東方氷娘記 番外   作:亜莉守

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※Fate/Stay nightとのクロスオーバーです。


某守護者編 3

 

今日は三日に一度の見舞いの日だ。

 

「こんにちはー」

「また君かね」

 

お兄さんは呆れたような顔をする。最初よりは表情が出るようになったなぁ。

 

「どうも、まただけど?」

「そうかね」

 

そんなやり取りをしていると、ひょこっと魔理沙が顔を出してきた。

 

「はぁー、明乃が本当に男拾ってるとは」

「そこ! 言い方が怪しいから!!」

 

お兄さんが呆れたように肩をすくめた。

 

「彼女とはそういった関係ではないのだがね?」

「そうだよ。ただ単に拾っただけだよ?」

 

それ以上でもそれ以下でもないのにと言ったら魔理沙が呆れたような顔をした。

 

「明乃、人間はそんなホイホイ拾っていいもんじゃないんだぜ?」

「拾われてなかったら僕、死んでたけど」

「あ」

 

僕、チルノに拾われてなかったらあのままのたれ死んでたんだろうなぁ。

そこに誰かが入ってきた。お盆を持ったてゐだ。

 

「お茶入ったわよ」

「てゐ、ありがとう」

 

お茶をみんなに配る。すると魔理沙が嬉しそうな顔をした。

 

「お、茶柱立ってるぜ」

「おや、私のもだ」

 

あ、ちょっとだけ口元が緩んでる。

 

「良かったじゃない。じゃあ失礼するわね」

 

 

―― 少女見舞中。

 

 

別の日、僕はひとりで見舞いに来ていた。障子が開いて誰かが入ってきた。

 

「外から人が来たって話を聞いて見に来たのだけど」

「あれ? 紫、今まで来なかったのに?」

 

僕は紫の方に向き直った。お兄さんは特に口を挟むこともない。

 

「私は暇じゃないの、それにしても守護者が生きて落ちてくるなんて稀有よ」

「しゅごしゃ?」

 

えっと、守るって意味の守護に者って意味で?

 

「あら、知らずに助けたの? 明乃らしいわね。守護者っていうのはね」

 

紫が説明してくれた。守護者というのは『滅亡回避の祈り』の権化であるアラヤ識と契約を結んだ者や知名度の低い英霊の総称だそうだ。アラヤ識とは守護者を使役して人類滅亡を阻止する緊急措置ならしい。

 

「人類滅亡ってそんな簡単に起こるの?」

 

そこまでの大事ってめったに起こらない気がするけど。

 

「まあ、どんな些細なことでも人類滅亡に繋がるってことはあるのじゃないかしら。アラヤ識の場合やり方は抹殺っていうのは少しいただけないのだけど」

「抹殺って……」

 

そこまでしないと人類滅亡って防げないのか。真面目に考えていると、背後でボスッと誰かが布団に倒れる音がした。

 

「お兄さん?!」

 

僕は驚いて彼を揺すろうとして、肩に触れた。その途端、ぐいっと引きこまれるような錯覚を覚えた。

 

「明乃?!」

 

紫の声が聞こえた気がしたけど、それすらも気にならない。別の誰かが僕を『呼んだ』気がした。

 

 

―― 少女落下中。

 

 

ごぼりとまるで水の中に放り込まれたような感覚がした。思わず目を閉じるけど、それ以上に気になる落ちるような感覚に目を開いてみた。僕はどこまでも落ちていた。水のような感覚は抜けないけど、息苦しいなんてことはない。周囲には剣のような模様と光る箱のようなものがある。

 

「これって……」

 

一つの箱に触れてみた。閃光のように箱が輝き、視界が赤へと染まる。

 

 

――――― 始まりは赤、赤、赤 オレは焼けた街を歩いていた。

 

始まる一人語り、これはあの人の記憶だ。

養父のこと、近所の姉代わりの人のこと、一つ一つが穏やかな夢のようだ。

でも、夢は醒めるもの。養父の死、受け継いだ夢、広い家の中で一人、暮らしていく。

それから魔術の師に出会う。それに優しい後輩、騒がしい日常が生まれた。

そして、運命の高校二年生の冬、遅くまで残った、青い服を着た赤槍をもった男と誰かが戦っている。

その戦いを見てしまった。槍に心臓を貫かれた。魔術の師が生き返させる。戦争に偶然とはいえ巻き込まれた。戦場を駆け抜ける。

戦争は終わった。大切なものをたくさん失った。だからこそ前に進もうと焦る。

魔術の師であった彼女との決別、破滅の運命は加速する。

せめて死後人類滅亡を止められるのならと世界と契約した。

最期、信じていた人たちに処刑されて死んだ。

 

