東方氷娘記 番外   作:亜莉守

20 / 23
※今回は舞台が完璧に幻想郷じゃありません。ぶっちゃけCCC話、ネタバレ多々
※※主人公君の名前はデフォルトの岸波白野になってます
※※※話の展開的にもしかしたら「ぼくのかんがえたさいきょうのサーヴァント」的な何かになるかもしれません



某凡庸型主人公編 6

「いってら、マスター」

 

保健室に入るという少年を見送る。僕はぼうっとしながら呟いた。

 

「ふー……最終局面だよね。うん、これでBBを止めることができればこっちの勝ち」

 

そう、それが最終条件で確定条件、負けるわけにはいかないぞ?

 

「うん、とはいえ勝てるかなぁ。メルトリリスの時は物凄くギリギリだった」

 

ギリギリなんていつもの話じゃないか、それにここで諦めてどうするつもりさ。

 

「それもそっか、勝てる勝てないの問題じゃないよね」

 

脳内葛藤も終了といこうか。

 

「さて、もうそろそろ黙ろっと」

 

怪しい人に見られかねないしねー。

 

 

――― 梦 少年少女決心中。

 

 

生徒会室に行ってみれば、あのサクラの壁は実はBBではなくサクラの心の壁ならしい。でもその先に進むための条件を提示された。

 

「えっと、神話礼装?」

「そうよ。英雄の原初の姿って奴ね」

「はい、それであればBBと同等の力を得ることも可能かと」

「……そうなんだ」

 

そもそも英霊ですらないこっちはどうしたものかそう考えるけど、僕はいい案が思いつかないようだ。こっちは嫌な予感がするんだよね。どうしよう。

 

「アーチャー」

「うん、BB倒すのに必要とあらばいいけど……大丈夫かこれ」

 

色んな意味で破滅しないといいけど。

 

「大丈夫です! ダイブは一度経験済みですから前回よりもスムーズに行えます」

「いや、そういう意味じゃ……」

 

そもそも英霊じゃないってこと自体ここのメンバー知らないんじゃ?!

 

「岸波君、一度入ったら目的を達成するまで出ることはできないから準備を徹底してね!」

「ああ、わかってる」

「あのさ、僕が居ないとマスターの身を守ることができないよ?」

 

そんな僕の意見なんてすぐに対策を立ててたらしく普通にスルーされた。一応施しの英雄を呼ぶことで決定したけど、無理だった場合の嫌な予感がじわじわと押し迫っていた。

 

 

――― 梦 少年少女説得中。

 

 

結果としては施しの英雄の協力は得られなかった。彼は彼でマスターであるジナコの傍に居たいらしい。ふと疑問に思ったんだけど彼の代名詞である黄金の鎧は何処に消えた? でも、それを聞く暇もないまま僕らは事務室を後にした。

 

「あーあー、残念。カルナさんが協力に応じてくれないとは」

「そうだな。何でだ?」

 

さあねと言いながら生徒会室へと向かう。そこには遠坂凛のあくどい感じの笑みがあった。うん、何でそういう顔してるのかが不明だよ全く。

 

「そっか。でも、その辺は予想の範疇よ。はい、これ」

 

少年に黒いアイテムフォルダが渡された。うん、やっぱり嫌な予感がする。

その後、プログラムのために僕の体は眠らされ。後はダイブを待つだけとなった。

 

 

――― 魂 少年潜入中。

 

 

少年がこちら側へと降りてきた。僕が声をかける。

 

『マスター、聞こえてる?』

「アーチャー?!」

 

少年は驚いた。ま、そうだよね。眠らされてるんだから話しかけてこないって思っただろうし。

 

『そりゃ眠らされたのはあくまで体、心は眠ってないからね。あの二人もナビできないみたいだし僕がナビするよ……と言いたいところだけど、お生憎様 僕は心眼なんて持ってないからね。面倒だし他のメンバーに任せるわ。しばらくは使い魔(ファミリア)に護衛頼んでね』

 

そこで僕は居なくなった。正確に言うと眠っている体に引きずられて眠ってしまったって言った方が正しいけど。少年は後ろを見て驚く。

 

「あれ、使い魔(ファミリア)は?」

 

そこにはなにも居なかった。遠坂凛の奴、何かやったのか?

