ボバ・フェット(偽)はウィッチとともに空を飛ぶ   作:KeI77777

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感想返し

Q芳佳乗せ腕立て50回…50回?
どっかの鍛えてる仮面ライダー見習おうぜ?
A実際腕立て伏せって50回連続してやると結構きついんですよ・・・。
自分の体重がダイレクトに帰ってくるあの感覚が・・・・。
しかも背中には少なくとも30キロ以上はある芳佳を乗っけていて、年齢が30代いっている一般人です。彼は。

Qボバ兄貴にハブ酒とスッポンと鰻とエビオス錠をダース単位で差し入れてあげたい。
Aそれにマムシも加えよう(提案)
最終的にはそれでさえやばいことになる可能性が高いです。(恐怖)
誰か!!彼を助けてあげて!!

Q伯爵様の可愛さがヤバい件...想像だけで脳内ヘヴンでしたよ女っぽい格好!!やっぱり、触れ幅が大きい分破壊力もやばかったよ...最近はこの小説読むのが楽しみでしかたがないです。それでは、次回の更新も首を長くして待ってます。
A来ちゃった♡(更新)
それでも不定期です(憤慨)

わかりやすく言うと、“妻”になった相手はある意味リミッターが外れています。
つまり、二人っきりになったりすると・・・・

感想欄がほとんどボバくんが四苦八苦する様子を見てたのしんでいる人ばかりで
笑った。
ちょっと男子―。少しはボバくんにも優しくしてあげなさいよー(棒)


あ、今回は史実に存在した人間のパロディと、ブレイブ・ウィッチーズの面々が登場します。
キャラとかしゃべり方がおかしかったら指摘してください。
正直、力を貸してもらえると力強いので。

KEY(ドM)



賞金稼ぎは彼女に追いかけられる。

「こちらでお待ちください。それでは。」

 

そういって出て行く看守。

 

腕を組んで椅子に座って待つ俺。

 

ここはとある刑務所。

 

周りを海に囲まれた島であり、厳戒な警備体制によって侵入、脱獄がほぼ不可能だといわれる世界一有名な刑務所の一つ。

 

今俺は、ある人物に会いに来ている。

 

面会室で待つこと1分ほど、やつはやってきた。

 

恰幅の良い体型に、ただならぬ気配。

 

刑務所の中だというのに葉巻をふかし、囚人服ではなくしゃれた服装をしている。

この場所で囚人服以外の服装を唯一許されている男。

 

 

その男がガラス越しに目の前の椅子に座る。

 

 

部屋に響き渡るのは、時計が秒針を刻む音だけだった。

 

葉巻をフーっとふかし、煙でわっかをつくり、男がしゃべりだす。

 

「よう。」

「ああ。」

 

それだけ喋り、また沈黙する俺たち。

 

いらぬ言葉は言わないとばかりにそれを楽しんでいる。

 

これが、俺と彼のルールみたいなものだった。

 

すっと、上等な酒と葉巻を差し出し、そっとワイロを渡す。

普通ならこんなことをしたらすぐに看守に取り押さえられるが、この場合はそうではない。

 

逆に、止めようとした看守が海に沈められることとなるだろう。

 

「酒、か。」

「いいやつだ。ここじゃあこの酒なんて手に入らないだろう?・・・・つまみもあるぞ。」

 

「わかってるじゃねえか!!がっはっはっはっは!!」

 

とたんに機嫌がよくなる。

相も変わらず現金な奴だ。

 

史実でのこの男がやってきたことを考えれば、ここまで酒に関心を持つのは自然なことか。

 

こちらも酒を取り出し、男は日本酒のふたを開けて、前にくれてやった盃にとくとくと注ぐ。こぼれそうなくらい多く入れられたそれをガラスを挟んでこちらに掲げる。

俺も、同じくガラス越しにこちらが差し出した盃を彼の盃に合わせる。

 

 

チン、とガラスと陶器がぶつかる音がして、お互いにぐいっとあおる。

 

喉を進む焼けるような感覚。

酒はあまり好きじゃないが、今は別だ。

こういう時なら旨い。

 

飲み干して、盃をかたん、とテーブルに下ろし、ぷはあっ、と美味しそうに男がいう。

「うっめぇなぁ。全く、扶桑皇国の食い物はどうしてこんなに旨いのか。ああ、ここにぶち込まれる前に一度行っておきたかったぜ。」

 

本当に残念そうにそういう。

太るからやめておけ、とはさすがに言えず、もし行っていたら糖尿病で死んでいただろうなと邪推する。

 

あの国にいると太りやすいからな。

 

「・・・・・・で?今日はどうした?」

 

先ほどまでの柔らかな雰囲気が引っこまり、只者ならぬオーラが漂い始める。

もってきていたハムをナイフで刺し、それにかぶりつきながら言う。

熟成された肉の味が舌に広がる。

 

「んぐんぐ・・・。確かあんたは女遊びが・・・んぐ、上手かったよな?」

「ん?おお。ってことはなんだ?お前・・・・・・。」

「まあ、女性関係でちょっと、な。」

 

俺がそういうと意外だったのか目を丸くして驚く。

「お前がか?」

「ああ。」

 

がっはっはっは、となぜツボに入ったかも分からずに目の前の爆笑している男に冷ややかな視線を送る。

 

ったく、やっぱりこの人には叶わない。

普段は俺が女性を口説いてからかう側なのにな。

 

まるでどこかのカールスラントのエース殿みたいだ。

 

むしゃり、むしゃり、と干し魚を咀嚼する。

 

やっと落ち着いた男がからかうような声色で尋ねてくる。

「おいおいおい。俺を捕まえたボバ・フェットがどこのどいつに懸想しているんだ?まるで心臓を女の目線で撃ち抜かれてイカれちまったみたいじゃねぇか。」

 

 

「そうさ。だからアドバイスをもらいたい。・・・・もちろん、俺の状況も話すが。」

 

そうして、今の俺の状況について書かれたレポートを渡す。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

「判断が遅い!!戦場だったら死んでいるかもしれんぞ!!もっと早く!!」

「はい!!」

 

そういって追いかけあう宮藤ともっさん。

あー、速いなぁ。

 

それにしても、皆どこかピリピリしているなぁ。

もっさんは特にそうだ。

それと反対に、前に一緒にあいつとおでかけしていたやつらは機嫌がすこぶるよくなっていたけども。

 

 

 

・・・・・・・くっそう。あいつめ。呑気に他の女の、それにまだ付き合ってもいないサーニャの膝で寝るとは。

 

