仮題・・・恋姫世界に幕末日本をぶち込んでみた。 作:3番目
国際万国博覧会は大成功に終わった。多くの国々が理解を深め、争い事も一時に比べてだいぶ減った。
今、情勢が不穏なのは相変わらず小競り合いの続く、西アジアのダブリーズ(仮)の対ローマ戦線。シナイ半島・アラビア半島を連合軍に制圧されローマ本国と寸断された北アフリカ側のローマ属州が独自に守りを固めはじめ、アクスム王国・メロエ王国の方へ南下をもしくは、東進して連合軍と開戦が予想されている。西アジアと北アフリカが少々雲行き怪しくなっている。幕府は新たに西アジアの戦線へ3000を増派した。
もう一か所、中華大陸、ついに董卓の暴政の噂が流れ始めたのだ。
家茂と美羽の関係の発展に伴い袁術領の徳川日本国属領化が一層加速した。
この、背景を受けて新たに顧問団の人員増派が決定され、新たに政務顧問と医療顧問が派遣されたのである。
一台の馬車が汝南の街門の前に止まる。
大久保や五代と言った顧問団の重鎮らが出迎えに並ぶ。
袁術領側からも雷薄が出迎えに出ていた。
馬車から降りてきた人物に大久保が挨拶する。
「ようこそ、お待ちしておりました。福沢先生、南方先生。」
商業医療教育と多くの知識を持つ知識人福沢諭吉と日本医療界の権威仁友堂病院院長南方仁、それが追加派遣の人員であった。
今後袁術領はさらなる発展が予想された。
そして、とうとう袁紹による檄文が大陸中を駆け回る。
ついに各地の諸侯が反董卓の兵をあげ、虎牢関の前へと集結する。
袁紹を筆頭に、曹操、陶謙、公孫讃(劉備含む)、馬超(馬騰の代理)、韓馥、孔融、劉岱、張楊、孔伷、劉虞、王朗、鮑信、張邈ら約22万が集結していた。
ちなみに、劉備は最後の方に遅れてくる。
22万もの兵が集結していて、軍を進めないのは袁術の到着を待っての事だ。
将の質はともかく、兵の質は上がっているのは少しでも情報を得ている者たちなら知っているはずだ。袁術は孫策の兵を含めて、4万の兵を率いている。これは、反董卓連合参加諸侯の中で発起人袁紹に次ぐ兵力なのだ。
そう言った事情もあり、袁術の到着を待ってから本格的な軍議を始めればよいと考えた諸侯が多くいたことにも頷ける。
袁術軍に同行した組織は袁術軍はもちろん、孫策軍、徳川派遣の顧問団と大所帯であった。
袁術軍の採用する行進曲『姫さん姫さん』の楽曲によって足並みをそろえて進軍する
『姫さん姫さん お馬のま~えにひらひらするのは なにかしら?
それ やっちゃえ やあつっけろ
あ~れは 逆族 討伐せよとの 連合の お旗じゃ 知らぬのか
それ やっちゃえ やあつっけろ(歌詞は改変してるけどこれ以上は乗せない。あぶない)』
これを、中央の輿の上で美羽が歌っているうえに周囲の兵に楽器を持たせ軍楽隊として行進しているのである。
軍勢の動くや陣形変更で銅鑼や太鼓を使うこの時代においても、これほどもまでに歌や演奏を多用する軍勢は袁術軍だけであった。
これを見た多くの諸侯は袁術が軍隊で趣味の音楽に興じていると、内心小馬鹿にしていたが、この評価は開戦後変わることになる。
ちなみに、この時点で袁術軍の強さを理解したのは類稀な才覚を持つ曹操と、未来の知識を持つ北郷一刀を擁する劉備達だけであった。
「孫策の軍勢が頼りと思ってたけど・・・、袁術の軍勢もなかなか・・・やはり、彼らの梃入れかしらね。」
曹操はそう発言し袁術軍の装備にも着目する。袁術軍の前衛を構成するであろう槍隊の保有する槍の長さが3・4間(約6メートル半)もの長さがあるのだ。
敵と距離を置くことで兵たちの恐怖心を減らし逃亡者を減らす目的もあるようだ。
さらに兵たちの腰には見たことがない何かを腰に下げており(打矢)これも袁術軍の新兵器の様だ。
曹操は、袁術軍の後方で目立たぬように追従する軍勢に目をやる。
大久保利通率いる顧問軍の兵300である。こちらも見たこともない武器(銃)を持っている。少数で後方にいる時点で前線に出ることはないだろう。曹操は洋装のスーツで身を固める大久保に視線を向ける。
「あれが、徳川の将かしら・・・無能ではなさそうね。」
曹操は視線を下ろし、軍議の場へと向かった。
議場の天幕の外では
袁術軍来援の報と共に戦場には似つかわしくない明るい音楽と歌声が聞こえてきた。
諸侯らは興味本位で天幕から出てくる。
「あー、さすがは袁家。やることが派手だな・・・あたしもあれくらいやれば・・・」
等と言っているのは公孫讃。
袁術が輿の上で歌って踊っているのをほとんどの諸侯があきれてみている中。
「悔しいですわ!!美羽さんばっかりあんなに目立って!!!今度はわたくしもやりますわよ!!!」
袁紹は大いに悔しがっていた。目立ちたいというこの欲求が、後に野戦場で攻城櫓に乗って登場すると言う暴挙を行うことになる。
「麗羽様、落ち着いてください!!!今度、今度にしましょう!!」
「姫~、軍議すすめようぜ~。あたし早く戦いたいぜ~。」
二枚看板の一枚が袁紹の抑え役として機能してない、抑え役一人、しかも押しが弱い顔良に彼女たちは抑えられるのか?華北袁家は顔良の腕にかかっている。
なお、田豊は南皮で袁紹の貯めこんだ書類仕事によってデスマーチに突入している。