 

「わっ」

 

少年が持っていたアイテムフォルダが高速回転を始めてどんどんと回っていく。そこから聞き覚えのある声がした。回転を速めるごとに調子に乗っていく。これって……

 

「聞くわ。アンタがアタシのマネージャー? ってこれ一度やってみたかったのよね!」

 

そこに居たのは出戻りランサーこと鮮血魔嬢だ。うわぁ遠坂凛の奴、よりにもよってこいつかよ。少年と鮮血魔嬢は一時的に協力関係と相成ったのだった。

 

 

――― 魂 少年魔嬢潜入中。

 

 

少年と鮮血魔嬢の前にぶかぶかの長そでシャツに顔以外の肌が見えるところ全部を包帯で隠したセミロングの髪の女の子が現れる。色々とひねちゃいるけど『決心』を象徴する拒絶だ。

 

「あ、来たね」

 

多分僕らの中では一番淡々としてる。後、発狂もするけど。

 

「あら、誰よ貴女?」

「あれ、あの時の?」

 

少年が首を傾げた。ま、少年は面識あるし当然の反応か。

 

「うん、一応理性の方から話は聞いてる、と言うよりは理性の見たこと聞いたことはわたしにも伝わるから。本能の方だとダイレクトすぎて自分の経験のようになるのがたまに瑕だけど」

「それで? アンタは優秀なナビゲーターってことかしら?」

 

鮮血魔嬢が尋ねた。それでいいと思うよ。

 

「まあ、そういったところだよ。本来なら免疫機能みたいな感じで、君たちのことを『拒絶』するのが仕事なんだけどね。君がSGを持っているから拒絶対象にならなったってわけ」

「つまり、敵対しないと?」

 

するわけがない。一応ここの拒絶反応はこいつが一挙にになってるわけだし。

 

「そういうこと、ついてきて原初のところまで案内するから」

 

少年と鮮血魔嬢、それに拒絶の三人は移動を始めた。途中滅菌細胞もどきに出くわすがそれは全て鮮血魔嬢が打ち破った。彼女ってかなり強いんだ。

 

「……」

 

しばらく進めば全部が黒い人影が姿を現した。手には木刀のような何かを持っている。その目がビカンと光った。

 

「あら?」

「あれって……」

 

あ、意外と早めに見つかるとは。

 

「あ、原初がこんなところに居るとは、あーそっか理性は眠ってるし本能は完ぺきに傍観決め込んでるし当然か」

 

悪かったな。傍観決め込んでおかないと原初見つからないかもしれないじゃないか。

 

「ふぅん、それなりのドレスコードね」

「いや、なんかおかしくないか?」

 

あ、やっぱ色々とおかしいか。拒絶が苦笑いをして告げる。

 

「主に身長かな?」

「ま、まあ そことか」

 

ま、それはそうだよね。どう見たって170は行ってるようなないような?

 

「気にしないで。本来なら『僕』って170近くなれるはずだったから」

「え?!」

 

少年は拒絶の発言に驚いた。その驚きをスルーして拒絶は告げる。

 

「それじゃあがんばれ、わたしはここまでしか手助けできないから」

 

 

――― 魂 少年魔嬢決闘中。

 

 

原初が敗れると同時に原初の黒いのがなくなっていき、一人の少年が姿を現した。うん、やっぱりなんだよね。あれが『僕』の根本なわけなんだよなぁ。はぁ

 

「ふぁー……あれ?」

 

原初が首を傾げる。

 

「え?」

「あら?」

 

寝ぼけた感じで原初は続ける、しばらく喋れば覚醒状態に入った。

 

「君たち誰? っていうか、何で寝てたのにたたき起こされたんだか……まあいいや、何かあったのかよくわからないけど僕の協力が要るってことはわかったよ。ま、何でも『受け入れる』事が僕の本質だからね。ふむ、後はどこぞで傍観決め込んでる彼女のでも説明受けなよ。それじゃ、流石に魂に居座られるのももうそろそろ勘弁して欲しいし。じゃあね」