帰ってきたら愚痴の一つでも言ってやろうか、と思ったがやめた。

そんなことをしていたら宮藤やほかの奴らに追い抜かされそうだし。

 

あいつがくれた指輪とミサンガを撫でる。

さすがに指輪を左手の薬指につけるわけにもいかないのでそちらは右腕の人差し指につけている。

 

彼がわざわざリベリオンの紋章と、あたしの使い魔であるウサギのマークを入れてくれたのは結婚指輪だと周りにばれにくくするためか。

 

つけてからようやく気付き、いらだちと喜びが湧いてきた。

そういう隠す前提でことを進めていたことと、あたしのことを守ろうとしていたことに。

 

(あたしが皆から追及されるのを回避するために・・・・。それでもあんたの妻だって自慢してやりたいのにさ・・・・・。)

 

やるせない気持ちを抱えながらも、銃を用意して目の前の相手に向き合う。

 

ゲルトルート・バルクホルン。

まごうことなき最強クラスのウィッチだ。

 

味方であればあれほど頼もしい彼女も敵に回すとひどく厄介な相手となる。

 

お互いに魔力を放出し、浮き上がる。

 

そして、気が付く。

目の前の彼女の髪をおさげのようにツインテールにくくっているヘアゴムが、前とは違う新しいものに変わっていることに。

 

もうわかっていることだが、形式的に一応、何かの勘違いかもしれないので務めて平静に、冷静に、寛容さを出して質問する。

 

「な、なあ。その髪留め、前と違っていないか?新しくしたのか?」

 

「へ?あっ・・・・・。」

しまったといわんばかりに髪留めを両手で隠し、ごまかそうとするバルクホルン。

 

その姿を見て確信する。

 

「うん。そーか、そーか。やっぱりそうなんだな。わかっていたけどもさ。・・・・・

拗ねてやる。」

 

目の前の戦友にこの憤りをぶつけることにした。

 

あいつめ・・・、優しくしてくれなかったらぶっ飛ばすっていったばかりなのに。

なのに!!

 

 

自分が原因だと勘違いしてオロオロしている彼女を追いかけまわした。

普段、こちらが責め立てられることが多いのに、今日は違った。

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

刑務所から出て、船に乗る。

遠く離れていく刑務所を見つめながら、横に寝っ転がる。

 

船長はこちらを気にせずに自分の仕事を全うしている。

 

周りにいる警務員は俺を警戒してこちらを見張ってきている。

 

見えるだけでも数は10。

船長を含めて全滅させるのに47秒以内ってところか。

 

死にたくないという思いから発達したセンサーによって制圧にかかる時間を憶測する。

例えどんな状況でもいきなり殺しあう可能性はゼロではない。

 

身に沁みついてしまった生き方が、こうして出てきてしまう。

 

じろり、とマスク越しに視線を送ると委縮する警務員たち。

 

新人の人間もいるようだ。

 

気にせずに先ほどの会話を思い出す。

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

相関図を渡して、俺の女性関係を知った目の前の男が一言漏らす。

 

「よく死なんな。お前。」

「ついているからな。」

「死神がか?笑えんな。」

 

ハッ、と言って吐き捨てるように言う。

 

「俺は長年色んなやつを見てきたが、こんなバカ野郎は初めて見たぞ。」

 

まさかの大悪党に太鼓判を押されてしまった。

嘘だろ、やっぱりやばいのか、これ。

 

「このグラマーな姉ちゃんと、イケメンなお嬢ちゃん、そして何だか家庭的そうな娘はお前さんと懇意にしているんだよな?」

 

「ああ。正妻はその宮藤って娘だな。」

 

そうか、と言って黙る男。

 

どうやら考えこんでいるらしい。

 

無理もない。

今の俺はチェスの盤上で言えば、チェックメイトされる手前。

 

道を間違えれば恨みつらみで死ぬ可能性が高い。

 

だからこそこうして助けを求めているのだが。

 

「判断はいい。ちゃんと誰が正妻か決めないとこういう一夫多妻っていうのは間違いなくもめるからな。・・・・・決して経験論じゃねーぞ。」

 

疑惑の目を向けていた俺を威嚇するように顔をしかめる。

いや、あんたの場合想像が容易なんだが・・・。

 

「目に見える地雷はいい。問題は伏兵だ。」

「伏兵?」

「ああ。」

 

シュボっとマッチを擦って火を起こし、それを次の葉巻につけて吸い始める。

どうやら話は一筋縄ではいかないようだ。

 

「例えばだ。お前、この娘とこの娘だったらどちらが発狂したらやばいと思う。」

そういって指さすのはサーニャとエイラの写真。

 

「サーニャじゃないのか?」

俺がそう答えると残念そうな顔になる。

こいつ、わかってないなという感じだ。

 

「その前提がおかしいんだよ。お前の状況の場合、一人でも嫉妬でとち狂ったら他のお嬢ちゃんたちもそうだと思え。全部つながってんだよ。」

なるほど。

確かにそうだ。

 

サーニャが傷つけばエイラも傷つくし、エイラが悲しめばサーニャも悲しむ。

つまり

 

「そうだ。だから、お前がこれからやる必要があるのは全員を平等に扱いつつ、また、自分だけは特別だと感じさせ続けることだ。」

何というダイ・ハードなミッションだ、と思った。

 

「あんただったら?」

「決まってんだろ。今すぐ全員抱く。」

 

男らしい回答だったが、今回ばかりは参考になりそうもなかった。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

そんな先ほどの暗黒街のドンとの会話を思い出す。

(つってもなぁ。)

 

ごろん、と寝返りをうつ。

ウィッチの一人からもらった持ち運びできるタイプの手鏡を開いて、後ろの警務員の状況をみながら考えていく。

 

まずは501の娘達だ。

地盤を固めなければ、自分の背中を守ることだって危うい。

 

戦闘中に不慮の事故に見せかけられて、撃たれたらたまったもんじゃない。

 

あなたを殺して、私も死ぬ、なんてことを普通に女という生き物はやりそうだから怖いのだ。

 

男にはある歯止めがないという感じだ。

 

カマキリの雌を思いだす。

雄は、彼女たちと交わった後、雌の栄養になるために食べられてしまうという。

 

愛するものを自分の中に取り込みたがるのは、どんなメスもそうなのかもしれない。

 

そんな風に思考がどんどん別の方向に行きかけていた時、船が大きく揺れる。

 

「なんだ?!どうした?!」

 

突然の高い波にさらわれそうになって慌てる警務員たち。

 

