ボバ・フェット(偽)はウィッチとともに空を飛ぶ   作:KeI77777

13 / 25
感想返し。

Qお願いします 連載してください!
僕はストパンでこういう作品を待ってました!
遅くなっても構いません なんとか連載出来ませんか!

A 連 載 決 定 (不定期だけど)

Qそう、こういうのでいいんだよ…
いつか続きが来るのを楽しみにしてます

A孤独のグルメかな?

(続き)来たぞ。

Qハーレム物でメインヒロインいるのは他が当て馬的に見えてしまうので
個人的にはちょっと苦手ですが続きも期待したい。
ストパンの男主人公ものは珍しいですね。

Aヒント。大天使宮藤は”浮気”は許さないが”合意”は許す。

つまり・・・

確かにストパンの男物主人公は見たことがないです。

ヒロインたちにはその余りある魅力を発揮してもらうので、当て馬はないです。

どの部隊まで話を広げようかなー。

KEY(ドM)


賞金稼ぎはわがままお姫様とデートする。

 

宮藤のうまい飯を食べて、ほくほくとした気持ちになる。

惚れている女が自分だけのために作ってくれた飯というのはこの世のどんなものよりも価値があるものだ。

しかし、とはいってももっさんの朝食と宮藤の作った分を食べてさすがに胃がパンパンになっていた。

 

基地にある、自分の部屋に戻ろう。

そう考えながら歩いていると、前から見知った男の兵士たちが歩いてくる。

向こうもこちらに気が付いたのか挨拶してくる。

 

「おはようございます!!兄貴!!」

「兄貴はやめろ。元気そうだな、お前ら。」

「へっへっへ。見てましたぜ。華のウィッチたちと一緒に朝食をとっていたなんて。さすがボバさんだ!!」

 

先ほどの食堂でのことを言っているのだろうか。

まさか見られていたとは。指で三人をこちらに招き寄せる。

がっしりと肩を抱いて、忠告する。

 

「あまりそういったことを言わないほうがいいぞ。いや、マジで。」

「えー、何でですか?恥ずかしがっているわけでもないでしょう?」

「そうだが・・・。」

 

的外れな意見を言ってくる兵士その1に必死に気づけとアイコンタクトを送る。

やめろ。それ以上言うんじゃない。

しかし、無情にも兵士その2とその3が会話を続ける。

そのたびに俺は気が気でならなかった。

 

「やっぱり噂は本当だったんですね。男みんなで話していたんですよ。ボバさんは夜にそっち系のお店にいって女を口説きまわっているって。」

「そうそう!!一体どうやったらそんなモてるんですか?教えてくださいよー。」

 

気が付かずに話し続ける男たち。

そして、冷たい感情の声が廊下に響く。

「へえ・・・・そうなんだ・・・・。」

 

後ろからカツン、カツンとブーツの踵が地面にぶつかる音が鳴りながら誰かが歩いてくる気配を感じる。

それはどんどん大きくなっていって、俺の真後ろまでやってきた。

ジェット・パックの状態を点検して、脱出経路を目視して確認する。

 

「で、モテモテなボバはどうしているんだって?詳しく聞きたいなぁ・・・。」

目を決して合わせないように注意しながら顔をほんの少しだけそちらの方に向けてその姿を確認する。

 

あどけない顔立ちに。年齢相応の無邪気さを感じされる優し気な瞳。

短く整えられた髪。ほっそりとしていて、折れてしまいそうなくらいスレンダーな体系の女性。

エースの中のエース。

 

エーリカ・ハルトマンがそこに佇んでいた。

いつもはずぼらだが、時に鋭く、そして部隊の誰よりも寛容である彼女は今、これ以上なく怒っているように見えた。

 

口は笑っている。しかし、表情は笑っていなかった。

 

ごくり、と唾を飲み込み緊張を抑える。

ここは戦場と化した。

下手な動きをとれば死ぬ。

 

 

兵士たちはその場に直立不動で敬礼のポーズをとりながら皆固まっている。

 

にこり、と天使のような慈愛に満ちた笑顔をこちらに向けながら、有無を言わさぬ迫力でエーリカが問いかけてくる。

 

 

「で?どうしたの?話の続きを聞かせてよ。 は や く 。」

 

誰も言葉を発することはできなかった。

彼女の周りに大気の小さな渦が発生し始めていて、髪が逆立っており、まるで鬼の様ないでたちとなっているからだ。

 

じり、じりと少しずつ。彼女が兵士たちに気を取られているうちに数ミリずつ、足を動かして逃げる。

 

まだ気が付かれていないようだ。

 

「そうなんだー。ふーん。」

彼女が兵士の話に気を取られているうちに、少しでも安全な場所に行く。

本能が警鐘を鳴らしている。

危険極まりない、と。

 

「あっ、そうだ。」

突然こちらを向いて、風を飛ばしてくる。

対応できずに壁にたたきつけられる。

息が漏れて、呼吸が乱れる。

 

顔を上げると、喜色満面の笑みを浮かべた、きれいな彼女の顔が見えた。

「ボバ、今から私と一緒に・・」

「エーリカ、愛しているぞ。」

 

その言葉を受けて急停止するエーリカ。

微動だにせずに、そこにフリーズする。

不意を衝いて愛の言葉をささやき彼女を行動不能にした。

 

その間に彼女の横に立ち、ポケットにメモを入れて、通り抜ける。

ジェット・パックを噴射して、大空へと飛び立つ。

 

 

後に残されたのは、真っ赤になって立ち尽くすエーリカと

何が何だかわからないといった顔で直立し続ける兵士たちであった。

 

 

・・・・・・・・・・・

 

 

「へ?そういうお店を紹介してほしい?」

「ああ。」

 

ストライク・ウィッチーズと一緒になって戦うようになって、お互いに信頼関係のようなものが芽生えるようになってきたころの話。

俺は、限界を迎えようとしていた。

 

「何だ、てっきりウィッチに手を出しているもんだと。」

「それをやったら魔力がなくなるだろう。貴重な戦力を削った重罪人として政府から難癖もつけられるだろうな。」

 

性欲を抑えきれなくなってきた。

基地内でもあのパンツのような格好をされてはたまらない。

よく男の兵たちは耐えきれるな、と今になって敬意を持つ。

 

軍部のそういったことにも理解がある高官に、口が堅い水商売の女がいる店を紹介してもらおうとしていた。

 

発散してしまえば、万が一ということもなくなる。

逆に言えば、それほど追い詰められていた。

 

彼女たちは魅力的過ぎた。

 