 

少年と鮮血魔嬢はこちらへと飛ばされた。

 

 

――― 魂 少年魔嬢排除中。

 

 

ここはどこか懐かしい学校の屋上、僕が気に入って滞在している心象風景の一つだ。

 

「よー、少年、それから鮮血魔嬢」

「えっと?」

「へぇ、中々かわいいわね」

「そりゃどうも、全く人の封印しておいた本質呼び起こすとか一体何やってんだか」

 

これから先『僕』は確実に奇妙な運命をたどるんだろうなぁ。てか、もうすでに送ってたか。

 

「ご、ごめん。でも!」

「分かってるって。これもBBを倒すために必要なことだってね。はぁ、こりゃ戻った時の情緒不安定を気にするべきだなぁ」

 

絶対に色々と大変だ。

 

「???」

「とりあえずあれがラニ=Ⅷが言っていた神話礼装を解放するための原初の姿……にもした魂の本質だよ」

「模した?」

 

僕の発言に少年は首を傾げっぱなしだ。それはそうだよね。色々と分かりづらいし。

 

「まあねー、『僕』ってムーンセルのサーヴァントの在り方とは全然違うサーヴァントだし色々と異例(イレギュラー)なんだよ。只の人間の魂が幽体離脱してふらついていたところをムーンセルに引きずられて強制的にサーヴァント化されただけの存在だからね。そもそもの話、神話礼装なんて持ち合わせていなかったんだよ。ま、それによく似た何かは持ち合わせていたからいいけど」

「そうだったのか……」

 

少年が呆然とする。ま、それもそっか、信じてたサーヴァントが実は一般人でしたーとか信じろって方が無理だよね。

 

「はぁ、そういうわけだ。僕はBBへの対抗策を手に入れようとも相変わらずピーキーなことこの上ないからサポートは任せた。これでも僕、全面的に少年のこと信用してるんだぜ? そうそう、鮮血魔嬢 今回は助かった。ウチの少年が世話になったな」

 

守ると決めた人間を助けてくれたんだ。その前に何をやってようとも礼を述べるのが礼節ってもんでしょ。

 

「ふんっ、あんたに礼を言われる筋合いも何もないわよ」

「そりゃ失敬、じゃ解散ライブも成功したことだしこれにてお開きでよろしいか?」

「ええ、じゃあね」

 

 

――― 梦 少年帰還中。

 

 

睡眠(スリープ)状態が解除され、僕の意識は元に戻った。

 

「……うわぁ、ちょっと変な気分」

 

さっそく理性が大変な目に遭っていた。うん、こうなることは予測済みなんだよね。でも、自力でどうにかしてもらわないとこっちとしては何もできないし。

 

「大丈夫か? アーチャー」

「だいじょぶ……それにしてもそれはそうなんだけどなぁ。やっぱり凹む」

 

少年は僕の発言に首を傾げた。さっきから少年驚きっぱなしだよね。

 

「?? 本当に大丈夫か?」

「ああ、少年 大丈夫だよ。色々と滅多打ちにはされてるけど、どうにかなる範疇だから」

 

少年が焦る。うん、そうなるのも当然だよね。

 

「あのさ、今日はもう休もう! そうした方がいい」

「あはは、ありがと。流石に気持ちの整理がつかないや」

 

もうなんか滅多打ちにされてる気分だから早く休ましたれと言いたいけど言えなかった。

 

「大丈夫ですか? アーチャー」

「うん、大丈夫 神話礼装も使いこなすのは楽そうだけど自分の精神面が複雑だからちょっと頼むから休ませて」

「了解しました」

 

どうにかマイルームに向かうことができた。

 

 

 

――― 梦 少年少女休息中。

 

 

マイルームに入ると僕は枕を滅多打ちにする。そうでもしないとフラストレーション溜まりそうで怖いんだよね。

 

「ぐああああああ……………もう嫌だ」

「本当の本当に大丈夫か?」

 

少年が本気で心配そうな顔をした。僕は苦笑いで答える。

 

「うん、情緒面の問題だから気にしなくていいよ?」

「そんなこと言ったって心配になる。アーチャーは俺のサーヴァントだ。辛かったら頼ってほしいから………」

 

