ボバ・フェット(偽)はウィッチとともに空を飛ぶ   作:KeI77777

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感想返し

Qうむ…いい
ただ感想書くと本文で返信されるのはちょっと腰が引けるw

Aこればっかりは楽しみで。
読者とのラジオでのお便り返しのようなこの時間が大好きです。

Qボバ・フェットの偽者……ジョドー・カストかな?

A調べてみたら原作のコミックスで彼の名前を騙った同じような偽物がいたんですね。
初めて知りました。驚きです。

Qボバのメインブラスターは
EE-3ブラスターライフル、スターウォーズのPS4版ゲームでは3点バーストの中遠距離用、他にもあるんですが大まかに、
スレーブIのは一対の回転式ブラスターキャノン、震盪ミサイル発射管、イオンキャノンなどの武装が追加されてます、PS4版ゲームでは敵にロックオン出来なくさせるジャミング装置なども搭載され、何というかロマン溢れる機体で、ボバも好きですが同じくらいにデンガーも好きです。
更新、お待ちしております。

Aいいですよね。スレーブⅠの武装は調べてみたらかなり高性能でもともとは別の船を魔改造してあれだけの性能にしたというロマン設定ですね。
何だかミレニアム・ファルコンみたいな。
デンガーはスピンオフでサーラックの胃の中に入ったボバ・フェットを助けた相手だそうですね。しかも本人もかなり強いみたいですし。
全身武器庫みたいな装備ですよね。

Q3話目投稿お疲れ様です!!
シャーリー早くこないかな・・・

Aシャーリーかわいいですよね。
今回、要望があったので追加でちょっとだけ書いておきました。


前回のアンケートでは多くの声をいただきありがとうございました。

この作品を一味違うものへと差別化するために参考にさせていただきます。

あと、単純に声をもらえると嬉しいです。


KEY(ドM)


賞金稼ぎは現状に絶句する。

彼女の手を取り、月がよく見える場所までやってきた。

エーリカのきらびやかな金色の髪には先ほどつけてあげた黒色のかんざしがついている。

 

月を前にして月並みな言い方をすることになるが、きれいだ、とため息ばかりが漏れる。

まるで、別の世界からやってきたお伽の国の人間みたいだ。

 

意識すると体がそわそわしてくる。

自分から誘ったことだが、人間関係を円滑、円満なものにするためとはいえ、二人っきりというのは多少緊張する。

 

初期の彼女へのだらしのない人間という印象を持っていた時ならともかく、今の俺は彼女の魅力的な部分を100個上げろと言われればその3倍は言える。

 

あとは、彼女に姿がどこか似ているのも心が揺れ動く原因なのだろうか。

 

手を握りながら、山のてっぺんの上のシートをしいた場所に座ってともに満月を眺める。

雲一つない明るい輝きを放っており、すこし眩しいくらいだ。

 

そういえばこういう時に言う言葉があったような。

 

いや、言うべきなのだろうか。エーリカがもし知らなけらば意味がないし。

 

うんうんとうなっているとほっぺたをつんつんと突っつかれる。

 

「あはは。変な顔―。」

そういって面白そうにはにかむ彼女。

 

きっと今の自分の顔はタコみたいに崩れてひどいものになっていることだろう。

エーリカが笑っているならなんでもいいか。

 

そう思うとこちらもおかしくなってきて笑ってしまう。

 

二人して、そのまま笑いあった。

 

 

・・・・・・・・・

 

難しそうなことを考えているような彼の顔を指先でつん、つんとさす。

むにゅ、むにゅと指先に肉の柔らかさが伝わる。

 

あっけにとられた間抜けな彼の顔。

戦士としてのこの人の姿を見ている私たちからすれば信じられないほどにギャップを感じる。

 

はじまりは、最低で、お互いに興味も抱いていなかったのに。

 

私の想い違いでなければ徐々に心の距離は縮まっていって。

 

彼があの娘のことを好きなのは皆、知っている。

それを知ったほかの娘は様々な反応をしていた。

 

諦めようかな、という人も、二番でもいいからそばにいたいという人も。

それぞれがそれぞれのありかたを探っていた。

 

私といえばそれを聴いてもあきらめる気には不思議とならなかった。

 

ある意味、一番彼と距離が近く、気楽な関係を築けているという自信があるからだ。

 

何でも適当で、才能はあって、大抵のことはすぐにこなして、すぐに飽きていた私。

でも、恋愛は違った。

 

彼は何というか、不思議な人だ。

 

きっとほかの人が見れば、不潔か誠実のどちらかの印象を彼に持つだろう。

 

決して最後の一線を越えようとしてこないところに安心と不満を感じる。

確かにウィッチがそういうことをしたら魔力を失うというのはよく言われたことだ。

 

でも、私としてはそれさえ破って一線を越えてほしいとも思う。

 

そんな情熱的というか、身も心も搔っ攫われてみたいというか。

 

気持ちや想いというのは自覚すると恥ずかしい。

 

風が吹く。

先ほどまでは雲もたいしてなかったのにいつの間にか月を覆ってしまっている。

随分長い間彼と一緒にいたらしい。

 

彼のコートに身をうずめる。

 

「寒くなってきたし、そろそろ帰ろうか。」

「・・・うん。」

 

彼が私の手を取って立ち上がらせる。

 

そう答えるが本当は逆だ。

あと少しくらい一緒に居たい。

 

そうしたら朝帰りでみんなからどういう風に見られるんだろう。

きっと恋人同士かどうか噂されるに違いない。

 

ストライク・ウィッチーズのみんなはどう思うんだろう。

 

すぐ隣にあるのに手が届かない存在。

妹にも見透かされてからかわれたが、何だか不思議な感じだ。

 

もう一度彼のコートに体をうずめる。

彼の匂いに包まれて、幸せな気持ちになる。

 

(もうちょっとだけ・・・・・)

彼のコートに体を擦り付けてマーキングしておく。

 

ミーナ達は首輪をつけようか、なんていっていたのをちゃっかり聞いちゃったけど、それよりはこうしてほかの女がすり寄ってこないようにした方がいいような気がするからだ。

 

もし、彼とそういうことになったとしても他の女の匂いを感じたら離れていくだろう。

 

意趣返し。

今日はドキドキさせられっぱなしだからお返しに。

 

 

・・・・・・・・・・・・

 

「あ、あれ?やつは?」

「どこかに行ったけド」

 