宮藤一筋、などと心の中では誓っているものの、どうしたって理性にも限度はある。

要するに夜這いしてしまいそうなのだ。

 

「だから防止するためにも、頼む。」

相手にとっても死活問題だろう。

だから利害が一致している軍部の人間に相談した。

リスク・リターンを考えれば俺を篭絡してくる可能性もあるが、逆にそうしてくる女から情報を抜き取ることができる。

 

 

しかし、問題があった。

 

俺はまだ童貞だった。

 

なぜかといえば、生きるのに必死すぎたからだ。

余った金はすべて、娯楽と食事に消えた。

 

装備は念じれば出てくるので、装備にお金を使うことはほとんどなく、だいぶ貯金もたまってしまった。

 

しかし、今まで賞金稼ぎを長く続けてきたからか、自然と仕事に向かってしまう。

胸の内にある、ボバへの憧れがいまだに俺を強く突き動かしていた。

 

顎に手をやり、何かを考えている高官。

むう、とうなっている。

 

「てっきりお前はそういった方面に卓越しているものだと。」

「そんな暇、機会もなかった。だからそうする必要があってもどうすれば今までいいのかわからずにあんたに相談を持ち掛けたのさ。」

「なるほど。」

そういって頷く。

指をぱちり、と鳴らして大声で呼びかける。

 

「おい、あれを持ってこい。」

その声を受けて、何かの書類を持ってくる部下。

厳重そうなファイルに収められているさぞかし貴重そうな資料だ。

一体何の情報が入っているのだろうか。

思わず警戒せずにはいられなかった。

 

「これを見ろ。」

そういってファイルフォルダを無造作に手渡してくる。

それを手で受け取って中を開き、ぱらぱらとめくっていく。

一枚一枚に目を通していき、目の前の男に尋ねる。

 

「これは?」

「そっち関連の優秀な店を乗っけたリストだ。そこにある店は全部超がつく一流のところだ。紹介制だから一見さんお断り、ってやつだな。」

がっはっはと豪快に笑う。

どうやらこのどれの店もこいつらの手がかかっている可能性が高い訳だ。

罠にはめられる可能性は高い。

しかし、ハニー・トラップを知らず知らずのうちに掛けられるよりは、相手の懐に飛び込んでいった方が危険も少なく、リターンも大きく見込めるだろう。

 

覚悟を決めて、店を一軒一軒見ていく。

「ここなんておすすめだぞ。」

そういっておせっかいをかけてくる。

ここはアウト。

わざわざ誘導ご苦労さん。

 

そこからいくつか離れたところに乗っていたところに目が留まる。

そこには、宮藤によく似た女性の写真が載っていた。

何でも店の中で一番売れっ子だとか。

 

「ああ、その子は本番はせずにお酌やおしゃべりだけをしてくる相手だよ。

エッチしようにも大金を払う必要があるので誰もしたことがないんだと。」

全く、世知辛いねえと言ってくる。

しかし、今の俺にたいして耳に入ってきてはいなかった。

目が離せられない。

 

何というか、これはやばい。

自分の中にある雄の遺伝子が彼女を欲しているのがわかる。

 

その様子に気が付いた目の前のおっさんが声を掛けてくる。

「おいおい。その娘か?やめとけやめとけ。身受けに近い金額が必要で、一度やったらそのあとはずっとその人とだけしたい、だそうだ。純情なんだかそうなんだかわからんだろう。」

自分の持っている通帳のうちの一つをおっさんに見せる。

それをいぶかし気に眺めてくる。

そして、額に気が付いて驚きの声を挙げる。

 

「はっはっはっはっは!!そうか!!本気か!!命を賭けてネウロイを倒して得た報酬を使うと!!面白い!!」

何がおかしいのかツボにはいって笑い転げている。

何とでも言え。

 

 

「じゃあ、さっそく予約を入れておくぞ。」

 

 

そうして俺は、初めて夜の店に繰り出すこととなった。

 

 

 

・・・・・・・・・・・

 

スレーヴⅠの畳がある部屋で横になりながらせんべいをかじる。

エーリカの追及を避けた俺はすぐにこの船に逃げ帰った。

 

帰りがけに宮藤のところに寄っていって、誰もいないのを確認して抱きしめた。

あわあわと金魚のように口をぱくつかせて驚くばかりの彼女であったが、ほんの数秒が経つと子供をあやすような母のように、俺をそっと抱きしめてくれた。

 

「大丈夫ですよ。私がいますから・・・・。」

彼女のおでこにキスをして、愛している、と伝える。

「はい、私もです。」

明るくそういってくれる彼女。

名残惜しさは尽きぬが、そっと回していた腕を離してかえってきた。

 

違う女を抱いて、ストレスを発散していることへの罪悪感か。

彼女に対して無防備に甘えていた。

 

あげまんという言葉がある。

一緒にいるだけで男の運が上がるという。

 

宮藤はきっとそれなのだろう。

あの笑顔のためなら冗談抜きで死ねる。

 

軍に興味がない俺が本気で入隊を考えたほど毒されたからだ。

ああいった女を死なせてはいけないと直感でわかる。

 

前世から好きである畳の匂いを嗅いで落ち着いていると、通信が入る。

スイッチをオンにしてつなぐ。

「もしもし。今日は閉店だぞ。」

『あ、あの・・・』

 

気弱な声が通信機から聞こえてきた。

この声は確か・・・

 

「ライーサか。」

『はい。』

ストライク・ウイッチーズの部隊とは別のところに所属しているウィッチ。

ライーサである。

彼女とは前にあったばかりのはずだが。

何かあったのだろうか。用件を尋ねる。

 

「どうした。」

『あ、あの。部隊の中で今話題になっているんですけど。』

恥ずかしそうというか聞きにくそうに問いかけてくる彼女。

何だ?何のことを言っている?

