ボバ・フェット(偽)はウィッチとともに空を飛ぶ 作:KeI77777
Qハーレムにしておきながら、メインヒロインとか決めてる小説は嫌いです。
Aなるほど。確かにあなたは正しいです。
Q奥様聞きました?ここの主人公、良い年のオッサンのくせして10歳の女の子に殴る蹴るの暴行を加えて泣かせたらしいですわよ(ヒソヒソ)
ええ。聞きましたわ。しかもその後に優しく慰めるとか、なんてマッチポンプ…(ヒソヒソ)
年端もいかない幼子をハーレムに加入させようとしてるのですわ。野獣、野獣ですわ。きっと野獣のような餓えた眼で次の獲物も狙っているに違いないですわ!ええ!(ヒソヒソ)
冗談で書いたけどあながち間違っていないはず(風評
こんなことしてるから撃墜数(ハーレム)が増えて爆弾処理(プロポーズ)するはめになってるんだよな。
まぁ、当人は満更でもないからいいか(笑)
ガンバレ、ボバ!負けるな、ボバ!爆弾処理を終えれば正妻宮藤との甘い生活が待っているぞ!(愉悦
Aこんな感想草生えないわけないんだよなぁ・・・・。
まあ、マッチポンプは昔話でもよくあるやりかただからね。
このお話の場合、野獣なのは彼女たちの方なのでは・・・・。
徹子ちゃんの場合、「これで引退だー!!師匠!!」とかいって嬉々として押しかけてきそう。
おかげさまで日間ランキング8位に入りました。
ありがとうございナス。
KEY(ドM)
1937年7月11日 扶桑海事変の始まり
「はあっ、はあっ、はあっ、はあっ・・・・。」
「はあっ、はあっ、はあっ、はあっ・・・・。」
徹子に連れられてきた道場で北郷さんという女性と剣を打ち合うようになってから数か月。
引き分けばかりだった。
彼女の感じからするとどうも一刀流は本気でないようだが、それでもかなり強い。
・・・・・・本当に人間なのだろうか。
互いに肩で息をしながら向き合い、警戒しあう。
「・・・・っし!」
「っ!!」
人間を超越したレベルの速さで小手打ちを放ってきたがぎりぎり体の軸をずらすことで威力を殺すことに成功する。
危ないどころではない。
打ち所が悪ければ死んでもおかしくない。
「おー!!やっぱすげー!!なぁ、二人とも!!どっちが勝つか賭けようぜ!!」
「ええ?!また引き分けだと思うけど・・。」
「私も・・・・。」
呑気に賭け事なんてやっているバカ弟子を視線でとがめつつ、目の前の彼女に向き合う。
目があった瞬間にこちらにまた突撃してきた。
最小限の足運びから繰り出されるその剣筋はきれいでとらえどころのないものだった。
捌きつつも反撃の機会をうかがう。
しかし、どうしてこうなった。
俺はただ徹子に生き延び方を教えていただけなのに。
その時、警報が鳴る。
「なっ、なんだ?!」
「わわわわわわわ!!」
「艦隊と先立って接触したネウロイか・・・?しかしなんだってこんなところまで?!」
「北郷さん。」
「ここまでです。私は戦いに赴かなければなりません。・・・・・・美緒、醇子。ジョドーさんを連れて避難しているんだ。任せたよ。」
「わ、わかりました!!行きましょう!!」
そういって俺を引っ張ってどこかへと向かう坂本ちゃんと竹井ちゃんと、装備を変えて戦いに赴く北郷さんと徹子。
そうして山の中までやってきた。
「ここまでくれば大丈夫かな・・・。」
「うん・・・・。」
「二人とも大丈夫かい?」
息を切らしながらも必死で逃げてきて安全そうな高地までこれた。
しかし・・・。
遠くの方から戦闘が始まったからか爆発音のようなものが時々聞こえる。
びくり、と体を跳ねさせる二人。
「大丈夫さ。・・・・・・あの二人がいるんだろう?」
「え、ええ・・・・。」
そうはいっても、相手の数と規模によっては全滅することもあり得る。
さすがにそれを二人の前で言うわけにもいかなかったので黙っていたが、俺も腹を決める。
二人の肩に手を置いて目を合わせて言う。
