仮題・・・恋姫世界に幕末日本をぶち込んでみた。 作:3番目
松平正質が宴の場で山越在留宣言をした後、山越国から提供された貴賓室では恒興が正質に詰め寄っていた。
「正質様、なぜあのようなことを!?我々はこの後、室利仏逝(シュリーヴィジャヤ)王国との交渉も控えているのですよ!!それに上様への報告は!!」
恒興の詰問に対して正質は特に気にしている様子もなく平然と答える。
「恒興、お主が室利仏逝と交渉すればよいのですから、あの国とはもうすでに国交も樹立して通商も相保もすでに結んでいます。扶南とこの山越に繋げるだけ、私がいなくても出来ます。それに上様に対する報告もお主がすればよいでしょう。私がこの国に残ることも上様が私に拝命させた全権の権限のうちではないですか。」
なおも、納得できない恒興は尋ねた。
「正質様は、なぜそこまでこの国にこだわるのです?」
「今は我が国に対して非常に好意的でいるが、我らが離れた後、再びモフモフしていないものに対する不信が再燃すると思ったからだ。」
「それは・・・」
「長きにわたるモフモフではない者に対する不満は並大抵ではない。自分たちの記憶にある非モフ、モフモフじゃないと言う意味ですよ。我々がこの地を離れれば非モフに対する不信が必ず再燃すると思ったからです。ゆえに人質が必要でした。」
「だからと言って正質様が残る必要があるとは・・・・」
「誠意というものです、彼らに対する。適当な人間を残してしまえば逆効果ですしね。となると私が適任でしょう。それに、彼女たちの言う北の非モフ、つまり漢民族がどれほどかも、この目で確かめてみたいのです。」
「わかりました、正質様がそこまでおっしゃるなら・・・その判断に従いましょう。」
恒興はまだ納得はしていなかったが正質の意志が固いことが理解できたので、納得はしていなかったがここは引くことにした。
正質を山越国に残した恒興は護衛の大多喜藩士のうち20人を山越に残し室利仏逝へと渡った。室利仏逝ではスリ・シュナーヤ国王との交渉にて近々日扶山室の四各国で集まり同盟関係を結ぶ予定だ。それをスリ国王に頼んだ際に国王は「いーよー」と間延びした声で答えていたのが記憶に残っている。ちなみに室利仏逝王国の民はアルマジロ系の獣人で黄色寄りの灰色髪で背中に鎧のような甲羅を背負っている。
その後は琉球に立ち寄り数日滞在し、朶思こと放と琉球も見て回った後に日本へ渡り、こうして上様にこのたびのことを報告しているのだ。
「うむ、ご苦労であったな新見恒興・・・ゆっくりと休むがよい。だがその前に、なぜここにお主の報告にも挙がっている朶思殿がここにいるのだ?」
上様の言葉にハッとして自分の横を見る。
「あっ」
あまりにも、そばにいることが当たり前すぎて連れてきてしまった!?
その頃、扶南国では
「じいじー、また日本の話をしてほしいのにゃ!!」
「ミーたちにも~」「ミャーミャー」
そう言って堀田正睦の周りに集まる南蛮人の幼女たち。
「おー、美以達かぁ。そうじゃなぁ、では今日は富士山の話をしてやろうかのぅ。富士山は日本で一番高くて美しい山でのぅ~~~~略~~~~~」
正睦はこう思うのだ。
この地に赴任してよかったと・・・・
現在我が国の藩主たちの間で獣人好きが増殖している。
これで南方編はひと区切り