ボバ・フェット(偽)はウィッチとともに空を飛ぶ   作:KeI77777

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いつもの感想返し

Q変な電波を受信したんだ……

宮藤「それでも私は……ボバの正妻だぁぁぁぁぁぁぁ!」

娼婦「それは一人前のボバ乗りが言うセリフだ!」

……うん、おれ、疲れてるんだよね? 娼婦さんと宮藤が出会った時のことを考えたらいつの間にかスターダストなメモリーの1シーンを思い出したんだ……あっちは人型戦闘兵器の試作型の取り合いだったけど、こっちはボバの取り合いだね……やったね!(白目
A半分こという手があってね・・・(震え声)

Qいいや! 限界だ押すね! 今だ! (評価10をポチッ)

投稿速度が凄まじいですね。こっちとしては嬉しい限りですけど。1話だいたい何分で書き上げているんですか?
A・・・・・・大体3時間くらい?

Q最初読んだときはまだ二話くらいしかなかったから基本501ハーレムでたまにゲストとして他から数人加わるくらいかな?と思ってたら今となってはおお…もう…。

ワールドウィッチーズ全制覇する勢いとかボバさん真正のアフォじゃない?(褒め言葉)

過去編では伯爵がすごい恋する乙女になってて超可愛かったです。
好きな人の写真眺めて「あいたいよー」って泣いちゃう伯爵マジ女の子。

そんなに想ってくれてる女の子に久しぶりに会いに行ったと思ったらいきなり「前から話してた宮藤と結婚するわー」とか言っちゃうボバェ…。
まあその後ちゃんとフォローしてましたけどね。

伯爵と先生のコンビは比較的穏やかでこの修羅ハーレムの癒しになる予感。

今後も更新楽しみにしとります。
A伯爵ほんとすき。
ああいうキャラを慌てさせたりしたい。
ロスマン先生は良妻になると思う(断言)
ワールド・ウィッチーズ。この名前が意味するものは・・・・

Qボバさんと宮藤の年齢差見て

おまわりさん、コイツ(ボバ)です。
A彼の年齢に関しては謎です。
・・・・・謎です(半ギレ)
この世界はウィッチの方がおまわりさんより強いから・・・(恐怖)

Q506過去編、ニヤニヤしながら楽しく読ませていただきました。
506ではヴィスコンティさんとジェニファーがお気に入りなので彼女たちとの絡みも見てみたいです
そして始まった扶桑海事変編。今のところはお圭さんと若だけですが、智子ちゃんや武子さん、黒江さんとの絡みも見れたらいいな~と思ってます。
そんなことを期待しながら次回の更新も待ってま~す^^
A彼女たちと会うときに果たして、「ジョドー・カスト」か「ジャンゴ・フェット」なのか。それとも「ボバ・フェット」として出会うのか。
扶桑海事変は扶桑の魔女たちの宝庫やでぇ・・・。

ほんへ。

KEY(ドM)



賞金稼ぎと過去編 扶桑海事変 その2

 

 

「おっと、話しすぎたな。ちょっと休憩を挟むとしよう。」

『りょーかい。』

 

扶桑海事変でのことをルパンに話していたらあっという間に時間が経ってしまった。

それほど熱く語っていたらしい。

 

圭子と食事に行ったところまで話したが次はどこから話そうか。

そんなことを考えていたら、別の通信が入った。

 

ルパンがどこかに外しているようなのでそちらの方のスイッチをオンにしてみる。

 

「こちら、ジャンゴ・・。」

『ボバ?』

 

 

耳に響く、あの少女の声。

圭子の同僚にして親友のウィッチ。

「・・・・智子か?」

『もう!!最近手紙以外で全く連絡くれなくって寂しかったんだからね!!』

 

ブンブンと風切り音が通信機越しに聞こえてくる。

おそらく、扶桑刀を向こう側で振り回しているのだろう

相も変わらずのお転婆姫だ。

 