「いいかい。俺はこれからやらなくちゃならないことがある。それをやるためにここを離れるから、君たちは同じように避難してきた人たちを案内してあげてくれ。」
「そんな・・・。ジョドーさん!!危ないですよ!!」
「君たちの先生と、徹子がいるだろう?・・・・頼んだよ。」
彼女たちの返事を待たずに走り抜ける。
人が誰もいない物陰でボバ・フェットへ姿を変えて空を飛ぶ。
(・・・・・・・・・・・いた。)
少し遠いがなんとか二人とも善戦しているようだ。
三機いるうちの既に一機が堕ちている。
こちらは大丈夫か。
なら、先ほどから気になっているほうへと向かう。
すると、そこには海の中に潜んでいた小型の魚のようなネウロイがうようよしていた。
「あっちの三匹は陽動・・・・。プランクトン以下の脳みそしかないお前らがよくもここまで考え付いたものだ。」
ブラスターを放ち、早速一匹倒す。
攻撃されて、俺の存在に気が付いたネウロイどもが一斉に集中砲火してくる。
ビームの嵐をぎりぎり回避する。
一発でも当たれば即死だが、よけられないことはない。
腕からリストミサイルを連射して、掃除していく。
「はあああああああああっ!!!!」
背中の小型ミサイルを発射して数匹まとめてあの世に送る。
ここを通すわけにはいかない。
命を削りながら、戦い続けた。
■
「あー、あたまいてー。」
昨日はルパンと酒を飲みつつ一晩中昔話をしてやったら、思いのほか楽しくなって長引いてしまった。
みそ汁をずず・・、とすすりながら今は朝食をとっている。
水を飲んで喉の渇きをいやし、空いた小腹におかゆを流し込む。
酔い止めを買っておいたのでそれも服用すると、頭でがんがんなっていた二日酔いの痛みは少しずつましになってきた。
「うえええええ・・・・。ああ、今日は休業だな・・・・。」
とはいっても今のシーズンは圭子をひっそりと見守るくらいしかやっていないので問題はないのだが。
死体のように布団で転がっている俺の元へ、また通信機が鳴る。
がちゃり、とそれをとって応対する。
「あい、もしもし・・・。」
『・・・・ボバさん。』
あっ、この声は・・・・。
「もっちゃん?ひさしぶりー」
『もっちゃんはやめてくれ!!私はもう一人前のウィッチだ!!』
そう声高に叫ぶ彼女。
昨日ちょうど彼女たちの話をしていたから奇遇だった。
章香に対しては敬語とかしているのに、俺に対してはなぜか醇子ちゃんももっちゃんもやめちゃったんだよな。何か心変わりでもあったのか。
まあ、どうでもいいが。
用件を尋ねる。
「どうしたの?・・・・・・なんか手伝ってほしいことでもあるのか?」
『今日こそ言わせてもらうが!!最近のあなたはたるみすぎだ!!先生と打ち合えるほどの技量を持つあなたがこんな場所で・・・・』
くどくどと始まるお説教。
彼女たちに戦い方を教えた俺が、あまりにも不甲斐なく見えるからもっと真剣にネウロイと戦ってほしいらしい。
とはいっても、彼女たちのように世界を守る、なんてお題目には共感できない。
大切だと思えるものさえ守られればそれでいい。
圭子とか、他の数人とか。
あとは金をもらって好き勝手に生きる。
それが自分のやりたいことだった。
『・・・・だから!!私たちウィッチの協力者として・・・・』
「興味ないわ。俺にとって君とか圭子とか大切なものだけ守れればいいしな。」
『・・・・・!!』
がちゃり、と乱暴に通信機を切られてしまう。
嫌われたかな?本音を言って嫌われるならそれまでだからそれで良しとしておこう。
さて、朝食もとったし、二日酔いが消えるまで寝るか。
泊まっている宿の布団に寝っ転がろうとすると、誰かに布団をはがされる。
俺から布団を奪った人物の方を向くと、俺があげた蒼いリボンで長い髪を後ろに束ねた見覚えのある少女がいた。
「・・・・・・・徹子。寝かせてくれ。」
「だめだ。最近師匠はたるんでいるからって、美緒と先生にも世話を頼まれているんだからな!!」
