仮題・・・恋姫世界に幕末日本をぶち込んでみた。   作:3番目

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96話 大晩餐会⑤ 円卓会議

 

貴賓休憩室に設けられた円卓会議場。

徳川大日本帝国、両袁家、大朝鮮国、琉球王国、サータバーハナ朝、パルティア王国、扶南国、越国、室利仏逝王国の九ヵ国の重鎮らが列席する会議では扉一枚隔てた向こう側から流れる音楽をBGMに話し合いが行われた。

 

外務奉行栗本鋤雲が司会進行を行う。

「では、最初の議題ですが欧州征伐に関してですが、現在はアナトリア以西から膠着状態となっております。現在戦線を支えているのはアルサケス朝パルティア王国、サーサーン朝ペルシア帝国、クシャーナ朝大月氏、奄蔡国、クシャパトラ王国、スキタイ王国がこれに加わっております。」

 

ヴォロガセス6世が最初に発言する

「現在、我が国主導でアルメニア王国、ポントス王国、ボスポラス王国と言った傀儡の建国を準備しておる。形が出来次第、アナトリア戦線へ参戦させる予定だ。しかし、以前から何度かお話しているが、アナトリアからバルカンへ進出するためにはサータバーハナ朝やクウェートとアブワースに駐留する徳川大日本帝国軍の参戦は不可欠。即時参戦を望むものである。念のため言って置くが東方諸国(東アジア圏の諸国諸民族)の義勇軍では足しにならんことを付け加えておく。連中の息の根を止めるにはもっと多くの国々が本格的に連携し事にあたらねばならんであろう。」

それに対して家茂は手を上げて意見を述べる

「確かに、ローマ帝国を倒すにはもっと多くの力が必要でしょう。」

ヴォロガセス6世やアルタバヌス4世らパルティア王国一団は頷いたりして賛意を示し、家茂はさらに続ける。

「ですがバルチスターン、イラン高原、メソポタミアと言った主要な地域での勝利は我が国の海軍を中心とする連合艦隊によるアラビア湾の完全制圧による敵の補給線の破壊によるものが大きいと考えておる。ゆえに地中海へ艦隊を回すことが出来れば先の戦いの再現が出来るものと考える。であるが、これには問題がある現状考えられる方法は希望大陸を大きく回り敵本国近海を通る道とアナトリア北部の黒海で新たに艦隊を建造し、ボスポラス海峡を抜けて進出する道だ。だが、それぞれに大きな問題がある希望大陸を大回りする道は地中海までの距離や敵本国への接近が考えられ疲弊する可能性が高く現実的とは言えん。また、黒海での道であるが艦隊建造と簡単に言うが、港湾の整備や艦隊建造の施設の用意など一からやらねばならんし、活動範囲は黒海と地中海に限られ、正直我が国や艦隊の建造国の利点が少ないと言うことだ。」

「であれば、愚策なれど陸軍兵力で強行突破するほかあるまい。」

「いや、海軍艦隊を送り込む方法はもう一つあるのだ。」

「それは一体?」

家茂が地図を指し示す。

アラビア半島と希望大陸の中間、スエズ。

「スエズ地峡、二つの陸塊をつなぎ、水域にはさまれて細長い形状をした陸地である。この土地を切り開き水路を造ることが出来れば、地中海に直に侵攻することが可能であるし、バルカン含む以西の地域への軍需物資補給の体制を整えることも容易となる。」

「ですが、地峡を切り開くとなると時間はかなりかかるのでは?」

「それに労働力はどうするのですか?ローマの捕虜を根こそぎ動員しても少ないように思えるのですが・・・?」

「その計画では10年かけても完成しませんわよ。」

琉球王国尚寧王とアルタバヌス4世、袁紹の疑問に家茂が答える。

 

「時間は労働力如何で多少短縮できるし我が国の重機も動員する。そもそも、労働力はあるではないか、掃いて捨てるほどに・・・・・・希望大陸にな。」

 

「アクスム王国やメロエ王国が地峡の傍にあるわけだがどうする。」

サータバーハナ朝のシムカ王が尋ねる。

「連中にはいつまでも日和見を続け、我々の足元を不安定にさせた対価を払ってもらおう。連中にはいい加減我らの軍門に下ってもらおう。次に希望大陸北部に群がるローマ軍を駆逐し連中の目の前に刃物をチラつかせてやるのだ。そして、我々は希望大陸沿岸各地に軍を派遣し希望大陸に橋頭堡を築き上げ、現地の主要民族より連中の戦奴を労働力として買い上げるか、負けてる方を支援して多数派を根こそぎ戦奴にして、逐次スエズ地峡開墾へ投入する。さすれば労働力の問題も解決するし、普通に各国で労働者を雇うよりも安く上がる。無論技術者や監督官は我々で用意せねばならんがな。場合によってはメロエ王国やアクスム王国からも賦役を動員させればよい。」

 

「揚州袁家は徳川大日本帝国の施策に賛成します。お嬢様よろしいですね」「うむ。」

「華北袁家も極力気を回すようにしましょう。」

両袁家の麗羽、美羽らは西洋諸問題を早々に片付けて徳川に中華大陸介入を積極的に実施し鮮卑や曹操と言った勢力に手を打ってもらいたいがために・・・

 

「素晴らしい考えでございます。家茂公!我が国も事業に加わりましょう!」

「琉球王国も同様に支持いたします。」

大朝鮮国と琉球王国は徳川大日本帝国の追従国家故に・・・

 

「地峡を切り開けば戦線もすぐに好転するだろう。良案と言える。パルティアは賛成だ。」

パルティア王国はアナトリア戦線突破と以西の侵攻に光明が見えた故に・・・

 

「異議なし、遠大なる計略、見事であるな。我がサータバーハナの海軍も動員させよう。」

「同じく、室利仏逝王国も艦隊を動員させましょう。」

海洋の向こうに拡大を求めた二か国は希望大陸を刈り取り、その奥の上都大陸東部に食い込みたいがために・・・

 

「越国も陸軍の派兵を検討しよう。扶南国は?」

「皆が出すようにゃら、美以達も出すじょ。」

越と扶南は自分達には損はなく多少の利があるがために・・・

 

この会談では、他にも徳川大日本帝国の蓬莱大陸の諸部族とアボリ国の保護国化の承認が行われた。

中華大陸(以後この名称で)における鮮卑への対抗に複数部族を糾合し国家を建国したうえでの戦線の再構築する計画が告げられ、最初に挹婁族傉雞の新国家で様子を見る事となった。後にこの国家の成功で保護国従属国傀儡国の建国ラッシュとなる。

 

 

会議が終わるころには晩餐会も締めに入っており、円卓会議のメンバーもこの流れに紛れて帰っていく。

 

とにかく、この会談で世界の流れは決まった。

 

 

 


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