 

そして、今の自分の状態を思い出した。

『・・・・・あなたが夜のお店にたびたび行っていると。』

 

思わず天に顔を向ける。

唾を吐きそうになったが、吐いた唾が自分にかかってきそうだったので辞めた。

続きを聴くために先を促す。

 

「ああ。そうだ。」

『やっぱりそうだったんですか・・・』

何か気になる言い方だが気にせずに話を続ける。

『私はまあ、そういうのは殿方にとって必要なものだと思いますから気にしませんけども・・・』

 

そうはいっても若干落ち込んでいるような声色だ。

軽蔑されてしまったか。

ライーサは本当に良い娘なので嫌われると少し悲しい。

 

『ハンナが・・・』

 

 

ハンナ。

その名前を聴いて思わず持っていたせんべいをぱきり、と真っ二つに折ってしまう。

色々と因縁があった相手だ。

事の経緯を聴いていく。

 

『その、部屋に引きこもって“やっぱりたばこか?たばこ吸っている女は嫌いなのか?あほー!”っていって泣いていて・・・』

 

何やってんだあいつは。

子供か。いや、図体が大きな子供だったな。

最初に会ったときからわがままプリンセスだった。

今ではマシになってはいるが、遊べ、構え、甘えさせろ、とべたべたするようになってきていた。

 

ライーサに深く突っこんで聞いていく。

「それは、また。ぐずったあいつの相手は大変だったろう。」

『ええ。それよりもハンナが傷ついていないか心配で。』

 

自分だって複雑なのに友達の心配をするとは。

中々できることじゃない。

宮藤がいなければ惚れていたかもな、と笑いながらとある提案をする。

 

 

あのお姫様にはちょっと灸を据えておくか

 

 

・・・・・・・・・・・・・・

 

 

「馬鹿、あほ、まぬけ。・・・・」

ベッドでシーツにくるまれながらぐすぐすと泣く。

窓にはカーテンが閉められており、中は暗い。

その陰気さは部屋の主とよく似ていた。

 

朝からやけ酒をしていた。

昨日からずっと落ちこっみぱなしだ。

 

あの男がいけないんだ。

 

もうひと眠りして、いやなことを忘れようとシーツの中に潜ると、ドアをノックされる。

誰かがやってきたようだ。

 

「ハンナ?・・・・入るよ。」

そういってドアノブをがちゃり、と回して部屋の中に入ってくる見知った顔。

ライーサが心配そうな顔つきで入室してきた。

シーツから顔をのぞかせてうかがう。

 

「ライーサ・・・・。」

「ハンナ。お酒飲みすぎていない?大丈夫?」

どうやら私の健康状態を心配してくれたようだ。

まだ胸がちくちくと痛んではいるが、友を心配させないように空虚な笑みを浮かべてなんでもないように振る舞う。

 

「大丈夫さ。大丈夫・・。」

「お酒の瓶は下げておくね。」

まだ飲みかけだったお気に入りの酒瓶をもって、ドアの外に出していく。

ああ、まだ飲んでいたのに。

 

しかし、いい加減休肝日にしておくか。

そう考え、何も言わずに彼女を見つめる。

 

こちらに振りかって目を合わせてきた彼女が言ってきた。

 

「はい、これ。」

「?これは・・・。」

 

 

トランシーバーを手渡される。

じゃあ、楽しんできてね。そういって部屋を出ていくライーサ。

持っていると通信機が鳴り始める。

慌ててボタンを押して応答する。

 

「も、もしもし・・・・。」

『もしもし。寝坊助さん。元気か?』

 

今、一番聞きたいけども、聴きたくない声が聞こえてきた。

思わず泣きそうになる。

 

「何だ?どうしたんだ?」

 

こちらの状態が知られないように平静さを保って話す。

今のこの状態を見せることはできない。

 

すると、用件を言い出した。

 

『明日の12時に向かいに行く。それまでにおめかししておけ。じゃあな。』

 

言いたいことを言ったからか通話がぶつり、と切れる。

 

先ほどの言葉を自分の中で反芻する。

待ち合わせの時刻。おめかし。それが意味するものは。

 

 

シーツを蹴っ飛ばして、ベッドから起き上がり、ドアを開けて外にでる。

ライーサが廊下でにこにことした顔で立っていた。

 

「ライーサ。」

「なあに?」

 

嬉しそうな笑顔でそういう彼女。

 

「コーディネート頼む。」

「オッケー。じゃあ考えておくから今のうちにシャワー浴びてきなよ。」

 

着替えを部屋からもって、浴室へと向かう。

ネウロイよりも手強い奴が相手だ。

本腰を入れてかからなければ。

 

ドタドタと廊下を走っていった。

 

 

 

・・・・・・・・・

 

 

遠ざかっていく後姿を見届けた後。彼女の部屋に入ってトランシーバーを手に取る。

 

案の定、思った通りだった。

 

「まだつながっていますよね?」

『ばれたか。』

 

ははは、といたずらがばれてごまかす子供のように笑う彼。

ハンナは電源が切れて、通話が終わったと思っていたようだけど、私はなんとなく女の勘でわかってしまった。

 

「女の子同士の話を聴こうとするのはマナー違反ですよ?」

『ちゃんとした理由があるから聴いてくれ。』

 

釈明をする彼。

何を言おうとしているのかわからないけど、そんなことで許す女じゃ

 

 

『明後日一緒に食事に行こう』

「はい。」

 

即決だった。

女同士の友情?うん、意中の相手が違う人だったらね。

とはいっても明日はハンナがお相手だ。

そこははき違えない。

 

 

「でも、ひどい人。たったさっきほかの娘をデートに誘っておいて、すぐに違う娘を口説くなんて。」

『ならやめておくか?』

「いやとは言っていませんよ。」

 

こういったやりとりが、何気ない会話が楽しい。

彼は一体どんな場所に連れて行ってくれるのだろうか。

 

待ち遠しい。

 

『君のこともちゃんと気にかけている。行動でそう示したかっただけさ。』

「・・・・・・あんまりそういったことを女に対して言わないほうがいいですよ。

刺されますから。」

 

なんだかんだいって、優しい彼に警告しておく。

死なれたら悲しいからだ。

傷だらけの彼の体を見たときは思わず泣きそうになってしまったほどだ。

 

 

『実はもう刺された。女ってすごいよな。アーマーを着ている俺をどうやって傷つけたんだろうか。』

呑気な声でそういうボバ。

この人は自分の今の状態をちゃんと自覚しているのだろうか。

 

クモみたいに糸を張っておいて、かかった獲物を放置。

している側にとってはどうでもいいのかもしれないけども、されている側にとってはたまったものじゃない。

 

いい加減私も狂ってしまいそうだ。

熱く火照る体を鎮めながら話し続ける。

 

「いってらっしゃい、なんてこれから他の娘とデートに行く男性に対して言うのはちょっとおかしいですね。」

『もし君がほかの男とデートしていたら、俺は妬くだろうな。』

 

最後の最後にとんでもないことを言って、今度こそ本当に切ってしまった。

 

トランシーバーをテーブルに置いて、ハンナのベッドに腰掛ける。

八つ当たりで枕をぽすん、と軽くたたく。

 

「・・・・・・・ばか。」

 

ハンナに対してちょっと懲らしめる、なんていっていたけど彼こそ処断されるべきではないのだろうか。

 