何やら聴きなれた甲高い鳴き声の様なものを耳にしたので、天を見上げる。

そこには、小型のネウロイが3匹ほど飛んでいた。

 

「こ、ここはネウロイ達の巣から遠く離れているんだぞ?!!ウィッチ達が抑えてくれているはずでは!!」

 

おー、確かに彼女たちは命を張ってお前たちを守ってくれているだろうよ。

でも、そんな風に神格化するのはいただけないな。

 

拳銃を抜いて発砲していく男たち。

だが、届かないか、届いたとしてもシールドで防がれてしまう。

 

並みの武器じゃあいつらには叶わない。

 

無線を通じて、応援を要請する男たち。

全く動じていない船長。

 

やばい、船長の大物感が半端ない、と感動しながら装備を付ける。

 

ビビりながら震える手で銃を握ってネウロイに銃を向けている新人君の肩にポン、と手を置いて、落ち着かせる。

 

「銃を握るのは初めてか?坊主。」

 

そういう俺にビビりながらも首をわずかに動かしてイエスと答える。

へえ、初めて殺しをやったときの俺よりも肝が据わっているな。

 

こいつ、将来大物になるぞ。

 

「撃つときに一番肝心なのは、銃を握ることじゃない。決して取り乱さないことだ。」

ネウロイから放たれたビームが俺たちの方に向かってくる。

 

それにおじけづいた新人がパニくって逃げ出そうとするが、それを肩を抑えてそこに居させる。

 

ビームが新人君の頭をかすめた。

 

そのまま海を突き抜けて海中に消えていく。

 

「今、下手に動いていたら死んでいたぞ。・・・・・死ななくてよかったな。」

がたがたと震え続けている。

 

失禁しないだけましか。

銃を構えて空を飛ぶ。

 

ブラスターでまずシールドを削る。

 

反撃とばかりにビームを撃ちまくってくるネウロイ。

?こいつら、何だか様子がおかしいぞ。

 

よく見れば体もボロボロだし、コアが今にも見えそうだ。

チャンスだ、とばかりにリストミサイルを連射する。

 

最初の一発目でシールドを砕き、シールドが再展開される前にもう一発撃ちこみネウロイを撃破する。

 

燃え尽きるネウロイ。

幸先がいいな、次だ、と構えた瞬間。

 

 

とあるものが見えてしまった。

 

 

全力で警務員たちがいる船に戻り、隠れる俺。

 

それを訳が分からないといった顔つきで眺める男たち。

 

さっきまで震えていた新人君の肩をつかんで念を押して言う。

 

「いいな?!!ここにマスク姿のジェットパックを背負った奇妙な男がいたかどうか聞かれても、あの太陽のかなたに消えていったというんだ!!いいな?!!絶対にもらすなよ!!彼女の機嫌を損ねたら痛いことになるからな!!」

 

そういっていそいそと船長室に入り込む。

物陰からちらりと覗き込む。

 

ネウロイ達がまた飛び立とうと動き始めたその時、声が聞こえてきた。

 

「・・・・・・・・・・えええええ・・」

 

それはだんだんと近づいてきて、速さを増しているのがわかる。

 

「・・・えええええええええええ・・」

 

絶対に見つからないことを祈って、十字を切って懇願する。

やめろ、神様。彼女のことは好きだけど、なんでこのタイミングで引き合わせるんだ。

 

恨みつらみを連ねる。

 

 

そして、その時はやってきた。

 

「まてえええええええええええええええええ!!!!」

 

右手に青白い光を握り締めて、ネウロイに殴りかかる空飛ぶ影。

すさまじい速さで瞬く間に残り二体のうち、一体を葬ってしまった。

 

まじか、まじなのかよ。

 

よりにもよって彼女かよ。

 

せめてヴァルトやジョーゼット、エディータあたりだったらまだやりようがあったのに。

くそう、神様は俺を苦笑いさせるために存在しているのか。

 

 

こちらを仕事の邪魔だ、というような目つきでにらみつけてくる船長の元まで行って、刑務所で渡しそこなった高級ワインをドン、と取り出し、足元に置いて頼み込む。

 

「船長!!あんたを男と見込んで頼みがある!!!あの空を飛んでいる少女がこんなやつがいないか聴いてきたとしても知らぬ存ぜぬで通してくれ!!報酬はこいつだ!!」

 

俺が置いたワインを手に取り、栓を抜き、中のにおいをクンクンと嗅いで、ワインをぐびりと飲み始めてしっしという手つきでこちらを追い払う船長。

 

交渉は成立の様だ。

 

「・・・・・・・・・・・・・・ここに。」

 

 

そういって、彼が指さした場所に入り込む。

 

 

空の上では、最後の一体を彼女が爆散させたところだった。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・

 

 

「おりゃあああああっ!!!」

取り逃がしたネウロイを追って、とどめを刺す俺。

 

一時はどうなることかと思ったが、やっとくたばったようだ。

ざまあみろ、と心の中で毒づく。

 

下を見ると、一隻の中型のそこそこ大きな船が海に浮かんでいた。

 

面倒だが、一応けが人がいないかチェックしておくか。

 

降り立って、着艦する。

 

近くにいた、さっきの俺とネウロイの戦いを見てびびっていたのか、震えている男に尋ねる。

 

「おい、この船にけが人はいねえか?」

 

そう俺が言うと、みな大丈夫だ、という。

 

だったらさっさと戻って他のネウロイを倒しに行くか。

 

そう思って飛び立とうとした俺は、あるものを見つけた。

 

 

きらりと光る、見覚えのあるもの。

 

あいつに贈って、今でもあのアホが持っているはずのそのプレゼント。

 

 

 

そこまで歩いていく。

 

拾い上げると、やはりそれは俺がくれてやったものだった。

 

「おい!!これの持ち主はどこに行った?!!」

 

そう周りの奴らに聴くが、皆顔を背けて黙るばかり。

 

どいつもこいつも腑抜けかよ。

 

仕方ないのでさっきまでがたがたと体を揺らしていた男の胸倉をつかんで“優しく”尋ねる。

にこり、と笑みを絶やさないようにしながら尋ね人の居場所を聴く。

 

あいつが俺に笑った方がかわいいといったので、なるべくそうするようにしている。

 

「なあ。怒鳴って悪かったよ。だから、お願いだから教えてくれねーか?」

 

首をぶんぶんと縦に振ってとある場所を指し示す。

ほうほう。

 

あそこにあいつはいるのか。

 

「ありがとよ。」

離してやり、一歩一歩進んでいく。

ジャキリ、と九九式二号二型改13mm機関銃を引きずりながら向かう。

 