そんなぁ、とがっくりうなだれる料理を作っていた三人。

おいしそうなものばかりであるその様子から、気合を入れて作ったのであろうことが想像に難くない。

食べてもらおうと思っていた相手がいなくなるなんてどれだけ熱中していたんだか。

 

隣にいるサーニャは何かを感じているのか、ぼーっとしている。

眠いのだろうか。

「サーニャ。大丈夫カ?もう寝るか?」

「ううん・・・・。もうちょっと・・・。」

 

そうはいっても眠そうである。

ここまでして何を待っているのかはわからないが、そっとしておいた方がよさそうだ。

三人がうなだれて、ちゃっかり作った料理をつまんでいるテーブルまで行って慰める。

ほおっておくと明日までもつれそうだからだ。

 

「おいおい、さっきエーリカに夜食は太るっていっていたじゃないカ。」

「ちゃんと運動しているから大丈夫だ。」

 

それは太る人の言い方のような気がするが。

なんでこうもみんなあいつにぞっこんなのか。

・・・・・・・・まあ、わからなくはないが、とっかえひっかえに見えるような軽薄な女性関係は私には理解できない。

 

そういうのはもっと清い付き合いからだと思う。

 

あったかいスープをずず、と飲んで管を巻いている三人。

「なあ、最近お見合いの勧めとか来たか・・・?」

もっさんのそんなぐちりを聴いてぴしり、と固まるミーナ中佐とバルクホルン大尉。

何でもないように振る舞っているが少し体が揺れているように見える。

そこまでショックなのだろうか。

よくわからない。

 

「同じく・・・。」

「私も・・・・。引退後は儂の愛人にならんかっていうお誘いがひっきりなしでね・・・・。」

年齢的にはいつ引退してもおかしくはない三人だ。

 

今すぐというわけでもないが、いずれ来るその時を狡猾に待って、今のうちに唾をつけておくつもりなのだろうか。

何気なく聴いてみる。

「皆はそういうの嫌なのカ?」

 

「「「絶対いや!!!」」」

 

まさかのハモり。

顔には嫌悪感が浮かんでいるところから本当に嫌だと感じているらしい。

まあ、親子ほど年が離れたおっさん相手の愛人とか財産目当てでもなければならない、よナ?

 

「いくらお金を積まれても嫌なものはいやよ・・・・。やっぱり恋愛結婚に憧れるし・・。」

「笑われるかもしれんが私もだ。自分が見染めた相手がいい。」

「私もそうだな。まあ、私と腕相撲してもかてるくらい骨がある男なら。」

 

最後の意見に突っ込みそうになる。

怪力の魔法持ち相手に勝てるわけがない。

 

椅子にせもたれて、天を仰ぎ見る。

 

ん?おっさんがいやってことは、あいつもそうなのカ?

少なくとも30代だったような気が・・・・・

 

「なあ、あの女ったらしも少なくとも30代くらいのおっさんだけどそれも嫌なのか?」

 

それを聴いてまた固まる三人。

 

あ、あれ?私は別におかしなこととか言っていないよナ?

ナ?

 

近くにいるサーニャを見ると、あちゃー、という顔をしていた。

な、なんダ?

 

先ほどの空間と打って変わって、肌がぴりつくような威圧感。

 

さっきあのあほが食堂に来るまでに三人が通信していた時のような感じだ。

獲物を前に舌なめずりをする動物のような、そんなプレッシャー。

 

ミーナ中佐が口を開く。

「ま、まあ、そういうことになるかもしれないわねー。・・・・二人は自分が認めた相手としかそういう関係になりたくないみたいだけど。」

「なっ!?わっ、私は自分が見染めた相手といったぞ!!別にバルクホルンのように腕っぷし云々は言ってない!!」

「ええっ?!おいおい、言葉の綾だ!!冗談だ!!冗談!!・・・・・・・あいつはべつだし・・。」

 

女三人寄れば姦しいという言葉の通りにとても騒がしくなる。

よくもまぁここまでわかりやすい反応をするナー。

 

また扉が開く。

今度は誰だ?と思ってそちらを見ると、

 

驚愕の表情に顔をゆがめた宮藤が立ち尽くしていた。

 

 

・・・・・・・・・・・・

 

「み、宮藤・・・?起きていたのか?」

 

自分の部下である、宮藤芳佳。

優しさと、戦士としての強さを併せ持つ自慢の戦友だ。

彼女の治癒魔法に何度お世話になったことか。

 

いつも彼女は優しい。よく笑うし、よく泣く。

人一倍表情、感情表現が豊かと言える。

 

しかし、今の彼女はどうだろうか。

 

これ以上もなく無表情に顔色を染めている。

 

何というか、目がちょっぴり据わっているというか。

こちらのテーブルにやってくる。

 

「何のお話ですか?」

「い、いや・・・・。」

 

バルクホルンとミーナに助けを求めて振り返ると。

 

 

サーニャとエイラがいるテーブルまで避難していた。

両手を合わせて口パクでごめん、と言っているのが見えた。

 

正直きまずいというレベルじゃないんだが。

 

知り合いの男をめぐって痴話喧嘩なんて洒落にならん。

 

ごほん、と咳ばらいをして心を落ち着かせて向き直る。

私の正面の席に座る宮藤。

 

大丈夫だ。いくつもの死線を潜り抜けてきた私なら。

それに、今まではぐらかしてきたが、そろそろ真向から問いただしてもいいと思っていたところだ。

 

こちらから口を開いて問いかける。

「彼のことに関してだ。」

 

へえ、と短く答える宮藤。

いい気はしないだろうな。

 

「はっきり言おう。彼と付き合っているのか?隠しているだけなのか?」

「付き合っては・・・・。・・・・・私は結婚を考えているくらいですけど・・・・。」

 

少し自信なさげに言葉を発する。

やはりそうだったか。わかり切っていたがこうして確認してみると少し辛いものがある。

 

そこまで強い想いを抱いていたとは。

やはり一番の要注意人物に他ならない。

 

料理のうまさもさることながら芯が強い。

メンタル面でタフな相手というのは厄介なものだ。

 

しかし、結婚だと?

まだ宮藤は十代前半、考えるには早すぎると思うが。

 

「結婚はいくら何でも早いんじゃないのか?」

疑問を口に出して聴いてみる。

他の仲間も一様に同じようなことを思っていたららしくうん、うんと頷いている。

 

すると、頬に両手をあてて、顔を赤らめて恥ずかしがる。

「あ、あの・・・・。なんていいますか・・・。その・・・・。」

 

何かをためらっているように恥じらう。

先ほどまでの気丈の強さは消え、優しく、穏やかな面が出てくる。

何だ?どうしたんだ?