「悪かったよ。最近また別の場所に行っていたからな。そっちの皆は元気か?」

『元気・・・・って言いたいところだけど最近なんかみんなの様子が違うのよねー。ああ、私のことをからかっているっていうのはなんとなくわかるんだけど、あんたの様子をよく聞いてくるようになったし。』

 

頭の中に浮かぶ、“彼女たち”の姿。

これまでないほど嫌われていたが、なぜか俺が去った後、戻ってきてほしいと智子が泣きながら俺に通信機で語り掛けるようになってきた。

 

女というのはよくわからないものだ。

「俺はみんなから嫌われているようだし、もう会わなくてもいいんじゃないのか?元気ならそれでいいじゃないか。」

 

智子が大好きなあの少女たちのことだ。

俺がこうして智子としゃべっていると知っただけでまた怒ってくるだろう。

それはそれでどうでもいいが、向こうの戦線も落ち着いたし、圭子の様子も気になってきたから一度扶桑に戻ってきたのだ。

 

まあ、もう会うこともないだろう。

こうしてたまに通信機でやり取りするくらいが限界か。

『・・・・・それ、本気でいっているの?』

「?いや。本気も何も、俺は彼女たちに嫌われていたし、あの娘達が求めているのは智子だろう。・・・・安心しなよ。智子が“そっち”系でも軽蔑したりしないから。」

『違うのよおおおおおおお!!あ、あれは・・・』

 

 

そんなに否定しなくてもいいのに。

彼女たちと智子が付き合っているというのは公然の噂だ。

 

「じゃあ、まだ用事があるんでまたね。」

『あっ、ちょ』

 

何か智子が言いかけていたが、通信機のスイッチをオフにして会話を終える。

さて、ルパンに話の続きをしてやるか。

 

 

『ぬふふふふ。次元から借りてきたお酒を持ってきたぜ!』

「・・・・お酒って借りたら返せないんじゃないのか?」

『細かいこと気にしないの!!で、話の続きをしてちょーだいよ!』

既にほろ酔いなのかテンションが高いルパンに話してやる。

どこまで言ったっけ。

ああ、そうだ。圭子と一緒に食事に行ったところまでか。

 

「そうだな。圭子を料亭に連れて行ったところから話そうか。」

 

 

そして、グラスの酒を煽りながらかく語る。

 

 

 

「圭子?さすがに飲みすぎじゃないのか?」

「へーきへーき。・・・あれ?兄さんいつから双子になったのー?あ、また増えたー!!あはははははははは」

 

アルコールを摂取しすぎてぶっ壊れた妹分を抱っこして店を出た。

昔抱えてあげた頃よりも、重くなっており、思わず口にしそうになってしまったが、ルパンに教わった通り黙っていることにした。

 

うだー、とうなだれて体重をかけてくる圭子。

 

さきほどまでは大人の女性だと認めていたが、こんな醜態を男の前でさらすなどさすがに看過できない。

 

「酒癖が悪いわけじゃないからまだいいけど・・・。どうしようかな。これ。」

「いけー!!宿までしゅっぱーつ!!」

 

大声を出すもんだから周りの視線が集まってきてしまう。

仕方ない。俺が泊まっている宿までとりあえず連れていくか。

 

そのまま衆目に注視されながら夜の街を歩き続けた。

 

 

 

「美味しかったな。」

「ああ。前よりもさらに腕を上げているようだ。また来たいな。」

 

そういって料亭から出て行く二人の女性。

「章香。最近軍部の方で動きがあった。」

「ほう。なんだ?」

 

「・・・・・・陸軍と海軍で衝突しているらしい。」

江藤のその情報を聴いた北郷はまたか、とあきれた様子を浮かべた。

 

「ネウロイが扶桑まで来るかもしれないというときに・・・。いつの時代もなぜ権力争いをなくならないんだ。」

「男ってバカだよな・・・。」

それでも律儀に命令には従うあたり、彼女たちもいっぱしの軍人であることが伺えた。

 