なんでこんな場所にいるのかとか、なんで逃げるのかとかそういうのを後回しにして。

激しい怒りが湧いてきていた。

 

 

(な・ん・で、俺にあいに来ないんだ。)

 

好きって言ったくせに。

愛しているって囁いたくせに。

強くなろうとした俺の心を溶かしたくせに。

 

こんな言葉使いの俺でもかわいいってほめそやしたくせに。

 

しかも、最近になってわかったことだが、商売女のところに頻繁に通っているという噂まで聴く。

 

銃を握る手に力がぐぐぐっと込められる。

 

 

最近では文通ばかりで二人っきりで過ごせる時間も無くなってきた。

あたしたちのところじゃなくて501の奴らがいるところに何で居続けているのかも直接問いただしてやりたい。

 

ああ、これは逆恨みじゃない。

私刑だ。

 

ここらで躾けておかねぇと。

 

 

船長室の方に向かう。

 

あのバカを見つけ出すために。

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

カツン、カツン、と甲高い足音が鳴り響く。

ごくり、と覚悟を決めて、彼女がどうか気づかずに通り過ぎることを祈る。

 

 

近づいてくるデストロイヤーの気配を感じつつ、ぶるりと震えあがる。

 

本当は誰よりも純真でかわいい彼女ではあるが、今回ばかりは愛しているっていってごまかしてもやばいようだ。

 

だって、ほら。

 

 

すぐそばで聞こえる彼女の声には、静かな怒りが含まれているんだから。

 

「なあ、あんた。」

そういって船長に聴く彼女。

 

頼むぞ、船長。

 

あんただけが俺の希望だ、と心の中で祈る。

 

「こんなヘンテコな格好をした男が来なかったか。」

 

そういって取り出したのは、ツーショットでぷい、と仕方なく一緒に撮ってやっているんだとそっぽを向く彼女と、そんな彼女の態度に苦笑している俺の二人が写っている写真だった。

 

なんで、それを大切そうに懐から取り出したのか。

戦闘中でも持っているのかと突っ込みそうになったが口を閉じる。

 

ぎろり、と彼女を睨む船長。

 

「・・・・・・・・・・ここは、俺の船だ。そんな奴は知らん。」

 

「・・・・・・・・・・・・・・」

 

嘘を言っていないか探り始めた彼女。

 

しかし、ほんの一瞬にも、数時間の長さにも思える沈黙の後、彼女が頭を下げる。

 

「そうか。わりいな。仕事の邪魔しちまって。」

 

あ、あのデストロイヤーが素直に頭を下げただと。

人間の相性っていうのはわからないな、と戦慄する。

素直なあの娘とか久しぶりに見た。

 

 

「じゃあ、すぐに出て・・・?!」

 

突然、彼女が黙り始める。

 

 

そして、銃をこちらに向けてくる。

 

俺が入っているロッカーに。

 

「おい。そこにいるやつ。出てこい。チーズみたいな穴ぼこになりたくなけりゃな。」

 

10秒以内に出てこなかったら撃つ。

と彼女が言う。

 

 

やばいやばいやばいやばいやばい!!

ばれた!!

 

何という野生の勘。

これが別の502のウィッチだったら気づかれなかっただろうが、騙すには相手が悪かった。

 

 

「早くしろ。10・・・・」

 

 

ゆっくりと、カウントダンが始まる。

 

俺、ここで死ぬのか。

 

宮藤、シャーリー、ヴァルトルート。

 

ごめんな、と覚悟を決めて外に出ようとしたとき、ロッカーにかかっていたあるものに気が付く。

 

・・・・・・・!!

これは!!

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・

 

 

愛銃をロッカーに向けて、カウントダンを進める。

 

早く出てこい。

 

何でうちに来なかったのか、俺のプレゼントを落とすなんて何考えてんだとか、言ってやりたくて仕方がなかった。

 

カウントがついに3を切り始める。

 

「3・・・・・・・・・、2・・・・・・・・・・・。」

 

1、と言いかけたその時。

 

内側からロッカーがキイ、と開いた。

 

やっと観念したか。

 

あいつだと思っていたら、

 

 

船員服を着た、見知らぬ人間だった。

 

目元まで深く帽子をかぶり、体を震わせている。

 

 

こいつにも聴く。

 

「おい、あんた。」

 

俺がそう聞くと、びくうっと体を跳ねさせる。

 

なんだこいつ。

 

すると、先ほどまでワインを飲んでいた船長がこちらに話しかけてくる。

 

 

「そいつはうちのクルーだ。・・・・ネウロイ恐怖症のな。ここらの地域ならネウロイも来ないと聴いて配属されたんだが、どうやらトラウマを思い出してロッカーにこもっちまっていたようだな。」

 

その言葉を受けて、ずきり、と胸が痛みだす。

俺が逃がさずに仕留めていれば、こんなに怯えさせることもなかったのか。

 

・・・・くそっ!!

 

苛立って足元を踏む。

 

 

頭をポリポリと掻いて、告げる。。

 

「おい、お前。次からはちゃんと俺たちがネウロイをぶっ飛ばす。だから安心してこの船に乗ってろ。いいな?」

 

そんな俺の言葉にうなずく男。

 

俺もまだまだだな。

 

立ち去る前に、手鏡をその男に手渡す。

 

この船にいたってことは、また来るだろう。

 

 

「501所属の“ボバ・フェット”ってやつがまた来たらこれを渡しといてくれ。ついでに伝言も。・・・・・・・“次落としたら、ぶっ飛ばす”ってな。」

 

ストライカーユニットを動かして、空に飛びあがる。

 

長いこと時間をかけすぎちまった。

 

早く戻らねえと。

 

 

 

捜していた男がまだその船の中にいたとは知らずに、俺は飛び去って行ってしまった。

 

 

 

 

「確かに。ちゃんと聞いたよ。直枝。」

 

・・・・・・・・・・・・・・

 

 

彼女が米粒くらいの大きさまで遠くに行ってしまったのをそっと窓から確認して、その場にへたれこむ。

 

「た、助かった・・・・。」

 

船長にありがとよ、と言って機転を利かせてくれた礼を言う。

 

 

ロッカールームの中に船員の服が無かったらどうなっていたことやら。

 

いつも通りの彼女の姿に安堵しながらも、でも、やっぱりかわいかった彼女の姿を思い出して、ホクホクとした気分になる。

 

(相変わらずだな。俺と同じく強がっている部分が大きいのに。)

 

純情文学、清純少女とのチェイスを終えて、服を脱いで、アーマーをまた着込む。

 

