仮題・・・恋姫世界に幕末日本をぶち込んでみた。   作:3番目

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今更だけど今日はいっぱい書きます。


27話 幕府評定 大陸要綱

「と言うことですじゃ。」

 川路聖謨の報告を聞いた家茂は驚愕していた。

 大陸に対して毅然とした態度をとってくるだけ良かったのに、急所にクリティカルヒットしてるじゃないですかー!!やだー!! 副島種臣を同行させたのはやり過ぎたか?

 ちなみに、ちょいちょい気の利いたことをしていた文官は副島である、彼は日本帰国後に佐賀藩へ戻っている。

 今回の大本になる絵を描いたのは彼であった。それに聖謨が脚色と言うすごいアドリブをかました結果であった。

「はっはははは、面白いじゃないか!!家茂ぃ!!」

「おおぅ・・・」

 

 自分の側近たる容保と定敬はそれぞれ、腹を抱えて笑い、額を押さえて嘆く。

 他の幕臣達は目を輝かせ家茂に畏敬の念を送っている。

 おいっーーーー!!何してくれんだ!?結果出てるでけに文句言えねえ。言ったら、幕臣の眼差しが畏敬から侮蔑に変わるのが簡単に予想できる。

 

 ま、まあ、とにかく遼東が日本領になったことは良いことだ。しばらくは遼東の安定化を進めよう。

 

「とりあえず、漢の序列で引き合いに出した挹婁には謝罪の使者を出しておくように。」

「っは。」

 老齢の外務総裁の後ろに控えていた外務役人の幕臣の一人が退室していく。後に、謝罪でいった使者からなぜか挹婁から、最高の国賓待遇を受けて困惑した外交官が返ってきたとか。

 

「定敬、漢王朝はどうすればいい。」

「しばらくは静観でよろしいかと、漢王朝とはしばらく接触することはありません。どうせ滅びる運命、今更変わりますまい。それよりも、今回接触した群雄及び外務省で収集した群雄たちの事でしょう。」

 

「群雄か。ずいぶんと美人だそうじゃねえか!」

 容保が食いつく。それを聞いた定敬は手をしっしと動かした。

 容保・・・お前と言うやつは・・・

「容保殿下がっていてくれ、軍事以外はからっきしな貴様ではわからんだろう。吉原にでも行ってくればいい。」

「お!そうか!じゃあ俺は失礼するぞ!!」

 確かに容保は軍事以外はからっきしだが、たぶん吉原に自前のハーレムを率いて吉原の女たちと合流してとんでもない酒池肉林をするに違いない。うらやましい・・・

 俺にはいまだに嫁の話が来ない・・・

 

「上様!聞いておりますか!」

 定敬に叱られて頭をクリアにする。

「あー群雄の件だったか。して、どうする。」

「私と外務省の意見では漢王朝崩壊後強い力を持つのは公孫讃・袁紹・曹操・陶謙・袁術・孫堅・劉表・劉焉・董卓・馬騰の10人と思われます。我々は今のところ有効な関係を結んでいる袁紹・袁術を支援し、間接的に大陸へ介入することが上策と考えております。次に考えているのが董卓と馬騰の二人この者は我が国と敵対関係にある鮮卑と敵対関係にあります。ただ、彼らは友好関係にある南匈奴・羯とも敵対しているのでそこをどうにかしなければなりません。董卓の方は融和政策を推し進めているのでも場合によっては支援するのもありでしょう。」

「であれば、我が国が仲介すればよかろう?」

「いえ、あれらの本拠は内陸です、わざわざ人を出す価値があるとは思えません。それに友好国の南匈奴・羯も距離があるゆえに友好と言う感じがあります。あまり近すぎると手を噛まれるやもしれません。」

「であるがゆえの放置か。」

「左様」

「なるほどな。であれば劉焉・劉表・孫堅はどうだ?」

 定敬は淡々と応答する。

「あれはダメです。劉焉は老齢ですじきに死にます、世継ぎ候補の子供たちは無能なうえに仲が悪く、益州は荒れるでしょう。投資が無駄になることが目に見えています、仮に安定してから結んでも遅すぎます。その頃には大陸の趨勢が決まっているでしょう。」

 一息入れてから今度は定敬が劉表と孫堅を評する。

「劉表は典型的な漢の臣です。四夷に対する感情は言わずもがな・・・、それに、劉表は特別有能でも無能でもない。配下に際立ったものは少ない、これでは乱世は生き抜けません。それにこういったものは英傑の餌になる運命が定められているのです。そして、孫堅ですがこちらの理由で不可能です。」

「こちらの理由とは・・・?」

 こちらの理由と言う言葉に興味を持った家茂が堀下げて聞く。

「越国と交戦状態にあります。さらに、南方開拓団が大反対しております。」

「詳細を」

「では、一番ひどい内容のものを読みましょうか?」

「ではそれを・・・」

「大多喜藩藩主松平正質様の書状です。『孫堅は戦場において類稀なる武威をもつも英傑にあらず。その正体は幼き少女(越族の戦士の事)の体を切り刻み悦楽に浸る鬼畜外道である。孫家の軍は勇敢に戦った戦士を野ざらしの恥辱を味合わせ尊厳を踏みにじる武士(もののふ)の道に外れることを平然と行う異常者である(この時代における漢人の異民族に対する通常の対応です)。我々南方開拓団はこのたびの暴挙に対して武器支援ではなく参戦を切望するものである。南方開拓団副団長(外交責任者と兼務)として、先陣を切る用意あり・・・・・・・・・・・以下省略・・・・・・・である。』と言う内容です。他の者の書状も多少言葉尻が弱められていますが似たような内容です。」

 家茂はしばらく考える。歴史通りに流れるなら孫堅はもうすぐ死ぬ。越国や南方開拓団の面々には悪いがここは耐えてもらうしかない。

「ふむ・・・・越の者達や南方開拓団の者達には心苦しいが耐えてもらう。代わりに医療品や武具の提供料を増やす。使者もつけてだ・・・。越国は重要な同盟国だ、最悪の場合は南方開拓団の独断も黙認する、だが大多喜藩主の様な強硬派には伝えるな、穏健派の堀田正睦にだけ伝えておけ。」

「それが妥当なところでしょうか。」

「しかし、孫堅いや孫家か。少々厄介だな・・・・・・封じ込めは出来ないわけではないが・・・・」

「汝南袁家ですか?」

「ああ、梃入れが必要だろう。両袁家と繋がりを持つことは決定だ。華北袁家にはこのたびの便宜に対する礼を、汝南袁家には台湾までの護衛の礼をする形で使者を出そう。礼状は私が書く。良いな」

 

 

 


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