ボバ・フェット(偽)はウィッチとともに空を飛ぶ   作:KeI77777

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感想返し

Qシャーリーか、うん、可愛いな!こんちくしょー楽しませてくれるじゃないか!
いいねいいね!

Aシャーリーかわいい。略してシャリかわ。いつもはからかう側の娘が自分の恋に対して積極的にンるシチュとかかわいいじゃないかと思って書いたら予想以上に評判がよくってよかったよかった。

Q前回の伯爵といい、今回のシャーリーといい、
何というか、周囲のウィッチが「こいつはレズだから安パイだろう」とか「ボバの事好きそうな素振りないし、単なる友達だよね」と判断している様なキャラから入籍レースで意外なごぼう抜きを見せて着々とゴールインしてますねw
「(レズだと)信じて送り出した伯爵が意中の彼と先にゴールインしていた死にたい」とかそんなイメージw

A意外な伏兵。ガツガツしているように感じていない分、あっさりとゴールインできてしまった模様。
なお、ヴァルトルートとシャーリーは人知れず大はしゃぎしていました。

もうちょっと一緒にいたら彼女たちに襲われていました。

Qシャーリィ乙女かわいいい!
Aアンケートといい、シャーリーが人気過ぎて笑う。
あとエイラとサーニャもすごいつよい(驚愕)
ミーナさんメインのお話しも交えました。

いつも活動報告でのアンケートへのご協力ありがとうございます。
今日までやっていたアンケートの結果を今回のお話に反映させてみました。
おい、ネウロイはどこに行った?と思われるかもしれませんが、“やさしい世界”なので。
なので(強弁)

ウイッチたちにおいしいご飯を食べさせてあげたいだけの人生だった・・・。

あとがきで今回のアンケートに関する情報が載っているからお見逃しなく。

KEY(ドM)



賞金稼ぎは彼女たちと買い出しに行く。

シャーリーにプロポーズし、様子がおかしかった彼女をなだめられてよかったよかった。

 

 

で、終わればよかったんだけれど。

 

「ボバさん。」

「うん。」

 

今、俺は日課の腕立てふせをしている。

芳佳を背中に乗せたまま。

 

ゆっさゆっさと揺さぶってくるので腰が少し痛い。

 

なんか前より重くなったような・・・・。

「何か言いましたか?」

「いいや。」

 

口に出したら怒るだろうからちゃんとチャックして黙っておく。

それを言っちゃあおしまいだからだ。

 

 

この一週間でシャーリーとヴァルトルートへのプロポーズをし、すべて受け入れてもらえるという結果に落ち着いた。

 

思わずよっしゃあああっ、と叫びそうになったが、芳佳の前だったので冷静なふりをしておいた。

 

そのことを報告した結果、こうして彼女にごねられているわけだ。

「それはそれ。これはこれ。」だという。

 

こちらからしたら意味がわからないが、彼女がそれで気が晴れるというのならまあいいか、と気にせずに続ける。

 

そして、目標の50回を達成する。

 

その場にどたっと倒れ込む。

 

「目標達成です。前より体力が付いたんじゃないですか?」

「芳佳という手強い相手と戦っているからね。」

 

そういうと、顔を両手で抑えて真っ赤になる。

もう何度も内緒で同衾しているのにこういったうぶなところは全く変わらない。

それが芳佳のかわいいところなのだが。

 

こちらをきっとにらみつけてくるが、小動物みたいなのであまり怖くない。

ハムスターとかウサギのそれに近かった。

 

「もう!!もう!!急に恥ずかしいこというの禁止!!」

 

そういってこちらをぽかぽかと殴ってくる。

痛くないように加減してくれているのがわかる。

 

かわいいなぁ。

 

立ち上がって、次のトレーニングに移る。

 

「ところで何でこんな訓練をしているんですか?」

 

そう疑問を投げかけてくる芳佳。

ああ、言っていなかったっけ。

 

「ちょっとね。」

「?」

 

まさかネウロイが最近活発化してきて、そいつらと戦う予感を強く感じるから準備している、なんていって不安にさせるわけにもいかない。

 

戦線はなんとか持っているようだが、ここらで数を削っておいたほうがいいかもしれない。

 

屈伸をして、準備運動をする。

 

次はランニングをこなさなければ。

芳佳に背中に乗るように言う。

「・・・・・・・・・・・・・。」

 

恥ずかしがりながらも素直に乗ってくれる。

そういうところが好きなんだよなぁ。

 

なぜ彼女を背中に乗っけるのかというと、モチベーションの問題だ。

 

誰だって惚れた女の前だったらかっこつけずにはいられないだろう。

 

彼女にかっこ悪いところは見せられない。

 

ダッシュで走り始めた。

 

 

 

 

 

「・・・・・・・・・・えっち。本当はわかっているんだからね・・・・。」

 

どうやら背中越しに感じる役得な感触に気づかれたようだ。

 

 

・・・・・・・・・・・

 

 

 

男のプライドを賭けて、ボバが彼女にいいところを見せに行っているころ、

 

ストライク・ウィッチーズが駐在している基地では、こんなうわさ話を男たちがしていた。

 

「まじかよ、それ。」

「いや、マジマジ。」

男たちは仕事をしながら世間話にうつつを抜かす。

 

それでも一応プロなのか手は休めずに、淡々と仕事をこなしていっている。

「あの人って他の基地のウィッチとも知り合いなのか?」

「そう聞いたよ。……別の基地にいる俺の知り合いからだけどな。」

 

廊下でモップ掛けしながら話し続ける。

バケツに入っている水をつけるため、モップをバケツに突っ込んで浸し、床にべしゃりとたたきつける。

 

いつもよりも汚れが多いからか、ごしごしと丹念に掃除していく。

 