「ああ、そうだな。でも、私たちは私たちの仕事をするだけさ。ネウロイと戦い、この国を守る、それだけさ。」

「全くだ。」

 

横並びに歩き続ける。

川のせせらぎの音が聞こえてきた。

 

「あと数年もすれば今私が教えている子たちもウィッチとして命をかけて戦うことになるだろう。できればそうして欲しいという思いと、そうして欲しくはないという気持ちがある。」

「戦いに赴く以上、死傷はあり得る。章香がどう思っていても彼女たちがどうするのか決めるのは、最終的に彼女たちだけだ。」

「・・・・そうだな。」

 

 

頭を上に向けて、夜空の星を眺める。

この世界を守るために。

命を懸けて戦う。

 

それが、彼女たちの意志だった。

 

 

 

 

「・・・・・ん。」

眠気から目を覚まし、瞳を開ける。

目に飛び込んできたのは見慣れない天井だった。

あたりをきょろきょろと見回すも、知らない部屋だった。

 

「どこかしら。」

 

そして、ドアノックされる。

「はい。」

『圭子?起きていたのか。開けてもいいか?』

 

自分の想い人の声を聴いて、慌てて鏡で自分の状態を見る彼女。

目は少し腫れており、二日酔いしているかのように頭の中でサイレンが鳴っている。

 

こんな姿はさすがに見せられない。

 

「ま、まって!!あと10分、いやあと50分待って!!」

『え?あ、ああ。わかった・・・。』

 

私の剣幕に押された彼が部屋の前から立ち去っていく。

 

布団の枕に顔をうずめて昨日のことを思い出す。

 

(・・・・・・・・・・・・・・ああああああああああああ!!!)

 

まさかの醜態。

まさかの朝帰り。

 

しかし、別々の部屋に泊まっていたようでそういうことはなかったらしい。

女として見られていないのか。

 

悲しみが胸を突き抜ける。

 

 

(・・・・とりあえず、お風呂入って身支度しよう。)

 

とぼとぼと彼女は浴室へと向かった。

 

 

 

ベッドに横になってボバが昼寝をしていた時、部屋のドアがノックされる。

「んあ?」

 

寝ぼけた様子でドアの前までふらふらと歩き、開ける。

 

 

「お待たせ。兄さん。」

 

そこには、きれいな格好をなぜかしている圭子が立っていた。

張り切っているのがわかる。

 

「ああ、じゃあ行こうか。」

 

そうして二人が出立しようとしたとき一人の来訪者がやってきた。

 

「あー!!いたー!!」

その声のする方を見ると、短髪のセーラー服にスクール水着のような服を着た女子が竹刀をこちらに向けて叫んでいた。

 

「・・・・なんで君がここにいるの?」

「町の人におっさんの居場所を聴きまわった。」

 

ああ、そう・・・・とどこかあきらめた様子でつぶやく。

彼にとってはここはゆっくりと休める場所だったが、それも今日までとなってしまった。

 

「圭子。この子も一緒に朝ご飯に連れて行っていいか?」

「え?まあ、いいけど・・・・。」

徹子の方を見て、そういう彼女。

決まりだな。

 

ぶんぶんと竹刀を振ってくる徹子の首根っこをつかみ、連行していく。

「これ、暴れるな。朝飯おごってやるから。・・・・全く、昔の圭子の世話をしているようだ。」

「本当か?いやー、ごちそうになるわー。」

全く悪びれずにそういう彼女の耳を引っ張っておく。

 

「あいたたたたたた!!な、何するんだよ!!」

「うるさい。他のひとの迷惑になるだろう。・・・・しずかにしないとご飯のグレードを下げるぞ。」

「わかったよ‥‥。そのあとは一緒に特訓に付き合ってくれよな!!」

「またか。いいけどさ・・・。圭子、行こう。」

「うん。」

 

彼女たちを連れてご飯を食べに向かった。

 

 

 

 

 

「せいっ!!」

「はあっ!!」

 

竹刀をもって打ち込みあう二人の少女。

まだ幼きウィッチ候補生の坂本美緒と竹井醇子である。

 

