仮題・・・恋姫世界に幕末日本をぶち込んでみた。   作:3番目

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54話 反董卓連合③ 軍議

 美羽の婚約騒動はひとまず置いておき、遅れてきた劉備を交えて軍議を再開する。

 

 袁術達到着前から、もめていた内容である。

 

「さて皆さん。何度も言いますけれど、我々連合軍が効率よく兵を動かすにあたり、たったひとつ、足りないものがありますの。」

 

 沈黙する天幕内で袁紹ただ一人が話し続ける独壇場になっていた。

 

「兵力、軍資金、装備・・・全てにおいて優っている連合軍。ただ一つだけ、足りないものがありますわ。」

 

 口元に手を当てていわゆるお嬢様のポーズで演説する袁紹。

 

「まず第一に、これほど名誉ある軍を率いるには高い格式を誇る家格が必要ですわ。」

 

 そこに水を差す様に美羽が一言

 

「麗羽姉さまがやればよかろう。高い家格なら妾と麗羽姉さまくらいのものじゃろう。じゃが、妾はやりとうない。旦那様に送る歌を綴る時間が削られてしまうのは嫌じゃ。」

 

 キッっと美羽を睨む袁紹。

 

「っひ!?麗羽姉さま!?ごめんなのじゃ!!そ、それに、連合の大将は麗羽姉さまに決まりじゃよ?の、のぅ曹操殿?」

 

 たまたま、近くにいた曹操に助けを求める袁術。しかし、曹操も助けてくれるわけがなく・・・

 

「さぁ、よくわからないわ。」

 

 完全に嫉妬である、先ほどの婚姻云々は少しばかり曹操の心をやさぐれさせてしまったようだ。

 

「先ほどから、甘ったるい言葉ばかり並べてうらやましいですわ~!!」

 と言いながら美羽のこめかみに拳を当ててグリグリしている。

「な、なぁ!?い、いたいのじゃ!?いたいのじゃ!?よしてたも~」

 

 なんと言うか完全にギャクの空気であった。その空気を破る一言が放たれる。

 

「こんなことしてる間に、董卓軍が軍備を整えちゃいますよ!!」

「誰ですの?あなた・・・。」

 自分の行動に水を差された袁紹が不機嫌に自分に意見した相手を見る。

 

「平原の相の劉備です。皆さんは董卓軍と戦うために集まったのに、こんなところで互いの腹の探り合いをしてどうするんです!?もう、総大将は袁紹さんでいいじゃないですか!!」

「あら、新参者のくせに、いいことを言いますわね。いいですわ、わたくしがやってさしあげますわよ。」

 劉備が他の諸侯に言わせたかった事を言ったので機嫌がよくなった袁紹。

「決まりね、袁紹、貴女が総大将になりなさい。」

「我ら孫呉も劉備の提案に異存はない。」

「ふう、いたかったのじゃ・・・妾も構わんのじゃ。」

「特に意義はないな。」

「あたしらも構わないぜ。」

「異議なし」「賛成」「構わないであろう。」「決まりだな。」

 曹操、周瑜、美羽、公孫讃、馬超他の諸侯達も次々と賛意を示した。

 

「ならば決まりですわ。三国一の名家の当主である、このわたくしが、連合軍の総大将になりますわ!」

 

 袁紹の言葉に微妙な表情をする諸侯達・・・

 

「私は陣に戻る。決定事項は後で伝えてくれればいいわ。」

 曹操がそう言って天幕を出たのを皮切りに

「私も自陣に戻らせてもらう。曹操殿同様、通達は後程送ってくれればよい。」

 そう言って周瑜も出ていき他の諸侯達も徐々にそれに追随していく。

 全体的に他の諸侯達も、すでに終わりにしたかったのでほとんどの諸侯が出て行ってしまう。この場に残っているのは徳袁利権に多かれ少なかれ食い込んでいる孔融と陶謙、孔伷と厳白虎、それに美羽、あとは袁紹と付き合いの長い公孫讃が残っているばかりであった。

 

「あーあ、これどうするんだ本初。」

 公孫讃がが袁紹にどうするべきかと決断を促す。

「ふん、わたくしに任せると言った以上、わたくしが指示をしますわ。・・・・・・・取り合えず、劉備さんは先頭ですわ。もちろん、後ろには袁家の軍勢が控えていますから心配はありませんわ。そうですわね、美羽さん、劉備さんの足りない兵糧や兵はそっちで出してあげなさいな。美羽さんの所は最近ずいぶんと羽振りがいいみたいですし。」

 

「なんで妾がそんなことせにゃならんのじゃ!」

 なんで自分達が新参者の面倒を見なければならないんだと反論する美羽。一領主としては当然の発言である。

「張勲殿、ちょっと・・・」

 大久保が素早く耳打ちする。

「あぁ・・・はいはい・・・・・・いいですよー!!劉備さんの面倒はこちらで引き受けますよー。」

 七乃が袁術の言葉を制して袁紹に応じる。

「あら、張勲さん。よろしいのかしら?意外と素直ですわね?」

 美羽も七乃が言うならと納得して事の推移を見守る。

「はい、少しばかり・・・劉備さんの神輿の天の御使いさんに興味がありますので・・・」

 

 それに対して袁紹は不思議そうに応じる。

「天の・・・ああ、あの下々が噂している、天の御使いなどという胡散臭いあれですの?」

「はい、無知な下々が噂するあれですよー。」

 

 袁紹と張勲が、視線を向けると

 

「え、俺?(さっきから一万円の人が気になって、話に集中できない!!)」

 

「そうですわ。先陣は武人にとって誉ですわ、構いませんわね?」

「そーですよー。私たちが兵も兵糧もお貸ししますから、嫌とは言いませんよねー。」

 

「これほどの栄誉ある役目、断るなんて選択肢ありませんよ。」

 袁紹と張勲の会話に、援護射撃する孔融。忘れがちではあるが彼女も徳袁利権に食い込んでいる諸侯の一人なのである。

 

「ご主人さま・・・」

 不安そうに北郷を覗き込む劉備。

「あ、あぁ・・・袁紹さんが言う通り、その条件で俺たちが先陣に立とう。」

 美女に覗き込まれて復活する当たり、この北郷と言う少年も主人公補正である・・・

 

 

「それじゃあ、決まりですねー。劉備さんも貸与の数を決めますから、あとで私たちの陣に来てくださいねー。それじゃあ、袁紹さん?私達も解散と言うことで構いませんか?」

 

「そうですわね。美羽さん、張勲さん、それにほかの皆さんもご苦労様ですわ。軍議は以上をもって解散しますわ。」

 

「はい、わかりました。では美羽様行きましょうねー。あ、顔良さん、あと文醜さんも後が大変だと思いますが頑張ってくださいねー。私たちはこれで・・・」

 張勲が顔良と文醜に話しかけ、二人もそれに応じる。

 

「あはは・・・はい、がんばります。」

「任せとけって、姫の事はあたしたちが一番知ってるからな!」

 

 軍議は閉会し、劉備軍を袁術軍の陣に招くことになった。

 

 

 

 

 

 袁家二枚看板の会話

「ねぇ、文ちゃん。最近、張勲さんて変わったよね。」

「そっかー?」

「そうだよ、なんか最近出来る女って感じになってる。なんか、うらやましいな。」

「そうか?あたいはあんまりわからないけどなー?昔からあんな感じだったような気がするけど?それに、斗詩はあたいにとっては十分出来る女なんだぜ。」

「文ちゃん・・・・」

 

 




北郷君にとって徳川日本国は刺激が強すぎたんや・・・

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