あの二人め。
おせっかいやきなところはさすが師弟と言ったところか。
観念して起き上がる。
「あー。で、何しに来たの?」
こちらを見据えて、にやーっと笑い、とあることを頼んでくる徹子。
「・・・・・・・・あんたの過去を教えてほしい。」
■
仕事が終わり、彼がいる宿までやってきた。
おそらく、まただらしなく生活しているのだろう。
今日は少し厳しめにがつんと一言言わなければ気が済まない。
想い人のなさけない姿は見たくないのだ。
ドアの前まで来て、ドアノブに手をかけて回そうとしたとき、中から声が聞こえてきた。
『・・・・・・・・あんたの過去を教えてほしい。』
ドアノブをまわしかけていた手をぴた、と止めてドアに耳を当てて話を伺う。
誰か来ているらしい。
彼の声も一緒に聞こえてきた。
『俺の?・・・・一体なんで?』
『あんたの正体、とっくに知っているからさ』
その言葉を聴いて、今まで疑問だった頭の中のパーツが組み合わさっていく。
(まさか・・・・)
思考する私をよそに話を続けていく彼ら。
『こちら側に来るな。お前は強くなったがそれでも早い。』
『あんたの正体を知っているから、そんな風に遠ざけようとしたって無駄だよ。なぁ、世界最強の賞金稼ぎ。』
■
ついにばれたか。
いや、おそらくずっと前からそうだったのかもしれない。
陰から彼女たちを守っているつもりだったが、存外に強くなっていたらしい。
曇りなき眼でこちらを見てくる徹子に答える。
「ああ、俺がそうさ。よくわかったな。すごいぞ。」
「へへへ。自分の師匠のことだからな!!」
頭をなでてやるとそれを喜んで受け入れる彼女。
子供っぽいが、どこか大人であるようにも感じる。
本当にあのじゃじゃ馬がここまで成長したんだな。
「いいだろう。ただし、話すのは扶桑海事変で俺が何をしていたのかだ。」
「えー。全部知りたいけど・・・。まっ、いいか。」
ドカッと俺の布団の上で胡坐をかいて座る徹子。
おい、とたしなめて胡坐を辞めさせて椅子に座らせる。
「じゃあ、話すとしよう。・・・・何があったのかを。」
■
1937年、あの舞鶴での戦闘から少し経った後。
俺は彼女たちがネウロイを撃破したのを見届けたあと。
彼女たちはウラルの方まで戦線防衛に向かった。
そして、俺の妹の圭子も同じく。
人類が総力をあげて行った1万5000人による反抗作戦が実行され、その結果敗走をすることとなり、5000人の将兵の命が失われたという。
新聞で見たところ、様々なウィッチ達が活躍しているという。
第一飛行隊に所属している穴拭智子、加藤武子、黒江綾香、そして、加藤圭子。
彼女たちの活躍によってなんとかウラルの方は守られている。
しかし、そんなときでもさすがというか、扶桑皇国の軍部は権力闘争に明け暮れていやがった。
正直、何人か消そうと考えたほどだが今ここで死なれても困ると思いなおし、せいぜい活かしてやることにした。
借りた車を走らせてドライビングする。
ここ、舞鶴もすっかり変わってしまったようだ。
ネウロイが一度襲撃に来てからは嘘みたいに静かになってしまった。
皆が避難していて誰もいなくなってしまったので、今は俺一人だけだ。
そんな場所で一人っきりで考え事をしながら車を走らせる。
綺麗な海と、青く澄み渡った空がどこまでも広がっている。
ネウロイごときにこの絶景はもったいない。
車を止めて、運転席のハンドルに両足を乗っけてどかりと座る。
俺がやることも特になさそうだ。
そう思ってだらけていた時、通信機に連絡が入った。
かちり、と通信をオンにして応答する。
「はいよ。こちらボバ・フェット。」
『久しぶりだな』
「・・・・・・・・・・・・・・・・・?」
声を聴いても誰かわからずに首をひねる。
はて、数年前に聴いたような、そうでないような・・・。
俺が返事をしないのでいぶかしんだ通信相手が話しかけてくる。
『おい。まさか私のことを忘れたんじゃないだろうな?』