 

次の一言でこれまでにないほど驚かされる。

 

「彼が、私と一緒にいても、みんなに配慮して誰にも手を出そうとしないなら・・・・。さすがに結婚したら手を出してくれるのかなって・・・・。」

 

 

「「「「えっ?」」」」」

 

 

初耳。

ま、まさか本当にまだそういうことをしていないとは。

あのサーニャでさえ驚いて固まってしまっている。

 

それは男にとっては生殺しなのでは・・・?

 

ああ、だから夜のお店に・・・。

彼がなぜそうしているのか合点がいった。

 

不潔だと思う気持ちもあるが、私たちを思ってのその行動に嬉しいという思いも胸の中から湧き上がってくる。

 

そうか。誰か一人のウィッチに手を出してしまったら、ずるずると他のウィッチ達とも関係を結んでしまうんじゃないかと危惧したのか。

 

いくら宮藤がそういうことをしても魔力を失わない体質だとしても、それは最後の一線なのだろう。彼なりのけじめなのか。

 

 

(ひどいやつだ。ここまで人の心をかき乱しておいて・・・。)

ため息が漏れる。あきれからくるものではなく、心地いい感情から来るそれは不思議と悪くなかった。

 

目の前で身をくねらせている宮藤に告げる。

 

「宮藤。気にすることはない。あいつはお前のことを思っているぞ。それもとてつもなくな。」

言っていて少しつらいが、ここで言わねばならないと考えたからはっきり言っておく。

好きあっているのに手を出さないとは何事か。

 

それもそういうことをしても何ら問題がないのに女を待たせるとは。

帰ってきたら文句の一つでも言ってやろう。

 

私の言葉を受けて自信なさげに答えを返してくる。

 

「そうなんでしょうか・・・・。やっぱりそれでも手をだしてほしいなーって・・・。」

何だか物凄いことを言っているような気もするが、スルーしておく。

部下のためとはいえ、惚気に首を突っ込んで胸焼けしたくはないからだ。

はっきり言えば、私だって・・・・。

 

でも、私は宮藤みたいに女らしくもないし、男勝りなほうだ。

 

そう思うと悔しくもある。

もっと女を磨いておけば、と。

 

年齢的にもいつ引退してもおかしくはない。

そうなれば皆と、あいつと会う口実もなくなる。

 

気になる相手とそういう関係になりたいというのは私だって持っている。

笑われるかもしれないが。

 

複雑な気持ちを隠しつつ、宮藤にいつものように笑顔を向けて断言する。

 

「あいつが帰ってきたら、じっくり話してみるといいだろう。きっとお互いの気持ちがよくわかる。」

 

アドバイスを受けて、何かを覚悟したような顔つきになる宮藤。

その顔つきは、いつものほんわかした平時の顔ではなく、戦地で見せる戦士のそれだった。

 

拳を握り締めて、気合を入れている。

 

「はいっ!!」

 

ぱたぱたぱたっ、と食堂のドアを開けて出ていく。

 

ふうっ、と軽く息を吐いて椅子にもたれる。

言葉を慎重に選んでいったので結構気を使って疲れた。

 

うむ、あいつと宮藤が・・・。

 

その場面を想像するだけで刀を持つ手に力がこもる。

 

(なあに、問題ない。だますような真似は自分にとって許せんし、正面から堂々といただいてしまえばいい。それだけだ。それだけ・・・・。)

自分に言い聞かせるように繰り返しつぶやく。

そうでもしないと気が高ぶってどうにかなってしまいそうだからだ。

 

離れていた二人が近寄ってくる。

 

「・・・・・よかったの?」

「何がだ。」

 

そう聴いてくるミーナにいらだちを込めた声で返す。

一体何を言っているのだろうか。

 

諦める気はないが、だって・・・。

 

「あんなに想いあっている二人の邪魔をするなど無粋だろう。」

強がってそういう。

大丈夫だ。ただ、体を重ね合わせるだけ。ただ、それだけ。

勝負は最後の最後まで諦めるまでわからない。

 

そういう私をじっとみつめてくるミーナ。

 

心の中を見透かされているようで居心地が悪い。

さすがに気づかれているか。

「そう。・・・・・きっとあなたがそういうのならそうなのね。」

何かに納得したような顔をする。

バルクホルンも同じような感じだ。

 

食堂ではすっかり冷めた料理から漂う匂いで満ちていた。

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・

 

ほんの少しの時間ではあったが、エーリカと月を見た。

いつもは一人で見に行くこれも、隣に誰かがいるだけで違って見えるものだ。

 

今は分かれて、お互いの部屋に戻る途中だ。

 

朝からハンナと取引して、昼からライーサと秘密を共有して、夜にはエーリカとお月見か。

これは刺されても文句は言えないだろうな。

 

不思議と笑みがこぼれる。

 

彼みたいな人間を目指してそれらのリスクを受け入れたうえでこの生き方を続けている以上、言い訳はない。

 

とはいっても。

 

(さすがにもう部屋で休むか。)

気を遣っていたというのもあるが、今日一日中いろいろな意味でドキドキしっぱなしだ。

精神的に結構疲弊した。

 

自室の前までやってきてドアを開ける。

 

普段ならスレーヴⅠで寝るが今日は基地でゆっくりと寝ることにしよう。

設置されている特性のベッドに飛び込む。

 

「ぷぎゃあっ!?」というつぶれたような悲鳴の声が聞こえる。

 

ダイブした時に何かにぶつかったような感触があった。

一体何があったのだろうか。

シーツをめくる。

 

そこには、恨めしそうな顔つきでこちらを見ているツインテールの髪型の小柄な女性がくるまっていた。

 

「何やってんだ?」

「おかえりー!!痛かったぞ!!」

 

うるさい。

もう夜中なんだからそんな声を出すなよ。

宮藤たちと同じウィッチの一人、フランチェスカ・ルッキーニ。

天真爛漫、子供っぽさが強く残る女性というよりは女子という言葉が似合う人物だ。

 

時々急に変なことを言ったりしてくる相手だが、近所の小さな子供を相手にしているみたいで和む。彼女には随分と助けられた。

 

だが、さすがに夜中に人の部屋に侵入しているのはいただけない。

シーツにくるまってベットから出ようとしないので引っ張って引きはがそうとするが、強く抵抗してくる。

 

