仮題・・・恋姫世界に幕末日本をぶち込んでみた。   作:3番目

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92話 大晩餐会① 豪華客船太平丸

 

揚州袁家は旧領民と徳川日本国の入植民を受け入れ、さらに南方三国人街を造ったりして労働力の増加を促進し復興に向けて歩みだした。

華北袁家は劣勢化する対鮮卑宣戦であったが、対鮮卑戦に対し徳川大日本帝国北方統監府と遼東総督府が周辺同盟国へ援軍を派遣したことで安定を取り戻した。ちなみに公孫讃をついに捕縛することに成功し、公孫讃の残党は遂に降伏した。公孫讃は現在南皮にある離宮に蟄居させられ処遇は未定である。

劉備軍は劉璋の勢力を残党含め益州から完全に駆逐し、益州を安定統治させる。さらに劉備軍は漢中や荊州にも進出しようとしている。

北海国は防壁によって侵されることはない。

徳川の親密国の多くが一時の平和を偶然にも謳歌したこの時期。

 

徳川家茂と袁公路夫婦の連名で、友好勢力元首達を招き大規模な晩餐会を開催した。名目としては揚州袁家と徳川日本国でしかやっていない結婚披露宴を国際規模での結婚披露宴として主催も主賓も同じ人物の晩餐会であった。

会場は徳川大日本帝国の一流建築家や美術工芸家が総力を挙げて建設した徳川大日本帝国における唯一のネオ・バロック様式の西洋風宮殿建築、赤坂迎賓館であった。

距離や情勢の関係で自身の身内や外務大臣を代理人に立てた者達いたが、同盟国でも特に有力な国、揚州袁家・華北袁家・サータバーハナ朝・パルティア王国や南方三国と言った者達は特に丁重に扱われた。

 

美羽も主催と言うことになっていたが大陸の揚州にいるわけで、主催するためにも徳川大日本帝国へ渡る必要があるわけだ。そう言った経緯もあって美羽は書面上は主催者扱いだが、用意は殆ど徳川大日本帝国が行うため実質的には美羽も主賓の様なものだ。

 

という訳で、美羽達は揚州の采配を風や蓮華達に任せ、宰相兼大将軍の七乃と月と詠率いる女官団、恋と華雄を隊長に据えた護衛部隊を伴って徳川が用意した豪華客船太平丸に乗り込み日本を目指した。

客船の中にはすでに西アジア・南アジア・東南アジア各国の国賓達がすでに乗り込んでおり、彼等には特等客室や1等客室(客室自体は3等まである。)が割り振られていた。

 

全長250mもあり最新鋭戦艦の富士級の約2倍である。

シャンデリアが吊るされたメインのグランドメゾンレストランを中心にダイニングレストランとカフェルームにバールームが2つづつ、アメニティ施設としてプールにテニスコート、小規模なゴルフ場、大浴場やサウナ、フィットネスルーム、理美容サロン、遊技場、カジノ、会議室、図書室が整備されている。人員としても楽団や医師、各種商人が乗船し各方面に対応できるようになっていた。

この船を建造し運航している安田財閥の総力を結集した豪華客船であった。

同盟各国の人間達に言わせてみれば島のように巨大な船であり見る物を驚愕させた。

 

「御台様におかれましてはお機嫌麗しゅうございます。」

「うむ、出迎えご苦労なのじゃ。」

安田財閥総裁安田善次郎の出迎えを受ける美羽達。

「上様より船内での御台様の主催としての職務の補佐をするように仰せつかっております。」

「よろしく頼むのじゃ。妾としてもこの様な経験はなくてな・・・何をすればよいのやら・・・」

美羽の疑問を聞いた安田は落ち着いた様子で答える。

「御台様のお仕事は然程難しいものではございません。他の賓客達と話して交友を広げていただければよいかと存じます。」

「なんと、その様なことで良いのか?それなら、妾にも出来そうじゃ。」

「そもそも晩餐会はある種の社交界ですので・・・変に羽目を外したり、醜態をさらさなければ。皆様方なら問題はないでしょう。」

 

さすがは名家袁家の姫、普段の様なお子様っぷりは一切見せず上流階級の人間として各国の王侯貴族らに積極的に声を掛け交友を深めた。

 

 

「・・・・・・・・・・・・なんだこれ。」

「すごーい!ご主人様!あっちには大浴場があるんだって、一緒に行ってみようよ!」

「お待ちください!桃香様!勝手に動かれてははぐれてしまいます!」

「すごい、酒の量ですな。これだけの酒を見せられると昼間ではありますが飲みたくなってしまいますな。」

「あわわわわわ。」

唖然とする北郷一刀とお上りさん丸出し状態の劉備とそれを諫めようとする関羽、視線がすでにバールームの大量の酒瓶に向いている趙雲、一刀同様に声が出ない龐統。劉備軍からの参加者はモブ随行員を除いて北郷一刀、劉備、関羽、趙雲、龐統の5人だ。

 

「ん?その方らは劉備殿と御使い殿じゃな?」

「あ、ああ。」

「袁術ちゃん、久しぶりだね!最後に会ったのは寿春だから・・・」

「うむ、妾が孫策と争う前じゃな。あの時は蘆陵で妾の部下たちが世話になったのじゃ。例を言わせてもらうぞよ。あの時の礼も兼ねたものだと思って楽しんでほしいのじゃ。」

「うん、ありがとう袁術ちゃん。」

 

劉備達は袁術達の一団に話しかけられ挨拶をした。少し離れたところから

「御台様、さすがに御座います。見事な挨拶にございました。」

「うはは!もっと褒めてたも~。そして、新に妾がきちんと務めを果たしていることを伝えてたもれ」

「家茂さんに褒めてもらいたくって一生懸命になるお嬢様、健気可愛いですぅ」

 

と声が聞こえた。そこらへんはいつも通りなんだなと一刀はなんだか安心した。

 

賓客達は最初の内こそ戸惑っていたものの、しばらくすればこの贅の限りを尽くした客船を堪能し、船内では江戸湾の竹芝ふ頭に着くまで連日連夜狂宴が繰り広げられた。

 

 

 

 

 


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