「えっ、一体どんなことがあったらそんな状況になるんだよ。」

「知らんよ。ただ一つ言えるのは、あの人は女ったらしだってことさ。」

 

その話を聴いていた、三人目の男がくううううううっとうなる。

拳を天に突き出し、涙をほろりと流す。

 

「俺にも彼女ができないかな~。」

「いやぁ。さすがにこの職場じゃ厳しいだろ。」

 

はあっ・・、とため息をつく。

正直彼が羨ましいとも思うが、立場を変わりたいとも思えなかった。

何というか、最近この基地にいるウィッチ達の雰囲気がどろどろとしている、と彼らは感じていた。

 

男ならおおよそ、絶対関わりたくないことの一つ。

女同士の暗闘。

 

彼がその中心にいるのは間違いなかった。

 

そして、気が付かなくてもいいことに気が付いてしまう。

 

「まてよ・・・・。あの人って他の航空団にもいたんだよな?」

「ん?ああ、たしかそうだな。あの人がぽろっと漏らしていたけども・・・?!」

 

 

男たちの背中に寒気が走る。

もしや、他の基地でも・・・?

いやいやいや、統合戦闘航空団のウィッチの総数は40人を超えている。

まさか、そんな。

 

その考えを振り払うように首を振る。

 

そして互いに顔を見合わせて、頷く。

 

「・・・・この話題はやめよう。」

「・・・・・・そうだな。」

「・・・・・・・・ああ。」

 

二度と話してはいけない。

心の中で男たちは固く誓い合った。

 

世の中には絶対に踏み入ってはいけない領域というものがあるのだ。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・

 

「ぜえっ、ぜえっ、ぜえっ。」

彼女にかっこつけたくて10キロも走ってしまった。

さすがに疲れたのでシャワーを浴びて今は芳佳に膝枕してもらっている。

 

もちろん、誰もこないであろう場所でだ。

 

そんな俺に治癒魔法を使って癒してくれる彼女。

 

やっぱりいい女だ。

 

「もう。あなたって本当にバカなんですから・・・。」

「ごめんね。ありがとうね。」

 

立ち上がって抱きしめてあげたいがそれがかなわぬほどに疲れていた。

 

悔しい。

 

愛する女を抱くことさえできぬとは。

 

ぐぬぬ、と歯がみしながら彼女の柔らかな膝を堪能していると、チョップされる。

 

「まだ日が高いうちからそういうのは駄目です。」

 

どうやらお預けらしい。

今までの意趣返しか。

 

とはいっても耳が出て、しっぽが揺れているのが丸わかりだった。

気が付いたらどんな照れ隠しのとばっちりを喰らうのかわからないので気が付かないふりをしておいた。

 

「ところでボバさん。」

 

真剣な面持ちでこちらを見つめる彼女。

まつ毛が長いな、と考えていたら話を切り出される。

 

「私がネウロイとの共存を信じているといったらどう思いますか。」

「どうって?」

「その・・・・・。」

 

戦いに関してきわめて真面目で、信念をもって戦っている彼女にしては弱弱しく見えた。

俺よりもよっぽど強い彼女がこんな姿を見せるとは。

 

独占していることへの優越感と、彼女の力になりたいという気持ちが同居している。

 

こんな時でもネウロイのことよりも彼女の顔の方に目が行ってしまうくらいだ。

 

「わたし、やっぱり彼らと対話できるんじゃないかって思っていて。」

 

そう告げてきた。

不安そうな表情で拳をぎゅっと握り締めている。

 

ネウロイ。人間にとっては敵。ずっとやつらと戦い続けてきた人間からすればその認識も徒然だろう。

 

しかし、芳佳は違った。

両の手が血にまみれている俺と違い、彼女は傷つけないために戦っている。

 

そんな彼女がこういうたびにきっと周りからは笑われたり、夢物語だときって捨てられたことだろう。

 

あまりにも考え方が違うからだ。

 

でも、俺には関係ない。

 

動かない腕を無理やり動かして、彼女の頬に手を添える。

 

「芳佳。これだけは言っておく。」

「はい。」

「俺はたとえ世界が敵に回ったとしても芳佳の味方だ。俺は自分と君のために生き、またそのために死のう。」

 

彼女は彼女のままでいいのだ。

 

俺みたいな道よりも、きっとそちらの方が彼女にとってはいいと思えるからだ。

 

だから、俺も自分の正直なきもちを言った。

 

少しでも彼女の不安がぬぐえればいいと考えて。

 

喜んでくれると思っていた。

 

しかし、その言葉を聴いた彼女は怒り始めた。

 

「駄目です。」

 

何がいけなかったのだろうか。

 

先ほどのセリフを思い返す。

特に落ち度はないように思えるが。

 

すると、こちらの頬を手でつねってくる。

笑いながら怒っているので本当に怒っているのがわかる。

 

「よ、芳佳・・・?」

「つーん。」

 

試しに名前を読んでみるも、無視されてしまう。

 

なぜだ。何がいけなかったんだろう。

 

だんだん頬の感覚がなくなってきた。

 

戦場で戦っていくうちに彼女の握力も上昇していたらしい。

本気で理由がわからない。

 

「・・・・・生きて。」

 

蚊の鳴くような声で彼女が言った。

 

「生きてください。そんなかっこつけずに。どんなにみっともなくても、意地汚くても、私のところに帰ってくれば絶対に治しますから。」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

・・・・・・・・・・・はははははは。

 

はっはっはっはっはっはっは!!