「もう夜も遅いんだ・・・。さっさと部屋に帰れよ・・。」

「あー!!そんなに引っ張るなよー!!」

「だったらさっさと布団を返せ・・!眠いんだよ・・!」

 

 

眠気から苛立って声を荒げてそういう。

しかし、頑固にもどこうとしない。

ああ、眠い。もういいや。

 

ルッキーニを無視して隣にもぐりこみ、眠る。

「おやすみ。」

「おやすみ!」

 

さすがに俺が寝れば部屋を出ていくだろうと思い寝付く。

こいつ相手なら万が一とかないだろうし。

心地よい疲労感から来る睡魔に導かれて夢の世界へと旅立つ。

鼻につく石鹸の良い香りをかぎながら意識が消えていった。

 

 

・・・・・・・・・・・

 

隣で寝ているお気に入りの男の顔をつっつく。

時々身をよじらせてはんん・・・とうなるのが面白い。

頬を引っ張っても起きる気配はなさそうだ。

 

「この男がねぇ。」

 

今考えても信じられない。

基地にいるウイッチが少なからず彼に懸想しているなんて。

お祭りみたいで面白いと思うが、何かもやもやする。

 

ボバの背中に抱き着く。

想像以上に大きく、たくましかった。

よくねだって肩車とか抱っことかしてもらっているが、口ではなんだかんだ言いながらもこの男はちゃんとやってくれる。

そんなところがいいのだ。

 

でも

 

「最近私をほったらかしすぎだよ・・・。かまえよー・・・・。」

背中に顔をうずめてそういう。

面と向かってこいつにそう言ったら子供みたいだと思われるかもしれないから内緒にしているのだ。

 

シャーリーはからかってくるけど、私だってもう立派な大人なんだから。

仲間外れは寂しいし。

 

ごそごそと布団の中を移動して、寝返りをうって横を向いているボバの胸の前に入り、

軽く抱き着く。

 

こうしているとよく眠れるからだ。

「ふあああっ・・・・。」

気持ちよさそうに寝ているボバの顔を見ていたらこちらも眠くなってしまった。

うとうとと頭が揺れる。

 

「私も寝ようっと。おやすみー・・。」

そういって夢の中に入っていく。

懐かしい、彼との思い出がよみがえる。

 

それは、彼がシャーリーと話しているところに混ざったのがきっかけだった。

 

 

・・・・・・・・・・・・

 

「だからさ、スピードだって!!スピード!!早さが一番重要だよ!!」

「いや、継戦能力だろ。戦場で戦えなくなったら死ぬし。」

 

大きな声が聞こえてきたのでやってきたのは整備場だった。

あのボバっていう男とシャーリーが何かを話している。

 

そして、その背中を見て思いついた。

 

軽く助走をつけて走り、ボバの背中に飛び乗る。

 

「とーーーう!!」

「うおおおっ!?」

 

驚いたのかすっとんきょうな声をだして狼狽している。

変なマスクとアーマーをつけているけど一体何でできているのか気になる。

肩車の体制で乗っかりながらマスクのてっぺんを手でコンコンと叩いて聴いてみる。

 

「ねえねえ!!これって自分で作ったの?!かっこいい!!私のも作って!!」

「おい!叩くなって!」

 

そういいながらもこちらが落ちないように動かないようにしている。

へえ。結構やさしい?

まあ揺らすけど。

 

ゆっさゆっさと体を揺らすと慌ててバランスをとっている。

戦場であれだけ怖い顔をしているのに素顔は普通の人って感じ。

 

お気に入りのおもちゃ見つけたかも。

「で、何の話をしていたの?」

 

大声で何かを激しく議論していた二人にそう聞いてみる。

この二人も最近一緒にいることが多くなっているけど何かあったんだろうか?

シャーリーが私に同意を求めるように意見を言ってくる。

 

「ルッキーニ!!お前からも言ってやってくれよ!!こいつと空を飛ぶときに何が重要か話し合っていたんだが、スピードじゃなくて継続して飛べるほうが重要なんて言うんだ!!早さが足りない!!」

 

スピード狂のシャーリーがそう熱弁する。

速いのは確かに楽しいよなー。

うんうん。その気持ちわかる。

 

それに対して心外だ、みたいな感じで反論するボバ。

 

「いやいや。戦いは生き残るのが重要だろ。スピードも確かに重要だが、空戦においてはどれだけ長く戦えるかが肝だ。墜ちたらほぼ死ぬぞ。」

 

何か実感がとてもこもった雰囲気でそう断言してくる。

ボバは、話す言葉の一つ一つが自分が体験してきたことを話すような言い方をする。

なんていうか、変。

 

あっ、そーだ。ごそごそとボバのポケットに手をつっこみお菓子をねだる。

「ねえねえ!あのおいしいせんべいっておかしちょーだい!!あれすっごい気に入ったの!!ねえねえ!!」

 

そんなおねだりする私に少しあきれながらもしぶしぶ了承するボバ。

「わかったわかった!!やる!!やるからやめろ!!落ちたら危ないだろ!!」

そういって取り出したのは、円盤状の丸いお菓子。

それを受け取って早速食べる。

ばりばりとかみ砕き、味わう。

 

「やっぱりこれおいしいね。うーん。あ、これ新しい味だ!!」

「ああ、前やったのは秘蔵の塩味ので、今日のは醤油味っていうのだ。」

 

聴きおぼえがない名前だけど、おいしいから何でもいいや。

夢中で食べていたら、ぽろぽろとおかしのごみがこぼれて、ボバのマスクやアーマーにかかってしまう。

「おい!!こぼすなよ!!手入れが大変なんだからさ!!」

 

ったくもー、といいながら手でごみをとっていく。

そんな私たちを驚いた様子で見つめるシャーリー。

さっきあれだけ騒いでいたのに、急にしずかになっちゃった。

どうしたんだろう。

 

「どうしたの?」

「・・・・・え、いやっ。なんでもないさ!!うん・・・・。」

 

大人しくなってる。

まあいいや。

肩車されながら頭をぺしぺし叩いて進むように命じる。

今日はボバと遊ぶことにしよう。

 

「このまま私の部屋まですすめー!!ごー!!」

「いや、ごーって・・・。」

 

俺、まだ整備の途中なんだけど、というが気分がそうなんだからしょうがない。

とことん付き合ってもらおう。

なぜかシャーリーの方に顔を向けている。

それをため息交じりにしかたがない、という感じで見送るシャーリー。

 

「悪いけどさ、ルッキーニと一緒に遊んでやってくれないか?そいつ、そうなったらもう止まらないから。」

 

おお、さすが私の相棒。よくわかっている。

じゃあ、さっそく遊びに行こう!!

