※弧狗狸さん様の『バカと八雲と人形使い』とコラボさせていただきました。
訂正は弧狗狸さん様より受け付けます。
誤字についての訂正は他の方もどうぞ、たまに訳の分からないミスやらかしてる可能性もあるので。
※今回長いです。(またもや5000文字突破)
僕と彼は幻想郷の空を飛んでいく。
「それで次は何処?」
「さー、僕自身にもよくわかってないからなぁ」
僕、引っ張られていってるって言った方が正しいからなぁ。
空を飛んでいると、黒い髪に黒い目、黒と白と赤のどこか鴉天狗を思わせるような恰好の女の人が結構な猛スピードで飛んでいた。僕らを見かけると空中で静止する。
「あやや、そこを行くのは明久君……と?」
「えっと、誰?」
本当に知らない人だ。
「あれ、知らないんだ。彼女は射命丸文、「文々。」の記者兼配達者だよ」
「ああ、あのゴシップ記事の」
そのイメージしかないなぁ。こんなきれいな人が書いてたんだあれ。
「ゴシップとは失礼な!」
「ごめんなさい、それで? 文さんは何でこんな所を飛んでいるんですか」
こんな所をふらふらと飛んでるとか魔理沙じゃないし。
「何か話のネタは無いかなぁと」
ですかー。これは僕らがやってることバレたら確実について回られるな。思いっきり話題を変えよう。
「そうですか、そういえば今日は無駄に暑いですね」
「そうですね。でもそれが一体?」
「うーん、涼しくなれる方法とか調べて記事にしたら読んでもらえるんじゃないですか?」
「おお、なるほど。それではさっそく!」
文さんはものすごい勢いで飛んで行った。多分斜め上の記事ができるだろうけど、まあいいか。
「……よし」
「上手いこと撒いたね」
彼が話しかけてきた。うん、どうにかしないと色々と危ない気がしたんだ。
「うん、基本的に僕の方に取材には来ないけど、それでもゴシップ記事書かれている身としてはあんまり関わりたくないかな?」
根も葉もない噂流されたことあるんだよねー。
「わかるようなわからないような」
「あ、あそこ」
『呼ばれてる』気がした。
「人里?」
「そこのちょっと外れたとこ、ほら陽炎が出てる」
ゆらゆらと空気が揺れてた。
「あ、本当だ」
―― 少女移動中。
「……うん、ここだね」
それにしても暑いなぁここ。
「それにしても一体何がしたいんだろうね」
「『遊ぼうよ』って毎回声がするし遊びたいだけかな?」
考え事してると陽炎の中に誰かが居る気がした。
「! 慧音さん」
「あれは陽炎?」
今度は慧音さんなのか、警戒する僕らに慧音さん? が話しかけてきた。
「おーい、明久 君は何を……おや、そちらは?」
「はぁ、本物の方か えと、彼女は明乃。異世界の幻想郷の住人だって」
陽炎じゃなかったか、よかった。あれ? それで通じるんだ。
「だとしたら陽炎は……あ、えっと 紹介にあずかった明乃です。ちょっと事情があってこっちの幻想郷に来ています」
「そうか、私は上白沢慧音だ。人里で寺子屋の講師をしている」
やっぱり慧音さんは慧音さんだね。そう思ってるとさらに奥の陽炎の中に誰かの人影を見つけた。
「あれ、妹紅さん?」
白髪に白と赤のリボンそれからもんぺ、うん妹紅さんだ。
「おや、妹紅を知っているのか?」
「ええ、僕、向こうだと寺子屋のお手伝いとか後人里へ買い物に来たりとかたまにしてるので、その関係で」
妹紅さんがいきなり弾幕を張ってきた。こっちが陽炎か!
「待て、妹紅! この子たちは敵じゃない!!」
慧音さんが妹紅さんに近づこうとする。それを彼が押しとどめた。
「どいて! 慧音、そいつ妹紅じゃない!」
「慧音さん、こっちに」
僕は慧音さんを連れて少し後ろに退避した。ちょっと暑いなぁ。
―― 少年弾幕中。
妹紅が炎でできた弾幕を張ってくる。明久は悠々と避けていく。
「それにしても知り合いばっかりだなぁ」
不滅『フェニックスの尾』
「まあでも行ける範疇だ!」
明久がスペルカードを宣言した。
黒炎『加具土命無限炎昌』
相手の周りに三十六個の黒炎を配置され矢に変えて攻撃していく。しかし、妹紅の陽炎はそれをかわしていった。
「かわされた!それなら」
明久がさらにスペルカードを宣言しようとする。
二重炎『加具土命―――
いきなり冷たい土砂降りの雨が降り出した。見れば、陽炎の姿は消え失せている。
「え、何で?!」
―― 少年驚愕中。
慧音さんと少し離れたところに逃げ出した僕はちょっと限界値突破しかけてた。
「……い」
「明乃、どうした?」
慧音さんが聞いてくるけど、そんなの関係がない。
「……つい」
「顔が赤いぞ? 大丈夫か?」
もう、我慢の限界だ! 思いっきり叫ぶ。
「暑いっ!!」
「へ?」
慧音さんが間の抜けた声を出す。
「あー、もう何でこんなに暑いのさ! 夏場に炎の弾幕なんて使うなぁぁぁぁ」
叫びながら僕は何も気にせずにスペルカードを宣言した。
凍雨『
「冷たっ」
「もう我慢ならない。いい加減にしろおおおおおお」
暑いのは割と平気な方だけど、もう我慢の限界だった。
―― 少女絶叫中。
ちょっとして、慧音さんがやってる寺子屋にて
「反省しましたごめんなさい」