 

そうか。そうだよな。

彼女を未亡人にするわけもいかないよな。

それは、まずい。

 

他の男に渡したくないし。

 

「うん。じゃあ、かっこつけるのやめてちょっと本音を言おう。

やっぱり怖いものは怖い。死ぬのはいやだ。俺には弱い部分だってある。でも、それを認める。芳佳の傍で、死なないように生きあがく。」

 

その答えに満足したのか頬から手が離される。

 

「・・・・・・こういうところは鈍いんだから。」

「嫌いになったか?」

「そういうことを聴いてくるところは嫌いです。」

 

あらら、といつもの振る舞いに戻り、彼女の膝の上で目をつむる。

 

「眠いですか?」

「ああ。」

「寝ちゃってもいいですよ。」

 

その言葉に甘えて深い眠りについた。

 

 

彼女と両想いになるまでの出来事。

それを思い出しながら。

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・

 

 

(寝ちゃった。)

いつものような余裕ぶっている彼が、無防備な姿を私に見せている。

その無条件の信頼に胸が高まる。

 

ずるい。

わたしばっかりドキドキされられて。

 

たまには彼が取り乱すところを見てみたい。

弱音を吐いてくれるようになってくれたけれども、そういうところはあまり見ない。

 

かっこつけなくてもいいのに、と思ってても言わない。

だって、彼のそういうところを含めて気になっているのだから。

 

女は港、男は船っていうし。

漂流船のようにふらふらしている人だけど。

 

少しは港につながってくれればいいのに。

 

いつもよりいい夢を見れているのか、顔色がとてもいい。

もし、自意識過剰でなければ、私がそばにいるからそうなっていることになる。

 

(そうだったら、嬉しいな。)

 

硬い質感の彼の髪をなでて、彼の寝顔を見つめ続けた。

 

 

・・・・・・・・・

 

 

これは・・・。

 

俺が居る。

 

俺がそこ居るのに、俺は別の視点からそれを眺めている。

 

ああ、これは夢か。

 

そこにいた男はボロボロになっていた。

 

初めて行った賞金首刈りで身も心も荒んでしまった哀れな男がそこにいた。

 

震える手でブラスターを握っている。

 

生きるためにずいぶん平静を装ったものだ。

実際には怖くて仕方なかったっていうのに。

 

 

場面が暗転して変わる。

 

今度は別の大物を追っている時のシーンだ。

 

映画さながらの迫力で互いに向かい合っている。

 

男たちは銃に手をかけて・・・・

 

 

また別の思い出へと変わる。

 

 

いつの間にか最強の賞金首として知られるようになった。

どんな奴も返り討ちにしてきたし、金に困ることもなかった。

 

でも、それだけだった。

 

何かが足りていなかった。

前の世界で持っていた何かを生きるために失ってしまった。

ここにいるのはボバ・フェットの偽物だった。

 

彼女の後姿が映る。

 

虚ろな夢の中でもはっきりとわかるその姿。

 

 

あれは彼女にそれとなくアタックしていても袖にされていたときか。

さすがにこの時期は心が折れかかっていたが、よくやった、とこの時の自分をほめてやりたい。

 

そして、また場面が変わっていく。

 

彼女にプロポーズして、そして・・・・。

 

 

・・・・・・・・・・・・

 

「はあ・・・・。」

書類を片手にため息をつく女性。

ミーナ。

 

501統合戦闘航空団の隊長である。

リーダーとして、誰よりもみんなのことを考えている心優しい彼女は今、

憂鬱だった。

 

「これって、まさか、ねぇ・・・・。」

書類に書かれているものは、他の統合戦闘航空団からの支援要請の旨、交流陳情、異動願いに関するものだった。

 

ストライク・ウィッチーズ再結成時に彼が戻ってきて、みんなひそかに喜んでいた。

彼はそれに気が付いたのか、いないのか、何の気もなしに、でも傍からは離れずに私たちの元に居続けてくれている。

 

ストライク・ウィッチーズが解散してから彼も去っていってしまったが、そのあと、ウィッチたちが所属する様々な統合戦闘航空団を回り続け、戦場で戦い続けたという。

 

そんな彼が、他のところからのお誘いを蹴ってまでうちに来てくれたのは嬉しかった。

嬉しくないはずがなかった。

 

聞くところによれば、ここよりも破格の待遇を打ち出したところもあったというのに、わざわざここにいてくれるのだから。

 

その理由の大本が、彼女に会いたいからだというものであっても。

 

それにしても、この数は異常だ。

 

一体何があったらここまでの珍事が起こり得るのか。

 

そんな状況に対する上層部からの命令は『現場の柔軟な対応に期待する』という、投げっぱなしジャーマンもびっくりな放置だった。

 

これはおかしい。上層部が上層部の役割を果たしていない。

これが中間管理職か、と戦慄する。

 

彼女たちには悪いが、さすがにこの量の要請をすべて飲めるわけもない。

 

個人的な心情抜きにしても彼はうちに必要な人材なのだ。

 

戦闘能力の高さもさることながら、陰で政治交渉も行っていることを内密に把握している。

少しでもここでの私たちウィッチの待遇がよくなるように自分の報酬を削ってまでそうしていると聞いた時には複雑な気持ちになったものだ。

 

何で私たちには一言も相談してくれないのだろう。

思わず持っていた書類に力がこもってしわが付いてしまう。

 

落ち着くのよ、ミーナ。

あなたは皆の隊長でしょ、と心を落ち着かせる。

 

手から力を抜き、コーヒーをすする。

 

今日の新聞を読む。

 

これといった特筆すべき情報はないが、気になる記事が一つあった。

 

「人型のネウロイね・・・・。」

 

眉唾物にも思えるが、それだけで片付けられるはずもなかった。

 

(でも、情報が少ない。今無理に判断するよりは保留にしておいた方がよさそうね。)

 

新聞を放って、次の書類に目を通す。

 

?これは・・・・。

 

