仮題・・・恋姫世界に幕末日本をぶち込んでみた。 作:3番目
劉備より密かに美羽の下へ董卓の身柄を押さえたと連絡がきた。
今回の真実をある程度知ってしまっている美羽としては董卓らには温情を掛けたい気持ちが強かったようだ。
劉備達に連れられて美羽の前にて頭を下げる董卓と賈駆。
汝南袁家は徳川日本国追従策を執っているため史実と違い今回の反董卓連合の発端から現在まで汝南袁家のかかわりは殆どない。ゆえに華北袁家に変に義理立てするような真似をするわけでなければ、美羽が董卓たちを害する理由はないのだが・・・
「どうか、詠ちゃんだけは・・・」
「月!?そんな!?策を考えたのは私!!裁くなら私を裁きなさいよ!!」
もうすでに当人たちの中では殺される前提で話が進んでいる。
「董卓殿、それに賈駆殿・・・妾はお主たちを害する気はないのじゃよ?」
美羽が珍しくフォロー側に回っている。七乃などは主のちょっとした成長に感動しているようだ。
「ほんとう・・・ですか?」
董卓は弱々しく美羽に尋ねる。賈駆は身を挺してでも董卓を守ると言った感じでこちらを睨むように見てくる。
「主らには従姉がとんでもない事をしてしまったと思うておる。謝って済むことではないと思うておるが・・・すまんかったのぅ。」
「ほ、本当にそう思ってるのなら、なんで助けてくれなかったのよ!!あんたなら袁紹を諫めることが出来たでしょう!!」
賈駆が大声で怒鳴る、その眼には涙が溜まっていた。
「うぅ・・・妾は・・・董卓殿が悪い事をしていないとわかっていたのに・・・」
袁術も泣きそうである。
「詠ちゃん・・・袁術さんだってそれは出来ないことはわかるよね。」
「だ、だけど・・・」
賈駆を制した董卓が美羽の方に向き直る。
「詠ちゃん、わたし、袁術さんを信じたいよ。このまま涼州に戻ったら町の皆や母様と当様←父様 を巻き込んじゃう・・・」
董卓の思いを組んだ賈駆は応じ、以後反対意見は述べなかった。
「・・・月の判断に従うわ。」
董卓は美羽の方を向き直り
「はい、私たちの身柄は袁術さんにお預けします。だから、袁術さんも泣かないで」
美羽の下に近寄り手持ちの布で美羽の涙を拭う。本来なら七乃が駆け寄るところだが、ここはぐっと我慢している。
「妾達を信じてくれて・・・ありがとう・・・なのじゃ。」
「あぁ~ん、もう我慢できません!!お嬢様ー!!自分の意志で物事を決められるようになって、七乃は嬉しゅうございます!!」
「自分は美羽さまの成長に感動しているであります!!」
七乃は辛抱溜まらんと美羽に抱き着き、仕士も涙を流しながら喜んでいた。比較的新参の風や明命はどうすれば良いのか分からず一歩引いていたが、他の古参の臣達も同様に感動していた。
「な、なんなのじゃ!?お主たちは、恥ずかしいではないか!!」
確かに美羽の気持ちも分からんではない。董卓と賈駆がいて、それを連れてきた劉備達もこの場にいるのだから恥ずかしいだろう。
「と、撮るのをやめい!新にはこの写真は送らんでたもー!」
それに、顧問団の中には写真機を抱えた徳川の役人が今もこの姿を絶賛撮影中だ。
ちなみに、この写真と報告書は徳川日本国の家茂の下に届き彼をほっこりさせた。
「ボクと月の真名をあなたに預けるわ。月もいい?嫌なら一緒に逃げよう。」
「ううん・・・平気だよ。私の真名も袁術さん達に預けるよ。」
以後、董卓と賈駆は袁術付きの女中として美羽に使えることになる。ちなみに、董卓は持ち前のお世話スキルの高さから割とすぐに袁術付きの女中の最高位侍従長になるのだが、詳細は割愛とする。後、賈駆は女中兼匿名の軍師として仕え、汝南袁家の影の軍師として名を陰に馳せてた。
一定の安定を取り戻したと判断された洛陽は帝姉妹(霊帝・献帝)の下に返上され、袁紹や曹操と言った連合軍の雄達も帝姉妹から新たな領地を加増されるなどして撤退していった。
群雄割拠の時代は始まったばっかりであったが反董卓連合の戦いが終わり大陸は一時的にではあるが平穏な姿を取り戻した。
また、帝室の様子であるが昨今の情勢に不安から来たと過度の疲労によって霊帝は退位、以後は弘農王として洛陽の離宮にて静養に入るようだ。また、大乱初期の騒動で失踪した少弁帝←少帝弁 の身柄はいまだに見つからず。幼い献帝の身に今後の漢王朝は委ねられ、歴代皇帝としては有能な献帝とはいえ誰が見ても今後の大荒れは予想出来てしまうものであった。
長かった、反董卓連合編は終わります。しばらくは国際編や徳川の内情説明などが続いて、恋姫編に戻ります。