ときは時間なり!!

 

「それを言うなら時は金なり、な。」

「あれ?そうだっけ?」

 

せんべいをかじりながらそう聞く。

ボバに支えられながら肩車されつつ、私の部屋に向かう。

いつもは見下ろされるばかりでストライカーユニットで空を飛んでいないと見えないような景色が広がっている。

普段からこうしてもらおうっと。

 

「それは勘弁してくれ・・・・。」

 

 

 

「えっ、あの二人って意外と仲いい?嘘ぉ・・・・。せっかく一緒に整備してもらおうと思っていたのに・・・。」

 

 

・・・・・・・・・・・

 

何だか不思議な匂いに包まれながら、懐かしい光景を思い出す。

目を開けると、目の前になぜかあいつの顔が。

俺は、そうか・・・・。

 

「結局こいつもここで寝ていたのか・・・・。さすがに戻ると思っていたんだけどな。」

目をつむってだらしない表情で寝ているルッキーニ。

宮藤と同じくらいの年齢だという話を聴いてはいるが、とても信じられない。

本当にそうなのか。小学生を相手にしているような気がする。

髪を下ろしていると幾分か大人っぽく見えるが色気も何もありはしない。

 

起こしてやろうと思ったが、気持ちよさそうに熟睡しているので頭をなでる。

「んん・・・っ。マーマ・・・・。」

寝言か。しかし、母親か・・・。

 

「そんなもの俺にはもうないしな。」

寂しいんだろうが、ずっと一人で生きていた俺からするとあまりよくわからない。

こんな小さな子供でさえ戦場で戦うとは、裏社会とそう変わらないんじゃいだろうか。

いかに人類が切羽詰まっていたのかがわかる。

いくら才能があるとはいえ、年端もいかぬ年齢のお嬢さんたちが戦うのを見ると、男しては複雑でもある。

 

しかし

 

「俺がいる限り、死なせんがな。」

ルッキーニの手をぎゅっと握り締めると表情が和らぎ、様子が落ち着いたものになる。

夢見が多少はよくなったようだ。

こいつは何というか危なっかしくて放っておけない。

悪ガキみたいで生意気さもあるが、それも愛嬌だと思うといじらしい。

 

寝ているうちに、いつもの服に着替え、支度をする。

今日も仕事に行くとしよう。

ルッキーニには書置きと、とあるものを置いておく。

数日ここを空け、それから戻ってくるということを書いておいた。

 

やることがある。

 

 

・・・・・・・・・・・・

 

 

ここは、とある国の、とある場所。

裏びれた、場末のバーである。

朝からやっているのが特徴であり、日が高いうちから飲んだくれている人間もチラホラいる。喧騒に包まれ、にぎやかである。

 

そこに一人の人物がドアを開けてやってくる。

ドアの空いた方をちらり、と覗き見る客たち。

一様に警戒をしている。

 

マスクにアーマーを着こみ、左肩にはマントのようなものを、背中には機械のようなものを背負っている。

 

その姿を見た誰かが唾を飲み込む。

裏社会に属しているものなら知らない人間はいないといわれるまでになった、すべての国に突然現れる実力者である賞金稼ぎ。

 

ボバ・フェット。

 

その男がバーのカウンターまで歩いていき、座る。

「……何を頼む。」

「緑茶。」

 

その注文を受けてまたか、といった顔をする店主。

いつものことかといったような応対の仕方だ。

「ここは酒場だ。たまには酒を飲んだらどうだ。」

「酒、好きじゃないんだよ。お茶のほうが美味いしな。」

 

あるんだろ?そうボバが聴くと、店主がグラスに緑茶を注ぐ。

わざわざ冷たい方のお茶をつくってストックしておいたらしい。

それを嬉しそうにマスクをずらしてストローで飲む。

 

「マスクは外せよ。」

「これでも飲めるからいいだろ。」

 

言っても聞かないので口を噤む店主。

緑茶の苦みと旨みを堪能しているマスク姿の男。

傍から見るとなかなかシュールな光景だった。

 

 

皆、見覚えがある人物にたいして固まっていた。

 

気にせずに続ける。

 

「で、例の件は?」

「お前さんの注文通り、これがそれだ。」

 

カウンターの下から袋を取り出してボバに手渡す。

それを受け取って中身に目を通していくボバ。

先ほどまでののほほんとした雰囲気が消え、真剣そのものといった鬼気迫るものだ。

 

その後ろ姿を見ている客にも威圧感が伝わる。

 

すると、納得したのかそれを左手で持ち、店主に札束を渡す。

 

「これでいいのか?」

「ああ、注文通りだよ。」

 

椅子から立ち上がり、用は済んだといった感じで立ち去ろうとする彼の前に何人かの男たちが立ちふさがる。

その表情には怒り、憎しみといった感情が浮かんでいる。

なんだ、と言わんばかりの顔つきでそれを眺めるボバ。

 

「何の用だ?」

「お前につかまった仲間の恨みを晴らさせてもらうぜ・・・!てめぇがいたら俺たちの仕事がうまくいかねぇんだよ!!いい加減消え、」

 

その言葉の続きを発することはなかった。

いつぬいたのか、異様な形をした機械の銃を突き付けて、発砲していた。

それから放たれた赤く光る弾丸が男の腕を貫いた。

 

「あああああああああっ!!!な、なんじゃこりゃあああっ!!」

 

焼けるような痛みに腕を抑えて転がる男。

それを恐ろしいものを見たような顔つきで眺める他の人間たち。

 

他の奴らを見回して言う。

「で、他にこうなりたいやつは?お前ら全員でもいいが。」

「やろう!!なめんじゃねーぞ!!」

 

他の男が殴り掛かり、背後から不意打ちするが、それをひょい、とよけられて投げ飛ばされる。そのまま前にいる他の人間にぶつかってともに吹き飛ぶ。

背中につけていたジェットパックを点火し、そのまま窓から出ていく。

 

慌ててそれを追いかける男たち。

「逃がすな!!追え!!」

 

どたどたと足音を鳴らして騒がしく店を出ていく。

そんな様子をいつものことだ、と思いながら見とどける店主。

 

「馬鹿どもが。あいつは20年間裏社会で生き延びた男だぞ。その程度で殺せるんだったらとっくの昔に命を落としているだろうに。」

 

酒場で緑茶を頼むような男だけどな、とこぼす。

 

 

・・・・・・・・・・・・

 

 

男たちはこれ以上もなくやる気に満ち溢れていた。

賞金首をとらえた数が至上最高数、裏社会で知らぬものはいない世界一の腕ききの賞金稼ぎ、ボバ・フェットを倒すチャンスがやってきた。

いきつけにこの店にやってくると聞いて潜伏しつつ、やつがやってくるのを待ち構えていた。

 

店から出て、やつを追う。

 

「あそこだ!!空を飛んでるぞ!!撃ち落とせ!!」

 

一斉に持っている銃器で発砲するが、動き回っていて当たる気配がない。

執拗に追い続ける。

 

(絶対逃がさねぇ・・!!殺す!!)