 

声は続ける。

 

『酷いものだろう? これが君が助けた愚か者の人生だ』

「そんなことはないさ、まだ終わってないじゃないか」

 

僕はまだ落ち続ける。他の箱に触れてみた。

 

 

世界に呼び出されて、人を殺していく、ああ5人、また10人、今度は50人、さらに100人、1000人……数えることさえ止めた。それでもまだ殺戮は続く、こんなことのために自分は世界と契約を結んだのか、どうしてどうしてどうして、心の叫びは僕の心にも痛いほど響く。

 

『泣きそうだぞ。もう見なくていいじゃないか!』

「ううん、君の方がもっと泣いているよ」

 

目に涙が浮かぶ、それでも僕は見なくちゃいけない、聞かなくちゃいけない。だって僕を『呼んだ』のはあなたでしょう?

 

 

聖杯戦争に呼び出された。あの頃の自分、それが自分と同じ道を歩むのであれば……この手で

日常のような非日常のような道を歩みながら。時は近づく、過去の自分との決戦、過去の自分は言った。「決して、間違いじゃないんだから――――!!」決着はついた。消えていく、その時に『答え』は得た。

 

 

「答え……見つけてるじゃないか。なのにまだ自分を否定するの?」

 

僕のつぶやきと同時に心の最深部へと僕は降りた。

 

 

―― 少女着心中。

 

 

心の最奥、そこは剣が大量に刺された丘だった。前と同じように空が赤い。

 

「や、お兄さん?」

「まさか、ここまで来るとはな」

 

お兄さんは手品のようにいきなり取り出した双剣を構えた。やっぱりこうなるんだよね。ここはお兄さんの心の中、僕は不法侵入者、だけど負けるわけには絶対に行かない。

 

「まあ、僕はただ『呼ばれた』から来ただけだよ」

 

スペルカードを構える。あーあ、英雄相手にこれで勝てとか無理かもしれない、でも勝たなくちゃ。そうじゃなくちゃ来た意味がない。

 

「『呼んだ』のはあなたなんだ。僕は『応えた』だけ! あなたは答えを見つけたのにいつまで殻にこもる気さ!」

「私は呼びも隠れもしてないさ」

 

僕と彼の意地の張り合い(しょうぶ)が始まった。

 

 

―― 少女決闘中。

 

 

散弾的な弾幕はかわされるだけ、かと言ってスペルカードしょっぱなから打つのもなぁ。そんなことを考える。考えている時間なんてあまりないのだけど、それでも考える時間は欲しい。

 

「どうした。先ほどまでの気概は何処へ行った?」

 

切り込んでくる彼をかわして、どうしようかと瞬間、頭の中で考える。彼は上手く身をひねってこちらへ切り込んできた。寸でのところでかわして、バックステップで距離を取る。一撃でも食らったら負けだね、大体これは完ぺきに命のやり取りだ。一瞬嫌な瞬間が浮かんで盛大に頬をひきつらせてしまう。それが彼には余裕と見えたらしく、さらに距離を縮めてきた。

 

「はぁっ!!」

 

打ち込んできた彼の双剣をかわした。

 

「かわすだけでは意味がないのではないかね?」

 

挑発するようなことを言ってくる。でもさ

 

「慌てるなんとかは貰いが少ないって言わない?」

 

軽口で返してみる。すると随分余裕だなとか言って彼が弓を持った。あ、なんかヤバイ

 

偽・螺旋剣(カラドボルグII)

「氷盾『アイシクルイージス』!」

 

物凄い勢いで飛んできた矢の代わりに設置された剣が神代の盾を模した氷の盾によって防がれる。彼は僕の盾を見て驚いた顔をした。

 

「なるほど、君も随分の使い手のようだな。遠慮はしないぞ!」

 

遠慮してもらった方がこっちとしてはうれしいんだけどなぁ。そんなことを考えながら、飛んでくる矢をかわしていく、威力的には低いけど早いのが怖いなぁ。

 

赤原猟犬(フルンディング)

「っ 幻氷『フローズンデコイミラー』!」

 

自分の身代わりが次々と現れる。その間をすり抜けて僕は自分にできる一番早いスピードで飛んだ。矢が次々と命中していく、身代わりが砕け散って彼へと襲いかかった。

 

「っ!」

 

流石に身代わりが砕けて襲ってくるまでは考えなかったらしい。慌てた様子で破片をいなしていく。その隙に僕は彼の背後に回った、よし!