自身が少しでも強くなるために講道館にて修行を続けていた。

 

「一本!!美緒の勝ちだ。」

「美緒ちゃんはやっぱり強いね。」

「ううん。私は強くないよ・・・。ああ腕痛い・・・。」

 

ずっと戦い続けていたので疲労の限界を迎えたふたりがばたり、と道場の床に倒れる。

それを眺める一人の女性。

北郷章香。

 

彼女たちの師匠にして“軍神”と呼ばれるほどの実力をもったウイッチである。

 

「今日はここまでにしようか。よく頑張ったね。」

「えへへ…。そういってもらえると嬉しいです。」

「私も・・・・。うう、疲れたぁ・・・。」

 

今日の稽古はこれで終わり。

そう考えていたところ、道場に一人の人物がやってきた。

 

「せんせー!!」

若本徹子である。

彼女の坂本美緒、竹井醇子のよきライバルであり、また、よき友であった。

 

「おや。やっと来たか。でも今日はお終いに・・。」

「面白い人を連れてきたぞ!!・・・・おい逃げんなよ!!」

 

ぐいぐいと誰かを引っ張っているのが北郷には見えた。

 

「おい、引っ張らないでくれよ。」

「だったら早く来いよ!!」

 

そういって若本に無理やり腕をつかまれて連行される一人の男性。

身長は170cm程度で顔に細かな傷がある。

 

北郷が自身の教え子に尋ねた。

 

「・・・徹子。そちらの方は?」

「ああ!!この人強いんだぜ!!俺に戦い方を教えてくれているんだ!!」

「あー。ジョドー・カストと申します。お宅の若本ちゃんの剣の相手をなぜかしている者です。」

 

「そうでしたか。この子の相手は大変だったでしょう。」

「ええ、そりゃあもう。」

「失礼だな。俺は奥ゆかしいだろ!!」

 

どこが、とボバがそういうと若本が彼の脛を蹴った。

意外といいのが入ったのか足を軽くさすってうめく。

 

「うおお・・・。さすがに俺が教えただけはあるな・・・。お前強くなるぞ。」

「へっへー!!そんなのとっくの昔に知っているぜ!!」

 

そんなやり取りをぽかーんと見つめていた北郷と他の二人。

あまり他の人間に心を開かない彼女がこうして楽しそうに話しているのが珍しかったのだ。

 

「でさー。先生に頼みがあるんだけど。」

「なんだい?」

 

自分の恩師に対して彼女はとんでもないことを言い出した。

 

「この人と本気で戦ってみてほしいんだ。」

 

 

ボバはえっ?という顔になり、北郷は・・・・は?と素で驚いた。

 

これが、北郷とボバの最初の出会いであった。

 

 

 

 

 

彼女がボバ・フェットを道場に連れていく少し前のこと。

 

 

三人でご飯を食べて、仕事に戻りに行った圭子を送った俺は、徹子に特訓してやることにした。

剣を構える彼女。

 

重心が前に来ていることから攻めてくることが容易に予測できた。

 

「でりゃあああああああっ!!」

俊敏な動きでこちらに襲い掛かってくる。

とてもまだ十代の子供とは思えない身体能力だ。

 

これからまだまだ強くなるかと思うと少し楽しみにでもある。

しかし、

 

「そこだ。」

視線から胴に向けて袈裟斬りをしてくることが簡単に見抜けたので、横に体をそらして回避する。

そのまま彼女の背中をつかんで地面へそっと投げる。

 

「一本。・・・・まだまだ甘い。」

「くっそー!!」

 

悔しがりながらも立ち上がる彼女。

やはり根性がある。

こちらもついつい熱くなってしまいそうだ。

 

「しかし、初めて俺と戦ったときよりもはるかに強くなっているぞ。やるな。」

「本当か?一度も俺はあんたに勝てたことないんだけど。」

「今の俺相手だったらあと数年もすれば勝てるようにはなるだろうな。」

それほど彼女には才気を感じた。

積み重ねではなく、最初から天によって与えられていなければ持ちえない性質。

俺とは反対のそのあり方に少し妬けたが、それ以上に彼女が力を上手く扱えるかどうか気になっていた。

 