彼からの休暇申請だった。

軍属でもないのにまめにこうした書類を提出してくるとは。

思わず笑ってしまう。

 

だらしがないのか、律儀なのかわからない人だ。

 

しかし、珍しくもあった。

戦闘がなければいつも基地から出て行ってどこかに行ってしまう彼が、こうして形式的に休暇をとるなんて。

 

明日は槍でも振るのだろうか。

 

内容に目を通すが、別におかしなところはない。

チェックのサインを入れて、次の書類に手を伸ばそうとしたところ、コンコン、とドアがノックされる。

 

「誰?」

 

「俺だよ。」

 

その声にドキリとする。

 

ドアの前まで行き、扉を開ける。

 

そこには、いつものマスク姿ではなく、しゃれた私服に身を包んだ彼がいた。

 

「あら、どうしたの?」

何かあったのだろうか。

 

「いやー、あの書類見てくれた?」

 

書類、ああ、あの休暇申請だったか。

そう思い至る。

 

「あれね。それがどうかしたの?」

「そうだなぁ・・・・。実は基地に必要な物資の補給に行こうと思ってね・・。誰か誘おうと思ったんだけど、残念なことに誰もいない。・・・・どこかにそれを手伝ってくれる優しい隊長殿はいないかなーって思って。」

 

それがあの休暇申請を使った理由なのか。

まさか、わざわざそのために?

 

「いやいや。女性が必要とするものなんて男の俺からしたらさっぱりわからない。だからそれを助けてもらえたらな、と。」

 

ちらりと後ろにある書類を見る。

既に今日の分は片付いているので、問題はない。

しかし、彼と二人っきり・・・・・。

 

 

二人っきり・・・・。

 

顔が熱くなる。

一回りも年が離れている男性と、たった二人でおでかけ。

 

そう考えると心がじわ~としてくる。

 

いやいやいやいやいやいや、これは任務の一環だ。

だって物資の補給は戦線の維持に欠かせないから。

 

だから、私的な理由なんて一切ない。

 

ない。

 

「ん。そうね。・・・・・・忙しいけど手伝ってあげる。」

口をついてそんな嘘が出てくる。

とっくに仕事は終わっているのに、照れ隠しにそんな風に言ってしまう。

私だって大人なのだ。建前ぐらい使わせてほしい。

 

「じゃあ、行きましょうか。隊長殿。」

 

彼とともに、町まで行くことになった。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

彼との出会いは、単なる仕事上のものだった。

その時は、初めての試みであった統合戦闘航空団の運営、指揮に奔走しており、美緒たちに頼ったり、頼られたりしていた時だ。

 

人類の希望になり得るかもしれない。

そう考えるだけやる気に満ちたものだ。

 

 

戦っていくうちに、ばらばらだったみんなの心が徐々にまとまりつつあった時、彼はやってきた。

 

マスク姿に、重そうなアーマーを着こみ、背中にしょっている妙な機械。

体中につけられている多種多様な武装の数々。

 

そして、犯罪者などの賞金首をハンティングし続けているという経歴。

彼が捕まえた人間の中には、信じられないような大物もいた。

 

そんな人間がどうして、私たちのところに。

 

それがきっとみんなが思っていたことだろう。

私だって気持ちの整理が完全についたわけでもなかった。

 

 

皆、懐疑的だった。

本当に戦えるのか。いや、そもそもウィッチでもないのになぜネウロイを相手取っているのか。足手まといにならないのか。

 

無理もないことだった。

 

皆の気持ちを代弁した美緒が、模擬戦を提案。

全員と一騎打ちを行い、その実力を彼は見せつけた。

 

もしかしたら彼なら。

 

 

そんな淡い期待が皆の顔には浮かんでいたような気もする。

 

でも、何というか危なっかしいとも思った。

マスク越しなので表情はわからないが、寂しさで泣いている赤ん坊のような背中だ。

 

そう考えると、なぜか放っておくわけにもいかないと思い、色々とおせっかいをかけていた。

 

彼の扱いについて上層部に問いかけたことがあるが、部隊内では一番階級が低い人間よりも一つ階級が下のものとして扱うように、という答えが返ってきた。

 

 

当時は意味が分からなかったが、おおよそ面倒ごとを避けるためにそうしたのだろう。

全く彼は・・・・。

 

 

彼と仲良くなった出来事の一つを思い出す。

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・

 

書類をもって廊下を歩いていた時のこと。

 

整備班と楽しそうに談笑している彼の姿を見つけて、話しかけようとしたとき、整備班のうちの一人がこんなことを言った。

 

「なあなあ。この基地のウィッチ達でだれが一番好み?」

 

その言葉を聴いた瞬間、物陰に隠れる。

なぜこんな盗み聞きのような真似を私はしているのだろう。

 

そんな思いに反して聴き耳をそっと立ててしまう。

 

「やっぱりサーニャさんかなぁ、俺は。何というかあの守ってあげたくなる雰囲気がいいんだわ。」

ある男が力説する。

なるほど、彼女は確かに男子受けしそうだ。

 

納得だ。

「俺はシャーリーさんだな!!どこがとは言わないけど、おおらかそうだし!!」

拳を握り締めてそう断言する。

 

・・・・・・・これだから男は。

私だってスタイルいい方だし・・・。

 

自分の体形を見ながらそんなことを思っていると、もう一人の男が自分の好みについて熱く語る。

 

「俺は宮藤さんだ。家庭てきそうだし、結婚して、家に帰ってきたらごはんできでますよーって出迎えてくれそうだ。それに俺たちにも優しいしな。」

「ほう。見る目があるな。俺のおごりだ。食え。」

 

そういって真ん丸な形のお菓子のようなものを手渡す彼。

機嫌がすこぶるよさそうだ。

それを受け取って口に入れる男。

 