「・・・・・・・・。」
その通りです、とはいえずに黙り込む。
とりあえずこういう時はイエスと言っておくに限る。
「まさかー。忘れていないさ。・・・・・で、どうしたの・」
『貴様は今、何をしている?』
「休暇。扶桑皇国でゴロゴロしている。妹の様子を見に来たんだけどあれなら大丈夫だろう。」
その答えに不満だったのか通信機の向こうにいる相手が少し怒ったような声でしゃべる。
『なぜ戦いに行かない?』
「先日戦ったばかりなのさ。というより俺が出る幕はないと思うぞ。・・・・・彼女たちも強いしな。」
ふあーあ、と眠気からでてきたあくびをして、横になる。
どうやら今俺が話している人物は、俺がネウロイとあまり戦っていないのをよく思っていないらしい。
誰なんだろうか。
『貴様は私が認めた唯一の男なのだ。だから府抜けた様子など許さんぞ。』
(あー、眠い。寝るかぁ・・・・)
いい加減眠くなってきたので横になることにした。
「眠いから切るよ。おやすみー」
『おい!こら!!』
ブツリ、とスイッチをオフにして強引に通信を切った。
これでよし。
さてと、安眠するか。
雲一つない快晴の下、誰もいない舞鶴で存分に惰眠を貪った。
■
ウラルに存在するとある前線基地。
ここで、第一飛行隊と北郷章香、若本徹子、坂本美緒、竹井醇子らが初の顔合わせを行っていた。
しかし、一人不満そうな顔をした人間がいた。
「・・・・・むー」
ボバ・フェットの妹の加藤圭子である。
彼女は、彼の正体と実力を知っていたので、一緒にネウロイ討伐に来てほしがっていた。
しかし、彼が自分の近くにいないことで他の女性と一緒にいるのではないかとやきもきしいてた。
そのうえ、この前一緒にご飯を食べた若本徹子と師弟関係を結んだと聞かされて唖然とした。
兄のように慕っていた相手が、まさかロリコンだったのか。
いや、自分も昔のような恰好をすればまた構ってもらえるのだろうか。
思考がぶっとんだ方に行きそうになりかけていた時、親友の穴拭智子がぼーっと考え事をしていた彼女に声を掛けた。
「ねえ、圭子。大丈夫?なんだかずっとぼやーっとしているけど。」
「へ?あ、ああうん。大丈夫。心配かけてごめんね・・・。」
そうはいってもまだまだ元気が出てこないといった彼女の姿に不安を覚える仲間の三人。
ひそひそと圭子に聴かれないように小声で話し始める。
『ねえ。なんか圭子の様子がおかしくない?前に休暇で舞鶴に行ってから帰ってきたときにはあんなに嬉しそうだったのに・・・。確かお兄さんがいるんだっけ?』
『と言っていたが…。あの圭子に兄か・・・・。武子はどう思う?』
『むしろ、圭子に戦い方を仕込んだというのが信じがたい。そんな実力者なら一度あって話してみたいな。』
『それは私も思った。ぜひ一度でいいから手合わせ願いたいものだ。』
『ちょっと!!そこの戦闘狂二人!!圭子が聴いたら卒倒しそうなこと言わないの!!』
バトルジャンキーな二人を戒める智子。
何はともあれ、圭子は思い悩んでいた。
少し気分を変えるために近くに置いてあった新聞に手を伸ばす。
しかし、そこでさらに大きなショックを受けることとなる。
新聞を手に取って、開いたまま固まってしまう。
「・・・・圭子?」
黒野が尋ねても新聞を開いたまま立ち尽くすばかり。
どれどれ、と他の三人が圭子が読んでいる記事を一緒に読むと、そこには『新型ネウロイは人型か?!』という見出しがマスクにアーマーを着ながら空を飛んでいる奇妙な人物の小さな写真付きの記事が掲載されていた。
「何これ。こんなの本当にいるのかしら。・・・・ピンボケじゃないの?」
「何々・・・。“新型ネウロイは空を飛ぶ人型か?!先日舞鶴にて目撃されて人型らしきネウロイは、我々の姿を見るやいなや空の果てまで飛んでいって消えてしまった。目撃者らの証言によると、背中から火を噴いて飛んでいた。光線を発射する銃を持っていた。マスクにアーマーをつけていた。以上の点などから人間ではなく人間に近い形状を持ったネウロイではないかということが噂される・・・。”なんだこりゃ。」