 

出した装備をどこかにしまえる特典でよかった。

 

そうでなかったら、着替えていてもロッカールームの中に俺のマスクとアーマーが置き去りにされて発見されていただろうし。

 

追加の報酬として、高級チーズと、ドンからもらった、ワイロとして政府高官にくれてやれ、と言われて渡された葉巻を船長に献上する。

 

 

先ほどの彼女の様子を思い浮かべる。

 

 

あの様子だとヴァルトルートの指輪と結婚に関してはばれてはいないようだ。

しかし、危うい。

 

気を引き締めなければ。

 

前に俺と一緒に撮った写真を持っていてくれたのは嬉しかったが、それでもあれほど怒っていたのだ。

 

一番気性が荒い彼女だからあれほど怒っているのかもしれないが。

 

 

船長の隣で一緒にチーズを食べながらワインを飲む。

 

さっきまでの恐怖と焦燥を忘れるために。

彼女にどんな手紙を送ろうか迷いながらも考えつつ。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

「どうしたの?」

 

何でもない、とピリピリしている彼女。

 

おかしい。

 

確かに彼女はぶっきらぼうな態度をとることが多いけど、ここまで拗ねている姿というのはあまり見たことがない。

 

隣にいた伯爵に聴く。

 

「ねえ、なんかいつもと様子が違うんだけど、知らない?」

 

「さあねぇ。何かあったんじゃないかな?」

 

その“何か”が知りたいのに、と思いつつもそりゃそうかと思う。

 

逃げ出した小型のネウロイを追ってどこかに行ってしまったあの時、

帰ってきた彼女の顔は嬉しそうであり、同時に悲しそうでもあった。

 

 

 

 

 

 

「あいつめ・・・・・・・。」

 

 

菅野直枝は、髪留めをそっとさわり、思い出す。

 

 

自分に穀然と立ち向かってきたあいつのことを。

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

502に雁淵ひかりがやってきた後のこと。

 

気に入らない。

 

それが俺のあいつへの第一印象だった。

 

 

なんだ、あのすましたような顔は、表情は。

戦いに赴く戦士には到底見えず、ただただ落胆するばかりだった。

 

マスク姿に、奇妙なアーマーを着こんだ不審者。

 

俺の拳でマスクを叩き壊してその顔を拝んでやろうかと思ったほどだ。

 

ネウロイと戦うときにそんな奴と一緒にいたらこっちまで危険にさらされる。

 

他の統合戦闘航空団で活躍していたようだけども、やはり目の前のこの男は信用できなかった。

 

 

ネウロイとの初めての戦いの後、その認識は気に入らないから、戦って確かめたいに変わった。

 

見たこともない武装を駆使して俺たちのサポートに回るあいつの姿を見て、ちょろちょろするな、と思いつつも一定の戦果を挙げた以上は認めざるを得なかった。

 

 

けど、まだまだ納得できず、部隊で唯一の男だということで警戒しまくっていた。

 

 

このもやもやをなくすために、俺はあいつに果たし状を送った。

 

 

基地の郊外にて、待つ、と。

 

ストライカーユニットをそんなことに使うなと皆から怒られるかもしれないが、頭に血が登って冷静になれない状態だったので、そのままやつを待ち続けた。

 

 

そして、あいつはやってきた。

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

菅野直枝さんになぜか呼び出されて、人がいないような場所にやってきた俺。

 

他の部隊の娘達はとっくに寝ているというのに。

こっちは宮藤と離れ離れになってイラついている。

 

フル装備で駆け付けた。

 

仁王立ちで腕を組みながらこちらをきっとにらみつけてくる彼女。

 

眠い。

一体何の用なのか。

 

「待ってたぜ。この馬鹿野郎。」

 

部隊に来たばかりなのにここまで辛辣な反応をされるとは、さすがに女子に対して温厚な俺も語気が荒くなる。

 

 

「眠い。さっさと用件を言ってくれ。」

 

そんな俺の様子にカチンときたのか拳をこちらに突き付けてきて、宣言する彼女。

 

 

「俺と戦え!!!」

 

・・・・・・・・・・・・・

一文の得もないのに?

 

あほらしい、と思って背を向けて歩く。

 

さっさと帰って装備の点検でもしよう。

そう思っていた俺に、あの時と同じような言葉が投げかけられる。

 

 

「ボバ・フェットも大したことないな。」

 

ピタリ、と足を止めて彼女の方に向き直る。

 

後を向く。

 

にやりと何がおかしいのか笑っていやがる。

 

「最強の賞金稼ぎ?裏社会の住人?んなもん嘘だろ?!俺たちみたいにネウロイと戦う覚悟もない奴が戦場に」

 

 

パシュン、と銃を抜いて彼女に発砲する。

 

おしゃべりな女だ。

頬をかすめてやった。

 

頬に絆創膏のようなものをつけていたところを、わざと狙ってあおってやった。

お前なんていつでも息の根を止められる、と。

 

男だったら殺していたな。

 

自分の頬から流れる血を指ですくい、怒った様子でこちらを見てくる。

 

「てめえ・・・・。」

 

それはこっちのセリフだ。

 

もっさんといい、俺はどうしてこう血の気の多い扶桑のウィッチに絡まれやすいんだ。

女運は良くも悪くもないと自負しているが。

 

 

手に持っている銃をこちらに向けてくる。

 

「殺す。」

 

 

夜の決闘が始まった。

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

俺を売った新人にはヘッドバッドしておき、船長とは硬い握手を結んで船から降り立った。

 

彼女、直枝から手渡された手鏡を開く。

身だしなみに気を遣うときにはこれを使用することにしている。

何だか彼女がそばにいてくれるような気がするからだ。

 

 

あれだけいがみ合っていたのにここまで仲良くなるとは、人生わからないものだ。

郵送でお気に入りのガリア文学を送っておいたのできっと喜んでくれることだろう。

 

・・・・・・それと機嫌どりの文章も。

 

それから一日後、俺はまだこの近くにいた。

観光がてら、501の皆へのお土産を買っていたからだ。

 

 

昨日は疲れた。

前はトラックで皆とお出かけしていたら、いつのまにかサーニャの膝に乗せられていたし、エイラが俺のおなかに頭を乗っけて寝ていたし。

 

シャーリーはこちらを睨みつけていたし。

 

その後には直枝とエンカウントしかけて精神がすり減らされるし。

 

 

カオスすぎた。

ふああっ、とあくびをして、本屋に入る。

 

直枝からのおすすめの書籍を買うためだ。

 

