仮題・・・恋姫世界に幕末日本をぶち込んでみた。   作:3番目

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92話 大晩餐会② 徳川大日本帝国観光

 

時間は彼は誰時、竹芝ふ頭に降り立った世界各地の王侯貴族達は江戸の町の姿に驚きを隠すことが出来なかった。未来の日本を知る北郷一刀も驚愕であった。

 

ふ頭を中心に港湾部には煉瓦造りとなまこ壁の倉庫群が立ち並び、江戸に集中していた工場群が横浜・川崎にも多く進出し港湾部は鉄鋼・機械・化学などの重化学工業の工場施設が立ち並び江浜工業地帯を形成し、さらにそれは房総半島沿岸にまで広がりを見せ江総工業地帯として発展を見せていた。

港湾部の奥側の市街地は擬洋風建築の建物を中心にゴシック建築・ルネサンス建築・バロック建築・新古典主義建築の建物が乱立し、それに押されないくらいに武家屋敷や陣屋、数寄屋に町屋が立ち並び、寺院造りや書院造りの寺社もあり、有力官庁の建物は和洋折衷の帝冠洋式風の建築物、凌雲閣や仁丹塔の様な高層建築物も複数見られ、目の前には看板建築の商店街が広がっていた。驚くべきは大江戸電波塔と言う巨大建造物やなぜか存在する凱旋門、明らかにサグラダ・ファミリアを意識した桜田御仏堂と言う名の建造物。町の各所に建ち張り巡らされている鉄塔と送電線は他国民から見れば不思議な光景だ。工場群から立ち昇る黒煙、三越・大丸・高島屋・松坂屋・白木屋と言った巨大百貨店を抱える商業街からは喧騒が、浅草ルナパークや浅草花やしき、帝国劇場、歌舞伎座、吉原遊郭と言った遊興街が軒を連ねガス燈や電灯の輝きが街々を照らす、眠らない都江戸がその姿を現したのだ。

 

幕府の役人達が外交用の高級馬車に案内し、それに乗り込む賓客達。

国賓である王侯貴族や随行員の中の大臣や高級将校階級の者達には帝国ホテルや築地ホテル館に京品ホテル(旧小林旅館)、朝陽館本家、旅館龍名館本店へ案内され、御傍付き女官と護衛を除く随行員(役人階級)たちには品川宿の旅籠屋(旅籠屋を名乗っているがこの時期にはペンションの様な洋風の小型宿泊施設も多くあった)を提供した。御傍付き女官などは当該宿泊地の宴会場や会議場を利用した仮設の宿泊所を設けた。

宿泊施設に到着した者達は荷物を置き随行員に予定を確認させた。日が昇った頃には宿泊施設でそのまま惰眠をむさぼったり無為に過ごす者達も少数いたが多くの賓客達は三越・大丸・高島屋・松坂屋・白木屋と言った百貨店でドレス(百貨店側が国賓達の購入を見越して大量に完成品を用意した。)の購入し、寸法の調整時間を利用して買い物を楽しむ者、浅草ルナパークや浅草花やしきにあらかわ官営遊園で遊びまわる者、他にも歌舞伎座に浅草日本館などを中心とした劇場や音楽堂に大江戸国立博物館、帝国博物館、大江戸グラン・パレ(美術館)に個人の蒐集家が蒐集物を展示した展示館などの博物美術館を見学し文化に触れる者達と各々思い思いに過ごした。

家茂の趣味も高じて、江戸領内では砂糖菓子や餡子菓子が菓子店で手ごろな価格で売られ庶民達がそれを日常的に口にした。肉や魚も簡単に手に入り、町中からはそう言った香りが広がっていた。

そう言った中で招待客たちは徳川大日本帝国の庶民達が自国の貴族並みの生活を送っていることに驚き、徳川大日本帝国の絶大な国力を垣間見た。

 

そう言った国賓達の集団の一つである大陸&半島組は袁術・袁紹・劉備・孔融・金膺兎(大朝鮮国)・傉雞(挹婁族)の集団があった。

 

帝国劇場で歌劇を奏楽堂で演奏会を見た後で、大江戸国立博物館、帝国博物館、大江戸グラン・パレを見て回った。

国立博物館は日本の絵画、書跡、染織、彫刻、漆工、金工、刀剣、陶磁、歴史資料と言った美術品や考古遺物が展示されていた。

 

「うむ、妾の旦那様の国の文化は一流じゃな。」

「えぇ、漢のそれを超えるものがありますわ。」

 

袁術や袁紹達は徳川の財宝を見て圧巻であった。

次に見た大江戸グラン・パレの美術品にも同様であった。

 

そして、帝国博物館。古今東西の美術品や書籍など約800万点が収蔵されている。収蔵品は美術品や書籍のほかに、考古学的な遺物・標本・硬貨やオルゴールなどの工芸品、世界各地の民族誌資料など多岐に渡る。

同盟国の物もあったが、その中には西アジアや南アジアと言ったローマからの略奪品も数多くあった。

「これはアナトリア地方にかつて存在したトロイア朝プリアモス期およびリディア朝クロイソス期の財宝です。アナトリア地方は永らく野蛮なローマ帝国によって支配されており、徳川大日本帝国及びパルティア王国、サータバーハナ朝、クシャーナ朝を中心とする連合軍が同地を庇護下に置くまではローマ帝国の蛮行による危機にさらされておりましたが、現在は連合国によって分配され各国の博物館や保管施設に保護されております。」

「なるほど、西方にはこう言った文明があったのですね。興味深いです。」

博物館員の解説を聞いてうんうんと頷く孔融。

「はい、こう言った遺失文明の遺構の保護は大切なことなのです。」

「ふむふむ。勉強になりますね。」

「これなどは約3000年近く昔のメソポタミア文明の古代都市ウルの遺跡から出土した工芸品でしてとても貴重な品なのです。前後左右それぞれの面にラピスラズリ、赤色石灰岩、貝殻などを瀝青で固着したモザイクが施されていましてそれぞれ戦争の面・平和の面と言った形で描かれています。」

「あら、私達もそれっぽい物を作ったほうがいいのかしら?斗詩さん?猪々子さん?真直さん?」

「記念碑みたいなのですか?どうでしょう?」

「あたいはいいと思うな!なんでもいいからでっかいの作ろうぜ!」

「ダメですよ。今は鮮卑や曹操に対抗するための予算が取られていますから。」

三人の返事を聞いて袁紹は不満を口にする。

「斗詩さんも猪々子さんも賛成ですのに・・・少しぐらいなら真直さんが予算をやりくりして何とかなりませんの?」

「ああ言ったものはやりくりした程度でどうにかなるほど安くはありませんよ。どうしてもと言うなら徳川様にお願いしてみては?」

「どうして、そこで家茂さんが出てくるのかしら?」

「え?麗羽さまはご存じなかったのですか?徳川様が美羽様に領民保護成功祝いに自由の美羽様像を建造して送るそうですよ?ですよね?」

 

「はい~そうなんですよ~。家茂さんは美羽様に骨の髄までベタ惚れですからね~。」

田豊が振り向くと顔を少し赤らめて下を向く美羽と、美羽の代わりに受け答えをした七乃が笑顔で答えた。

さらにその後方では思いっきり噴き出す北郷一刀が劉備達に心配されていた。

 

 

 


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