彼女がシャワーから上がってくるのを待ちつつ、あの狼の顔を思い浮かべていた。

 

 

・・・・・・・・・・・・

 

「危なかった・・・。」

恋愛方面で鋭いライーサをなんとかいさめつつ、ハンナとの約束を取り付けることで来た。

 

問題はライーサがハンナにちゃんとトランシーバーを渡してくれるかどうか心配だったことだ。彼女はきちんと仕事をこなしてくれたが、そのあと、トランシーバーがまだつながっていることを見抜かれたときには心臓が飛び跳ねた。

 

ご機嫌ななめになりそうだったライーサも誘った。

そもそも目の前に女の子がいる前で他の娘と出かけるなんて発言していたから、いい気はしなかっただろうことを予想してだった。

 

案の定、へそを曲げそうになっていたが、痴情のもつれを回避できた・・・はず。

 

ハンナと同じ部隊のウィッチたちがどんな反応をするのか心配だが、ハンナはああ見えて恥ずかしがり屋だし、ライーサは口が堅い。なら、今回のデートに関して言いふらされることもないだろう。

 

深く息を吐く。

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・

 

一日経って、約束の日。

「ラ、ライーサ。変じゃないか?匂いは大丈夫か?何かジロジロ見られていないか?」

「平気だから落ち着いて。」

 

待ち合わせの時刻の15分前になった。

基地の中で待ち続ける。

 

ハンナはずっとそわそわしっぱなしだ。

いつもは「おしゃれ?最低限やっておけばいい。たばこと酒のほうが重要さ。」なんて言っていたのに、恋はここまで人を変えるのか。

 

彼女は勝負服なるものを着こんでいる。

私たちで一緒に何がいいのか検討した結果だ。

 

「うう、緊張する。」

「部屋の中で待っていて。少し外の方を見てくるね。」

 

そういって部屋から出ていく。

彼は時間に律儀だ。

そろそろやってきてもおかしくはない。

 

外の門の前の兵士に聴いてみる。

「ねえ、ボバさんは来ていないかしら?」

すると驚いたような顔をする兵士。

「え?さっきウィッチ達の宿舎の方まで飛んでいきましたけど。」

 

すれ違い。

思わず笑ってしまう。

まさかもう来ているとは。

 

ハンナの部屋のあたりを見る。

 

窓が開いている。

 

そういうことなのだろう。

 

「行ってらっしゃい。二人とも。」

 

彼女たち二人を見送った。

 

 

・・・・・・・・・・

 

彼女の部屋まで来た俺だが、せっかくなので驚かしてやろうと、窓から侵入。

コンコン、とカーテンがかかっている部屋をノック。

 

カーテンを開けて、こちらの様子をうかがっているハンナと目が合う。

 

「開けてくれ。」

そうジェスチャーで伝える。

ものすごくびっくりしているようだが、すぐに窓を開いてくれた。

そのまま入る。

足を先に中に入れていき、続けて体をねじ込んでうまく入り込む。

 

手を上げて、挨拶する。

 

「よう。よいどれ。」

「誰が酔いどれだ!」

 

思いっきり叫ばれる。

部屋をちらりと覗き見ると、整理されているのがわかる。

エーリカのようにずぼらなほうかと思っていたが、とりあえずそうでもないらしい。

女子力の高さに感心しながら、あるものを取り出す。

 

「これ。」

そういって渡したのは両手いっぱいの花束だった。

昨日、ライーサからハンナの状況を聴いて、すぐに花屋に行って注文したものだ。

それをぎこちない様子で受け取るハンナ。

 

あれ、こういったものは嫌いだったか?と不安になる。

 

しかし、受け取ってからは笑顔で花をいじっている。

 

よかった。急ごしらえだったから不安だったが、気に入ってもらえたようだ。

 

花はユリがあったのでこれにしてもらった。

 

「じゃあ、行こうか。」

「へ?どこにだ?」

 

手を引いて、部屋から出る。

 

「今日はよろしくな。お姫様。」

 

俺がそういうとくすりと笑い「エスコートを頼むぞ。王子様。」と返してきた。

 

 

・・・・・・・・・・・

 

 

初めて会ったときに感じたものは、好奇心だった。

顔をマスクで覆い、体をアーマーでいたるところを包み込み、防護している。

神出鬼没。どこからやってきて、どこに行くのかもわからない。

謎の賞金稼ぎ。

 

それが彼の情報だった。

 

そんな相手が私たちの部隊までやってくる。

そう聞いた瞬間驚いたものだ。

 

楽しい遊び相手が増える、とハンナに言われたときにはあきれた顔をしたが。

 

仕方がないじゃないか。

男で我々ウィッチと同じようにネウロイと戦っているやつなど今まであったことないのだから。と彼女は言っていた。

 

 

酒場でハンナとともに酒を飲み続ける。

私は軽いサワーやビールなどが好きだが、彼女は度数が強いのが好きだという。

なんとも好みが違うものだ。

 

おつまみのウィンナーをフォークで串刺しにして、かぶりついている。

サラダもバランスよく食べて、栄養補給する。

 

次にアルコールを流し込み、堪能する。

これ以上もなくおいしそうに飲み食いしていた。

 

「うまーーーい!!」

「もう。飲みすぎだよ・・・。」

おつまみの方を食べて、酒はちびりちびりと飲む私。

「何だ。もっと飲めばいいのに。」

そういわれてため息をつく、

 

「私はそんなお酒が強い体質じゃないから。ハンナは強いけど。」

「そうか?まあ、あまり悪酔いしたことはないな。」

思い出そうとしても特に記憶にないので、本当い酔いつぶれたことはないのだろう。

 

店員に注文を新たに頼み、待っている間にハンナと話す。

 

すると、最近部隊の間で話題になっていることについて話を振られる。

 

 

「ところでだ。今度私たちの部隊に来るやつのことを知っているか?」

その言葉を聴いた瞬間、体がざわつき始める。

 

例の賞金稼ぎ。

ずっと長年の間賞金首をとり続けて、活動しつづけている実力者。

重い口を開けてしゃべりだす。

 

「・・・・・・・例の賞金稼ぎの人?」

「ああ。」

 

嬉しそうにそういう彼女とは対照的に、私の心は暗い影が差し込んでいた。

裏社会で、もう何年も前から賞金首を捕まえて、生きているという男性。

噂ではネウロイを単独で撃破したとかいう話もチラホラ出てきている。

眉唾物だと断じて、まともに聴いていなかったけど。

 

でも、目の前にいる彼女は何かを期待しているようだ。

 