彼女はああ見えて本好きだからな。

仲良くなるにつれていろいろな本を「これ読め!!」と言って押し付けられたものだ。

 

懐かしい。

 

今はニット帽に黒のライダースジャケットのような私服で来ている。

 

耳には知り合いのウィッチからもらったイヤリングの片割れをつけている。

 

すぐ来て、すぐに帰るつもりだったからラフな格好にしたのだ。

 

本を手に取り、立ち読みしながら物色していく。

 

この世界は、もともと俺が居た世界にどこか似ているようだ。

 

今は時期的に言えば二次大戦あたりか。

 

それに従って様々な本も存在する。

 

芥川庄野介とか、冬芽漱岩とか、どこかで聞いたことあるような名前ばかりだ。

 

・・・・・・・あ、正岡親規っていうのもいるのか。

 

まるで物まね芸人張りのニックネームに吹き出しそうになってしまう。

 

でも、森鴎外とかはいるんだよなぁ。

意味がわからん。

 

 

直枝が薦めていたガリア文学を手に取って買い、外に出る。

 

すると、そとは雨だった。

 

まずったな、傘を持っていないというのに。

スレーヴⅠはここから数十分歩いたところにある。

 

 

どうするか、と悩んでいたところに、ありえない声が聞こえる。

 

 

「あー、雨かあ・・・・・。」

 

 

その声に思わずばっと振り返ると、そこには見覚えのある人物が。

 

 

茶髪を青色のリボンでツインテールにまとめた、青眼の小柄な少女。

愛嬌のある顔だち、しかし実は大食いというギャップに基地の男どもから密かに人気をはくしていた少女。

 

嘘だろ。

 

 

いや、基地がそう遠くない場所にあるからといって、たまたま寄った場所に彼女とたまたま会うなんて一体何万分の一の確率なんだ?

 

同じく本屋のドアから出てきて、入り口にある屋根で雨宿りする彼女。

 

ガリア文学が好きだって言ってだけど、まさかここにいるなんて思わんだろう。

 

 

相関図を思い出す。

脳裏に浮かぶ、もつれあう関係。

 

ここで鉢合うわけにもいかない。

 

壁にもたれて顔をニットで目まで隠して、下を向く。

 

大丈夫だ。俺は壁、俺は壁。

 

本を開いて顔を隠す。

これなら見えまい。

 

 

しばらくそうしていたところ、彼女から話しかけられてしまう。

 

 

「あれ、その本。あなたも好きなんですか?」

 

本の隙間からちらりと彼女の顔を覗き込むと、本の内容を話したくて仕方がないといった様子の彼女が。

 

しまった。

彼女はガリアの文学好きだった。

 

隣で一緒に雨宿りしていた男が読んでいる本が、自分のお気に入りの本だったから話しかけてみたのだろう。

 

ぬかった。

 

声を低くして、ばれないように話す。

 

「ええ。まあ。知り合いに薦められまして。」

 

「そうなんですか!その人ってきっとセンスがいい人なんですね!」

 

ええ、なにせ君と君の知り合いからだからね。

いいどころじゃないよ。無茶苦茶やばいよ。

 

必死にごまかしながら話を進める。

 

こちらはいやいやという空気を醸し出しているはずだが、それに気が付かずにマシンガントークで話しかけてくる。

 

普段、常識人で皆からあれこれ負担をかけられている分の鬱憤が晴れるかの如く。

 

おかしい。

彼女はまともなほうだったはずだ。

 

ブレイク・ウィッチーズの面々とかに比べればそれはそれはいい子だった。

 

ここまで本が好きだとは。

 

 

ばれないようにそんなやり取りをしていると、もう一人の見知った顔が現れる。

 

 

「やあ。傘をもってきてあげたよ。」

 

 

ヴァルト。会いたかったけど、会いたくなかったよ。

 

これは直枝から逃げた罰なのか、そうなのか。

隣に立っている俺の姿を見て、笑みを浮かべる。

 

 

これは気が付いているか。

必死にジョゼから見えないようにジェスチャーを俺のここから逃がすように頼み込む。

 

頼む。

 

 

だが、ヴァルトは俺のほうに顔をむけて話しかけてくる。

 

「ところでこちらの方は?」

「ああ、一緒に雨宿りしながら好きなガリア文学について話しあっていたの!!私と凄い趣味があっていてビックリしちゃう!!」

 

 

だって彼女から貸された本は全部読んだからな。

両手で顔を覆って見ざるのポーズをとる。

 

「見たところ、傘を持っていないようですが・・・。」

「だ、大丈夫です・・・・・。」

 

顔を背けながらそういう。

 

ざあざあと振る雨のおかげで声がばれずに済むとは。

その雨のせいでこうして足止めを喰らって彼女たちと出会ってしまったわけでもあるが。

 

すると、基本はいい子で面倒見がよい彼女がこの時ばかりは要らぬおせっかいをかけてくる。

 

「じゃあ、私たちの基地の近くまで来てくださいませんか?そうしたら傘の一本くらい差しあげますよ。」

 

 

あれか、門の前までだよな。

そうだよな。

 

くそう。

まさか本の話題で盛り上がった結果、親切にされてしまうとは。

 

なくなく肩を落としながら彼女たちと一緒に傘に入ることになった。

 

 

二本あったので、一本をヴァルトが、もう一本をジョゼが持ち、そんな俺に向かってさっきの話の続きを再開する彼女。

 

 

 

あれ?二本あるんだったら俺がそのまま一本もらって、彼女たちが相合傘すればいいんじゃないか?と思ったが、歩き出して数分経ってから気が付き、言える雰囲気でもなかったので口をつぐんだ。

 

 

笑うなよ、ヴァルト。

 

 

キスして口を塞いでやりたくなったが、ジョゼの前だったので必死にこらえた。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・

 

そんなこんなでやってきたこの場所。

 

前まで俺が居た502の基地。

 

いやあ、懐かしい、とは思えずに恐怖する。

 

 

門の近くに誰かがいた。

 

502の誰かが。

 

頼む、せめてひかりか副隊長あたりがいてくれ、と願う。

あの二人は優しいから、まだバレても大丈夫だろう。

 

 

しかし、そこにいたのはヴァルトと同じくらい背が高い茶髪に短めの髪型の美しい女性。

 

グンドュラ・ラルが立っていた。

どこかに行っていていたところらしい。

 

「あれ。どうしたのさ?」

 

「ん?ああ、お前達か。ちょっとな。」

 

疑問を投げかける二人にそう答える彼女。

 