 

「極氷術『アイシクルエデン』!!」

「なっ」

 

丘がすべて氷漬けになっていく、ちょっと呆然とした様子の彼の目の前に僕は着地した。

 

「チェックメイト、かな?」

「ああ、私の負けだな。それにしてもここまでするか?」

 

氷漬けになった丘を見て彼が呆れた。違うって。

 

「ここまでしないと勝てないの! 僕は普通の人間なんだかr」

「そうか? はぁ、とりあえず負けたな」

 

彼はそのまま凍った地面の上に仰向けに寝転がる。

 

「あれ?」

「え?」

「そら」

「あ」

 

彼に言われて空を見てみれば青空が広がっていた。見れば自分の体が透けている。あ、帰れるんだ。

 

「……ありがとうな」

「どういたしまして?」

 

僕らは笑って別れた。

 

 

―― 少女覚醒中。

 

 

目が覚めれば彼の横に布団がひかれていて、僕はそこに横になっていた。隣にいる彼を見てみれば、同じようにして横になっていた。その目が開かれる。寝ぼけているようで、ぼうっとした表情でこちらを見てきた。

 

「おはよ」

「おはよう」

 

まだ寝ぼけているみたいだ。

 

「もうそろそろ起きたらどうさ。正義の味方さん」

「! オレは……」

 

目が覚めたらしい。僕は聞いてみた。

 

「もう一回いうけど、おはよう。ところでだけどあなたの名前は?」

「……オレはエミヤシロウだ」

「そっか、よろしく シロウ」

 

 

―― 青年回復後。

 

 

ここは妖怪の山のすぐ近くの河、ここに魔理沙の知り合いがいるらしい。僕とシロウと魔理沙の三人でここへやってきた。

 

「シロウは早く飛べるようになったら?」

「人間は空を飛べないものではないのかね」

 

あの後、シロウは何ていうか固っ苦しい口調と素が8:2ぐらいの口調になった。魔理沙が河の近くに立っているボロ小屋の扉を叩いた。

 

「よー、にとりー」

「どったのさ魔理沙……ってどちら様?」

 

少しけだるげな声をした誰かが出てきた。水色の髪に緑色のつなぎ、緑色の帽子……某配管工の弟が思いついたけど配色以外は違うよね。

 

「あ、はじめまして。魔理沙の友人で氷精の娘の明乃です。こっちは最近はいってきた外来人のシロウ」

「おー、あんたが魔理沙の話してた氷精の娘か、あたしは河城 にとり 河童だ。よろしくな。それで何か用事かい?」

「えっと、実はですね。こいつの義腕作れませんか?」

 

ここに来たのには理由がある。彼女が機械関係のエキスパートであること、それからロボット関係の知識もあるらしい、結局治せなかったシロウの腕の代わりみたいなものを作れないかと依頼しに来たのだ。

 

「義手は聞いたことあるけど義腕か……よし、面白そうだし乗った! さーさー入った入った!」

「わわっ」

「少々強引じゃないか?!」

 

にとりに背中を押されて、中へと入った。

 

 

―― 少女外出中。

 

 

それから一か月後、人里に一店の定食屋が出来た。味も美味いし、それなりに安いのでなかなかの大盛況だそうだ。昼時を少しだけ過ぎた頃に僕は店へと入った。

 

「こんにちは」

「いらっしゃい、明乃」

 

髪をおろして、和服を着てすっかり馴染んできたシロウが出迎えてくれた。そう、ここは彼の店だ。義腕は無事に完成して、そのリハビリも兼ねて料理屋を始めたのだ。

 

「シロウ、何かおすすめある?」

「今の時期なら夏野菜を使った品だな」

「じゃあ、それ」

「わかった」

 

元正義の味方は幻想郷にて平和に過ごしています。

 





クロスオーバー 正義の味方編 終了です。

次回更新はコラボです。時軸的にこちらを更新しないとまずかったのでこっちが先です。

stay nightはにわかですので違うところが散見される可能性があります。正直EXTRAしかプレイしたことないです。なので守護者の見解が違うかも。

正直空を飛べるようになったらシロウさん凄いとこになるって思うんだ。
にとりが出てきたのは趣味です( `・ω・´)キリッ

ちなみにシロウさんが無くしたのは左腕です。
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