東方氷娘記 番外   作:亜莉守

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※今回は舞台が完璧に幻想郷じゃありません。ぶっちゃけCCC話、ネタバレ多々
※※主人公君の名前はデフォルトの岸波白野になってます
※※※話の展開的にもしかしたら「ぼくのかんがえたさいきょうのサーヴァント」的な何かになるかもしれません



某凡庸型主人公編 3

 

0と1で疑似的に作り上げられた心象風景の中で僕はため息をついた。

 

「はぁ、こうも面倒な状況になるとはなぁ……BBマジで許さん」

 

そう、本能(ボク)は今回全くもって表側に出れない状態に陥らされたのだ。おかげで色々と『僕』が人間染みなくなってきてるし、もう……全部BBのせいだ。

 

「てか、少年も遅いなぁ。そうだ。令呪のパスを使えば視覚って共有できるはず」

 

今更だけどそれに気が付いた僕は令呪を通して少年の状況を確認する。

 

「……なにこの真っ暗空間」

 

慌てて聴覚情報も手に入れられるように調整すればBBの高笑いが聞こえた。あー

 

「犬空間って……拷問だな」

 

確かそんな拷問があったはず。

 

「さて、少年待つか……この状況、打破するなら。少年の協力必須だろうし」

 

不本意な心象風景にて僕は待機した。

 

 

――― 心 本能待機中。

 

 

しばらくして、少年がやってきた。ちょっとばかし傷付いちゃいるけどどうにかなったらしい。

 

「あ、来た来た。少年!」

「え、アーチャー……?」

 

僕の姿を視て固まった。まあ、当然の反応だよね。分かりきってたし。

 

「んー、そうであってそうでないともいえるけど、一応それでいいよー」

「あのさ、ここどこなんだ?」

 

少年は僕に詰問をする。それを静止して僕は告げた。

 

「話は歩きながらしよう。面倒だし、とっとと助けたいし」

「助ける?」

 

少年が首を傾げた。

 

「ほれ」

 

僕が指差す先にあったのは。

 

「アーチャー?!」

「な?」

 

そう、理性(ぼく)だ。もしくは『僕ら』を構成する最もたる存在と言ってもいい。

 

「なんでアーチャーがあんな状態なんだ?! それに君は一体」

「だから歩きながら話そうぜ。少年」

 

僕は彼の手を無理やり取って先へと進んだ。

 

 

――― 心 少年本能移動中。

 

 

歩きながら少年へと説明を始める。ま、今はふざけてらんないからなぁ。少年結構からかいがいがありそうだけど。

 

「とりあえず説明な。ここはあんたが知っているアーチャーの心の中とか思ってくれればいい。僕はその本能であっちでレリーフ状態ていうか、引きこもってるっていうべき状態なのが理性の方」

「え、えっとつまり君はアーチャーの本能で向こうのアーチャーが俺の知っている方のアーチャー?」

 

それが一番正しい。本能(ボク)は傍から見ているに過ぎない存在だからね。ぶっちゃけアルターエゴと似たり寄ったりだし。

 

「まあそんなとこ、デリートされかかったもんだから、あんたの所に戻るために布石として自分を凍らせたんだ。僕の氷には0と1は効かないからね。それにデリートされかかったのは理性(ボク)だけだから自分の身さえ守ればどうにかなるって思ったんでしょ。その辺が相変わらずっていうべきだよねー」

 

僕がいい加減にしろよって言いたくなるよーとか言うと少年は驚いた顔をした。

 

「え、アーチャーってそういうことするタイプなのか? なんていうかアーチャーらしくないっていうか」

 

ま、見ているのが建前だけなんだからしょうがないか。建前だとあんまり素直じゃないし。

 

「あー、ぶっちゃけいうけど君さ。本当の『僕』に遭遇してないからそんなこと言えるんだよ。基本的に他人のためなら自分を削れるお人よしだぜ? 君が知っているのは理性(たてまえ)だけ、どこかの童話作家も言ってただろう? 理性(たてまえ)だけで本能(ほんね)のないロボットって……しょうがねーだろうが、こっちに引き込まれた時点でこうなっちまったんだからよー」

 