「一体どんな奴なんだろうな!早く戦ってみたいぞ。」

「ハンナ。あくまで協力者であって敵ではないんだからね?」

好戦的な態度をとるハンナに釘を差す。

 

戦闘狂の気がある彼女は時々こうして獰猛になる。

冷静なままだから余計に怖い。

 

「大体、ウィッチでもない人がネウロイを一人で倒したなんて信じられないよ。」

「まあ、私たちぐらいしか魔力を持っているやつも、例の空を飛ぶための機械も使えんからな。」

 

ストライカーユニットをつけて、空中飛行できるのはウイッチのみ。

それに、空を飛べたとしてもネウロイにダメージを与えられるほどの攻撃手段を持っているとも考えにくい。

やはり、どこからか飛び出してきたデマだろう。

噂というのはされている本人のあずかり知らぬところで大きく脚色されていくものだ。

 

「ああ、そういえばそいつの名前は何だっけ?」

「たしか・・・・・」

 

私が名前を言おうとした瞬間、酒場に怒号が響く。

「ああ?!今なんて言った?!」

大きな巨体の男がマスク姿にアーマーを着こんでいる男性に詰め寄っている。

その後ろではウェートレスが顔を青くさせて怯えている。

 

 

何があったのだろうか。

 

「聞えなかったのか?でくの坊。発情した犬じゃないんだからそのうすら汚い手を引っ込めろといったんだ。」

「てめぇには関係ないだろうが!!」

 

どうやら大男の方が女性の体を触ったらしい。

 

それをマスクの人が止めて、男は逆上したというところか。

見下した笑みを浮かべてマスクさんの胸倉をつかむ男。

 

「喧嘩が弱そうななりして突っかかってきてんじゃねえよ!!」

男が大きな丸太のような筋肉に包まれた腕を振り下ろす。

 

思わず小さな悲鳴を上げてしまう。

スプラッタなシーンが出来上がる

 

そう思っていた瞬間。

 

マスクの人の背中のジェットが点火して、その場でバク転をする。

 

その際に両足で大男の顎を跳ね上げ、衝撃でふらついた大男が膝をつく。

 

何が起きたかわからないといった顔つきで彼の方に目を向けている。

口を切ったのか、血を垂れ流している。

 

「て、めえ・・・。素人じゃねえな・・・。」

「気づくのが遅いんだよ。」

 

すぐに立ち上がり、ファイティングポーズをとる大男。

両の手から拳のラッシュが叩き込まれる。

 

どうやらボクシングの構えのようだ。

 

「オラオラオラアアアッ!!」

 

両手を交差させてガードするマスクの人。

しかし、体重がしっかりと載っているであろうパンチの嵐に弾きとばされる。

地面へと倒れ込む。

 

そのうえにまたがり、マウントをとる男。

「へっへっへ。俺は元プロボクサーさ!!」

「なるほど。つまり才能がないからやめたんだな、そりゃこんなごろつきが世界チャンプになれるわけもないか。」

「んだとぉっ!!よけられねえその状態で粋がってんじゃねえ!!」

 

右ストレートがマスクの人の顔面に振り下ろされる。

 

「お前の負けだ。」

そういってジェットを点火して、抜け出す。

ジャンプして、巻き込まれないように避ける大男。

どうやらさっきの蹴りを食らって警戒していたらしい。

 

「何度も引っかかるかよ!!間抜け!!」

「そうだな。何度も同じ手ばかりを俺が使うと思っていたお前はアホだけどな。」

 

そのまま後ろを向いてジェットパックで酒場から飛び立ってしまう。

「やろう!!にがす・・」

 

か、と男がいうこともなく。

 

私たちの前から姿を消してしまった。

 

消してしまったというよりは、何かに引っ張られ言った感じだ。

 

酒場には静寂が広まった。

 

すごい。

 

それしか言いようがなかった。

 

隣では、ハンナがもってきていたストライカーユニットをつけている。

 

何やっているの?!

 

「ちょっと行ってくる。」

 

そういって先ほどの彼と同じように消えていってしまった。

 

口をぽかんと開けて、立ち尽くす私。

 

あれ、というか。

 

「あの人ってもしかして・・・」

渡されていた資料を見る。

近日中にやってくるという例の協力者の詳細情報が載った文書を。

その写真に写っていたのは、先ほど大男と立ち回りを演じていたあのマスク姿の人だった。

 

・・・・・・・・・・・

 

 

空中引きずりまわしの刑に大男を処した。

俺がマウントを取られているすきに、相手の足にワイヤーをつけておいた。

あとはジェットパックを起動して、遠くに行こうとすればやつも引っ張られて引きずりまわされるというわけだ。

その姿は保安官に首縛りにされる、荒野のガンマンの様だった。

 

最後は、「わかった!!俺がわるかったあああああああ!!」と言って涙と鼻水を流しながら許しを懇願してきたので、地面に下ろしてやった。

えっぐえっぐと子供みたいに泣きはらしていたので、スレーヴⅠにある俺の宝物をやって、「もう二度とやるなよ。俺以上に強くて容赦がない奴は裏社会でいくらでもいるんだからな。」と言って忠告しておいた。

 

「へえ!!故郷に帰って真面目に商売します!!」

といって帰っていった。

どうやら戦争が原因でボクサー生命を絶たれてやけっぱちになったのだという。

その話を聴いて、日本食もおまけに渡しておいた。

 

やるせないな、と思いつつも一歩間違ったら自分もすぐに廃業だということを思い出して気を引き締める。

 

他のウィッチ達の部隊がいるところに期間限定で協力にやってきた矢先にトラブルに巻き込まれるとは。

明日会うやつらは一体どんな奴らなのか。

宮藤やサーニャのような天使はいるのか、と思いつつスレーヴⅠに乗り込む。

 

運転席に座り、スイッチを入れようとすると気配を感じる。

和室の方を見ると。

 

金髪ロングの美女が横に寝転がりながらせんべいを食っていた。

 

 

・・・・・・・・・・・

 

 

「ちょっと休憩しないか?」

「ああ、そうだな。」

 

そういって歩き続ける俺たち。

あの衝撃の出会いからまさかこうして二人っきりでデートする仲までなるとは。

人生とは何があるのかわからない。

 

近くにあるカフェに入る。

中は明るく、運がいいことに空いていた。

奥のキッチンからはいい匂いが漂ってくる。

 

「メニュー表これか。えーと何々・・・。カップル割引・・・?」

そうつぶやいたときにしまった、と思った。

 

 

空いていると思ったら、カップル用の料理店じゃないか。

どうやらそういった男女が訪れる場所らしい。

思わず顔に手をやり、やらかした、と後悔する。

 