少年が真摯な目で僕を見た。じりっと何かで焼かれるような視線が僕を貫く。僕はこのことに関してはちょっと諦めることにした。何をって意地を張るのを。

 

「ぐぬ……はぁ、しょうがない。ここからは僕の独り言だからね。反応しなくていいし、むしろスルーしていいよ」

 

本心の吐露、この時だけは「僕」が主役だ。いつもいつも考えて考えて心の奥で『拒絶』して押し殺して来たことをぶちまける。

 

「僕はさ、ずっと男の子になりたかった。そうすれば世界から捨てられずに済んだんじゃないかって思いこんでた。ううん、思い込んでいなくちゃ発狂しそうだった……平行世界にはさ、色んな僕が居た。でも、全員男の子なんだよね。もしかしたら女の子の僕も居るのかもしれないけどそれに出くわしたことはなし……うん、居なかったんだ。それに平行世界の僕は凄いんだよね。どんだけバカだって言われてもそれでも真っ直ぐに突き進めたり、世界なんか簡単に塗り替えちゃうくらいの力を持ってたり、それでいて人間であろうとしたり、色々と凄いんだよ。僕には眩しすぎるくらいにね」

 

そう、僕は正直に言えば、あの他人(ぼく)たちが心底羨ましかった。普通に世界に居れて、普通に世界で生きていられる彼らが。そして、彼らが全員男だったのも色々と助長させた原因なんだろうなぁ。まああと考えられるのは「僕は男でなければならない」と縛った誰かの言葉だろうけど。

 

「あーあ、僕は何で女の子なんだろう。男の子だったらもっとできること増えたんじゃないかな? サーヴァントとして呼ばれても、マスターに迷惑かけなかったかもしれない。もっと別の『在り方』あったように思えてならないんだ……それでさ、今回の神話礼装を手に入れる過程で魂の奥底にある『僕』の起源みたいなのを見せつけられたわけだ。笑っちゃうけど男の子だったんだよね。うん、なりたくてなりたくてしょうがない物は魂の奥底に眠ってた。『無い』じゃないんだよね。そう思えたら色々と複雑な気分でさ」

 

そう、魂の本質は男なんだ。それなのに『僕』は世界に捨てられた。この矛盾をどうしたらいいのかがよくわからない。理性ならなおさらだ。冷静に物事を捕らえようとしてつい論理的になる。それだからこそ今回の葛藤にいたったわけだ。

少年は僕の目をじっと見つめてから口を開いた。

 

「……アーチャー、そんなこと言わないでほしい。俺のアーチャーは料理が上手で、戦闘の時だって頼りになって、俺の事真摯に考えてくれる。そんな女の子だ。男がよかったなんて言わないでほしい、それじゃあ俺のアーチャーとは違うんだから!!」

「ありがと、マスター でもさ」

 

そんな慰めでどうにかなるほど軽い傷じゃないんだと僕は続けようとする。すると、少年は僕の肩をガッと掴んでさらに告げた。

 

「でももしかしもない! アーチャーはアーチャーだろ!! 平行世界が何だ! とんでもない力を持ってる? そんなの関係ない! 俺のアーチャーは自称ピーキーでも十分に強い! それにアーチャーとコンビじゃなかったらここまで戦い抜けなかった! 俺のアーチャーは今ここにいるお前なんだよ!!」

 

じりじりと心の氷や冷め切っていた決意を端さえも彼の目は焦がしてくる。僕は……いや、『僕ら』はその目に絆されたらしい。

 

「っ………マスターは凄いよ。今の一言でびっくりするくらいすっきりした。そうだよね。僕は僕なんだ。性別とか気にしてる場合じゃなかったね……ありがと、マスター」

 

僕は心底嬉しそうな顔で笑った。よかった、もうこれで悩まなくて大丈夫だ。少年がいきなり驚いたような顔をした。あ

 

「あ」

「ん? あ、もしかして最後のSG?」

「ああ、何で今??」

 

そんなの決まりきっているじゃないか。

 

「あー、確かにこれは秘密だよねー。普段だったら絶対に男になりたかったとか言わないし」

「えっと、名称は………」

 

どうせああいう感じだろうけど言わないでほしいなぁ。

 

「すとーっぷ、正直予想はついてるけど見たくないから言うの禁止で」

「え、何で?」

 

少年が不思議そうな顔をした。

 

「いやぁ、さっきのアンニュイな自分も忘れる意味合いも込めて。マスター、明日は最終決戦……ん?」

 

直感的になんか違和感を感じた。すぐに最終決戦になるかな?

