仮題・・・恋姫世界に幕末日本をぶち込んでみた。   作:3番目

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11話 扶南国の東南統一支援前編

 親藩の藩主、川越藩主松平康英・忍藩藩主松平忠誠・前橋藩藩主松平直克の会話。

「聞くところによると敵はろくに兵法もなく、蛮族あるぞ。銃どころか刀も打てない三流以下の野蛮な国。我らの陣容を見て、銃撃にさらせば。蛮族など、ひゃ~と逃げていくに違いないのであるぞ!!!」

「左様左様・・・」

「いやはや流石は康英様!!南方の蛮族、襲るるに足らずですな。康英様の豪胆さに我が身打ち震える思い。この前橋藩藩主松平直克奮起の至り!!」

 親藩の藩主、川越藩主松平康英・忍藩藩主松平忠誠・前橋藩藩主松平直克の会話を聞いた堀田正睦は不安な気持ちでいっぱいだった。

 諸将達は敵を三流国の弱兵と侮り、慢心が見て取れた。それを律するべき藩主達も弛みきっており親藩の3人の様に行軍の指揮を家臣に丸投げし私語にうつつを抜かすもの、輿にのり果実を摘まむ者、籠に篭もって舟をこいでいる(寝てる)者と見るに堪えない光景が広がっていた。

 

 そのように悔やんでいると前方の孟獲軍の様子があわただしくなってきている。

 何事かと乗っていた輿の上で前のめりになってのぞき込むと、前方の孟獲軍が小さい何かに襲われているのが見えた。

「まさか・・・毒虫だ!!毒虫と毒蛇の道だ!!そ、備えよ!!火だ、火を焚け!!」

 正睦の指示も周囲の喧騒に掻き消えてしまいなかなか届かなかった。

 多くの雑兵が毒虫にかまれ治癒のために後方に下がらざるおえなくなった。これは孟獲軍にも言えたことだが・・・

 その日、孟獲は正睦を天幕に呼び出し対策を講じた。

 

「堀田殿、なにか策はないかにゃ?」

「・・・」

 通常、同盟関係でも他国の将にここまで込み入った話はするものではない。そこは南蛮クオリティである。

「策はあります。一つお任せください。」

 正直な話、このままでは援軍としての役を果たせない。この猫耳幼女孟獲がこちらに頼ってきてるのだから、せっかくの機会だ、ここで得点を稼いでおこう。

 

 先程の毒虫のいたところは渓谷になっている。

 両側を切り立った岩壁に挟まれ、わずかにある木々もほとんど枯れている。

 堀田正睦はその構造を利用し、現地民から燃やすと毒煙を出す葉に火をつけ煙を渓谷に流し込んだ。すると渓谷の毒蟲や蛇たちは煙にやられほとんどが死に絶えていた。

 僅かにいる生き残りは手作業で殺さなければいけないが大まかには作戦は成功した。

 こうして正睦らは渓谷を突破、その次の毒ガス地帯は毒ガスの流れない時間帯を発見し突破。その次の毒泉はなんと周囲の土砂で埋め立てて悠々と進んだ。

 こうして朶思王の罠をすべてクリアした一行は、ハノイの地で対決する事になる。

 

 毒虫の山道・毒ガス地帯・毒泉と多くの罠を張り巡らせていた朶思王であったが特徴的な地域を根城にしていただけで、別に知恵者ではないということが分かった。実際徳川幕府軍参謀陣の試行錯誤で突破されてしまったのだから。

 軍議の進行を同盟国に丸投げしてしまう孟獲軍の首脳陣にも思うところがないわけではないが、我が国に依存してくることは特別悪い事でもない。

 

 扶南・徳川連合軍3万5千(扶南軍3万・徳川軍5000)はついに朶思王率いるチャンパ王国軍4万と向かい合う。

 

 

 双方の兵が突撃しあい、激しい剣槍による刃がかち合う音が各所で聞こえてくる。

 扶南軍の歩兵及び象騎兵とチャンパ王国の歩兵及び象騎兵がぶつかり合う、彼らの戦いは突撃力がものをいう、象の数が多い扶南軍の方が有利であった。

 

 放っておいてもこちら側の勝ちだろうが、同行する同盟国軍として何もしないわけにもいかない。正睦はとりあえずではあったが幕府軍と諸藩軍の砲兵隊に敵後詰に向けて砲撃を命じた。

 

 轟音が鳴り響く。

 その音は前線でもよく聞こえた。だが、前線の兵士である彼らは目の前の戦いに集中していたため、この音が何の音かまでは考えていなかった。

 一方でチャンパ王国軍の後詰は大混乱であった。空から炸裂性の鉄球が降り注ぐ。自慢の象ですら鉄球が当たった頭部や背中の肉がえぐれ、苦しみにのたうち回った。鎧をつけた象ですら頭部に当たれば脳震盪を起こしその場で倒れた。さらに大変だったのは歩兵たちだ倒れてきたりのたうち回る象に押しつぶされ、付近に着弾した鉄球の破片で負傷したり、兵糧に火が付いたりして大損害であった。

 

 異変に気が付いた朶思王が後詰を見やるとそこは嵐が通り過ぎたかのようであった。

 前線の戦況は芳しくない上に一瞬のうちに後詰が壊滅していたのだ。周りを完全に囲まれた朶思王は黒い獣耳をたらし、扶南王孟獲に降伏する旨を伝えた。

 


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