仮題・・・恋姫世界に幕末日本をぶち込んでみた。   作:3番目

105 / 109
99話 植民地主義③ 希望の分割 

晩餐会のあの日、隔絶した文明国を見た彼らは何を思ったか・・・

嫉妬や羨望の眼差しを向け、誰しもが思うだろう自分達のああなりたいと・・・

そして徳川の財源の一つが広大な土地。蓬莱や南天と言った大陸が徳川の財源を生み出している。そして目の前に手つかずの希望大陸がある。

徳川大日本帝国にはすでに蓬莱大陸、南天大陸、東南諸島、尼西亜諸島を完全に手中に収め、北方入植地、科威都入植地を領有し、上都大陸内陸にも手を伸ばして、今や世界の三分の一以上を手中に収めたと言ってもいい。その国に張り合うにはどうしても新しい土地が必要だったのだ。

 

安定期に入りつつある徳川大日本帝国とは対照的に同盟国諸国は無主物先占の名のもとに次々と希望大陸各地を占領していくのであった。

希望大陸ローマ属州軍を討伐後サータバーハナ朝は主力の南下を開始。

 

 

サータバーハナ朝海軍は喜望峰経由でギニア湾へ展開し、サータバーハナ朝軍の希望大陸西部地域支配の支援を行った。また、航行の過程でマダガスカル島にも上陸を行っている。

また、サータバーハナ朝はパルティア王国と繋がっており、サータバーハナ朝が確保した奴隷はパルティア王国の抱える各戦線へ逐次投入することを条件に資金及び食糧援助が行われている。のちにサータバーハナ朝へパルティア王国軍の部隊が貸与されたり、サータバーハナ朝から租借地を確保したパルティア王国もこれに参加することになる。

 

「高度文明国円卓会議においてサータバーハナ朝は新世界領有権を与えられた。高度文明国円卓会議は希望大陸をサータバーハナ朝国王他に授けたことをここに宣言する。これにしたがって希望大陸非開化民は高度文明国の指導下に入り、サータバーハナ朝国王の王権を従わなければならない。なお、その拒否から結果する死と損失は、汝らの落度であることをここに言明する。」

 

上陸してすぐに催告書を読み上げるサータバーハナ朝の役人。

この文書は各国の希望大陸統治の根拠として掲げられた。

 

そしてすぐにサータバーハナ朝の軍隊が現れて村々を制圧していく。

 

「きゃあああ!!」「わぁああああ!!」「逃げろぉおお!!」

「あっちだ!!追え!!捕えろ!!」「土人どもを逃がすな!!」

 

猟犬を先頭に走らせて馬や駱駝に乗った指揮官を中心に鉄製の武器で身を固めた兵士達が先住民たちを追いかけまわし、次々ととらえていく。

 

「おい!黄金だ!!宝だ!!回収しろ!!」「っは!!」

「待ってくれ!それだけは!!」

族長らしい一人が指揮官に縋りつく。

「貴様!!未開化民風情が我々に楯突くとは生意気な!!」

 

指揮官が剣を振り下ろす。

 

「ぎゃああ!?」

「っち、この村の若い連中は戦奴だ。残りはスエズ送りにしろ!!」

 

 

 

サータバーハナ朝の植民地統治が最も苛烈と言われるが他の国々も負けてはいない。

 

南方三国合同軍はソマリア半島へ上陸。流石は元蛮族、彼らの好みそうな一騎打ちや決闘などの力を示す統治法で周辺地域の部族を併合していった。むしろ彼女達が一番穏便な同化政策を行った。本国と希望大陸民双方の移民を繰り返し血の同化をもって穏便に同化していった。しかしながら、南方三国本土自体がエリート教育に対して関心が薄い事もあり、希望大陸では初等教育はまだしもエリート教育などは全くされていない。そのため、ただ土地を広げただけで、他の高度文明国の様な目に見えた恩恵が得られたわけでもなかった。採掘資源の確保においても他国の様な強制労働を行ったりするわけでなく、本国の入植民や現地民の希望者のみで編成された開拓団が主導して採掘地に街を作って穏やかな統治が行われた。明確な差別があったわけではないが現地民と入植民の間には壁がありお互いに不干渉であった。

 

「大王様の言うことを聞けば、皆、平和に暮らすことが出来るにゃよ?言うこと聞かない子は西側に追放にゃよ?わかったかにゃ?」

コクコクコクコクコク

ただ頭を縦に振る先住民たち。

 

 

 

大朝鮮軍は軍を二つに分け一つはモザンビーク海峡に展開し、もう一つはサータバーハナ朝同様ギニア湾に展開。琉球艦隊もモザンビーク海峡、ギニア湾に展開上陸した。

大朝鮮国や琉球王国は手持ちの兵力が少ないため現地の住民達の対立を煽り片方を支援して敗者を奴隷にしてスエズやもう一つの奴隷の需要地であるパナマへと送っていく。勝者側は褒美として大朝鮮国と琉球王国の統治府より一定の教育が施され開化民として中間支配層として民権を与えて同地を支配させた。無論上層支配者は自分達で贅の限りを尽くした。

 

「あいつ等は労働力、鉱山の採掘に指定した作物の栽培とやってもらうことは沢山あるわ。なに?反乱?ならば、現地の開化民に対処させなさい!捕虜は奴隷船に突っ込んで売り払いなさい!!」

 

 

希望大陸南部には徳川大日本帝国及び揚州袁家、華北袁家の合同軍が上陸。当初、徳川大日本帝国はすでに十分な入植地を確保していた為に希望大陸に対しては興味が薄かったが、プトレマイオス朝やアクスム王国、メロエ王国から提供された情報から希望大陸に多くの資源が眠っている可能性を見出し、希望大陸への進出を決断した。距離や人員的な理由で独力での完全支配が完遂できないと判断した結果、プトレマイオス朝やアクスム王国、メロエ王国の三国を保護国にし、安全保障を行うことで大陸の利権確保の尖兵に仕立て上げ、南下を・・・

また、帝国幕府が重要地域と位置付けた希望大陸南部にはいち早く先見艦隊を派遣し上陸、北上に際しては両袁家との共同統治もしくは割譲の条件で兵力を借り受け、その兵力を持って北上した。

 

「保護国の現地民軍と両袁家の派遣軍、そして我が国の軍には急ぎ資源の眠る鉱山地域を他の同盟国に先んじて奪取するのだ。労働力は現地民を使え!中間支配層は開花民をだ!!現地民同士の争いは直接介入はしないが有効に利用する。だが、我々を巻き込むようなら容赦はするな!!」

 

希望大陸は多くのものを奪われ、民族の対立を煽られ絶望に染まる。

 

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。