「おお。これは何ですか?すっごく甘いけど、なんだかさっぱりしていてしつこくなくてうまいです。」

「まんじゅうってお菓子だ。あんこっていうのが中に入っていてな。扶桑皇国の食べ物だ。ほら、お前らも遠慮せずに食え。」

 

あざーっす、とそれを受け取って次から次に食べていく。

 

うわあ・・・。すごいおいしそう。

見ているだけでおなかが空いてきてしまう。

 

「ほころで、んぐ、なんふけど。」

「ちゃんと飲み込んでから話せ。」

 

彼にそう言われて、んぐんぐ、と口に入れて咀嚼したお菓子をごくり、と飲み込んで

また口を開く男。

 

「ボバさんの好みは誰ですか?」

「そういえばボバさんだけまだ言っていないですよねー。」

「そうそう、聴かせてくださいよー。」

「女子かよ、お前ら・・・・。」

 

少し辟易とした様子であきれる彼。

いつも飄々としている彼が一番気になっている相手。

それは一体だれなのか。

 

本当だったらこんなこと聞かないほうがいいのだろう。

でも、足が動かない。

体がそわそわとしている。

 

彼がうーんと腕を組んで、告げる。

 

「はっきり言うと宮藤さんなんだが・・・・。」

ああ、やっぱりそうなのか、と落胆しかけたとき。

 

 

 

 

「ミーナさんかな。」

書類をばささっと床に落としてしまう。

 

「?今なんか音がしませんでしたか?」

「お菓子を狙ってカラスでも来たんだろう。それよりもボバさん、理由を教えてくださいよー。」

 

ねえねえ、とねちっこく絡む男。

顎に手を当てて、述べる彼。

 

「お前ら、いい女の基準って何だと思う?」

「え?それは・・・。」

 

頭をひねって考える男たち。

 

「やっぱりエロい美人とか?」

「いやいや、性格のよさじゃないか?」

「相性かな?」

 

口々に自分の意見を言っている。

 

この時断言した彼の言葉を、私は一生忘れられない。

 

「――――――ミーナさんみたいな女だよ。なんとなくわかるだろう?」

 

~~~~~~~~!!!