 

ボバ・フェットへの恨み、つらみを募らせた裏社会の住人たちは結託し、彼を排除する方向で手を組み始めた。

こうしてあらゆる人物たちが倒そうと試みたが、すべて返り討ちにあい、彼はますます畏怖されるようになった。

 

飛び続けていた彼が、地面へと降り立っていく。

 

「あの森に入ったぞ!!行け!!」

わらわらと群がる。

追い詰めた。これまでだ。誰もがそう思い、勝利を確信した時

 

 

爆発が起きる。

 

爆風で吹き飛ばされ、地面へと叩きつけられる男たち。

かろうじて何人かが立ち上がるも、体のあちらこちらが痛み、苦痛に顔をゆがめている。

 

男たちが最後に見たのは

 

棺桶のような見たこともない機械がこちらに砲台を向けて、光を放つところだった。

 

 

 

・・・・・・・・・・・・

 

 

「これでよし。」

男たちが気を失っているのを見て、飛び立つ。

ほしい情報は得て、面倒な奴らを片付けた。

これでもまだ襲い掛かってくるようだったら、ソニックブラストで敵のアジト事吹き飛ばそう。

邪魔をする奴には容赦しない。

 

先ほど手に入れた袋からとあるリストを取り出す。

ここにはありとあらゆる機密文書が載っている。

ウィッチのパーソナルデータ、将校の弱み、ネウロイの生態系、おおよそ個人が所有していたら国が総力を挙げて取り返しに来るであろうデータばかりだ。

 

しかし、宇宙を本拠地にしている俺には届かない。

世界一の情報屋に頼んで時々こういった情報の新しいバージョンを手に入れている。

頻度で言えば、一か月とかそこらに一回か。

 

さて、お目当ての情報と行くか。

武器のアップグレードを目指して行っていること。

 

それは、かつてジャンゴ・フェットが使っていた二丁拳銃式のブラスターの開発だ。

ボバ・フェットが使っているのは三点バースト式のブラスターで使いやすいが、連射性には欠ける。

しかし、バランスはよく、短距離、中距離、長距離すべてのレンジで戦うことが可能である。

 

その予備武器として持つ分連射式の武器を持つことは理にかなっている思う。

 

何よりも、ジャンゴ・フェットも好きなキャラなので、ぜひ二丁拳銃は手に入れたい。

 

この20年で培った人脈をフルで使い、気難しいが、天才肌である人物に開発を協力してもらっている。

袋からそれを取り出す。

 

そこにはお目当てのモノがあった。

 

ボバ・フェットの父親が愛用していた銃。

 

「やるな。あいつ。」

頼んでおいてなんだが、まさか本当に開発に上手くいくとは。

注意事項を見ていく。

 

要点をかいつまんでいくと、長時間撃ち続けるとオーバーヒートして壊れるので、トリガーハッピーにならないように気をつけること。

戦闘時の運用方法としては既に持っている、三点バーストのブラスターと併用して使用することを推奨する、といったことが書かれていた。

 

さすがに原作通りの性能とはいかなかったか。

だが十分だ。

 

作っておいたホルスターに二丁式のブラスターを入れて、次の情報に目を通す。

将校たちの動きだ。

ウィッチ達に変なことをしていないかこうして見張っては時々制裁を加えに行っている。

もちろん宮藤たちには内緒で。

 

もし、自分と同じウィッチが辱められていたと知ったら彼女が悲しむ。

原作のボバ・フェットも女の子を助けたりしているので筋は通る。

 

さて、ブレイブ・ウィッチーズのやつらは元気か。たまには会いに行ってみやげ話のひとつでもしてやるか。でも、ひかりは宮藤に似ていたなぁ。

顔立ちや体型もそうだし、何だか優し気で癒される部分もそうだ。

 

ハンナ達も健在と。戦線がもしきつければ俺がこっそりこじ開けようと思っていたが心配なさそうか。カウンセリングもしたからライーサの精神状態も問題ない。

 

しかし、こうしてみると501のやつら以外にもいろいろといるもんだな。

502から508まで。ここまで増えるとは。

 

1930年代にネウロイが現れて、人類が戦い始めたときにはここまで国を超えて統合されたウィッチの部隊の数はここまで居なかった。

各地を転々としていたからか、知り合いも多く増えた。

手紙を書いて付き合いを保っているが、彼女たちにも随分と助けられている。

 

そのことを知り合いのおばちゃんにこぼしたら、「あら。あんたも隅におけないね~。」と言われた。彼女たちとともに死に物狂いで戦ったからな。

スレーヴⅠを必ずしもつかえるわけじゃない。

秘匿しておかないと、あれは不味い。出所を疑われるので使えるとしたら単独行動の時だけで、いつもは普通の装備でネウロイと戦うことになる。

 

当然何回も死にかけ、そのたびに何度もこの世に踏みとどまったものだ。

すべては死にたくないという渇望からだろう。

 

「これでよし。・・・・・とは言わないよなぁ。」

 

最後に手を付けずにおいたパンドラの箱に目をやる。

 

頼んでいたのにずっと放置しておいたデータ。

目を通すのも怖い。

これが大方予想通りだったら俺はほぼほぼ爆弾を抱えていることになる。

 

かつて、痴情のもつれから女に刺された記憶(トラウマ)が蘇る。

ウィッチはいい女が多い。

命を賭けて世界のために戦っているくらいだから肝が据わっていて、思わず惚れそうになるくらいには器量がいい娘ばかりだ。

 