メニュー表に書いてある料理に釘付けになっているハンナ。

 

「カ、カッップル限定ラブラブジュースだと・・・?こっちは愛すくりーむ・・?」

顔を赤らめて恥ずかしがっている。

ちょっと刺激が強すぎたか。

そっと彼女に耳打ちする。

「・・・・でるか?」

 

そう彼女にささやくと、首を横にぶんぶん振る。

「いや!!ほ、ほら!!せっかく入ってすぐに出て行ってしまうのも行儀が悪いしな!!うん!!仕方がなくだ!!仕方がなく・・・。うう・・・。」

 

最後の方は蚊が泣くような声でそう主張する。

無理すんなよ、と思いつつも、とりあえず軽いジュースから頼むことにした。

料理を待つ間彼女と出会ったときのことについて話していた。

 

「俺たちが初めて出会ってからもう結構経つのか。早いな。」

「ああ。初めてお前を酒場でみかけた時は怪しいマスクの男がいる、と正直警戒したぞ。

そのあと大男を喧嘩で倒して改心させてしまったのには笑ったがな。」

「ああ、あいつか。今じゃ企業の社長だからなぁ。時々お礼とか言っていろんなもん送ってくるんだけど、食べきれないからみんなで分けててな・・・・。」

 

なつかしさに包まれる。

この世界に来たばかりの時はここまで多くの人間と知り合うことになるとは思いもよらなかった。

それまでずっと一匹オオカミで生きていただけにギャップの激しさに当初は困ったものだ。

 

 

「そういえばお前、あの時どうやってスレーヴⅠに乗っていたんだ?」

「お前をつけていたあとに、近くに何かあることに気が付いてな。」

さらっととんでもないことを言う。

簡単そうに言っているがすさまじいことだ。

夜の闇に紛れた擬態させてあった船を発見するなど、頭だけでなく勘がよくなければまずできない。

 

改めて彼女のスペックの高さに驚かされる。

 

「操縦席に座って、さあ、出発だ。と思っていたら後ろにせんべい食っている女がいるとかホラー以外の何物でもないぞ。」

「昔のことだ。もう時効だろ。」

全く反省した様子をみせない。

 

このじゃじゃ馬め。

 

頭に手を置き、髪をわしゃわしゃと撫でる。

「や、やめろ!!私は犬じゃないぞ!!」

「なら尻尾をぱたぱたと振るのをまず辞めるんだな。」

 

わかりやすい奴だ。

そうこうしているうちに、頼んでいたジュースがやってきた。

店員さんが俺たちふたりの間にそれを置く。

「お待たせいたしました。」

では、ごゆっくり。

 

そういって生易しい目を向けて微笑みながら奥の方に引っ込んでいた。

 

俺とハンナの間に置かれた大きなジュースのグラス。

 

ストローは二本差してある。

 

ただし、真ん中でハートマークがつくれられるように絡めてある。

 

べたすぎて笑えもしない。

「飲むか。」

 

そういってのんでみる。見た目とかはともかく味はおいしかった。

 

しかし、ハンナは耳まで顔を赤らめながら凍り付いている。

やっぱり恥ずかしいか。

 

「無理しなくてもいいぞ。俺が全部飲むしな。」

 

ちゅーちゅーとストローで吸っていると意を決して覚悟を決めたのか、彼女がストローに口をつけて、吸い始める。

 

まさか乗ってくるとは。

 

これ、浮気じゃないよな?

 

頭の中で宮藤がにこり、と包丁を構えながらこちらを見つめる姿を幻視する。

 

俺が冷静じゃないのは喉が渇いているからだ。

そう考え、無心に飲み続けた。

 

 

店の中にほかの客がいなかったのが唯一の救いだった。

 

・・・・・・・・・・・・・

 

「なんだ?お前は。」

「酒場で酒を飲んでいたら面白そうなやつが暴れていてな。こうして追いかけてきたというわけだ。」

 

せんべいを食べるのをやめないで話し続ける女。

どこから取り出したのかおいしそうに食べている。

ああ、それは俺のお気に入りの・・・。

 

「そうか。さっさと出てけ。帰りはあっちだ。」

出口の方を指さして、帰れ、と告げる。

住居不法侵入だ。得体のしれない相手をいつまでもおいておくつもりはない。

お帰り願おう。

 

すると、不敵な笑みをうかべたブロンドの女がこれ見よがしに見せつけてくる。

「これ、なんだ。」

 

その女が持っていたのは俺の秘蔵の塩せんべいだった。

 

これは扶桑皇国で見つけた限定生産品の絶品の菓子である。

 

船の船底部に隠しておいたのに。

 

「返してほしければ力づくで奪うんだな。」

 

そういって船から飛び出していく。

 

逃がすか、と思い外に出るとそこには

 

見慣れた物をつけていた女が空を飛んでいた。

 

「自己紹介くらいしておこうか。私の名前はハンナ・ユスティーナ・マルセイユ。

ごらんのとおりウィッチだ。貴様も空を飛べるのだから卑怯とは言わんよな?鬼ごっこといこう。夜明けまでに私を捕まえて見せろ。」

 

舌をだして挑発してくる女。

すぐに逃げ出していく。それを追撃する。

 

ある程度飛んでいると、森林地帯のような場所につく。

 

気が付くと、女はどこかに消えていた。

 

上から見下ろす。

 

どうやらこの夜の闇に紛れてやり過ごすらしい。

 

したたかな女だ。そう考えていると、自分の考えが違ったことに気が付く。

 

下の方から狙撃をされる。

紙一重でかわす。

正確無比な射撃であり、相当の腕前であることを伺わせる。

普通、スナイパーは位置を特定されてしまうので、混乱やほかの支援部隊と並行して戦うのが定石だ。しかし、やつには地形が味方している。

 

やつからは俺が見えるのだろう。

しかし、俺からは暗すぎで見えない。

 

さっきやつがどこから撃ってきたのか大体の位置はわかっている。

だが、すでに移動しているだろう。

 

別の場所が発砲によって光る。

 

それを合図に避ける。

 

飛んでいては不利なことを悟り、地面に降り立つ。

 

ブラスターガンを構えて、警戒を行う。

 

戦いはここからだ。

 

 

・・・・・・・・・・

 

(あいつ、やるな。)

銃に次の弾丸を装填しながらそう考える。

先ほど相手がとった回避行動を思い出す。

かなり機敏な動きだった。訓練していなければそうそうあそこまで動けないだろう。

判断も早い。

 

