仮題・・・恋姫世界に幕末日本をぶち込んでみた。   作:3番目

106 / 109
100話 植民地時代④ 歴史は繰り返す・・・

重商主義と帝国主義に傾倒する列強によって激しく争われた希望大陸諸地域の支配権争奪と植民地化はアクスム王国、メロエ王国、プトレマイオス朝の支配地域を除くすべての地域が僅か10ヵ国によって分割されたのだ。

 

徳川大日本帝国領としては徳川帝国及びプトレマイオス朝共同統治領東希望、ニアサジンバブエ保護領、ボチュアナ保護領、徳川帝国及び袁家共同統治領南希望、徳川帝国領西希望、ムカイヴァール保護国があった。プトレマイオス朝は同盟関係、アクスム王国とメロエ王国は従属に近い同盟関係となった。

他の国々も保護領や植民地領を多く確保していた。

 

徳川大日本帝国は広がり過ぎる海外領土の支配体制を変えていくことになる。

そして、帝国貴族院でも・・・

「我が国が採用している万国公法において、君主が存在し、明確な国境があり、そこで人々が定住している。この三条件が一つ欠けても国家とは認めない。草原や森林の中で移動しながら生活している人々の土地は誰のものでもない、したがって無主地であり希望大陸における我が国の統治は正当なものであることを議会として正式に宣言します。また、これらの地域の円滑な統治及び現地民の開化の為に政府として選別した企業の合同出資によって特許会社の創設を行い現地の経済流通の管理を命じるものとします。」

 

植民地における経済支配のための経済活動はリスクが大きかったことやその領地を守る諸藩軍の負担は非常に大きいものであった。

これを解決する為に、植民地統治において亀山財閥や三菱財閥、三井財閥、住友財閥と言った徳川帝国幕府より特別な許可を与えられた企業が提携共同して財閥連合となり、国からも資本の投入を受け会社設立の見返りとして経済貿易に関する独占権を与えられるというものであった。

 

例えば南希望会社とか東蓬莱会社とか東上都会社などが設立されていった。

初期の頃こそ経済活動だけだったのだが、統治軍植民地や入植地に行政組織を構築し、徴税や通貨発行を行い、法律を作成して施行し、軍隊を保有して反乱鎮圧や敵対国との戦争を行う、植民地統治機関へと変貌していった。

坂本龍馬ら財界人らは次第に現地の国軍諸藩軍と入れ替わるようにして現地民の反乱鎮圧や治安維持の為に自らの私兵を持って軍権に食い込むようになる。これらの名称は陸軍兵力ならば陸援隊、海軍兵力ならば海援隊を名乗るようになる。無論、植民地や入植地は帝国の管理地であり最精鋭は幕府軍であり、現地に飛び地を持つ諸藩藩主は治安維持のために兵を維持しているので軍権の主導は国にある。海軍も艦艇戦力は国軍でありその補完及び附随が諸藩海軍で、海援隊としての艦艇兵力はほぼない、専ら海兵隊の様な役割である。

 

家茂個人は植民地人の奴隷化に含むところはあったが坂本龍馬ら財界人、松平定敬や松平正質の様に藩営企業を持つ者ら、財閥企業や国営企業に株式を多く保有しその莫大な配当利益の恩恵を受けた藩主や幕府高官らの意見を無視できるものではなかった。

実際の所、国家としてはこの方策は国にほぼ永遠に利益を生み出し続けるシステムだ。崩壊しても枠組みまでは破壊できないのは前世で立証済みだ。

 

 

家茂に代表される黄色人種至上主義者は同じ黄色人種寄りの蓬莱や上都の先住民には寛大であった。かつての話に戻して佐幕派も攘夷派も白人に対してよい感情を持っている者はいなかった。過激か穏健かの違いは有れど潰すべき対象だった。黒人に対しては特に何もなかったがアクスムやメロエの長期にわたる日和見が彼らの印象を悪くしてしまった。それに関わっていない無関係な希望大陸の現地人は完全に巻き込まれただけであるが・・・。

振り返ってもらえれば解るが、徳川の歴史において白人とは一切の友好な時期はなく、黒人も徳川帝国の藩主や高官達にとって白人の奴隷の印象が強い。その証拠に同じ黄色人種でも北方西方寄りの肌が白寄りの民族国家は列強には入っていない。

 

この国は元々全体主義的な素養が強い、国の重鎮たる諸藩藩主や幕府高官が是と言い、国民の大多数が豊かな生活を望み、その状態の維持向上を望んでいるのだ。いくらその国で実権を握っている徳川家茂と言えど自分以外の全員が望んでいることを無理に止めることは不可能であった。家茂としてもそれらを天秤にかけて植民地の維持拡大を選んだわけである。

それに、奴隷奴隷と言っているが一応建前の上では超低賃金な労働者だ。

 

 

諸藩藩主、幕府高官、財閥総裁、貴族院議員など、こう言った人間は植民地や入植地の産業に食い込んでいる。直轄地及び諸藩の飛び地における大規模な農園・果樹園、牧場経営や魚介類の養殖場、鉱山採掘、植民地商会などの労働力は希望大陸の原住民や白人奴隷に頼るところである。一時期労働力として候補に挙がった蓬莱大陸の現地人は保護国化し、黄色人種故に、もしくは徳川帝国の拡大期初期の足場固めの時代に接触した為に友好的な関係を築けた為に間逃れたが、希望大陸や白人達は拡大期後半の植民地時代、清廉潔白な志よりも己の利権利益を優先するのだ。

 

 

例え配役が変わろうとも歴史は繰り返すようにできているのだろうか・・・

 




もう一つ作品書いてみた。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。