「こんなのがいるわけない。圭子もそう思うよな?」
武子の問いかけにも新聞を持った腕をぷるぷるさせるだけで、棒立ちで固まっている。
そして、息をふーっと吐いた後、
「何やっているのよ兄さあああああああああああああんっ!!!」
と人目もはばからずに絶叫した。
他の三人は親友の奇行に目を丸くして、その魂からの叫びを聞いていたという。
■
誰かが俺を呼んだ気がするが、気のせいか。
気にせずに装備の点検を続ける。
今俺は、ウラル方面に向かっている。
というのも、よくよく考えた結果、ここいらで一回ネウロイの戦力を大きく削っておいたほうがいいと判断したからだ。
圭子たちがいる場所は激戦区だから、巣の一個や二個をつぶしておけばかなり助かるだろう。
そう思ってのことであった。
スレーヴⅠでウラルの、それもネウロイが進行してきている方角一番奥まで向かう。
防衛戦も確かに重要だが、あの規模の人数を動かして戦線を切り開くのは無理がある。
ならば、俺がやるだけだ。
マスクとアーマーをつけ、前方を索敵する。
すると、上空に一際大きな巣があるのを発見した。
キャノン砲を掃射して、敵が出てくる前に叩き潰していく。
とどめにプルトン魚雷を連射し、巣を破壊。
それが終わったらまた別の巣を破壊しにすぐ移動する。
アリの巣を一つ一つ丁寧に、確実につぶすように回っていった。
そこで、大型ネウロイが数匹隊列を組んでやってきた。
どうやら向こうの最大戦力の様らしい。
「お前らがいると邪魔だからな。永遠に眠ってろ。」
奴らとの死闘は、丸一日に及んだ。
■
「だいぶ戦線も落ち着いてきたわね。」
「ええ。負傷者も多いけど、なんとか物資の補給は間に合っているし。」
戦場だった焼野原を歩いてそういう智子と圭子。
先日、ネウロイが襲ってきたが、あまり数がいなかったので容易く撃退でき、損失も少なく済んだ。
その結果、士気もかなり上がり、結果的には戦線を上手く守れていた。
「あの四人もかなりいい働きしているしね。」
「ええ。正直子供たちのほうは甘く見ていたけど、あそこまでやれているのなら将来の扶桑も安泰だと思うわ。」
若本徹子、坂本美緒、竹井醇子の三人がウラルのとある前線基地にきてから、最初は大した活躍をしていなかったが、徐々に成長を遂げ、目覚ましい戦果を挙げるようになった。
それを嬉しく思う二人。
「戦力として使えるウィッチが増えるだけでもかなりいいわね。あの娘達も長生きしてくれればいいんだけど・・・。」
「それはあの娘達次第ね。」
すたすたと戦いの傷跡がまだ残る野原を歩く二人。
空からいつも見下ろしていた景色を、歩兵たちはどんな視点で見ているのかを自分の目で確かめるためにこうして歩き回っていた。
すべては、命を賭して戦ってくれている兵や、仲間たちを思ってのことだった。
(それにしても、あの人は一体何しているのかしら。)
先日の記事を見る限りでは死んではいないが、それでも不安にはなる。
鈍感っ、と彼女が心の中で彼の顔をつねったとき近くの茂みががさがさと揺れる。
携帯していた銃を即座に構えてそちらに照準を向ける二人。
お互いアイコンタクトで示し合わせ、徐々に近寄っていく。
「・・・・誰かいるの?」
その問いかけに答えるものは居なかったが、智子が警告する。
「5秒以内に出てこないと撃ちます。5・・・4・・・・」
カウントダウンを始めてそういう彼女。
「3・・・・2・・・・・1・・・・」
と0になりかけた瞬間に、ごそごそと両手を上げた人物が出てきた。
「そのまま頭に手を置いてゆっくり近づきなさい。」
近寄ってくる人物の顔が見えたとき、圭子は絶句した。
「・・・にいさん?」
なんでここにいるの?というニュアンスを込めた声で聴く彼女と、「え?兄さん?え?」と銃を構えつつ混乱の極致に達している智子と、