空を飛んで、上から見ていても状況はわからない。

ただの的になるくらいなら降りてきて戦おうというのか。

 

狙撃銃だけでもなく、ほかの銃も準備して使えるようにしておく。

 

面白くなってきた。どうやらそこらへんの雑魚とは違うらしい。

 

だが勝つのはこちらだ。

 

「さて、ぐずぐずしていると夜が明けてしまう。終わらせるか。」

 

 

・・・・・・・・・・・・・

 

如才なく、ブラスターガンを構えながら闇の中を歩く。

片目を閉じて暗闇に慣らしておいたのでよく見える。

 

ひたひたと歩を進めていると、後ろから狙撃される。

ジェットパックに穴を開けられ、燃料が漏れてしまう。

やられた。

 

これでこちらはもう飛べない。

機動力を大きく奪われた。

 

弾丸が飛んできた方向に向けてブラスターガンを連射する。

 

木をなぎ倒していくが、相手の姿は一向に見えない。

 

どこに行ったのか。

 

「ここだ。」

 

そういうと真上から声がする。

 

 

上を向くと、ストライカーユニットをつけたやつが飛んでいた。

 

「これで空は飛べないな。せいぜいそこで夜のピクニックを楽しむんだな。」

じゃあな、と言って飛び去ろうとする。

人のせんべいをみすみすと取らせてたまるか!!

 

「逃がさん!!」

そういって腕からワイヤーを射出する。

 

相手の体に絡みつき、もつれる。

急激に重くなってバランスを崩すも、なんとか持ちこたえて飛び続ける女。

ワイヤーを上まで戻していき、相手の腕をつかむ。

 

「なっ!!!離せ!!変態!!」

そういって足でこちらを蹴落とそうとしてくる。

脚の方についているストライカーユニットのプロペラが頭をかすめる

危うく首を撥ねられ死にそうになる。

「あっぶね!!誰が変態だ!!」

ここで落ちてたまるか。ジェットパックが故障しているんだ。

墜ちたら死ぬ。

必死にしがみつく。なおもけることを辞めてこない相手。

どうやら意固地になっているようだ。

 

「クソっ!!だったら望み通りつれていってやろう!!」

そういうと高く高く急上昇していき、様々な軌道を取り始める。

ジェットコースターのようならせん状の動きに目が回ってくる。

 

ここまで激しいアトラクションはアメリカに行ったって乗れないだろう。

ルッキーニやスピード狂のシャーリーあたりなら喜びそうだ。

 

「しつこいぞ!!痴漢!!」

「だったらお前の負けを認めろ!!痴女!!」

「だれが・・・!」

 

言い合いをしていて気がつかなかった。

目の前に大きな壁が迫ってきていることに。

あわてて警告する。

 

「おい!!前だ!!前を見ろ!!」

「へ?」

 

女が気が付いて、回避行動をとる。

しかし、よけきれずにぶつかってしまう。

それはつまり

 

「おいおいおいおいおい!!マジかよ!!!」

空中に投げ出される俺と女。

 

手をしっかりとつないでいるが、俺は空を飛ぶための装備使えない。

女に呼びかける。

「おい!!早く体制を整えろ!!死ぬぞ!!」

しかし、返事はなかった。

顔をよく見ると、眠ったように目をつむっている。

女は気絶していた。

 

俺のジェットパックは穴が開いていて今は使い物にならない。

下には結構な距離がある。

洒落にならない。

 

覚悟を決める。

女とつないでいる手を引っ張って、引き寄せて抱きしめる。

自分が下になるように体の位置を調整し、女を上にする。

 

 

空中を落下していく俺と女。

 

(とんだ厄日だ。まあ、悔いはないな。)

 

 

最後にふっと自嘲気味に自然と笑みがこぼれてきた瞬間。

 

大きな衝撃が体を襲い、俺は意識を失った。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

「う・・・・。」

痛む体を抑えて意識を覚醒させる。

どうやら気絶していたようだ。

 

「一体何が・・・。」

男と追いかけっこしていて、それから・・・・。

壁にぶつかってそこからの記憶がない。

それならば自分は墜落して死んでいたはずではないのか。

 

何かあたたかいものに包まれている。

瞼を開けて状況を詳しく確認する。

 

そして、気が付く。

 

 

自分が先ほどまで追いかけっこしていた相手に抱きしめられていた。

 

「なあっ!?」

じたばたともがく。

すると、腕の拘束はいともたやすくほどけてしまう。

なぜ自分はこの男に抱きしめられていたのか。

 

自分はこの男の上に乗っかっているのか。

 

男に呼びかける。

 

「おい。」

しかし、返事はない。

 

様子がおかしいと思い、ゆさゆさと揺らす。

 

「おい。起きろよ。」

目を覚ます気配は一向にない。

まさか、私をかばって?

 

なぜ?

 

「ふざけるな!!こんなところで死ぬのは許さんぞ!!」

せっかく面白い相手を見つけたのだ。

ずっとずっと退屈だった時間を楽しいものにしてくれるような相手を。

それをこうも簡単に失ってしまっていいはずがない。

 

必死に呼びかけても男は動かない。

 

マスクを外す。

頭から血を流している男の顔が見える。

 

胸の動きを確認する。

 

上下に動いていることからどうやら生きてはいるようだ。

 

通信機を取り出して、仲間に連絡を取る。

 

「ライーサか!!?私だ!!ハンナだ!!」

 

男を助けるために。

 

 

・・・・・・・・・・・

 

 

俺が次に目を覚ましたのはベッドの上だった。

その時には、ハンナが俺の手を握りながらこっちをじっと見つめてきていて悲鳴を上げそうになってしまった。

俺が起きたことに気が付いたハンナが飛び掛かってきて、折れていた骨が痛み、苦しみにうめいたのはいい思い出だ。

 

カップルけいの料理をすべて食べ終えた俺たちは、今、通りを歩いている。

 

横にいるお姫様はどうやらご機嫌の様だ。

しかし、いつもはラフな格好をしていた彼女だが、ちゃんとめかしこむとここまで光るとは。

かなり整った顔立ちをしているのはわかっていたが、予想以上だった。

 

「次はどこに行くんだ?」

楽しそうにそう聞いてくる。

 

彼女が前にどうしても行きたいといっていた場所に呼ぶことにした。

 

街のはずれに来て、それの前に並び立つ。

 

見慣れた愛機がそこに止まっていた。

 

「これは・・・・。」

彼女が目を輝かせてそれを見る。

スレーブⅠ。俺の相棒だ。

 

彼女の手を引いて中に入っていく。

 