そうして、こちらに目線が向く。

ニット帽を深くかぶり、おおよそ変態だと思われても仕方がない格好をしている俺に。

 

 

 

スッと目が細められる。

 

 

どうやら不審者然としたいで立ちの俺を警戒しているらしい。

 

「・・・・・そちらの方は?」

 

「ああ、どうやら傘がないみたいでねぇ。知らない仲でもないし、こうして傘を上げようと思ってここまで連れてきたんですよぉ。」

 

「そうそう。ガリア文学が好きだって。」

 

ジョゼはさっき本のことに関して話したから知らない仲ではないと言いたいのだろう。

 

 

だが、ヴァルトは違う。

笑っている。

 

こいつ、「ああ、だって彼は私たちと一緒に戦い続けた仲間ですからぁ。」とでもいうニュアンスを含んでいやがる。

 

ニヤニヤとしたり顔で、いつもどきどきさせられているお返しだ、とでも言わんばかりだ。

 

おい、女好きじゃなかったのかよ、と伯爵に訴えるが、俺の前だと自分が“女”になるらしい。

 

最初に会ったときに女性扱いしたら結構嫌がっていたくせに。

 

 

これだから女性相手の駆け引きは複雑なんだ。

 

「・・・・・・・ふむ。そうだな。」

 

 

そして、雨がなぜかこのタイミングで狙いすかしたかのように激しくなってくる。

 

ざあああっという音がドドドドドドという滝のような音になってくる。

 

きゃあ、と驚いて飛びのいたジョゼが傘を持っているので、傘から外れた俺が雨に打たれることとなる。

 

ずぶ濡れになる俺。

 

おい。

待ってくれよ。

 

 

この展開は、まさか。

 

「あっ、す、すいません。大丈夫ですか?!!私ったら、つい・・・。」

 

自分のせいでずぶ濡れになったと考えている俺にそういう彼女。

 

やめてくれ。

優しくしないでくれ。

 

「あー、これは不味いねぇ。スグニキガエナイトカゼヲヒイテシマウー(棒)」

 

二パのような片言でしゃべるヴァルト。

まさかの援護射撃。

 

見事なワンツー・パンチだ、と504の“大将”コンビを思い出す。

 

 

そして、グンドュラがとどめを刺す。

 

「しかたあるまい。とりあえず中に入っていただこう。もちろん、立ち入り禁止の区域には入れないように一般の人間でも入れる個室への案内となりますが。」

 

 

腕を組んでいるので豊かな胸が強調されて思わず目を向けそうになるが、後ろに立っているヴァルトに背中をつねられる。

 

あの伯爵が妬くとは、愛って恐ろしいものだな、と今までの恋愛経験を振り返りながら思う。

 

 

あとそのいやらしい手つきはやめてくれ。

変な気分になる。

 

後ろ手に彼女を戒める。

 

彼女たちに基地の中へと案内されることになった。

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・

 

 

「おらああああっ!!」

 

拳をあいつの顔面叩き込むために大きく振りかぶる。

しかし、なかなか当たらない。

 

機敏な動きでよけてくる。

 

こういうところも腹が立つ。

 

とっとと当たれば終わるのに。

 

機関銃を掃射して逃げ場がないように弾幕を張る。

 

(当たる!!)

 

そう思って発射した弾丸は、あいつの腕から発射された火炎放射器で全部溶かされてしまう。

 

 

何だ?!そりゃ!!

 

ますますわけのわからないやつだ。

おかしい。

 

 

「ふざけんな!!これならどうだ!!」

 

高く飛び上がり、重力の落下に任せて急降下してこぶしをたたきつける。

魔力をまとってこぶしにバリアを張っていたので、当たった瞬間、勝ったと思った。

 

しかし、見慣れない、小刻みに振動している剣のようなものに阻まれる。

 

ぎりぎりと拳と剣でつばぜり合いをする結果となった。

 

「次から次へと・・・!!一体どれだけの武器を持ってるんだよ!!」

 

銃を離して、空いた片手をやつのもっている剣の下側を叩いてすっぽぬかせる。

そのまま回避運動を相手がとる前に連続してこぶしを叩き込む。

 

「おらあああっ!!」

 

持っていた奇妙な銃も壊れた。

 

アーマーごと体を殴り、地面まで吹っ飛ばす。

 

 

砲弾のように着弾する。

 

 

放した銃を追いかけて空中でキャッチし、地面へと降り立つ。

 

 

あいつの様子を伺う。

 

仰向けに倒れており、ぴくりとも動かない。

 

死んではいないよな。

 

 

銃を構えつつ、ゆっくりと近づく。

 

そうして足元まで近づいた。

 

「はっ・・・・。俺の勝ちだな。」

 

がっかりだ。

そう吐き捨てて立ち去ろうとしたとき。

 

 

銃を蹴り飛ばされる。

 

「~~~~~~!?」

 

拳を叩きつけようとバリアをまとって腕を振るった瞬間、

 

 

太ももに何かが刺さる感触を味わう。

体がしびれて、動けなくなり、その場に倒れてしまう。

 

 

「これ、は・・・・・。」

 

 

「カミーノ・セーバーダート(毒矢)だ。」

 

むくり、と立ち上がりこちらを見下ろしてくる。

 

 

「手を抜いてやがったのか・・・?」

 

「いいや、全力ではあったさ。」

 

本気を出すまでもない。

そういっているように聞こえて、悔しさで歯ぎしりする。

こんな奴に・・・・・!!

 

 

あぐらをかいて、俺の前に顔をずい、と寄せてくる。

 

「ち、近寄んな!!」

「おまえの負けだ。」

「~~~~~!!」

 

負け。

俺の。

 

そんな、ネウロイですらないただの人間に。

ウィッチですらない相手に。

 

泣きそうになるが目を閉じて涙が見えないようにする。

 

「・・・・っぐ、うううううううう・・・・・・。」

「・・・・・何で俺と戦おうと思った?」

 

 

静かな声でそう聴いてくる。

そんなの決まっている。

 

「お前の化けの皮を剥ぐためだよ!!!」

 

くそっ、と吐き捨てる。

 

「で?剥いだ結果どうだった?」

 

意地悪くそんなことを言ってくる。

俺を笑いものにする気か。

 

最低な野郎だ。

 

「煮ても焼いても食えないことだけがわかったよ!!」

があっ、と威嚇する。

 

そんな俺の態度にも平然としている目の前の男。

 

何だ、こいつは。

何でこんなに落ち着いていられる?