彼女たちは平和を望む気持ちと同じくらい強烈な願望を持っている。

はっきり言うと

 

結 婚 願 望。

それもとびっきり重い奴を。

 

思い出すだけで胃が持たれそうだ。

気持ちはわかる。明日死ぬかもしれぬ身であるから、そういった恋をしたい、幸せな家庭を築きたいという思いは持っているだろう。

だが、その度合いがやばい。

 

ボバを見習って女であるウィッチにやさしくしていたらわたしとは遊びだったの、と

何度も詰め寄られた。

 

それからは適切な距離感を保つためにぎりぎりを維持してきた。

しかし予想だにしない出来事が起きた。

 

宮藤芳佳との出会い。

 

今まであってきたウィッチ達も世界のために戦っていて、すごいとは思っていたが、共感はできなかった。しかし、彼女はすさまじかった。

 

今までについた心の傷をすべて癒されてしまった。

 

当然、惚れないわけもなく、それからはこちらから猛アタック。

 

結果、彼女の愛を実質的に勝ち取ることに成功。

後はネウロイを倒して大円団、とはいかずにこの状態になる

 

ネウロイを倒せることは倒せるだろう。

ソニック・ブラストをネウロイの巣にぶちこめれば勝機はある。

 

 

しかし、そのあとがまずい。

ちらりと耳にしたが、宮藤はこの戦争を終わらせたら俺と結婚する気満々だという。

彼女のことは愛しているが、結婚となるとなんだか重いような気がする。

彼女自身は医学の道を目指しているのでそちらの方へと進む気らしいからそれを支える形になるだろう。

 

彼女には本当に頭が上がらない。

他のウィッチ達と仲が良くても容認してくれるとは。

 

傍からすると浮気にも見えるであろうこの相関関係は、現代で言うと昔の戦国武将の血縁図並に複雑怪奇なものとなってしまっている。

 

爆弾処理のように一本一本適切に紐解かなかれば、すぐにドカン、だ。

 

アーマーの下を見る。

 

そこには、20年間の戦いの傷だけではなく、いたるところにナイフのような鋭利なもので刺された跡が残っている。

 

そして体中のいたるところにつけられているアクセサリー。

あなたのために用意したの、と言われてもらったこれらを処分するわけにもいかず、苦笑いで受けとった。

 

中にはライーサのように身に着けるようなタイプではないものをプレゼントとしてくれた娘もいるが、大抵は装飾品のたぐいだったので体中を蛇に巻き付かれているような感じだ。

 

アーマーを着ている理由の一つとして、これらのアクセサリーを隠す役割も兼ねている。

ピアス、ペンダント、指輪といったものがないのが幸いか。

 

さて、長々と現実逃避していたが観念して、最後の資料に目を通す。

 

『各ウィッチーズとボバ・フェットの相関関係図』

 

もっとも見たいが、もっとも見たくないものに手を伸ばした。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・

 

ハンナとライーサが所属する「ストーム・ウィッチーズ」。

その中のリーダー的存在である、彼女は送られた資料をまとめていた。

 

加東圭子。

彼女は今、とある部屋のデスクに座って仕事をしていた。

 

かつて、エースと名を馳せて、前線で戦っていた人物だが、式典中のアクロバット飛行の最中に墜落し、現役を引退。

 

その後、紆余曲折あってストームウィッチーズの指揮をとることになる。

その手腕の高さは各所から高い信頼を得ている。

あのハンナでさえ彼女には一目置いているくらいだ。

 

彼女は、今ストームウィッチーズの資料をまとめて目を通していた。

 

(これは何とも。まあ、使えるかしら。)

即座にいる情報と、いらない情報に分けていく。

その中で必要と判断したものは後からスクラップにしておいて、ファイルに保存しておく。

情報を扱い、真実を重視するものにとっては欠かせない。

適切な情報があってこそ、ウィッチ達も安心して戦えるというものだ。

 

 

最近落ち込んでいたハンナも元気を取り戻したし、ライーサも前よりさらに明るくなった。

その原因といえば

 

(どう考えてもあの人よね・・・。)

 

件の人物の顔、というよりはマスク姿を思い出す。

出自不明の奇怪なジェットで空を飛ぶ、ウィッチ以外で唯一男性でネウロイと戦っている。

 

自分自身もいろいろと彼に世話になっている。

彼はネウロイが出てきた1939年の最初の段階から戦い続けていたと、ある人物から直接聴いた。

もし、この情報が本当だったら大変なことになる。

なぜ彼はネウロイと独りで戦い、倒せることができたのか。

あの道の装備はどこから用意したのか。

 

以前、彼に詰め寄ったところ、ごまかされて軽くあしらわれてしまった。

 

まるでこちらに何かを遠慮しているような感じだ。

 

かつて、病室で死んだように眠る彼の顔を見たときには叫び声をあげてしまった。

 

知り合いの、それも長年の付き合いの相手がいきなり病院に運ばれてきたら誰だって驚くだろう。

応援として、ウィッチとともに戦い続けていた唯一の男性が来る、と聴いて予感はしていたけども、まさかこんな形で再会することになるとは。

 

不器用だけど、優しい。

女にだらしないけど、誠実。

 

矛盾した部分を持っているのが彼、といった印象だ。

 

わたしだってもう、あの時のような子供じゃない。

それを立証するために、腕を振るって部隊を指揮した。

 

いつも以上に力が出せていたと思う。

 

そんな私を見て、彼が頭を撫でてきたときには思わず払ってしまった。

 

もう、守られるだけの子供じゃない。

 

そんな昔のことを考えながら仕事をしていると、ドアがノックされる。

 

「はい。」

「俺だよ。」

 

その声を聴いて、ドアをがちゃり、と開ける。

目の前には、マスクとアーマーを着こんだおおよそ控えめに言っても不審者としか言いようがない相手。

 

ボバが来ていた。

 

渡したいものと、聴きたいことがあるといきなり連絡してきたときには驚かされた。

それも二人っきりで、誰も来ない場所で会いたいとは。

 

気が付いたらすぐ近くにいたり、すぐに遠くにいったりふらふらしている彼にしては珍しい。

 

何かあったのだろうか。

 

(とにかく話を聴いてみましょうか。)

 

中に招き入れ、椅子に座るように言う。

それに従って座り、こちらに向き直る。

マスク姿だから顔色はよくわからないが、どうも元気がないような気がする。

 

「大丈夫?」

「ああ・・・・。」

 