そんな二人に囲まれながら、苦笑いをしつつ、両手を上にあげて降参のポーズをとっているいつもの姿ではないボバであった。
■
あのあと、超大型ネウロイを倒せたのはいいが、最後っ屁にレーザー砲をスレーヴⅠの羽にかすめられたせいで不時着することになってしまった。
応急修理くらいはできたので、あとはもう少しすれば治るだろうが、こうして周りの状況を確かめるためにいろいろと回っていた。
まさか圭子がいたとは思わずに咄嗟に隠れたのは良いが、音を立ててしまい、ばれてしまった。
そのまま彼女たちふたりに連行されていく。
布切れで顔を隠していたが、はがされてしまい、他のメンツにもばれてしまった。
そして、今は野営地の一室で取り調べを受けている。
そのお相手はあの北郷章香さんだ。
お見合いのように椅子に座って正面から向き合う。
彼女から向けられるぎらついた眼光がどうも落ち着かない。
「なぜ、あなたがこんなこところに居るんだ。」
当然のことながら、扶桑皇国に今までいた俺がどうしてウラルにまでいるのか。
彼女たちにとっては当然の疑問だろう。
本当のことを言うわけにもいかないから茶化してごまかす。
「いえね。妹の圭子が戦っているというのに兄の俺が何もしないわけにはいかないと思いましてね。だからこっそりついてきたってわけで・・・。」
「戦場は遊びじゃない。これは戦争だ。・・・・後日、あなたを扶桑皇国まで送り返させてもらおう。」
そうだよなー。
軍人である彼女たちからすれば、俺は一般人。
つまり守るべき対象であり、一緒に戦うなど言語道断。
その態度は軍人としては100点満点だ。
「わかりましたよ。」
「こちらの指示に従うように。・・・・いいですね。」
はいはい、とやる気のない返事をしながらテントの出口を潜り抜ける。
「「「あ。」」」
「・・・・。」
俺と彼女の話し合いをこっそり覗き込んでいた子供三人衆と目が合った。
そこでぴこーんと頭に悪い考えが浮かんだのでそれを早速実行する。
「北郷さーん。あなたの教え子である三人が盗み見していますよー。」
「何?」
そういって険しい顔つきでテントから出て、彼女たち三人を見つける。
「何をやっているんだ?」
「い、いやー。俺は止めたんだけどこの二人がどうしても覗きたいって言うから・・・・。」
「ええっ?!徹子ちゃんが無理やり引っ張ってきたのにー!!」
「せ、先生・・・。許してくれますよね?」
「駄目だ。」
いやーーーーーーっと慟哭する彼女たちを無視して歩いていく。
すると、圭子が俺の前に立ちふさがる。
腰に手を当てて、私怒っていますと言わんばかりのポージングをとっている。
「兄さん。どうしてこんな場所にいるの?」
「いろいろとな。どうやらちゃんと戦えているようでよかったよ。」
「またそういってはぐらかす!!もう!!」
不満たらたらといった彼女をたしなめつつ、これからのことを考える。
いつまでもここにこうしているわけにもいかないし、機を見て脱走するか。
そんな心算を立てていると、俺の周りに見知らぬ少女が三人寄ってきた。
「へえ。この人が圭子のお兄さん?なんだ、普通の人じゃない。」
初対面の相手に向かってずばずばと言ってくるロングヘアーの少女。
「初めまして、圭子の戦友の加藤武子っていいます。」
礼儀正しくお辞儀をして自己紹介をしてくるショートカットの少女。
「・・・・・・・・・・・・・。」
そしてこちらを品定めしてくるような目つきで見てくるもう一人の少女。
なんだこれ。
圭子に視線で助けを求める。
「ああ。その長髪のウィッチが穴拭智子で、兄さんにメンチを切っているさばさばとしている娘が黒江綾香ね。」
それはわかったが、どうしてその黒野さんから凝視されているのかがわからない。
すると、彼女が刀を一本手渡してくる。
「あなたは、あの北郷さんとも互角に打ち合える人物と聴いた。手合わせ願いたい。」
