仮題・・・恋姫世界に幕末日本をぶち込んでみた。   作:3番目

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再編集完了更新再開。
今回のは再編前と内容変わらないんですけどね。
更新ペースは遅めでやっていきます。


74話 揚州大戦④ 大久保卿死して騒乱始まる

呉へ向かう道中建業にさしかかる、大久保利通の2頭立ての馬車。

馬車の中には腰に刀を差した徳川幕府の文官士族と護衛の薩摩藩士・幕府兵数名が付いていた。

大久保はふと窓を覗き込む。

あれは、孫呉の兵・・・検問を張っているのか?

大久保は馬車の小窓を開き御者台に乗る中村太郎と言う従者に話しかける。

「中村君、何があったのだね。」

「よくわかりません。いま、戸田様が状況の確認に行かれております。」

大久保が奥の方を見ると薩摩藩士の戸田とその部下が孫呉の将に話しかけている。

多少もめている様だ。大声が聞こえている。

孫呉の将は・・・たしか、太史慈とか言ったか。話が纏まらないのか、ずいぶんと待たせる。

馬車の中にいた徳川の文官士族が馬車を下りる。

「なんぞ、汝南袁家の陪臣如きに、ここまで手間取らされねばならぬ!」

「まったくだ!大久保卿がお待ちなのだぞ!」

文官士族が馬車の横で憤慨している。

大久保はまた小窓を開けて中村の肩越しに様子をうかがう。

 

「ぎゃああ!!」

太史慈と話していた戸田がいきなり一刀両断に切り殺され、これに続いて孫呉の兵が薩摩藩士や幕府兵を切り殺す。

それを見た文官士族が刀を抜く。

「き、貴様ら!!徳川日本国の者に手を出してただで済むと思うてか!!」

「く、来るな!!ぐわぁ!?」

太史慈が跳躍して馬車の横の文官士族を切り殺し、剣を返してもう一人に突き刺す。

「ぐふっ!?」

 

中村が馬車を動かそうと手綱を動かそうとしたが孫後の兵が投げた槍が刺さりそのまま地面に落ちた。

 

馬車の扉がこじ開けられ大久保が引きずりおろされる。

「無礼者!!このようなことをしてどうなるか分かっているのか!!ぐっ!?」

「さぁ、わっかんないなー」

大久保は一喝をするも孫呉の正統派な武官には大久保を殺害することのデメリットが全く理解できていなかった。これを行ったのが多少なれど政治外交に強ければ殺害などせずに捕えていただろうが、彼女は迷うことなく大久保にその剣を突き刺した。

 

大久保利通死す。

孫呉の乱、またの名を揚州動乱は大久保卿暗殺から始まった。

 

大久保利通暗殺のすぐあと

 

袁術軍東進軍(主力第一集団)は崩壊の危機と言うより崩壊中であった。

「陳紀将軍!!敵がすぐそこまで!!」

「おのれ!!孫策!!裏切ったか!!」

呉の街では孫策に内応した地元民が街門を開け放つ。

そこから、程普・黄蓋の兵がなだれ込む。

揚州は元来孫家の影響力が強い地域、特に江東の地はその中でも孫家の影響力が強い地域であった。結果、孫家の一声で呉に駐留する袁術軍に江東の民が牙をむいたのだ。

「ええぃ!!おのれ!!兵を終結させろ!!」

都城の城壁から周りを見渡す袁術軍の老将陳紀は袁術軍の兵命じる。

「ダメです!!敵の侵入が早すぎて各個撃破されております!!」

「なんじゃと!!街に火を放て!!それくらいなら?!?ぐぉお!?」

陳紀の心臓に矢が刺さり、城壁から落ちる。

孫呉の宿将である黄蓋の矢が当たったのだ。

全軍を指揮していた陳紀が死亡し、主だった将は討たれ生き残った兵も捕縛されるか討ち取られてしまい呉の街は陥落した。

 

会稽に進軍していた厳白虎軍は呉を制圧した孫策軍と王朗の軍に挟み撃ちにされ大損害を受け、近隣の森に逃げ込み以降は森の中を移動して逃げ続けている。

 

 

 

 

そして蘆陵に侵攻していた紀霊(仕士)率いる南進軍(主力第二集団)であったがこちらも背後から孫策軍と王朗の軍、正面から蘆陵の都督の軍勢によって包囲されていた。

包囲を受けていた紀霊の陣では軍議が開かれた。

仕士をはじめとする袁術軍の親衛将達と劉備軍の将、追加派遣されていた恋と音々が軍議を重ねていた。

 

紀霊・楽就・陳蘭・雷薄・程昱と言った袁術軍の主だった将や呂布に陳宮・高順、劉備軍からも劉備や北郷はもちろん、諸葛亮と龐統、関羽に張飛と趙雲、黄忠・麋竺・麋芳・孫乾と言った客将達も集まっての会議となっていた。