生返事で心ここにあらずといった感じがする。

本当にどうしたんだろう。

いつもの彼とはかけ離れたその姿に心配になる。

 

「とりあえず、これ。先に情報を渡しておくよ・・・。」

力なく腕を差し出して突き出してきたのはファイルとせんべい。

ファイルの方は黒塗りで中身が見えないようになっている。

それに手をかけて、中を開こうとすると、腕をつかまれて止められる。

 

「一応、盗聴とかのぞきとかされていないかチェックしておいたから大丈夫だと思うけど、ここではやめときな。」

忠告、というよりは警告といったその様子に戸惑う。

語気を強めてまで言ってくるくらいだから、またいつものようにとんでもない情報なのだろう。

デスクの中に入れて、厳重に二重のカギをかけておく。

 

せんべいは机の上に置いておく。

懐かしい故郷の味をいつもくれる彼にはいつも助かっている。

 

 

いつも通りのやりとりをして、遠回しに聴いてみる。

 

「何かあったの?」

 

直接聞くよりは、遠回しに聴いてから探ったほうがいいような気がしてそう聞いた。

仕事で何か失敗でもしたのだろうか。

 

でも、ボバがしくじるなんてありえない。

現に傷とかは見当たらないようだし。

 

 

「あのさ。」

ぽつり、とつぶやく。

昔に初めて出会ったときのような雰囲気でそういう。

 

「これは知り合いから聴いた例え話なんだけど・・・。そう、知り合いの。例えばさ、例えばだよ?女性だけの職場に男がいて、その男が周りにいた女性皆に優しくして、でも本当は男にその気がなくって痴情のもつれに発展して、女からナイフで刺されて、それからは距離を置いてぎりぎり関係を維持していたその男が本命が別にいる、ってなったらどう思う?」

 

困ったような声でそう言ってくる。

一体なんのことだろう。

 

例え話にしては具体的だけども。

 

でも、真剣な態度でそういってくる彼に、私も自然と真面目に答えた。

 

「私が優しくされた側だったら、やっぱり追いかけるかな。もし、私だったら、ね。」

 

その言葉を聴いて、やっぱりそうだよな、という風に頷く彼。

ますますわからない。

 

この質問に一体どんな意図があったんだろう。

 

「ありがとう・・・・。裏付けはとれたよ・・・。」

 

何の裏付けかはわからないけども、彼の役に立てたのなら嬉しい。

とりあえず。

 

「マスクは外して。」

彼の頭に手をかけて、スポっとマスクを外す。

人と会うときはちゃんとしてほしい。

 

いつもはちゃんとしているのに、今日は忘れているなんて。

 

 

マスクの下には、見慣れたいつもの顔があった。

 

・・・・・・・・・・・・

 

 

いきなりマスクを彼女にとられてびっくりする。

そんな顔をぱしゃり、とカメラで撮られてしまう。

まさか彼女に主導権をとられる日が来るとは。

 

「あの圭子ちゃんがなぁ・・・。」

感慨深げに見つめる。

出会ったときに比べるとはるかに女っぽく、より魅力的な女性となった。

信念のような強さを持っている彼女を今でも尊敬している。

 

扶桑皇国のウィッチとはつくづく縁がある。

 

「圭子ちゃんはやめて。もう子供じゃないんだから。」

そんな俺のつぶやきにむっと反応して言い返してくる。

こんなところは変わらないが。

 

そういえば気が付いたことがある。

「そのマフラー。まだ使い続けていたのか。」

ずっと昔に送った贈り物。

彼女の首元が寒そうだったので送ったら喜ばれたプレゼントだ。

それを大切そうに指でなぞる彼女。

 

「あなたがくれたんですもの。捨てるわけないわ。」

とはいってももうボロボロのような気がするが。

そこで提案する。

「よかったらこれ、使うか?」

 

袋を渡す。

以前、お偉いさんからもらって、でも使う機会がなくて放置していたお高いマフラーだ。

見え見えのワイロでもあったので、他にこうして誰か必要としている相手にわたったほうがいいだろう。

そう思い、用意したものだ。

 

「ありがとう。にいさ・・・」

 

はっ、となって昔の呼び方を辞める圭子。

別に構わないのに、子供扱いはいやだといってこちらの名前で呼ぼうとしてくる。

とはいってもな。

 

子供ころの彼女の姿を知っているとどうもそう考えてしまう。

女性はいつでも若く見られたいという言葉があるが彼女は違うのだろうか。

 

「ねえ。首に巻いてくれない?昔みたいに・・・。」

昔みたいな扱いはいやだといっているのに、こういったところはずるいような気がする。

まあ、女性がきまぐれなのは今に始まったことじゃないしな。

くるくると首に巻いていってやる。

それに顔をうずめる彼女。

 

 

「ありがとう。・・・・・・今日はいつまで一緒に居られるの?」

「まあ、もうちょっとだけ、な。」

そういって近づいてきた彼女からすすすっ、と気が付かれないようにわずかに距離をとる。

 

俺は宮藤一筋、これはただ昔からの妹のような相手と会っているだけ。

 

呪詛のように心の中で唱える。

 

 

結論から言うと、「少し」、ほんの「少し」だけ彼女とともに長居した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(いや、確かに自分の責任っていったし、それを受け入れているから何があっても自分が原因だけど。だけども!!これはやばいだろう!!何だこれ?!どうなったらこんなぎりぎりのバランスを保てるんだ?!自分でやっておいてなんだけど意味が分からない!!い、いや。まだ爆発していない。そろそろ私引退するんだよねー、っていう話をしてくるウィッチが増えてきたが他意はないはず。・・・・・ない、よな?)

 

 

 

今までの『ツケ』が、この日をきっかけにまわり始めた。

 

 

 

良くも悪くも因果応報。

 

 

 

それが法則。

 

 

 

 

 

 

 




アドバイザーとボバくん。



何気に扶桑海事変の1937年より前から軍に所属していた加東圭子さん。

彼は裏付けをとるために、彼女と会って質問。
彼女を選んだ理由は、まさかこの娘が俺のことを、なんてことがあるはずがない。
と思って情報の信憑性を確かめるためにいろいろと聴いた。

今でも彼にとっては妹のような存在(だった。)

でも彼女は・・・。


自分を取り巻く状況に戦慄していて、怯える彼のせなかを押したのは彼女だった。

次回「賞金稼ぎは彼女に背中を押される。」


ボバくん、生きろ(他人事)。

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