圭子の場合、昔の俺よりも呑み込みが早く、精神力も半端ではないほど高かったので

あっという間に成長してしまった。

 

全く、ウィッチというのは能力が高い娘が多い。

魔力を持っていないこちらからすると少し羨ましいくらいだ。

 

彼女を立ち上がらせる。

 

「そういえば、お前もウィッチ志望なんだろう?魔法とは使えるのか?」

「ああ。使えるんだけどあんまり使いたくない。」

 

苦い顔をする彼女に首をひねる。

何か理由でもあるのだろうか。

 

「・・・・仕方ねー。このままじゃあしらわれるだけだし、ちょっとだけ使ってやるよ。」

すっと目を閉じて、剣を構え直す彼女。

彼女の周りに魔法陣が展開されて、光に包まれていく。

 

そして、そこには先ほどと違い、髪が長く伸びた彼女が立っていた。

 

「さぁ、いくぜおっさん!!」

 

ひゅっという音とともに、彼女が立っていた場所の地面がえぐれて

いつの間にかこちらに肉薄していた。

 

(やばいっ・・・!)

転身受け身をとり、剣戟をかろうじて躱すがすぐにもう一歩踏み込んで連続して攻撃してくる彼女。

 

「もらったーーー!!」

 

「くっ!!」

 

脚で彼女の腕を蹴って軌道をそらし、そのまま関節を極めて動けなくする。

 

「いだだだだだだだ!!くそー!!」

どう考えても詰みの状況なのに全くあきらめていな彼女が信じられないことをした。

自分の関節を外して拘束を抜け出し、こちらについに一撃浴びせてきたのだ。

予想外の動きに動きを止めてしまい、一太刀食らってしまった。

 

「・・・・・やられた。」

あと数年、最低どもそれくらは俺を超えるためにかかると思っていた子供に負けてしまった。

 

ぴょいんぴょいんと跳ねて喜んでいる彼女。

「よっしゃあああああ!!やっと勝ったぜえええええ!!」

 

全く。

これだから才能のあるやつは・・・。

しかし、少しお説教をしなければならないのでこちらに向き直るように言う。

「徹子。」

「なん・・・」

俺の顔を見た彼女がひいっと珍しく小さな声を挙げる。

 

「な、なんでそんな怒っているんだよ。」

「お前、さっきなにした?」

「え?おっさんに教わった人体急所の知識を使って関節を外しただけだけど?」

 

冷静に、それでもって激情を含めた声で淡々と叱った。

 

「もし、次あんな無茶なことやったら俺は二度とお前の修行を見ないぞ。」

顔を真っ青にする徹子。

その顔は、褒められたくてやったのにどうして?といった何もわかっていないような顔つきだ。

 

「な、なんでだよ!!俺はあんたに認められたくって・・・」

「だから、そういうやりかたはやめろって言っている。俺はあくまで無鉄砲な戦い方をするお前に生き方を教えているだけだ。間違っても自分の心と体を傷つけろと言っていない。」

「うるさい!!俺だってあんたに勝てたんだ!!」

 

激昂して叫ぶ彼女。

聞く耳を持たないといったところか。

 

 

今まで取らなかった構えをとって静かに告げる。

「・・・・いいだろう。本気でやってやる。だから早く打ってこい、お嬢ちゃん。」

「!!やっと本気でやる気になったか!!まだ魔法の効力は続いている!!このまま一気に!!」

 

うだうだしゃべっている徹子に握っておいた砂を顔にかけた。

「なあああっ!!き、きたねーぞ!!」

構えをとることもせずにただわめいていたのでそのまま喉に軽く手刀を食らわせて体をくの字に曲げさせる。

 