 

はあ、とため息をついてあきれたような声色で優しく語り掛けてくる。

 

「・・・・帰るぞ。オチビちゃん。」

 

「誰がチビだ!!」

 

そういって俺を抱えて空を飛び始める。

 

「放せ!!変なところ触んな!!」

「ああ、今放してもいいけど、下見てみたら?」

 

その言葉に従って下を見ると、いつの間にかとてつもなく高度が高くなっていた。

もし、動けない今の状態で放されたら・・・・。

 

「おい!!絶対放すなよ!!」

「さっきと言っていることが違うぞ。」

 

そのままやつが背負っているジェットのような物から熱が噴射され続ける。

動けないからって変なことするつもりじゃないだろうな。

 

「ああ、そうそう。模擬戦でのリベンジ・マッチならいつでも受け付けているから。」

 

そういうやつの言葉に暴れていた動きを止める。

「いつでも・・・・?」

「ああ、それとも、怖くなっちゃったか?お嬢ちゃん。」

 

「ふざけんな!!次は絶対に俺が勝つからな!!俺が申し込んだら絶対挑戦を受けろよ!!いいな!!」

「はいはい。」

 

そのままこいつに抱えられながら基地の近くまで帰ることになった。

 

この時から、俺はあいつを見かけては模擬戦を申し込むようになった。

 

あの背中においつくために、

あいつを振り向かせるために。

 

 

・・・・一度、自分のことを“私”っていって会話したら、あいつが驚いていたのは良いざまだった。ようやく一本とれたような気がした。

 

後々、そのことでからかわれることになったけど。

 

 

・・・・・・・・・・・

 

ベッドに寝転がりながら、何気なく窓の外を見る。

 

たたきつけるようだった雨が、もう止んできている。

 

明日は快晴か、と考えていた時、聴きなれたジェットの音を耳にする。

 

跳ね起きて、窓の外を見る。

 

 

 

あいつが、ジェットパックを点火して基地からどこかに飛び立っていくところだった。

 

 

(あいつ・・・!!)

 

部屋から飛び出て、ストライカーユニットを装着しに行き、すぐにあとを追う。

 

やっぱりまだ近くにいたのか。

 

というか何で俺のところまで来ないんだ。

 

ふざけるな。

 

拳を握り締めながらそう考える。

 

 

あいつが飛び立っていった方向に叫ぶ。

 

「おい!!!!どこだ!!!!俺だ!!!直枝だ!!!出てこい!!!」

 

しかし、帰ってくるのは静寂だけだった。

 

 

どういうことか、しっかりと説明してもらわないとな・・・。

 

拳をぱきり、ぱきりと鳴らしつつ、あたりを散策した。

 

 

 

 

 

 

(逃げおおせた、と思ったら先日見たばかりの直枝が追いかけてきて、近くの建物に潜伏するはめになったよ。どうする。雨もやんじゃったから下手に飛べないし・・・。)

 

 

彼の受難は続く。

 

 

 

 




暗黒街のドン
暗黒街、酒、周りを海に囲まれた刑務所。
わかりやすすぎるヒントが満載だったのでわかった人は多いんじゃないだろうか。
彼が世界一の賞金稼ぎ、と言われるようになった一件に大きくかかわっている人物。
その正体は伝説のあのマフィア。
刑務所で彼の話を肴に、持ってきた酒を愉しむのを待ち望んでいる。
ボバは、彼が終身刑を言い渡されても、なぜかこうしてあっては年の離れた友人のような、微妙な距離感で付き合っている。
お互いに相手を認めているからか。


船長
一番書いていて楽しかったキャラ。
宇宙戦艦とか、不思議な海でジャイアントなノーチラスの船長をやっていそうな漢。
マジ者の強者。
自分の船に乗った以上、自分の命令にはたとえ大統領だろうと従わせる。
かつて、ネウロイと戦い、何機か落としている。
実は、ボバ君とかつて出会ったことがある。
お互いにそのことを忘れているが。
なんでこのキャラの設定を練りまくっていたんだろう。

菅野直枝
ブレイブ・ウィッチーズ所属のウィッチ。俺っ娘。
勇猛果敢にネウロイに臆することなく肉薄し、超至近距離での戦いを行うウィッチ。
バリアのようなものを拳にまとい、それをネウロイにたたきつけることで攻撃を行う。
実は昔は文学少女で俺という一人称でもなかったが、ネウロイと戦うにはもっと精神的に強くならねば、と一念発起し、こういう性格となった。
基本的には気難しく、一匹狼。しかし、自分が認めた相手には優しくなる。
ボバ君にあれだけ突っかかったのもそれが原因。
よそ者、気に入らない、といった思考で彼を追い出そうとまで考えていたが、
実力は本物の様だったのでしぶしぶ認めることに。
それからは本編の通りになった。
彼が本をたしなんでいたので、自分のお気に入りの文学を薦めたところほめられて
お気に入りの本をすべて貸すことに。
それを受け取って彼は一週間で必死にすべて読み込んだ。
たぶん、一番頑張った。
なんで俺たちのところじゃなくて、501なんだよ、と不満を持ちつつも待っている模様。
実力的には魔力を持つ
 菅野>ボバ、となり、普通に戦ったらまずボバくんは勝てないが、対人戦の経験がむちゃくちゃ豊富なので人間相手だどすこぶる強くなる。

ジョーゼット・ルマール
同じく、ブレイブ・ウィッチーズの一員。
ほっそりとした見た目に反して大食い。
そのため料理が美味いほかのウィッチとは仲が特にいい。
そして、ガリア文学が好きなので、同じくガリア文学に憧れてガリアの語学を専修していた菅野ともよく話す。
基本的には常識人。
ヴァルトルートや菅野に比べたら本当に普通にまとも。
たまたま立ち寄った本屋で彼と思わぬ邂逅を果たすも、気づかず。
また、おいしいモノ食べさせてくれないかなー、と期待している模様。
ボバ君の美食コレクションを食べつくしてからは、食事をおごる時に警戒されるようになっているが、本人は私のことを考えてくれている、と勘違いして、期待している。
そして、この作品では・・・・。

次回は他のブレイブの娘達も出てくるんじゃないかな(適当)
ボバくん。逃げて。


かつての戦友たちに囲まれるボバ君。
しかし、彼女たちは忘れていなかった。
自分のことを口説いてくれたあの夜を。


次回「賞金稼ぎは脱走する。」

タイトルで落ちがついているんだよなぁ・・・(指摘)


11月23日までで活動報告でアンケートをやっています。
すべてのウィッチの中で一番好きなキャラの名前を活動報告のコメントで愛を込めて叫んでください。
何かが起こります。

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