~~~~~!!??

~~~~~!!!

 

口を手でおさえて絶叫しそうになるのを抑える。

 

い、一体何を言ってるの?!

 

「ああ。それはわかります。いいっすよねー。」

 

 

「みっつだ。エッチで知的な美人。それがいい女の条件だ。このいずれかを持っている娘は多いが、全部もっている娘はなかなかいない。だから、もしお前らが見かけたとしたら全力で守ってやれ。いつかきっと俺の言葉の意味が分かる時が来るだろう。」

 

「もしかしてボバさん、ミーナさんのことが好きなんすか?」

 

「ノーコメント。」

 

そりゃないっすよー、と笑う男たち。

彼らがその場を去っても、私はしばらく物陰から動くことができなかった。

 

 

・・・・・・・・・・・・

 

トラックを運転して、町までやってきた俺たち。

さすがに人手が必要だったので、他の娘達にも手伝ってもらっている。

 

ミーナの機嫌がすこぶる悪くなって、怖かったが。

 

シャーリーに一度トラックの運転を任せたらひどいことになったので、今回は俺が運転することにした。

 

助手席にはミーナが、荷台にはほかについてきた皆が乗っている。

 

横目で彼女の顔を見る。

 

ほう、と思わずため息が漏れてしまいそうなほどにきれいな一枚の絵のようだった。

 

美人な人間はたくさんみてきたが、知的でもある相手というのはなかなかいなかった。

彼女からは強さと慈愛を感じる。

 

つくづく、ウィッチというのは美形ばかりだな、と思う。

 

沈黙が続いていたが、やがて黙っているのに飽きたのか彼女のほうから話しかけてきた。

 

「ねえ。」

「なんだい?」

 

前を見て、運転しながら話を続ける。

 

「どうしてあなたは戦っているの?」

本当に、それも子供が疑問に思ったことを口にするように聴いてきた。

 

後ろに聞き耳を立てつつ、盛り上がっていることが伺えたのでまあ、言っても大丈夫か、と

腹をくくる。

 

「惚れた女のため。」

びっくりしたのか固まっている彼女。

普段冷静な彼女にしては珍しい。

たまにはこういうことを言ってみるものだな。

圭子がいたらきっといい写真を撮ってくれただろうに。

もったいない。

 

「そう。正直びっくりしたわ。」

「あ、ミーナのことが好きだよ。」

 

窓に腕を立てて外の景色を見ながら彼女は話していたが、ずるっと腕がすべり、頭をガンと窓に打ち付ける。

 

打楽器を思いっきり壊れるほどたたいた時のような音がしたので少し心配になる。

 

「あー。大丈夫?」

 

おでこが少し赤くなっている。

こりゃ痛そうだ。

 

目的地についたので、皆には俺が看病すると言ってミーナを横に寝かしながら見送った。

少しぶーたれていたが、やはりミーナが心配だったのか「冷たいのを買ってくる!!」といってルッキーニとシャーリーが走り去り、エイラとサーニャは「何か傷薬を探してくる。」」と言って買い物に行ってしまった。バルクホルンとエーリカは物資を買いに向かった。

 

 

さて、彼女は大丈夫か。

 

荷台の後ろに乗り込み、自分の服を床にしいて彼女を寝かせる。

うー、とうなっているが結構強く打ったのでよほど痛かったのだろう。

 

まくらがなかったのでどうしたものか悩んでいると、腕をつかんで彼女に頼まれる。

 

「ねえ。うでまくらして・・・・。」

 

・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・

芳佳にもしてないのに、と戸惑ったが、彼女に告白まがいのことをしておいて、言い訳も何もないな、と思い返し観念して一緒に寝転び、彼女の頭を腕に乗せる。

 

 

彼女の頭が俺の腕に乗っかったとき、荷台の中の温度が少し上がったように感じた。

目の前にはリンゴのように顔を真赤にして口をパクパクしているミーナ。

 

どうやら先ほどの告白に対して、こちらに仕返しをしようと腕枕を頼んでこちらをどきどきさせようとしたところ、本当にされてしまって困っている、というところか。

 

しかし、きれいな髪だ。

せっけんの清潔な香りが鼻腔をくすぐる。

 

「~~~~~あ、あなた、こういうことになれすぎじゃないかしら?」

「気のせいだ。」

 

目をそらしてごまかしておく。

芳佳やシャーリー達にも言われたことをミーナにも言われるとは。

 

そんなに節操なしに見えるのだろうか。

確かに傍から見たら浮気野郎だが。

 

腕枕って意外と力がいるんだなということに気が付いた。

 

今はどうでもいいか。

 

そのまま見つめあう俺たち。

何だか妙な雰囲気だ。

 

じっと身動き一つせずにお互いに目を合わせている。

 

そして、彼女が目をつむり、こちらに顔をよせてきて、俺もそれに答えようとしたところ、

 

 

「たっだいまー!!」

 

そんな無邪気な声が急にしたので、慌てて離れた。

 

正座して彼女から少し離れた場所に飛ぶ俺と、

うつぶせになって顔を隠す彼女。

 

んー?とルッキーニが不思議そうな声を出して、トラックの荷台を覗き込んできた。

 

あのままルッキーニが来なかったら俺たちは・・・・。

 

残念なような、よかったような。

 

「ほら。買ってきたぞ。」

そういって入ってくるシャーリー。

冷たい水が入っているボトルをこちらに差し出してくる。

それを受け取って自分のおでこにくっつけるミーナ。

 

少しは具合がよくなるといいんだが。

 

 

・・・・・・・・・・・

 

 

「なあ、これで全部か?」

「うん、そうだよ。トゥルーデ。」

怪力の魔法を展開して大量の荷物を持つ私と、そこそこの荷物を抱えるフラウ。

なんか納得いかないが、まあ、役割分担か。

 

そんな私の顔を見てくるエーリカ。

どうしたんだ?

 

「・・・・・・かわったよねー。トゥルーデ。」

変わった?

私がか?

そういわれても全く心当たりがなく、戸惑ってしまう。

 

「変わったと言えば、お前の方だろう。厨房にたって料理をするようになったのを見たときには自分の目を疑ったぞ。最近部屋もきれいだし。」

 

ははは、と笑って明後日の方を向くエーリカ。

今ままでがひどかったということは自覚していたらしい。

 

全く、できるのなら最初っからやればいいのに。

ものぐさにもほどがある。

 

「いやー。ちょっと本気出したくなっちゃってー。」

えへへー、と照れてそういう。

・・・・・・・・・・・あいつか?

またあいつなのか?

 

エーリカの髪に前とは違う色の黒の煌びやかなかんざしがさしてあるのもそうなのか?

 

・・・・・・・・・・少しは私にだって・・・・。

 

「ねえ。トゥルーデ。」

そんな風に暗い考えに思考が陥りかけていた時、エーリカの声によって意識が引き戻される。