「げっほ・・ちょ、まっ・・・」

そのまま徹子が持っていた竹刀を奪い取り、ひるませるために顔面に平手打ちで衝撃を加えて吹き飛ばし、奪った竹刀で胴に打ち込む。

 

「まって・・・いたい・・・。いたいってば・・・」

 

彼女が泣きそうな声でそういってきたので一旦止めた。

 

持っていた竹刀をぽいと捨てて彼女の元に近寄る。

ごそごそと携帯してある水で目を洗い流してやった。

 

「お前は強い。けども甘い。だから負ける。甘いことが悪いとは言わないが戦いの中で相手は、ネウロイは待ってはくれないぞ。お前は俺に対して命乞いを二回もした。つまり二回死んでいるんだよ。」

「・・・・・・・」

 

ついに黙ってしまった。

これで少しは頭を冷やしてくるといいんだが。

 

そして、ずっと沈黙していた彼女が口を開く。

 

「う・・・・。」

「う?」

 

 

「うわあああああああああああんっ!!!」

 

山に彼女の泣き声がこだました。

・・・・・・・やっちまったよ。

 

そういえばまだ10歳くらいの子供だったな。

あまりにも強いんで手加減を間違えてしまった。

少しくらい長く伸びた鼻っ柱を折ることができればいいくらいの気持ちで叩き直したんだがやりすぎた。

 

こんな時どうすればいい?

考えろ・・!

 

そこで思い出される妹との記憶。

 

そうだ、こういう時は。

 

座り込んでいる彼女の近くまでかがむ。

泣きながら体をびくり、と震わせてこちらを警戒する彼女。

 

そんな彼女の頭に手を伸ばし、

 

思いっきり撫でた。

 

「・・・・・へ?」

「ごめんな。痛かったろう。やりすぎちゃった。・・・・・・ごめんな。」

 

懸命に彼女の頭を撫で続ける。

そのまま膝の上に彼女を乗っけてあやす。

 

「よしよし。・・・徹子のことが嫌いなわけじゃないからな。俺はおまえのことを心配して厳しくしてしまっただけだよ。だから安心しな。」

「・・・・ほんと?」

「ああ。」

 

まだグスグスと泣いて入るが大分落ち着いてきた。

どうにかなった、とホッとしていると彼女が小指を出してくる。

 

「・・・・じゃあ、約束して。」

「俺にできることならな。なんだい?」

 

そして、俺は彼女のお願いを聴いた。

 

「あんたの弟子にしてほしい・・。」

「・・・・もう無茶しないなら、いいぞ。」

「約束する・・・・。」

 

 

これが彼女、若本徹子との師弟関係の始まりだった。

 

 

そして、師弟関係を結び、約束通り無茶な戦いをせずにちゃんと自分のことを大切にしている彼女にこちらも誠実に戦い方、生き抜き方を教えるようになった。

 

渇いたスポンジのごとく教えた知識、知恵を自分の物としていく彼女に期待を寄せた。

 

そんなある日、いつも通りに稽古を一緒にしておいたら彼女がこんなことを言ってきた。

 

「なぁ、師匠。俺の通っている道場に来てくれないか?」

「え?徹子。お前道場に通っていたのか?」

「ああ。そっちの方でも先生から教わっているんだ。師匠にもあってほしい。」

 

そういってくる弟子の顔を見る。どうやら本気であり、本当でもあるらしい。

あまり俺の正体を知らない堅気の人とは接さないほうがいいと思っているから偽名を使って盛うのだが。

 

しかし、どうも目の前の弟子はあきらめる様子はなさそうだ。

こちらの服の袖をつかんで離さない。

 

「わかったよ。で、いつからだ?」

「今からだ!!」

 

そのまま彼女に引きずられてやってきた。

 

道場に入るなり、自分の師匠、北郷さんと戦ってほしいとの突然の振り。

さすがに彼女も俺も驚いて固まってしまった。

 

その提案の理由を尋ねる。

「なんでだ?」

「だってどっちが強いか知りたいから!!」

 

無邪気な笑みでそういう彼女に思わず北郷さんに目線を送る。

 

――――――どうしますか?

