仮題・・・恋姫世界に幕末日本をぶち込んでみた。   作:3番目

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08話 新時代の到来

 日本中で起こった超常現象に関して市井の者たちは天災であるとか天変地異だとか騒いでいた。

 将軍家茂の動きは速かった。

 試験的に導入していた電信を用いて各藩の藩主たちと連絡を取って状況の確認を急ぎ、多くの報告を受け取った。

 この時の日本国内の情報伝達速度は電信の導入によって非常に速いものであった。

 さすがにすべての藩に電信機を設置したり電線を引いたわけではなく。親藩や信任の篤い藩主の藩に電信設備を設置して、電信のない諸藩は、電信のある藩に伝え、その情報を江戸へ報告するのだ。一々諸藩が早馬で江戸まで知らせるよりも効率的になったのであった。

 ちなみに、主要街道のへの鉄道や馬車鉄道の設備敷設も始まっている。

 

 家茂は情報を収集してすぐに大老・老中・参与階級を呼び集めた。

大老・井伊直弼(欠席)、老中・小笠原長行・板倉勝静・井上正直・稲葉正邦・大給乗謨・松平正質・酒井忠惇・立花種恭・堀田正睦・安藤信正。

参与・松平容保・松平定敬・牧野忠訓・酒井忠篤・前田慶寧・松平康英・島津斉彬・鍋島直正。

らを招集し今後の方針を決めた。

一、 市井の混乱を収める。

二、 幕府の権限を持って外国人の資産の凍結及び接収。

三、 周辺国への状況確認を兼ねた使節の派遣。

秘匿要綱、陸海軍の戦時編成。

 

 半月後、市井の混乱が収まり、外国人資産の接収が済んだ。

 そして、陸海軍の編成も進んでいた。

 周辺国へ派遣した使節たちから多くの報告がもたらされた。

 特に南方地域には国と呼ばれるものはなく、中小集落規模の集団が辛うじて外交交渉が行える程度だった。

 逆に北方であるが北アジアのほとんどに人がほとんどいない。遊牧民族はいるが大半が南下しているためだ。

 

 南アジアのインドでは南インドのパーンディヤ朝、デカン高原をまたがる最大勢力サータヴァーハナ朝、西インドのサカ系民族の西クシャトラパ諸民族、北インドの雄であるクシャーナ朝(大月氏)なおクシャーナ朝は中央アジアにもまたがっている、インド各地に散らばるパルティア系やスキタイ系の各残党が入り乱れる戦乱期であった。

 さらに遠くの西アジア、南アジアの西側を支配するパルティア王国はローマ帝国と戦争中だ。内陸の中央アジア、もっと遠くの欧州は距離や地勢的に交流が困難なため未調査。

 西アジアと東アフリカにまたがるアクスム王国は象牙・鼈甲・金・エメラルドを輸出し、なかなかの交易相手になるだろう。

 東アフリカ上陸し、アクスム王国経由でローマ属州を介してローマ帝国に接触したがローマ本国とは直接的な交渉は設けなかった。遠いので

 パルティアとローマどちらに肩入れすれば利益が大きいかそれが問題だ。

 また北アフリカにはエジプト系の王朝としてメロエ王国があり、この時代としては高度な製鉄技術を持っていた。距離的にも敵対することは得策ではない。我が国とは親密なる同盟委関係を結び維持し、黒人国家としてアクスム王国などと、アフリカ圏の統治者の一角となってくれることが望ましい。

 また、期待のフロンティアたる南北アメリカ大陸。北アメリカにおいては奥羽諸藩が主体となり北方開拓団としてシベリア経由でアラスカのイヌイット系民族と接触、鮭とか動物の皮とかでのつつましやかな交易をおこなっている。その後、北方開拓団の使節は南下し南部のインディアン諸部族と接触した。

 アメリカ新大陸派遣隊は北方開拓団の陸路と南方開拓団分遣隊の海路があり南方開拓団の使節団はポリネシアを経由して中央アメリカに上陸しメソアメリカ系文明圏国家と接触、オルメカ王国、テオティワカン王国、マヤ王国、サポテカ王国と接触、その後南下し南米大陸へ、モチェ王国、ナスカ王国、ワルパ王国、ティワナク王国ほか中小集落があり、ほとんどの国は土器や石器文明圏であったが、モチェ王国のみ高度な黄金やトゥンバガ細工と言うすばらしい金銀銅の宝飾品文化を持っており、幕府は交易相手として価値を見出した。

 朝鮮半島も李氏朝鮮から三韓に変わっており、清王朝も漢王朝に変わっており、その他の国々も琉球を除いてすべてが変わっていた。

 東南アジアもアユタヤのような国家が消滅し、扶南国等の国家が覇を争っていた。

 

 

 世界から西洋列強の存在が跡形もなく消えた。

 世界からロシアも消えた。

 中国大陸だって腐った龍である漢王朝。

 今や徳川政権下日本に敵はいなかった。

 

 安心安全な大航海時代の始まりだ。壊血病に対する対策も万全だビタミンを取るんだ。

 

 

「ずいぶんと、手を広げましたな。上様。」

 小太りで大福顔の堀田正睦が評定が終わって廊下を歩いていた家茂に話しかける。

「うむ、定敬達と話して決めたことだ。今の我が国は暫定的に文化面・軍事面・技術面どれをとっても世界一位であると言い切れる。世界各地をつなぐ海運力は我が国だけのもの、世界中の富と英知を我が国に集めたいと思ってな。」

「上様は壮大であらせられますな。しかし、英知ですかな。・・・・英知に関しても我が国が最高峰と思いますが?」

「まあ、探せばいるだろう。」

「左様ですな。」

 

 

 

 


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