをむくと、そこにはぬいぐるみを持った一人の少女がいた。
「定子か。お前もやるか?」
「いや。いいよ。料理作ったけどどうする?」
「もう少しで終わるからもうちょっとだけ待っててくれ。・・・っし!!」
バズム、と小気味いい音が響く。
じっと見つめ続ける下原と撃ち続ける菅野。
いくばくかの静寂の後、菅野がしゃべり始める。
「・・・・・・・俺たちで手を組んで、他のウィッチ達よりも先にあいつをウチに引き込むって結束したよな?」
「うん。他にも501とか503とか本当にいろいろなウィッチ達が彼を狙っているから。私だってその一人だし。」
「・・・・そうだな。俺もだ。」
いつもは照れ隠しで否定から入る彼女にしては珍しく本音を漏らした。
それも、状況がそうさせたのか、彼女自身がそう望んだからなのか。
分からないことであったが、その顔は下原にとって以前と違って見えた。
「正直さ。俺一人であいつを独占できるならそうしたい。・・・・背中合わせで読書したり、月がきれいですねって言われたりとか・・・・。想像しちまう。」
思っていた以上の独白にうわぁ、となっていた下原であったが、自分も夢で凄いことをしてしまったので何も言えずに顔を赤く染め上げるだけであった。
抱えているぬいぐるみを抱く力をさらに強める。
「俺たちはいつ死ぬかわからないような戦いをしているだろ?・・・・・だからなおさらあいつみたいに守ってくれる男に憧れているんだろうな。」
はあ、と小さくため息をつき、遠くを眺める。
下原は密かに冷や汗を流していた。
ロスマン曹長が彼にプロポーズされて受け入れた。
そのことをもし彼女が知ったら・・・。
脳裏にイメージがされる凄惨な現場。
力なく床に倒れて、血の海に沈む彼とそれを愛おしそうに抱きしめるウィッチ。
がくがくと体を震わせて恐怖する。
(いいなぁ。先生・・・)
ここにはいない彼のことを思いながら下原は心の中でそっとつぶやいた。
・・・・・・・・・・・・
本日のオチ
「まてえええええええいい!!なぜ先にB隊の方に行ったのじゃ!!逃げるなーー!!帰ってこんかー!!」←ネウロイを倒した後全力で彼のことを追っているA隊の彼女たち。
(実はそこまで深く考えていなかったことは黙っておこう・・。)←いつもの
のとりあえず506編書いてみました。
んー。アフリカ編とか扶桑海事変とかも書こうかな。
それともこうしたドタバタを書くか・・・。
よし、書きたいもの書くか。
小説とか読むとウィッチ達の性格がわかっておもしろいナリ。
ストライクウィッチーズ零のもっさんがかわいくて笑った。
ボバくんが扶桑のウィッチ達の追われる話を書こうかな。
うん、圭子あたりに怒られている絵が浮かぶ。
次回予告?
ああ、今日はもう眠いからなしで。
KEY(ドM)