まさかの決闘の申し込み。
扶桑のウィッチはこんな血の気が多い娘ばかりなのか。
少しめまいを感じたが、先ほど北郷さんにお説教されていた三人がいつの間にかやってきた、三人を叱っていた彼女もわくわくとした表情で見つめてきており、穴拭さんは賭けを周りの兵士たちをし始めて、圭子はにやーっと意地の悪い笑みを浮かべている。
一番真面目そうだった加藤さんも止めてくれる気配はなさそうだ。
仕方なく、剣を抜いて構える。
「あなたから感じる隠しきれないその闘気。ふふふ・・・・。そこまでの人間にあったのはじめてだ。」
「そうさ!!師匠は滅茶苦茶つよいんだよ!!」
徹子。応援してくれるのは嬉しいけど、今はちょっと黙っていてくれ。
目の前の彼女がさらにやる気になってしまったじゃないか。
ああ、もっとお淑やかで家庭的で優しいウィッチはどこかにいないものか。
ウィッチ達とのトラブルが続いたのが原因なのか、これから先、未来であう“彼女”に俺が惚れたのも自然の成り行きだったのかもしれない。
■
「師匠!!起きてってば!!」
気持ちいいまどろみの中、愛弟子の声によっていやがおうにでも現実に引き戻される。
目を開けると、竹刀ではなく、扶桑刀を手に持ってこちらの顔を覗き込む徹子の顔が度アップで移される。
「・・・・・・・・徹子、近い、離れろ。」
「なんだよー。俺だって最近おしゃれしているのに感想もなしかよ。」
「似合っているぞ。」
「遅い!!」
寝起きで頭が上手く回らないんだ。
気の利いたセリフは午後12時以降から期待していてくれ。
起き上がり、周りを見る。
さっきは懐かしい夢を見ていたものだ。
綾香とほどほどの力で打ち合っていたら、他のウィッチ達とも戦う羽目になるとは。
智子も「私と戦いなさい!!拒否権はないわ!!」とか言って刀をこちらに突き付けて宣戦布告してきたし、章香も私も混ぜろと言わんばかりに本気の二刀流で襲い掛かってきたし。
騒ぎを聴きつけた敏子が場を収めてくれなかったどうなっていたことやら。
ふああっ・・・とあくびを手で抑えて、伸びをして体をほぐし、徹子に聴く。
「素振りは終わったのか?」
「もちろん!!だから早く打ち合おうぜ!!」
待ちきれないといった様子の彼女。
尻尾と耳が出ているのでそれほど楽しみだったらしい。
最近会っていなかったからな。
「よし、どれくらい強くなったか確かめてやる。本気で行くぞ」
「へへ。あの時みたいに瞬殺されると思ったら大間違いだぞ師匠!!」
徹子は本当に強くなった。
もう、とっくに白兵戦だけなら俺を超えている。
師匠として最低限の威厳を見せるためにだましだましで戦っているが、今日はもう勝てないだろう。
ボバ・フェットの装備で戦うならともかく、それほど彼女は大きな成長を肉体的にも、精神的にも果たしていた。
まったく、師を超えるなんて最高の弟子だな。
彼女にかっこつけて倒されるために、構える。
「行くぜ!!師匠!!」
「こい。」
“扶桑皇国史上最強のウィッチ”と呼ばれている彼女の師匠であることは、俺にとっての誇りだ。
ギイイイン、という金属音がぶつかり合う音が山に響いた。
本日のオチ
「あいつめ。あいつめ。あいつめ。あいつめ」←通信機をガチャ切りされて、すねながら牛乳をやけ飲みする爆撃王。
「・・・・・・・大切って言われた・・。」まさかの告白まがいの言葉を受けて動揺する、若き日のもっさん。
「おかあさん。私、何だかもう少しでいい人に巡り合えそう。」←運命の出会いを予感する宮藤さん。
まだまだ続く扶桑海事変。
あと何話くらいなんだろうね。
師匠を遂にこえて喜ぶ徹子ちゃん。
しかし、こんどは本気の師匠と戦いたいと言い出し始める。
全力で逃げ出すボバ君。
次回予告「扶桑海事変 その4」
「ここまでくれば・・・・・・・。」
「あっ、ここに居たんですね♡さっ、部屋に行きますよ♡」
「()」(絶望)
KEY(ドM)