仮題・・・恋姫世界に幕末日本をぶち込んでみた。   作:3番目

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69話 群雄割拠と異民族侵攻

 大陸の群雄割拠の時代がついに動き出す。公孫讃・袁紹・曹操と言った群雄達がついに領土拡大へと動き出したのだ。美羽も南の蘆江と柴桑へ侵攻、長沙・楊州への足掛かりにと動き出したのだ。

 

 英傑達が周辺の弱小諸侯を飲み込み、群雄割拠の時代も序盤の終わり、遂に中盤戦へと移行する。

 

 華北の地では幽州を公孫讃及び公孫度が、袁紹は冀州の大半と并州、そして司州の1郡を手中に収め。

 曹操は兗州と青州4郡・徐州2郡・豫州5郡・冀州4郡・司州2郡と全方位に拡大している。

 曹操の周りは現在司州方面を除けば、親徳川の領主たちに囲まれていたが優勢に事を運んでいた。両袁家において華北袁家は対公孫讃(公孫度含む)に、汝南袁家は南下しており主力とかち合うことがなかったことにより、実質曹操は陶謙・劉備・孔融と戦うだけで済んでいたのである。司州方面は李傕とか言う有象無象であり、同僚の郭汜と内戦中でどうとでもなる状態だ。陶謙は寿命が近いのか病にかかり自分の子供である陶商・陶応姉弟が実権を握っていたが曹操には敵う筈もなくじわじわと削られていき、孔融は戦下手と言うこともあり軍が瞬殺され北海国要塞に引き籠りつつちょっかいを掛けることで、何とか東菜を維持している現状だ。そして劉備であるが汝南汝陰以北の5郡を預かっていたにもかかわらず沛国1郡で押し込められてしまう。劉備も英傑の一人簡単にやられるとは思えないのだがこれには理由もある。徳川からの支援物資が届く前であった事、平原からの引っ越し直後に攻撃を受けた事などが挙げられる。実際、沛国で地盤を固めてからは無敗である。

 劉表・劉焉・馬騰は特に変わりない。

 袁術こと美羽であるが、徳川との婚姻同盟によって多大なる支援を受けているわけで袁術軍の親衛隊古参である仕士率いる袁術軍親衛隊が南下を行い、袁術軍の宿将陳紀率いる主力と孫策軍の混成が揚州制圧に動き出していた。

 また、呉の厳白虎が袁術軍侵攻に呼応して決起し、現地の太守を追い払って袁術軍を迎え入れる支度を始めていた。揚州勅史劉繇と会稽太守王朗は迎え撃ったが連敗中である。

 益州南部と交州では扶南国と越国が侵攻を開始。交州では全土に渡り長年かけて浸透しており名ばかりの交州勅史士燮を討ち倒し越国が交州を掌握するのだった。

 

 交趾では街壁を包囲していた。

 越王黄乱の横には松平正質ら南方統監府の藩主や将が並んでいる。

「大砲隊!!鉄砲隊!!整列しました!!」

 越国の将、潘臨が黄乱らに伝える。越国は徳川日本国より処分品にあたる原始的な後装青銅砲と同じく徳川日本国においては旧式でゴミ同然であった不良在庫の火縄銃が提供されていた。

「では、さっそく攻撃を行いましょう。」

 南方統監府の将が促す。

「黄乱殿・・・」

「うむ、攻撃を開始しろ。」

 松平正質に声を掛けられ指示を出す黄乱。

「わかりました!!大砲隊、撃ち方はじめ!!」

 潘臨が指示を出すと同時に砲撃が始まる。

 まだ命中精度は高くないため目標の城門から外れる弾も多く、外れた弾が櫓や外壁にあたる。櫓は倒れ、外壁が音を立てて崩れる。さらに外れた弾は城壁を乗り越え中の民家に当たり結構な被害を出している。

 城壁の中は混乱していた、崩れた外壁に押しつぶされた者。

 流れ弾で肉塊になった者。

 民衆の被害は僅かであったが、目の前の光景は民衆を混乱させるには充分であった。

 逃げ惑う民衆によって守備側の兵の動きが阻害され指揮系統も混乱していた。

 城門が破られる。

「突入!!討ち取れ!!手柄となせ!!」

 潘臨の号令で多くの越族が交趾の街に侵入していく。

 明らかに略奪をしているが、松平正質ら藩主や将らは特に気にした様子もない。

「お前たち、黄乱殿の狩りに協力して差し上げなさい。」

 正質の言葉を聞いた藩主達が諸藩兵に攻撃参加を指示する。

 つまるところ目撃者を全て殺すと言うことだ。元々他の州に比べて漢人が少ないこの地域で四方の門がすべて封鎖されれば逃げ道などないのだ。

 彼らは越軍の本隊に同行して制圧中の都城の中に入る。中では越族と各藩の兵士が交州と戦っている。そんな様子を見ながら横にいた伊予松山藩藩主松平勝成が話しかける。

「正質殿、越族に武器を流したのはよろしかったので?」

「越族は我々に尽くしてくれたし、今後は我々の利権も守ってくれるでしょう。当然です・・・上様のご理解もいただけるでしょう。それに漢民族は履いて捨てるほどいるでしょう?ここで多少間引いておかねば・・・。」

「なるほど、北の袁公路殿とも領地を接した方が何かと便利というのもあるのであろう?」

「そういうことです。」

「ところで、黄乱殿は?」

「あぁ、彼女なら今頃私が差し上げた短筒で士燮とか言うこの地の首魁を撃ち抜いている頃でしょう。おや、もう討ち取ったようですね。」

 正質が指さす方を見ると士燮首を持って意気揚々と戻ってくる黄乱の姿があった。

 


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