――――――1回くらいならいいでしょう。

 

まさかの了承に頭を抱えたくなった。

竹刀を二本持ち、そのうち一つを俺に渡してくる彼女。

 

「おお!!おい、美緒も醇子もよく見ておけ!!すごい戦いが始まるぞ!!」

 

わきでぐでーっと疲れからか倒れていた同じくらいの少女を揺さぶり起こす徹子。

サーカスの見世物じゃあないんだから。

 

さっさとやるか、と思って気楽に構える。

相手も力を抜いているのでほどほどにやるつもりなのだろう。

 

「じゃあ、行きますよ。」

「ええ・・。」

 

 

そして、ほんの一回だけの戦いのはずが、これから先何百回、何千回と続くことになるとは。

一体だれが予想できただろうか。

 

すぱんっ、と小気味いい竹刀のぶつかる音が道場に響いた。

 

 

 

「・・・・・それで、どうなったんだ?」

「何十回も戦ったが、ずっと引き分けでな。お互いに本気を出していないのはわかっていたがあまりにもたのしかったので最後はこちらから何度も戦いを頼んでいたよ。」

 

うわあ、ご愁傷様、とボバに対して同情する江藤。

北郷の実力を知る彼女にとって、何度も北郷と戦うのは地獄のようなものに思えたからだ。

 

そして、話の続きを促す。

 

「で、章香が本気を出したことってあるの?」

「実は一度出そうとしたら止められてな。」

なんだ、怖気着いたのか。

そう考えながらコーヒーを飲んでいたが、自分の考えが甘かったことを北郷の独白によって自覚した。

 

「―――――『これ以上本気でやりあったらお互いにただでは済まなくなる。私は徹子の大切な人であるあなたを殺したくないんです。』と言われてね。」

ぶふうーっと茶色いしぶきを口から吐き出す江藤。

まさかの会話に驚愕を隠せなかった。

こぼしてしまったコーヒーを布巾で拭いていく。

 

「それは知らなかった・・・。で、実際やっていたらどうなっていたと思う?」

「彼があのままの本気だったら私が勝っていただろう。だが、彼が本気でといったのはそうういう意味じゃない。」

北郷が言わんとすることを理解している江藤。

生身の彼なら戦って倒すことはできる。

しかし、さまざまな武装に身を包んだ本気の彼と相対したらどうなることか。

 

情け容赦なく、一切の油断、ひるみを見せずに絶対にこちらが死ぬまで攻撃の手を緩めてはくれない相手。

 

想像しただけでも背筋が凍る。

 

「まあ、私とまともに戦える男性は初めて会ったものだから、今思えばその時からほのかに気にするようになったんだろうね。」

「お前も物好きだな・・・・。」

「君もだろう?」

「・・・・・・悪くは思っていないよ。」

 

からんからんとマグカップの中をスプーンでかき回し、北郷の追及をごまかす。

そんな時、また一人新たな来訪者がやってきた。

 

 

「こんにちわー!!」

長い髪をリボンで束ねた一人の少女が入ってきた。

「あれ、お前は・・・。」

 

「どーも。若本徹子です!!」

びしっと敬礼して二人にお辞儀する彼女。

そんな若本の様子に唖然とする二人。

 

「ねえ、髪型変わっていない?」

「いや、どうだったかな・・・。あの魔法を使うと徹子はすぐに髪が伸びるから・・・。」

 

ひそひそと話す二人にんー?と疑念を持つが、すぐに忘れて二人に話しかける。

 

「一体なんの話をしていたんですか?」

訓練場では鬼教官と呼ばれている彼女が昔のように、子供みたいなあどけない顔つきに戻っていた。

 

「あなたの師匠のことよ。」

 

それを聞くや否や、耳と尻尾を出してぴこぴこと動かす。

「師匠の話?うわー、そりゃ聞きたいよー!!先生!!江藤さん!!俺にも教えてくれよ!!」

 

