仮題・・・恋姫世界に幕末日本をぶち込んでみた。   作:3番目

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題名の袁は袁術です。袁紹は関係ありません


91話 曹袁妥協

 

 

 

浄化が完了した北揚州呉に徳川家茂と袁公路が入城する。

鼓笛兵や旗手が軍楽を奏でながら行進する袁術軍・徳川大日本帝国軍・琉球王国(最初から参戦)・越国軍・扶南国軍・室利仏逝王国軍(鄱陽決戦中参戦)・大朝鮮国軍(中部残党狩りから参戦)・サータバーハナ朝軍・パルティア王国軍(北揚州鎮圧後治安維持派兵)。

最終的には9か国(袁術軍も国家と仮定)が参戦する戦いとなった。また、袁紹軍からは物資支援が、挹婁族からは義勇兵が送られていた。

 

堂々と入城する連合軍を見る揚州民の数は少ない。大飢饉と大疫病で死んだ数があまりにも多すぎたのだ。呉を含む北揚州の都市や村落の人口はだいたい半分は減っている。

人々には活気も元気もなく、死んだ魚のような眼をしている。また、疫病こそ治まったが飢饉の影響は未だに残っており、連合軍の食糧援助も始まったばかりで日々餓死者が出ている。このまま行けば希望はほぼない。

 

孫尚香を党首に据え、実権を孫静が握る傀儡孫家は建業を首都に丹陽一郡を安堵された。

これは単純に准南まで勢力圏を伸ばした曹操軍に対する壁役として価値を見出されたからでもある。また、この隣の呉郡の太守に孫権(蓮華)が任じられており、建前では袁公路の危機を救い忠誠を誓った事への報いとされ袁公路の気使いであった。また、孫権には傀儡孫家の目付役の役割も担わされた。孫権の立場はかなり微妙であったが最終的には忠臣として遇する方向で纏まったようだ。

 

 

 

 

汝南袁家はこの時期は揚州袁家と呼ばれている。

揚州及び柴桑を完全に制圧した揚州袁家は戦後復興に全力を傾ける。

同盟国からの援助を受け飢饉の傷跡を回復させる。また、労働力の問題に関してはその対策の一つに徳川日本国からの植民を受け入れ、もう一つは・・・

 

 

 

 

「では、豫洲旧袁家領・豫洲蘆江旧袁家領へ進軍した際は旧領民の扇動し劉表を攻撃させましょう。代わりに・・・」

「えぇ、旧袁家領の領民の希望者はすべて揚州袁家に引き渡すわ。で、北海国や陶家の事はは・・・」

「おいおい・・・ですね。」

「そうね・・・おいおい・・・にね。」

「「フフフフフフ」」

 

洛陽で漢王朝を丞相として預かる曹操らと揚州袁家外交団としての宰相兼大将軍位にいる七乃らの間で秘密条約が結ばれた。彼女達に同席している荀彧と郭嘉は二人とも済まして座っている。七乃と同席している袁家の文官達も冷めた目で応じている。

拡大傾向にある曹操軍は汝南袁家が台湾に亡命政権を立てた頃にすでに劉表と小競り合いが始まり開戦しているのだから劉表の土地を奪って後からしゃしゃり出られるのは気に入らないし、曹操の治世でも民は納得させられるはず。揚州袁家は取り返すつもりでいた土地を先に奪われるのが気に入らない、旧領民は袁家の復権を望んでいる。互いに内心では含むところがある。

しかし、曹操軍は袁紹に対する警戒に涼州及び西域で激化する鮮卑族への対抗、雍州の完全制圧などで兵を動かしている。揚州袁家は、孫伯符家との戦いとそれに付随する出来事で疲弊していた為に軍事より内政に注力したい。揚州袁家頼りの徳川大日本帝国は海外の情勢変化で揚州袁家の補完は出来ても、戦いを主導する余裕がない。もう一つの有力同盟国越国も新領土の統治でこれ以上の余力はないし、他の同盟国もそれぞれの理由で大陸にかまうつもりはない。

だが、揚州袁家は労働力対策としては、つまり秘密約定による旧領民の移住政策によって労働力を補填しようと言うのだ。ちなみに曹操領は飢饉の影響はなく、むしろ黄巾の乱以後から続く無職者の問題があったためこれらの土地にそう言った無職者を住まわせて問題の解決を図りたいと思った結果の約定であった。

そう言った理由でお互いに妥協するしかなかった。

 

この約定が結ばれてしばらくすると曹操軍が劉表領豫洲及び蘆江へ進軍したのであった。

曹操軍は劉表領へ侵攻した。劉表領豫洲及び蘆江では揚州袁家の援助による同地領民の協力によって曹操軍は劉表領豫洲及び蘆江を制圧した。しかし、その後の講和会議が決裂し劉表は徹底抗戦を決定し、曹操軍は長江を跨いで司隷・豫洲側の荊州へ攻め込んだのだ。

黄祖などの少なくない将を失った劉表軍であったが蔡瑁や文聘に蒯越と言った有力な将はおり、曹操に対抗することが出来た。漢王朝を擁する曹操と言う敵と戦うことになった劉表軍は漢王朝に仲裁を求めながらも戦い続けるのだった。また、劉表にとってすれ違いが起きていた自分の娘達の劉琦と劉琮が共同し、関係の改善が見られたことは劉表にとって数少ない良い事だった。

 


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