と言っても話を進めているのは風・音々・諸葛亮・龐統の軍師達で途中途中で話を纏めるのが仕士で、他の武官は時折意見を言う程度である。

 

「軍師方、どのような案がありますか?」

仕士の言葉にまず最初に音々が答える。

「侵攻を取りやめ即時撤退するべきなのです!!音々達が襲撃を受けていると言うことは美羽殿の本営が襲われているのは必定!!一刻を争うのです!!蘆陵の太守は弱腰なうえ孫策にも同調しているようには思えんのです!!追撃は有り得んのです!!」

「確かに、蘆陵太守と孫策軍の連携は雑があります。恐らく、蘆陵は孫策の決起には無関係だったのかと・・・」

即時撤退を提言する音々々とそれに同調する雷薄。

「その意見には反対です。蘆陵は捨て置くには危険です。それに東より王朗軍も接近しております。彼らが加わったらこちらは三方より包囲されてしまいます。」

「ですので、このまま蘆陵を制圧し安全を確保する事を提案します。」

諸葛亮と龐統が蘆陵を制圧することを薦める。

「うむ、蘆陵を制圧して王朗と孫策の軍を引き付けるのも手だな。恐らく、我々が現状袁術軍の最大戦力だ。引き付けられる兵も多いはず。」

「そうだ、我々がここで抵抗を続ければ!!袁術様の本営が体制を整えることが出来るはずだ!!」

趙雲と楽就が蘆陵制圧派だ。

 

「困ったのであります。蘆陵を落とさねば後方に危険が残り、落としていれば時間がない・・・どうすれば、どうすれば良いのでありますか!?風殿、何か策は!?」

仕士は頭を抱えて自軍の軍師である風に尋ねる。

 

「袁術軍の最大戦力は私達です。いくら親衛隊とは言え孫策軍の本隊に襲われればひとたまりもありません。美羽様の下に馳せ参じるのは絶対です。私ならば折衷案としますね~。」

「その折衷案とはなんでありますか?」

 

「劉備さん達に蘆陵を速やかに占領してもらい、返す刃で王朗軍を撃破、出来なくても籠城して王朗軍を引き付けてくれれば構わないのですよ。私達が本隊を率いて本営の救援に向かうので~。」

風の言葉に関羽が眉を顰める。劉備軍は沛から追い出された敗残兵の寄せ集め、付き従うのは義勇軍時代からの精鋭ではあるが2つの軍と立て続けに戦うのは酷な話だと思ったからだ。

「劉備さんの軍が大変なのは蘆陵制圧までですよ。蘆陵と交州を繋げてしまえばこっちのものです。繋げてしまえば交州の越軍や徳川の兵の助力が受けられるはずです。向こうからかなかったとしても、国境沿いに兵を集中させているはずです。使者を出せば必ず助力を得られます。むしろ大変なのは私達の方ですよ。南下してくる敵の討伐隊は大規模、これを突破しても寝返った豪族たちを相手にしながら孫呉の古参臣達とも戦い、最後には孫策さんと戦って勝たたなければならないのですから・・・正直言ってこの戦いは恋さんにかかっていると言っても過言ではないのです・・・恋さん、宜しくお願いしますなのですよー。」

「・・・・・・・(コクリ)」

 

恋に続いて決意を固くする諸将たち・・・

「ここは一つ、気合を入れていこう!!」

空気が重苦しくなったのを察した一刀が手近な剣を手に取り掲げる。

この場の空気を変えようとした行動だ。イケメンである。

そこにいた諸将たちも各々の武器を掲げて応じる。

 

「「「「「「「「「「「「「「「「「「「応!!」」」」」」」」」」」」」」」」」」

 

 

だが、決意を固めた諸将たちの出鼻を挫く知らせが舞い込むのであった。

 

 

 

 

 

 

寿春の領事館でも、てんてこ舞いであった。

江夏より南陽や汝南へ向けて劉表軍が兵を仕向けたのだ。

この予想外の動きと主力を派兵していたことから南陽と汝南では守備隊が奮戦したものの陥落。劉表の軍がこの寿春にも迫ってきていると知らせが入ってきた。

寿春の放棄が決まり、蘆江への退去の支度が慌しく始まっていた。

「重要書類は持ち出せるだけ持ち出せ!それ以外は燃やしても構いません!」

五代は忙しく指示を飛ばす。

「無線機はいかがいたしましょう?持ち出しは可能ですが、設備が整っていない向こうでは使えませんよ?」

「荷物になりますか・・・。もったいないが仕方がない壊してください。とにかく急いで!」

 

 

 

 

 

 


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