ほんと、こっちに引きずり込まれなきゃもっとましだったのにな。

 

「何かあったのか?」

「ま、一言でいうならこっちも引きずり込まれたといえば終わるか?」

 

BBに性能の一部を書き換えられた挙句の果てに放置されたし。

 

「そ、そうだったのか」

「さて、少年。ここからが正念場だ」

 

やっぱりか、僕がここに助けに行けなかったのはこれが理由だしなぁ。

 

「え? 痛っ」

「はぁ、やぁぁっぱいたのかよ」

「………」

 

そこには理性(ぼく)よりは少し身長が高めで、本能(ボク)よりは身長の低めの少女が居た。特徴はなんといっても無駄にだぼっとした黒い長そでシャツと顔を除く肌の見える部分全てに巻かれた包帯だろう。手にはスペルカード、あいつ、本気で追い払う気か。

 

「えっと、彼女は誰?」

「ま、分身(クォーター)とでも思うが吉、僕ら以外あいつしかいないけど そんなわけで少年、SGさくっと回収して次に進むぞ」

「ええええ?!」

 

少年が再度驚愕した。

 

 

――― 心 少年本能対峙中。

 

 

「というよりもなんでクォーターがいるんだ? あれはBBの作ったシステムだろう?」

 

あいつと対峙している少年は僕に耳打ちをした。

 

「まあ、そこはバッキバキに屈折しちまった『僕』に文句を言うんだな。少年は某携帯獣しってるか?」

 

少年はちょっと考えてから答える。

 

「えっと、1990年代に流行りだしたゲーム?」

「お、意外と知ってるんだな。それの合金のやつ ほら、北海道をモデルにした」

 

商品名は会話からご想像ください。

 

「えっと、あ なんとなくわかった」

「あれに出てくるネットで三湖なんて呼ばれるやつ、あれは確か感情と決意と英知を象徴するんだよ。それが人間の感情を構成したとまあそんな感じだな。僕は感情、あそこにいる奴はひねちゃいるが決意を、そんでもってあそこで眠っているのは英知を……こう考えれば『僕』という一人の人格を形成してるのが僕ら三人ってわけ」

「な、なるほど?」

 

壮大すぎてついていけねーよなそりゃそうだ。僕もここまで理解しきるのにかなりかかった。

 

「さーて、僕の口からSG言うわけにもいかないんで考察よろしく」

「ええっ?!」

 

僕は少年をあいつの前に蹴り飛ばした。

 

「い、いたた」

「……誰?」

 

少年が痛みを抑えながら立ち上がろうとする前にあいつは少年を覗き込む。

 

「えっと、俺は」

 

少年が答えようとする前にあいつの目はどこぞの吸血令嬢のごとき目に変わってヒステリッキー叫びだす。

 

「来るな」

「え?」

 

少年が困惑する。ま、そうだよねー。

 

「くるなくるなくるなくるなくるなくるな」

「アー……チャー?」

 

呆然とする少年にあいつは言った。

 

「どーせ、君も『世界』とおんなじようにわたしを捨てるんでしょう。だったら最初から来るな来るな来るな」

「………」

 

少年が言われた言葉を理解しようとしている間にあいつは少年の顔色を見て弁解し始めた。いつもながらに歪んでるよなー。あいつ

 

「あ、嘘だよ。わたし本当にそう思ってるわけじゃないんだよ? お願いだから捨てないでお願いお願いお願いお願いお願いだからっ!!」

 

その叫びを聞いて少年は納得した表情となる。ま、結構わかりやすい奴だからなぁ。

 

「……アーチャー、そんなわけないだろ? 君は俺のサーヴァントで、大切な戦友で……これ以上にないくらい大切な存在だよ。そんなアーチャーを捨てる? そんなことするわけないじゃないか」

 

真剣な目であいつを見る。あーあ、これだから一級フラグ建築士は。

 

「……本当に? 君はわたしのことを拒絶しない?」

「もちろん」

 

少年は笑った。あいつはほっとした顔になる。

 

「……そっか…ありがとう、君の気持ちよく伝わったよ。口先だけじゃなくって本当に伝わったよ。そっか、拒絶されないんだ……よかったぁ」

 