「なんだ?」

 

 

「彼のことをどう思っている?」

動かしていた足を思わず止めて、彼女の方を振り返る。

いつものようなだらけたムードではなく、真剣そのものと言った顔つきだった。

 

「どうって?」

「そのままの意味。」

 

・・・・・・いや。

私はウィッチだし、あいつは想い人がいる。

どう考えても無理なんじゃないのか。

 

宮藤とボバのやつがそうだと知ったとき、胸の中を占めた想いは悲しみだった。

 

何で、どうして、と。

出会った時期は私だって同じだったはず。

 

なのに、なんで。

スタイルだって自信があるし、何かあったら彼を助けることだってできるくらいには強いと自覚している。

 

 

だからこそ、納得いかなかった。

 

そんな自分の醜さを思い知って、目をそらしたくなった。

 

あいつは・・・・・。

 

「私は好きだよ。」

 

エーリカのそんな素直な気持ちを聴いて、胸が痛くなる。

何でそんなまっすぐに。

 

すると、にやりと笑って自信たっぷりに断言する彼女。

 

「彼ってさ。私とわざわざ二人っきりの時間を設けてくれているんだよ。・・・・・もし全く脈が無かったらそんなことしないんじゃない?このかんざしみたいにいろいろと贈り物もくれるし。」

 

「自慢か?自慢なのか?」

 

「うん。」

 

そういってくるエーリカの頭をヘッドロックしてお仕置きする。

人が悩んでいるのに惚気話を聞かせてくるとはいい度胸だ。

ここらでたっぷり絞めておくか。

 

「ぐええ・・・・。し、しぬう・・・・。」

こちらの腕をとん、とんと叩いてタップしてきたので少し緩めてやる。

全くこいつは・・・・・。

 

・・・・・・・ありがとう。エーリカ。

 

「え?何のことー?」

「なんでもない。」

 

余計な気遣いをさせてしまうとは。

私もまだまだだな。

 

自分の気持ち、か。

 

 

「何やってるんだ?二人とも。」

 

ぴいいいいっ?!という短い悲鳴を挙げて飛び上る。

後を向くと、ボバのやつがこちらを不思議そうな目つきで見てきていた。

 

な、なぜここに?

 

「いやあ、二人の帰りが遅かったから他の皆にミーナを見てもらって探しに来たんだけど。」

 

ああ、そうか。

確かにちょっと長居が過ぎたのかもしれない。

下ろしていた荷物を再び背負って歩き出そうとすると、あいつがそれを半分持ち始める。

 

かなりの重量があるのに涼しい顔をして持ち運んでいる。

 

怪力を使っている私でも少し重いと感じているのに。

 

「おい。」

「平気だ。それよりも何していたんだ?二人とも。」

 

先ほどのことを言っているのか。

まさかお前のことについて話していたとも言えずに口ごもる。

 

「あー。そうそう、最近エーリカがずぼらじゃなくなったという話をだな・・・。」

自分の身を守るためにエーリカを売った。

 

すまん、エーリカ。

さすがに恥ずかしいから代わりに槍玉にあげられてくれ。

 

「もう。酷いなー。私だってやるときはやるんだから。・・・・ボバ。」

「ん?」

「これ、似合っている?」

 

そういって髪につけているかんざしを見せつけて感想を聴くエーリカ。

・・・・・・・!ま、まさか・・・。

 

「ああ、ってもう何十回も聞いてないか?それ。」

「いいーじゃん。嬉しいからいくらでも聞いちゃうんだよ。」

 

へへへ、と嬉しそうにはにかむエーリカ。

確信した。

もらったんだな?

 

ほうほうほう。

私に甘い言葉をかけておきながら、エーリカにも手を出すとは。

軽い荷物をボバの足にわざと落とす。

 

「おっと、すまん。手がすべってな。」

「けっこういたい・・・。」

 

あっ、さ、さすがにやりすぎたかな・・?

 

「す、すまん。大丈夫か?」

「うーん。ちょっと腫れているくらいだから大丈夫だ。」

「ちょっと見せてみろ。」

 

 

そういってかがむ私とそれを覗くやつ。

「「あ。」」

 

至近距離で目があってしまう。

そのまま固まる私たち。

 

通行人がほほえましい顔つきで見守っては通り去っていく。

 

時間がそこだけ止まったかのように動き出せなかった。

 

(こ、こんな近くで・・・。ああ、あと少し、ほんのあと少し近づいたら私は・・・。)

 

怪力の魔法を展開してボバの首をつかんで引き寄せる。

 

「え?え?」と困惑しながらもなんとか首の筋肉を使って耐えようとしている。

い、いやなのか?!

私とそういう関係になるのは嫌なのか?!!

 

 

抵抗されてむきになってしまう。

 

「ちょっとー、お二人さーん。」

 

ジト目でこちらを見つめてくるエーリカ。

 

その声で我に返る。

 

掴んでいた手を離す。

 

「す、すまん。何でもないぞ。何でも。」

 

 

こんな町の往来で破廉恥なマネを・・・・・。

まね、を・・・・。

 

もし、エーリカに止められていなかったら。

もし、二人っきりだったら。

 

想像しただけで顔から火が出るような思いだ。

恥ずかしなんてものじゃない。

 

「よ、よし!!皆待っているからな!!帰るぞ!!」

 

早歩きで駆け出す。

 

みるなあああああ!!

今の私の顔を見ないでくれええ!!

 

心の中で絶叫した。

 

 

・・・・・・・・・・・・・

 

 

すたこらさっさと先に行ってしまったバルクホルンの後ろ姿を見つめながら考える。

 

近づいたと時に感じた彼女の香り。

とてもいい匂いだった。

 

至近距離で見た彼女の顔の美しさといったら、たまったものじゃない。

今でもかなりドキドキしている。

 

それに気づかれぬように平静にふるまっていたが、顔を真赤にして駆け出して行った彼女の姿を思い出すだけでいじらしく思う。

 

(これは、やばいな・・・・。)

すると、隣にいたエーリカからほっぺをつねられる。

 

あれ、同じことが今日あったな、とデジャヴを感じつつ、エーリカの方を見る。

 

ぷくーっと頬を膨らませて眉を少し釣り上げている。

 

ああ、やっちまった。

 

「ねえ、一緒に月を眺めていた時に感じたあの一瞬は嘘だったのかなー?そうだったら、ちょっと妬けちゃうなぁ・・・・。」

 

嘘だ、とは気おされて言えずに彼女の言葉がちくちくと胸に刺さる。

的確にこちらの急所をえぐってくる。

 

なんてめんどくさ可愛いんだ

 

「廊下で私のこと、愛しているっていったじゃん・・・・。ばか。」

 

かわいい。

じゃなくてどうにかしなければ。

 

彼女に背中を向ける。

 

それに乗っかってくるエーリカ。

 

「ん・・・・・。」

どうやら小柄な彼女はこうするのが好きらしい。

ルッキーニが俺におぶられているのを見て、試しにやってみたら気に入ったとか。

 