「ハンナはこの中に入ってみたいって前言っていたろ?今日は特別だ。」

「ほんとか?!」

 

危ないものはすべてしまってある。

大丈夫だろう。

畳の上でごろごろとしながら寝転がる彼女。

 

「ああーーー。これいいなーー。」

猫みたいにころがってくつろいでいる。

何というか自由だ。

変わらないな、と思っていると手招きされる。

どうした、と近くまで近寄ると、腕を引っ張られて一緒に寝転ぶ。

 

仰向けに転がっているこちらの上に乗っかって首元にしがみついてくる。

「ふふふ。どうだ?たばこをやめたぞ。お前が好む匂いの香水をつけてある。」

悪戯じみたあどけない笑みを向けてくる。

 

どぎまぎしながらも彼女の頭に手を置き、優しく撫でる。

目を細めて嬉しそうに受け入れている。

 

宮藤。ちょっとやばいかも。

心の中でそう謝っていると、指をかぷり、と噛まれる。

 

「今、他の女のことを考えていたろ。私だけを見ろ。」

マスクをつけていないのがあだになるとは。

 

そして、別の部分も噛もうと口を開けて、

 

 

彼女の体が止まる。

 

「・・・・・・これはなんだ?」

そういってその部分を差し示す。

そこには、先日サーニャによってつけられた歯形が残っていた。

 

首元のその噛み傷を指でなぞり、刺激してくる。

くすぐったさと、じれったさで身をよじる。

 

「今日は私の部屋に泊まれ。いいな?」

「いや。それは・・・」

そういって戸惑っていると、サーニャがつけた箇所とは別の部位をかんできて、首元に歯形をつける。

心なしか怒っているように見える。

 

「色男。節操なし。もっとマーキングさせろ。」

そのまま彼女が飽きるまで、じゃれつかれ続けた。

 

 

 

 




ハンナ・ユスティーナ・マルセイユ
面白そうだと思い、ボバにちょっかいをかけてきたウィッチ。
スーパーエース、エーリカに比肩するほどの実力を有する。
ライーサと仲がいい。性格は破天荒。しかし、基本的には優しく、タフな人物である。

彼との鬼ごっこで、狡猾に立ち回り、執拗に追い詰めた。
しかし、勝利を確信したところで体にワイヤーをつけられ、むきになって振り落とそうとしていたところを障害物に激突。墜落する。
目を覚ました時になぜ、自分が無事だったのか自分を強くだきしめていたボバの姿を見て悟る。ライーサを呼んで、彼を病院まで連れて行き、治療を受けさせた。

死んだように眠る彼の横顔を見ながら手を握って必死に声を掛け続けた。

命を助けておいて、勝手に死んだら怒るぞ、とかなんとか。

その出来事から、彼のことを気にかけ始める。
模擬演習では、彼に構ってほしいといわんばかりに勝負を挑み続ける。
食堂では常に隣を座る、彼が寝ているすきにベッドに入り込むなどやりたい放題。

夜中に彼がスレーヴⅠで他の場所で寝るようになってからは寂しいとかなんとか。

彼が夜の店に通っているという噂を聴いて、私には女としての魅力がないのか、と落ち込んでえぐえぐと泣いていた。

でも、心配してわざわざ来てくれて嬉しくなり、元通り、というかそれ以上に元気いっぱいになった。もらったユリの花言葉に気が付いて、顔を火のように燃えあがらせた。

ウィッチをそろそろ退役したら、彼と一緒に世界を周りに行きたい、と思っている。

ライーサ・ベットゲン

ハンナと同じ部隊所属のウィッチ。性格は穏やか。しかし、正反対に芯の強さも併せ持つ。
酒場にいたときにはボバのことがわかっていなかったが、彼とハンナがでていってから気が付き、呆然とする。
そのあと、ハンナからSOSの連絡を受けて複数のウィッチとともに急行。

倒れ伏す彼と、泣きそうな顔の彼女を見て、何があったんだろう、と戦慄しながらも救援する。

彼の得体のしれないような部分を見て、敬遠していたが、全幅の信頼を寄せるハンナと、彼の人柄に触れ、距離は縮まっていく。

彼が自分をかばって墜ちていったときには一番取り乱した。
その後、ボロボロの姿となりながらも生還を果たした彼の姿を見て、何かが胸の奥で芽生えたことを自覚する。

淡いそれは、時を経つごとに大きく、無視できないものになっていき、とうとうそれに気が付く。
そうなってからの彼女は彼を自然と目で追うようになった。

ハンナが彼から受け取ったトランシーバーをちゃっかり回収しており、
毎日彼と二人っきりで話すために使っている。

虎視眈々と目立たずに狙う伏兵が勝つのです、という策略家を自称。


エーリカ・ハルトマン
ストライク・ウィッチーズ部隊のスーパーエース。
純粋な実力なら最高クラスのウィッチ。
性格はずぼら。上官命令で厨房に立つのを禁じられるほど家事ができない。
というかできるのだが本人にやる気が無い。

出会った当初は彼と距離を置いて眺める程度だったが、他のみんなが信用していく中で自然とその中に溶け込んでいった。

扶桑皇国で彼が手に入れたというきれいな赤のかんざしを受け取ってから、様子がおかしくなる。
自分の汚部屋をタイミング悪く覗かれ、本気で落ち込む。
次の日から家事を自分でやるようになり始めたエーリカの姿に、同室のバルクホルンは本気で心配していたという。

彼になぜ戦うのかを聴いたときに、頬を搔きながらも「ある女のために戦っている。」
と言われる。

その言葉を聴いたときに感じたことは、いいな、という羨望であった。

ふだんは飄々としていて、自然体な彼女だったが、徐々に彼に執着を見せ始める。

わたしはスーパー・エース。撃墜できないものはない、と本人は豪語している。

誰を撃墜したがっているのか。

退役したら、幸せなお嫁さんとして家庭を持つという誰にも言わない乙女らしい願望を持っている。

ウルスラという双子の妹がいる。

大男
ボバに叩きのめされ、もうこりごりだ、と思い故郷に帰って復興に力を注いだ。
その後、地元の経済復興のために会社を立ち上げ、一代で大企業へと成長させる。
ボバと再会した時には、お互いに笑って秘蔵の酒を共に飲んだという。

のちに、女性から追われ続ける彼が助けを求めてきて時には二つ返事で了承した。

酒場でのエピソードを笑って話せるほど、ボバと仲が良くなる。

いい思い出だとか。

次回「賞金稼ぎは女性関係に気を遣う。」


あれ?タイトルが不穏になってきたぞ。

KEY(ドM)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。