仮題・・・恋姫世界に幕末日本をぶち込んでみた。 作:3番目
美羽と袁術軍の天幕で泣く泣く別れた七乃は袁術軍の軍議用の天幕に諸将たちを集めて策を練っていた。
「では、仲謀殿。孫策さんにはそのようにお伝えください。」
「はい、わかりました。それでは・・・」
孫権が退出するのを見送る七乃。
「良かったのでありますか?孫権殿にこの場にいてもらわなくて?」
紀霊が疑問に七乃は答える。
「孫権さんは確かに信用できます。こちらに寄って来ているのもわかります。ですが、彼女は孫呉の人間、あまり私達で囲い込むと彼女にも立場と言うものがありますからね。いずれ手放さなくてはならない虎達さんであっても、こちらと共存可能な子がいるのなら・・・その子だけでもと思いませんか?」
「は、はぁ・・・・あまり欲をかきすぎて怪我をするようなことにならねば良いのでありますが・・・」
七乃の言葉に半分くらいなら理解したと言った感じで疑問符付きの回答で返す紀霊。
大久保から見て、張勲殿(七乃)は自分が赴任してからずいぶんと変わってしまった。
会ったばかり頃は主を甘やかす凡庸な将と言った感じだった彼女は、我々が持ち込んだ知識や技術を数多く吸収して行き、かつては我々が主導していた軍務・政務は今や彼女が主導している。それが正しい姿なのだが、彼女の秘めた才能には我々も驚嘆せざる負えなかった。
「明命さん、集めてきた情報を・・・」
「はい!」
考えてみたら、この周泰を逃したのは顧問団にとって痛かったやも知れない・・・
彼女の諜報能力は一流で、偵察はもちろん、各種工作活動に暗殺までこなしてしまう。
我が国の忍者達も優秀だが彼女ほどの逸材はいないだろう。
そもそも、彼女は外交団第一陣が雇い入れつい最近まで顧問団と汝南袁家の間を右往左往していたお雇いの草であった。自前の忍者がいるからと気前良くくれてやったのは今となっては惜しいことをしてしまった。
大久保はパイプをふかしながら、そのようなことを考えていた。
「ところで、顧問団の皆さん・・・これを見てどう思います?」
福沢が感心したように顎に手を当てて意見を述べる。
「これは、洛陽の商流ですな・・・。見事に洛陽だけで完結している。」
「では、やはり…董卓の暴政と言うのは?」
大久保の質問に七乃が応じる。
「ないでしょうねー。見事に嵌められてしまったようで、これも乱世の倣いですねー。」
「可哀そうとは思うが、仕方のないことだ。」
洛陽の情勢を確認した七乃達は次の話題へと移る。洛陽の内政状況に関しては別室で福沢と雷薄が話を詰めている。
「あのー、私はどちらにつきましょうかー?」
間延びした声とペロペロキャンディを持った金髪ウェーブの少女(幼女より)が話しかけてきた。
「程昱さんでしたか。そうですね、程昱さんは私達とここに残って劉備さんたちに対する対応を考えましょう。」
彼女は程昱。割と最近この袁術軍に加わった軍師だ。以前は袁術軍のすべてを一人で取り仕切っていた七乃だが、彼女のおかげで七乃の負担も減っているようだ。
「では、張勲殿。どうするので?」
「程昱さん、どう見ます?」
大久保の言葉に七乃が程昱を促す。
「そうですねー。手駒としての孫策さんはいずれ居なくなりますので、劉備さんを手ごまにしようとお考えで?それに、手駒にしなくても天の御使いの名声は高いですから~。それに、大久保殿も天の御使いに興味がおありで・・・」
大久保はパイプの火を消して感心したように視線を向ける。
「何か、気が付いているようだな。」
「まぁ、服装もどことなく似ていますし・・・名前も・・・そちらの関係者かと?」
「北郷一刀、どう見ても日本人ではないですか?少々、不信なものもありますけど?容姿については前もって、明命さんに調べさせましたので。」
七乃が明命に視線をやると、明命は頭を下げてスッと消えた。
忍者以上に忍者している少女である。
そして、七乃と程昱の視線を受けた大久保は
「それはわからんよ。だから、我々もこの目で見てみようと思ってな。」
劉備達にとって重大な選択が示される。面会が始まったのだ。