ちらりと北郷の方を眺める江藤。

どうする?と問いかけている。

 

視線でどうするのか聴かれた彼女はこくり、と江藤に一度会釈し、徹子ために椅子を引いてきた。

 

「敏子。徹子の分のコーヒーを入れてあげてくれ。」

「わかったよ。」

 

カウンターの方まで新たな客のためにコーヒーを入れに戻る。

そして、目を輝かせて早く聞きたいといった感じの少女。

 

「・・・・・・・今敏子がコーヒーを入れてくれるから、話の続きはそれからね。」

「わかったよ。・・・・そういえば最近師匠にあった?」

「いや。見ないな。」

 

自分の教え子のそんな質問に否定して答える。

 

「俺が勲章とかもらうとさー。どうも師匠が姿を隠して密かにお祝いに来てくれているようんなんだけどね。探しても会えないんだ。・・・・一回くらい顔を合わせてくれてもいいのにさ。」

 

彼のことだからそっと見守るくらいにとどめておこうと考えているのだろう。

 

しかし、早く彼が彼女に会いに行かないと徹子の方がボバを探しに行ってしまう気が、北郷にはした。

 

そんな時、コーヒーと軽いお菓子をもって江藤が戻ってきた。

 

「持ってきたよ。ミルクは一応添えておいたから好きにして。」

「ありがとう。江藤さん。・・・・・・・ああいい匂い。」

 

ずずずっとすすり、コーヒーを飲んでいく。

 

「で、話の続きをしようか?」

「うん、お願い。」

 

 

 

『だっはっはっはっは!!嘘だろ!!』

「嘘じゃないんだよなー。」

 

事の成り行きを話したらあいつが爆笑しやがった。

酔っぱらいの相手はこれだから面倒なのだ。

 

酒を飲んで喉が渇いたので ボトルに入っている水をぐびりと飲む。

プハーっと息を吐いてどん、とテーブルの上に置く。

 

「わらいすぎだっつーの。・・・・ああ、やっぱりこいつに話すんじゃなかった。誰だよ話してもいいとか血迷ったの。・・・・俺だったわ。」

『あっひゃっひゃっひゃっひゃ!!』

笑い続けるあいつと、アルコールが回ってきて世界が暗転しかけている俺。

あー、酔っぱらっちまった。

 

「話の先を聴きたくないのか?」

『悪かったよ。そんなに怒るなぁって。ささ、話の続きをどーぞ。』

 

「ったく・・・・。あーどこまで話したっけ?」

『おいおい、かなり酔っぱらっちまってんじゃないの?あの“軍神”と道場で初めて会ったときでしょうに。』

「そうだった。」

 

章香のやつと何回も打ち合ったときのことを思い出す。

1回で終わるはずが、2回、3回、5回と増えていき、ついに20を超えてしまった。

 

『あの、もうやめませんか?』

『もう一度!!もう一度だけ!!』

『あっ、はい』

 

最初は穏やかだった彼女がだんだんと鬼気迫る様子へと変貌していき、徐々にこちらも追い詰められた時だ。

そして、過去の話は続く。

 

 

本日のオチ

 

 

「・・・・・・・・・」←さきほど彼に言われたことを思い出して死にたくなり、布団をかぶって部屋にこもる穴拭智子

 

「おかあさん、夜中になんでプロレスしているの?」←両親の情事を目撃し、それを本人たちに直接訪ねる芳佳ちゃん。

 

 

 

 

 

 




またランキング乗っていてビビっちゃったよ。
ありがとナス!!

遂にであった二人。
そして師弟関係を結ぶ二人。

後に敬語をやめて、フランクに接するようになるもっさんと淳子。

色々あって、成長した彼女たちと後々再会することになります。

感想欄で扶桑海事変になったとたん増えるコメントに大草原。
やっぱり扶桑は人気やな!!


次回予告。『扶桑海事変 その3』


「・・・・・そろそろ逃げようかな。」
「もう遅いですよ?」
「?!」←気配もなく後ろに立っていた宮藤に驚く

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