 

「どうかしたのか?」

「あー、いやなんか最終戦の前になんか戦う気もしなくはないから?」

「へ?」

 

少年が驚いた。

 

「明日になれば全部がわかる。今日の事は今日で終わらせよう! はい、忘れた忘れた」

「あ、ああ」

 

少年を無理やり寝かしつけて次の日に備えることにした。

 

 

――― 梦 少年少女探索中。

 

 

ちょっと脇道にそれてみれば、ダンジョンが広がっていた。そこを探索している間に変なワームホールを見つける。

 

「さて、マスター 嫌な予感がバリバリするわけですが、入る?」

「ああ、飛び込もう」

「……了解」

 

嫌な予感ってこういうときほど当たるっていうんだよなぁ。うん、そうだけど少年が言うならしょうがないか。

そんなわけで中に入ってみれば彼の記憶の中にある方の遠坂凛と彼が居た。

 

「あ」

「嘘、聖杯戦争の参加者がここにも?」

「ああ、そのようだな」

 

うん、やっぱあの二人か。彼が知ってる時空の住人ってわけではないんだろうけど。

 

「え、遠坂?」

「マスター、よく見て彼女と恰好が少し違うよ。どうやら平行世界の彼女のようだ」

「? 分かるのかアーチャー」

「まあね」

 

平行世界っていうことならここもそうだしなんて野暮なことは言わない。秘するが華って奴さ。二人がこっちを見て何か言いあっている。

 

「へぇ、あんな可愛いアーチャーっているのね」

「そのようだな。それにしても本当に何の英霊だ? かなり幼い少女のようだが」

「うーん、本当よね。何歳くらいかしら? てか、子どもの姿が全盛の英霊っているの?」

「私の知る限りはいないが……いや、いたには居たか? 只あれは特殊なケースだがね」

 

なんだろう、頭の中で何かがはじけた。久方ぶりに暴れたい気分だ。

 

「………マスター、アイツ フルボッコでも構わないよね? 答えは聞いてないけど」

「アーチャー?! いつぞやの遠坂マネーイズパワーシステムみたいなこと言うなよ。それ死亡フラグだから!」

 

少年、死亡フラグは打ち破るためにあるんだよ。あのときだってどうにかできたじゃないか。あれはあれでちょっとばかり苦戦したけど。

 

「ちょ、何よその遠坂マネーイズパワーシステムって?!」

「何やら妙に聞き覚えのある台詞を聞いたようなのだが?」

 

うん、それに応える余裕なんてない。ついでに言うなら二人ともさっきので地雷踏みまくってるし。うん、良いよね。答え聞くことなんてしないけど。

 

「煩い、正義の味方のなれの果て! 黙って聞いてりゃ、誰が幼い少女じゃバカァァ!」

 

僕は感情に任せて弾幕を撃った。慌てて向こうの彼が双剣で防いだ。

 

「っ 凛、応戦するぞ。構わないな?」

「ええ」

 

二人が構える。よし、やっぱりこうでないとね。

 

「少年、サポートよろしく。悪いけど、今回は完全なる個人的な感情で戦わせてもらうよ」

「ああ、もしかしてアーチャー、身長 気にしてたのか?」

 

身長は別にいいんだ。身長は。

 

「うん、身長っていうよりは外見で年齢考察されるのが嫌いなんだよね。誰がロリだ。幼女だ。マジでいい加減にしろ」

 

その手の変態のことを思い出したらさらに腹が立ってきた。そこに彼がこちらの弾幕を防ぎつつ告げる。

 

「君のような。低身長かつ他人に対する思慮も足りないような幼い少女など知り合いには居ないがね」

 

