仮題・・・恋姫世界に幕末日本をぶち込んでみた。 作:3番目
回収するか埋没させるかは別として、伏線はかなり張ります。ミスリードもあるかも・・・
偽名を名乗る家茂を乗せた幕府外交団は南皮の港に上陸した。
今回は前回のように献上品を持ってきたわけではないので馬車は少ない。
馬車も外交官用の高級馬車1両と文官用の中型馬車1両・その他物品を乗せる幌付き荷馬車1両の計3両とつつましい編成である。護衛も伝習隊500人等と言う物々しいものではなく、第一御徒歩銃隊から抽出された100人と前回の五分の一と縮小している。
前回と違うのは袁紹側から迎えが来ていることだろう。田豊と言う高級文官を筆頭に50人からなる護衛部隊も使わされている。
家茂が外交団の背後から様子をうかがっている。
「これはどうも、ご丁寧に。」
「こんにちわだにゃ!」
今回の外交団の代表である新見恒興が挨拶をし、それに続いて朶思が頭を下げる。
なぜ朶思がここにるのかと言うと、あの後、急遽扶南国に連絡を取ったのだが、本人たちの要望もあり、朶思を扶南国では貴重な文官として学ばせるために日本へ留学させたのだ。現在は外交官の勉強のために恒興について回っているのだ。
幕府内では当たり前の光景となっているが、袁家の田豊には不思議そうに見られてしまったようだ。
「こちらこそ、よろしくお願いします。そちらは南蛮の方ですか?・・・・徳川様は聡明であらせられますゆえ、時に突飛なこともなされるのでしょうか?」
そんなことを言われつつ、一行は都城へと案内された。
さすがに、門で袁紹たちからの歓待があるわけはなく。普通に都城の客室に案内された。
もう夕方ゆえに、会談などは明日となるだろう。
外交団一行はその日の夜、袁紹から小規模ながら歓迎の宴を催され比較的高待遇を受けた。
そして、一日が終わり翌日。
この日は朝から華北袁家筆頭文官田豊と袁家の二枚看板の一人文官的素養もある武官顔良との交渉だ。
今回の交渉は商取引であった。
「これです。」
恒興が風呂敷から出した黄金の塊、非常にきれいに輝いている。
「これは、黄金ではないんですよね?」
顔良の疑問に答える恒興。
「はい、これは黄鉄鉱と言いまして黄金ではなく鉄です。鉄を黄色く染めたものです。」
田豊が詰め寄る。
「鉄に色を塗っただけで・・・普通の鉄ならもっと汚くなるのに・・・確かに見た目は金そっくりね。でも、金よりはずっと軽い。」
黄鉄鉱をいじる二人に恒興はそろばんをはじいて見せる。
「値段はこのように・・・」
「安いですね。」
「普通の鉄よりわずかに高い程度の値段ね。」
黄鉄鉱に注目する二人に恒興にたたみかける。
「黄鉄鉱は金よりずっと安いです、税制を圧迫する心配はありません。浮いたお金を別の予算に回すこともできますよ?それに、鉄ですので金よりも固く軽いのです。戦場でも戦いやすくなること請け合いです。それにこの見た目、金以上にきれいに輝いているでしょう。これなら派手好きな袁紹様もご納得いただけるかと・・・」
そして、田豊が決断する。
「購入をしましょう。文醜、すぐに鍛冶屋に渡している黄金を回収してきなさい。」
「わかりました。」
田豊は文醜を外に出すと恒興に尋ねた。
「量はどれくらいいだせるの?」
「そちらの言っただけ用意します。」
「分かったわ、後で書面で渡すから、あなた達は部屋で休むなり城下へ繰り出すなりくださってかまいませんよ。横の子がうずうずしてるわよ?」
田豊の言葉を聞いて、自分のすぐ後ろで控えさせていた朶思を目で示す。
「そうですか、ではお言葉に甘えて・・・放、終わったから町で何か食べよう。」
後ろでメモを取っていた朶思に声をかけると両手を広げて喜びを表す。
「鮮!!もう、おなかペコペコだにゃ!!」
「そうだな、どこかいい店はあったかい?・・・・・・顔良殿、田豊殿失礼します。」
仲良く話し、ながら廊下からも見えなくなり、そんな姿を見送った田豊が顔良に話しかける。
「南方の蛮族に物事を教える。蛮族相手に愚かと断ずるか・・・、日本の徳の高さに驚くべきか・・・ねえ、斗詩?」
「わたしは、後者ですね。なんだか、あのふたりとっても楽しそうですよ?」
南皮都城練兵場
「こちらが、今後貴軍の鎧の材料に変わった黄鉄鉱です!!!」
袁紹軍の将兵を相手に黄鉄鉱の良さを宣伝するこの男、後藤象二郎と言う元土佐藩士の商人現在は亀山社中の副社長だ。数年後、南皮を中心に展開する亀山社中大陸支部の支部長に就任する男であった。今回の外交団には黄鉄鉱卸及び加工業務担当として随行していた。
「軽い!」「それに硬い!!」「金より輝いているぞ!!」
袁紹軍の将兵たちが集まってそれぞれに感想を口にする。
「この黄鉄鉱の凄さはこれからですぞ!!そこの見目麗しいお嬢さん!!この金槌で叩いてみてください!!」
「わ、私ですか?」
小柄で黒髪長髪少女の少々オドオドした少女に象二郎が声をかける。
「高覧将軍、これを!」
兵士の一人が少女に金槌を渡す。
「皆さん少し離れてください!高覧殿はこの眼鏡を。」
「はい・・・・・えい!!」
象二郎から借りた眼鏡をかけて高覧が金槌を勢いよく振り下ろし黄鉄鉱の塊にぶち当てる。
パァアン!!
勢い良く火花が飛び散る。
「っきゃ!?」
「な、なんだ!!」「火花だ!火花がでたぞ!!」「これはいったい!?」
象二郎が手を広げ静粛にと促す、静かになったのを見計らい象二郎はそのまま続ける。
「ご覧のようにこの黄鉄鉱!!!衝撃を与えると簡単に火花が出ます!!皆さん、よく考えてください?戦場で相手に打ち付けて火花が出たら!?どうです!!」
一人の将軍が声を上げる。
「そうか!!反撃をするための隙ができる!!」
象二郎は彼を指さしながら演説するかのように大声で話す。
「そう!!それです!!このたび、袁紹軍に卸される鎧や兜は鉄を混ぜて作るため残念ながら純度が落ちて火花は出ません・・・。ですが、将兵の皆さんが自費で作る鎧には制限はないそうですね!!火を噴く鎧!!かっこよくはありませんか!!高純度の黄鉄鉱鎧の鍛えられるのは大陸広し、否!!世界を見てもこの亀山社中の工房しかありません!!自費で鎧や兜の購入をお考えの方は是非亀山社中南皮出張所へ!!!」
象二郎が言い切ると我も我もとその場にいた将や比較的裕福な兵士が詰め寄ってくる。
「買います!!!私!!重装鎧と兜を造ってください!!」
高覧が手持ちの有り金を全て差し出したのを皮切りに他の者達も一斉に声を上げる。
「俺にも鎧を!!」「くそ、手持ちが・・・兜だけでも!!」「俺は鎧と兜だ!!」
重装鎧を購入すると宣言したこの高覧と言う少女は後に華北袁家が誇る最強の防壁の異名を持つ火炎重装兵団を率いる名守将として名を馳せることになる。
黄鉄鉱の性質を知ってこのネタを書きました。
なお、黄鉄鉱で鎧を造れるかは謎です。