彼女の足を抱えつつ、荷物を持ちながら進む。

最近、本格的にこういったことが起こるようになってきた。

 

何というか、見境がなくなって来たというか。

 

それだけ不安なのだろうか。

 

自分の自業自得なので甘んじて結果は受け取るが、なんとか死なないように修正しなければ。

 

 

彼女に耳元で囁かれる。

「あのさ・・・・・。私にだったら、何してもいいんだよ・・・・?」

こちらの理性を崩す、悪魔の言葉。

さすがに壊れそうになった。

 

こんな美少女にここまで言われて何も感じないわけがない。

 

それを必死に押しとめる。

 

「感じるよ。私に興奮してくれているんでしょ?クスクス・・・。いけないんだぁ・・・。あの娘と付き合っているのに、さ?」

 

浮気だね、と言われる。

ごめん、合意さえ得ればいいってとっくに了承済みなんだ、とはさすがにこのムードの中では言えず、ひたすら沈黙を押し通す。

 

口をひらけば彼女に本当に滅茶苦茶にしていいのか?と聴いてしまいそうだったからだ。

 

一歩一歩、歩みを進めるたびに行われる彼女からの誘惑に屈してしまいそうになる。

 

「ああ・・・♡ボバってかわいいなぁ・・・♡」

 

聞こえないふりをして気にせずに進む。

それが不可能だと知りながらも。

 

結局、彼女はトラックにつくまでそうするのをやめてはくれなかった。

生殺し、とはこんなにつらいのか。

 

 

 

 

「いいの?私みたいなちっちゃな子に興味があるっていうことはロリコンってことだよ?フフフ・・・・♡」

 

 

 

ずっとそんな風にこちらをねちっこく責めてくる彼女にぐらぐらしながら歩き続けた。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・

 

 

「ただいま・・・・。」

「おかえ・・・どうしたのさ?すっごいやつれているけど?」

 

シャーリーの問いかけに何でもない、と言って真っ赤になって横になっているミーナの隣に寝転ぶボバ。

エーリカからのお誘いに耐えた結果、彼は激しく消耗することになった。

 

「死体みたい。」

そんな二人の様子をけらけらと笑って喜ぶルッキーニ。

「だらしがないナ。全く。」

 

あきれながらも少し心配そうにしているエイラ。

あまり彼のそういうところを見たことがないので珍しそうだった。

 

ここで問題が発生する。

運転手と助手席の二人がダウンしてしまったのだ。

 

他の人間が代わるしかない。

 

「しかたない。私が行こう。フラウ、ナビゲートよろしく。」

「えー。彼と一緒に寝ようと思ったのにー。仕方ないなー。」

そういってトラックの荷台から降りて、前の席に乗り込む二人。

 

時折何かを思い出して体をぷるぷると震わせるミーナと、寝息を立てて寝てしまったボバ。

その光景は、他の同席している彼女たちにとって愉快極まりない光景だった。

 

 

「しょ、しょうがないなー。仕方なく!!仕方なく!!あたしが代わりに枕してやるよ・・・・。」

 

そういって自分の膝に彼の頭を乗せようとしたとき、それを横からインターセプトして止める人物。

 

「・・・・・・・わたしがやる。」

 

普段はあまり自己主張しないサーニャであった。

 

「い、いいよ。このアホの面倒は私がみるから。」

しぶしぶといった感じでしようとするも、食い下がってくるサーニャ。

 

「ううん、私は、そうしたいと思っているからそうしたいの。」

 

そのストレートな言葉に固まるエイラとシャーリー。

そのすきをついて、自分の膝に彼の頭を乗せてしまう彼女。

 

「サ、サーニャ。私ハ?私はまだしてもらったことがないんだけド・・・・。」

 

ん、と言ってサーニャが指をさす方向にはボバのおなかが。

それを見て顔を赤らめるエイラ。

 

「いやいやいやいやいや!!そ、そうじゃなくって!!」

首を横にぶんぶんと振って拒否する。

 

しかし、次の一言が、ヘタレと呼ばれているエイラの最後の一線を越えさせてしまう。

 

「・・・・・・・・今なら彼が寝ているから何やってもダイジョブだよ。」

 

ごくり、と唾を飲み込む、

「な、なんでモ・・・・?」

「彼ってぐっすり眠ると何やっても起きないよ。」

 

だから、ね?というサーニャの言葉にふらふらとボバの傍に近寄っていく。

「サ、サーニャが勧めてくれたからそうするだけなんだからナ!!勘違いするなよナ!!」と小声でそういう。

笑顔でそういっているので全く説得力が感じられないが、本人は無理やりそう思うことにしているらしい。

 

彼のおなかに後頭部を乗せて寝っ転がる。

 

「おおおお・・・・・。これ・・・・いい・・・。」

幸せそうな顔つきになるエイラ。

 

それを恨めしそうに見るシャーリー。

仲間外れにされているように感じて寂しそうなルッキーニ。

 

 

「シャーリー。私たちもあれ、する?」

シャーリーも仲間外れにされているからそんな表情をしているのだと考えたルッキーニが彼女にきづかってそんな提案をする。

 

「・・・・・・・うん。間違ってもあってもいないけど、うん・・・・。」

ごろん、と寝っ転がってシャーリーの膝枕を堪能するルッキーニ。

「間違ってはいないんだけど・・・・!いないんだけど・・・!」

自分を思いやっての行動だから強く言うこともできずに葛藤する彼女。

 

 

そのままトラックが発進する。

 

 

基地につくまで、皆そんな変な形で寝転がっていた。

 

 

 

(あれ?なんでサーニャはそんなこと知っているんだろう?)

 

 

 

 

マイペースなルッキーニだけがその異様な事実に気づいて、指輪を受け取ったシャーリーが気が付かなかったのはボバにとって幸いだったのかも知れない。

 

 

 

 

 




こういうお祭りスタイルだったら多くのウィッチ達が出せるって気づいた(今更感)
人数を増やしたのはいいが、これ以上はやばいから、とりあえず今の段階では保留と思っていたところにエーリカやみんなからの誘惑。

耐え切るために何かを削っているボバくん。

これは地獄ですわ・・・・。


なお、ボバくんは戦線を開くことはできても、維持はできない模様。
スレーヴⅠでネウロイをぶっ殺せても、補給線を構築するのが間に合わないからね。
仕方ないね。

他の基地のウィッチ達がアップを始めたようです。

悪女かわいいエーリカ。
彼がぐらぐらと揺れているさまを見てたのしむドS。
でも、根は純情。

エーリカの誘惑を耐え切った彼がむかったのはとある人物のところ。
彼を襲う最大のピンチとは?

次回「賞金稼ぎは追いかけられる。」

真打ち、登場。

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