あ、もうこれはダメだ。理性(たてまえ)なんてどこにも居なくなるあるのは本能(かんじょう)だけ。

 

「………はっ」

「む、何か鼻で笑うような要素があったかね?」

 

心底真面目な顔をしてこいつは言いやがった。いい加減にしろ。もうあくどい笑みしか浮かべらんないや。

 

「シロウ、てめー よくもまあ僕をチビとかガキ呼ばわりしたな。いい度胸だな、オイ。こちとら一応義務教育は終了する程度の年齢はあるぜ。てかそこの赤いのと多分同年齢だよ!」

 

びしっと遠坂凛を指さした。見れば少年と遠坂凛はこそこそ会話している。

 

「な、なんかあの子、色々と変わってない?」

「なんか珍しい、アーチャーがここまで感情的になるなんて」

 

ま、たまには僕だってプッツンしますけど?

 

「もちろん! 人の地雷踏み抜くような女難人間に同情の余地なんてなし!」

 

ほんっとだよね!! 彼を見れば眉間にしわを寄せていた。

 

「何やら色々と不名誉な称号を与えられているのは気のせいか?」

「さあ? でも、あの子なんかあんたの事よく知ってるみたいね」

 

しばらく戦闘が続く、一進一退の攻防と言えるかもしれない。ま、僕はかなり感情任せに動いてるせいで凄いことになってるけど。

 

「ほら、アーチャーあれやって! あいあむざぼーんおぶまいそーどってやつ」

「急にやる気を削がれたのだが……」

 

あー、あれやる気か。ま、どんなのが来ても気にしないけど?

 

「来なよ。錬鉄の英雄、ただの鉄なんざ砕ききるよ?」

「言ったな」

 

彼が詠唱に入った。世界が少しづつ塗り替えられていく。世界が完璧に変わり、彼が赤原猟犬(フルンディング)を繰り出した。そんなの前に受けてるからどうすればいいのかぐらいわかるって―の。

 

「幻氷『フローズンデコイミラー』」

「なっ」

 

僕を追尾する矢が身代わりを次々と破壊していく。その破片は彼に襲いかかった。

 

「アーチャー、持ち直して!」

 

そんなのさせないよ

 

「霧符『霧を歩く者(ミストウォーカー)』」

「霧ですって?!」

 

遠坂凛は驚いた。でも、驚かないのが僕の少年だ。

 

「アーチャー!!」

 

少年の呼びかけに応える。

 

「もち、宝具発動!! 『少女ノ遊戯(スペルカードルール)』!!」

 

錬鉄の英雄の心象風景は描きかわり、氷に覆われた件の丘へと変貌した。

 

「うそ、固有結界を書き換えた?!」

「これが僕の宝具さ。別に固有結界じゃないよ? 世界を書き換える絶対的ルール、化け物だって、妖怪だって、カミサマだって平等な舞台に落としてやるよ? もちろん、世界と契約している人間でもね!!」

 

そう、これこそが僕の宝具『少女ノ遊戯(スペルカードルール)』ある一定期間だけ戦闘ルールをスペルカードルールに切り替えるのだ。僕はスペルカードを構える。

 

「極氷術『アイシクルエデン』っ!!!!」

 

氷の術が世界を完璧に凍らせた。固有結界が解かれていく。そこには彼が驚いた表情で呆然としていた。彼にスペルカードを向け宣言する。

 

「チェックメイトさ。どうだい正義の味方? 侮ってたチビに負ける気分は」

「っ はぁ、確かに負けは認めよう。しかし、君が低身長であることは事実ではないかね?」

 

いい加減にしろよマジで、皮肉として言っていいことと悪いことがあるだろうがゴラァ!