微笑んであいつは消えた。少年は回収したらしいSGを見て驚いた。

 

「……『拒絶恐怖症』?」

「お、近い てか正解にするか。さーて、君を拒む壁は無くなったぞ少年! このまま眠りについた茨姫を起こすとしようか」

 

少年を引きずって進めばもうレリーフはそこだった。

 

 

――― 心 少年本能移動中。

 

 

「着いた」

「着いたな。ここまで攻撃一切なし、やっぱSG手に入れといて正解か」

 

正直に言えばあいつが電子空間に書き換えられたここのセキュリティーだからなぁ。

 

「そこまでです。この先は、最後のファイヤーウォール。絶対に進ませません」

 

後ろを振り返れば、BBとその傍らに攻性プログラムが現れた。たく人の心に土足で踏み入るなよな。

 

「せっかく封印したサーブァントを解放されてはたまりませんから。貴方を、ここで排除します」

 

BBがこちらを睨みつけて、指を指す。あの目は本気の目だ。どうやら、BBは本気でこちらを排除しようとしているようだった。その証拠に、攻性プログラムもまだかまだかと、待ちかまえている。

そして、BBが攻性プログラムに指示を出す。それと同時に、攻性プログラムが少年へ向かって突撃してきた。

 

一閃、それを僕が押し返す。得物はどこぞの花畑の妖怪から貰った日傘だ。ぶん殴ってもびくともしないとか、流石だよね。

 

「はぁ、僕までがサーヴァントの真似事する羽目になるとは」

「っ!?なぜあなたが邪魔を?!その人を野放しにすることは、貴方にとって自殺行為の筈でしょう!?」

「は? 何言ってんだか。ようやく元に戻れんだよ。こんな大チャンス逃すわけがない!」

 

目線はBBに向けたまま僕は少年へと告げた。

 

「少年! 後ろを向かないで前を向きな!! 理性(ぼく)の解放をよろしく」

「っ! 分かった!!!」

 

ダッと少年が走り出す音がした。相変わらず攻撃を仕掛ける攻性プログラムを僕はいなし続けた。

 

 

――― 心 少女解放中。

 

 

「来てくれ、アーチャーっ!!」

 

―― 誰かの呼ぶ声がした。それは久方ぶりに向けられた『僕』への呼びかけ。

   『応え』ようとするけど体が動かない。ああ、もう何でだよっ!!

   どうにか動こうとすれば周囲の視界に罅が入る。

 

刹那 何かが砕け散る音がした。

 

―― ああ、そっか 色々あり過ぎだけど まあ、出来ることは一つだね。

 

「君の『呼ぶ』声、ばっちり聞こえたよ。マスター」

 

―― 目の前には驚愕で目を見開く不器用な女の子、

   でも、まあそれでフォローできないくらいにやり過ぎだけど

 

「犬空間とか、ふふっ。BBこんにゃろーてめーぶちのめすよ☆」

「あ、アーチャー?!」

 

―― マスターは驚いて目を見張っていた。

   そういえばここまで露骨な敵意表明ってサーヴァント始めてからは初だよね。

 

「はー、そうだよね。感情あってこその人間だし、一般人はこうでなくっちゃ……そういうわけでなくしものも見つけたことだし。負ける気がしないね!」

 

何かが消滅する音、見れば攻性プログラムが消えていた。

 

「はぁーようやくかい。これで傍観者に戻れるよ。頑張れよー」

 

―― 本能はにやっと笑いながら手を振ってきた。また他人事みたいにぃ

 

「事実他人事だ。さて、攻性プログラムもう一体来たぞ」

「げ、マジか……マスター、準備はいいかい?」

「ああ、大丈夫だ。アーチャー」

「そう、それから完全復帰祝いに宝具……みたいなの解放するよ。タイミングはマスターに任せた!!」

 

 

さあ、ここからが反撃戦さ!

その先にあるのが暗い未来か明るい未来かはまだ未知数だけどね。

 





そんなわけで明乃さんのSG紹介

・『屋敷妖精(ブラウニー)
・『拒絶恐怖症』
・『××××』

中学生にして世界に捨てられるとか色んな意味で屈折しそうだよね。
……中二病乙
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