 

「……殴符『アイスストライク』ゥゥゥゥゥ!!!」

「ぐはっ」

 

その日一番のいい攻撃(少年談)が決まった瞬間だった。彼が気絶する。

 

「はーはーはー……くたばれエミヤシロウ。お前は絶対の絶対のぜぇぇぇぇったいに僕の知ってる彼じゃない!! 僕の知ってる彼も地雷原に気が付かないで突っ走るような馬鹿だったけどここまでじゃねぇぇ」

 

僕の魂からの叫びがその空間を支配した。

 

「アンタのサーヴァントって意外にキレやすいのね」

「いや、あんなアーチャー初めて見た。普段だったらもっと普通の対応を取るし」

 

それからちょっとして正気に戻った。うん、やり過ぎた。こっちが表に出てたとはいえ流石にやり過ぎだ。

 

「はぁ、いや八つ当たりも甚だしかったわ。ごめんね?」

「……………………」

「うん、絶賛二回目だよねー」

 

この前は記憶喪失相手に全力投球したけど今度はこれが原因で記憶喪失とかないよね。

 

「まあいいか、勝つことにはかったし」

「あ?! 色々と衝撃過ぎて忘れてたけど私たち負けてる?!」

「あ、勝ってたんだ」

 

うん、忘れられてるみたいだけど勝負してたんだよ僕ら。

 

「ま、所詮ここは泡沫の夢 正しくあるべき場所に戻る時間だよ。遠坂凛、それから守護者さん、僕らと再会しないことを祈ってるよ。じゃあね」

「よかった。まだ負けていないのね。今度会った時にはぼっこぼこにしてやるんだから覚悟しなさい!」

 

その一言を最後に遠坂凛とそのサーヴァントアーチャーは消えた。僕は少年に向き直る。

 

「こっちも戻ろうか、マスター?」

「あ、ああ……」

 

ドン引きしていた。無理もないだろう。

 

「あはは、ごめん 久方ぶりにプッツンしてました。これ多分対BBよりも酷かったよね」

「アーチャーって意外と感情的になりやすいんだね」

 

正確に言うとようやく本調子って言った方がいいかも。

 

「ホントごめん、どうかしてました。そういえば、なんか拾ったみたいだけど?」

「あ、これか??」

 

二人と戦闘した後、何かアイテムフォルダを拾ったのだ。少年が開けてみればそこから赤い服が飛び出してきた。

 

「おお、さっきのアーチャーが着てたのみたいだね。礼装??」

「多分、へぇ状態異常と体力全回復、凄いな」

 

効力を確認した少年が驚く。

 

「こんな礼装あるんだ。便利だね、僕幸運低いからステータス異常受けやすいし」

「だな。これはいい拾い物かもしれない」

 

確か他にもワームホールらしきものがあったようなないような。

 

「この調子でワープホール片っ端から攻略する?」

「それもいいかもな」

 

軽い調子で僕らは奇妙な邂逅を続けることにした。

 

 

 

え、妙に目的ずれてる? 最終決戦前の寄り道はゲームに必須じゃないか。

それでもこれは全部泡沫の夢、それはわかってるさ

 





CCCプレイなう。今CCC√のボス戦一歩手前です。キャス狐は強すぎて(一時)諦めた件



ついでに現在(ストーリー終了時)のステータス

筋力:E++ 耐久:C+ 敏捷:B 魔力:A 幸運:D+++

スキル
直感:A- カリスマ:B 弾幕:A 

攻撃スキル
・殴符『アイスストライク』 MP10(筋力ダメージなのでぶっちゃけ雀の涙状態)
・霧符『霧を歩く者ミストウォーカー』(某姐さんより継承、MP消費なし)
・氷星『アイシクル・スターダスト』 MP40(敵が一定ライフ以下であれば戦闘強制終了)
・氷盾『アイシクルイージス』 MP60(基本はアイアスと一緒、ただし火炎系の技ダメージは低下にとどまる。例はガウェインの宝具と嫁王の告白剣)
・極氷術『アイシクルエデン』 MP70


宝具
・『少女ノ遊戯(スペルカードルール)(仮)』
  スペルカードルールを一時的に適応する。
  どんな世界であっても強制的に適応される。


明乃さんのSG紹介

・『屋敷妖精(ブラウニー)』 お家とか掃除するよ
                バレたら逃げるよ
                でも一定以上になると吹っ切るよ

・『拒絶恐怖症』 お願いだから僕を嫌わないで

・『少年羨望』 もしも男の子だったら世界は捨てないでくれた?
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。