僕は正座して土下座に近いくらいまで頭を下げていた。
「いや、大丈夫だから」
目の前に居るのはずぶぬれになった彼だった。そう、僕はスペルカードを怒りに任せてぶっ放したのだ。
「本当にごめん、僕どうかしてた」
「気にしてないから、大丈夫だよ」
「ごめんなさい」
謝る以外出来ないんだけど。そこに慧音さんが湯呑に何か入れて持ってきた。
「こんな時期に温かい飲み物を用意することになるとはな。二人の分もあるぞ」
「あ、慧音 ありがとう」
「慧音さん、ごめんなさい」
本当にご迷惑おかけしました。
「まあ、気にしないでくれ。これといった被害は無いわけだし、それにしても自然現象に関与するスペルカードは珍しいんじゃないか?」
「あー、でも僕これで三枚目ですよ」
『
髪とか拭く手ぬぐいを貰って髪とか服とか拭きながら、慧音さんの話を聞く。
「そうなのか、とりあえず君たちが何をしていたのかを教えてくれ」
「あ、実はね」
―― 少年説明中。
「なるほどな、それで君たちは陽炎を追っているということか」
「はい、そういうことですね」
慧音さんが心配そうに言う。
「しかし、目的はわかっているのか? ただ闇雲に追うだけでは消耗するだけだ」
「まあ『遊ぼう』って言っているんで飽きるまで付き合いますよ。少なくとも僕はそのつもりです」
今のところそれくらいしかわかってないし。いつもそんな感じだけどね。
「僕は明乃が心配で一緒に行動しているだけだから」
「そうか、二人とも気を付けるように」
「「はい/うん」」
さて、髪乾いたことだし、多分移動している間に乾くだろう。え? 透ける? 幼児体型見てどこが楽しいんだか。
―― 少女移動中。
次の場所へと向かった。
「えっと、ここって……」
「紅魔館のある湖だよね」
水面ギリギリに浮いて会話をする。
ここに縁がある人なんて一人しか思いつけない気が、いやもう一人いるけどちょっと?!
「……ヤバイ、勝てる気がしない」
「へ?」
彼が首を傾げる。弾幕の気配がして、彼の首根っこを掴んで思いっきり後ろへと飛ぶ、僕らが居たところは凍りついた。
「!」
「え、ちょ うわっ」
さらに威力の高い弾幕が張られていく。そこに居たのは、水色の髪、白のギザギザ模様の入った青のリボン、水色で淵に白のギザギザ模様の入ったの縦襟コート、茶色のズボンに茶色の靴、それに青のマフラー……やばい
「やっぱかぁぁぁぁ、勝てる訳があるかぁぁぁ!」
どう見たって僕の知っているチルノだ。
「えっと、あれって」
「僕の保護者、自称幻想郷最強の妖精、チルノ」
「へ? チルノ?」
チルノって意外と世界によって外見が違うみたいだからわからなくてもいいよ。
「まあ、この世界のチルノがどんな人なのか知らないけど、あれは僕の知っている方のチルノなんだよ」
「そうなんだ。でも、勝てるわけがないって?」
彼が不思議そうな顔をした。でもさ、勝てるわけないじゃん。
「……あのさ、親に勝てる子どもがいると? 師匠に勝てる弟子が居ると?」
「………むりかも」
「一旦ここは引いて……ってええ?!」
さらに別の弾幕が撃ち込まれた。クナイ型だ。そこに居たのはスキマに優雅に座って日傘を差す。
「紫?!」
「えっと、あの紫、スキマ妖怪の?」
微妙に恰好とか違う気がする。
「その紫だよ。何で?!」
知らないよ! てか、こっちの世界なのになんでチルノなのさっ?!
「よくわからないけどチルノに勝てとか無理」
「僕はどうにかなりそうな、なりそうもないような」
あああ、もうどうしろっていうのさぁぁぁ。
「僕が相手して勝てるわけ……あ」
今、重要なことに気が付いた。
「どうしたの?」
「ねえ、炎系の弾幕使うよね」
「うん、さっきそれが理由で雨に降られたわけだし」
それはごめんね。あれは反省してます。でも、今はそんなことを言っている場合じゃない。彼の手を取って僕は言った。
「チルノの相手、頼んだよ」
「へ? ああっ!!」
彼も気が付いたらしい。
「そういうこと、苦手なら交換しちゃえばいいのさ!」
「でも、紫相手に大丈夫?」
紫相手に弾幕勝負自体はやったことないけど。どうにかなるはず。
「時間稼ぎ程度であれば頑張る。避けるのだけは得意だから!」
「自信満々に言うことでもないよそれ?!」
うん、あの鬼の様な弾幕練習はだてじゃないのさ! 僕は笑って彼に告げた。
「とりあえず、よろしく 明久!」
「あ、うん。わかったよ 明乃!」
彼……いや、明久とハイタッチをして僕らはそれぞれの相手に向かいあった。
―― 少年弾幕中。
凍符『パーフェクトフリーズ』
ばらまかれた弾幕が一瞬停止してまた動き出す。随分とかわしやすいようでかわしにくそうな弾幕を明久はかわしていく。
「それなりに強いけど普通な気がするなぁ」
スペルカードを取り出して宣言した。
天符『天照』
天照が着火される前にチルノの陽炎が動き、かわした。
「あ、かわされた」
明久の弾幕をかわしたチルノの陽炎がスペルカードを取り出し宣言した。
白魔『ブリザード・モンスター』
まるで猛吹雪のような細かい弾幕が次々と襲ってくる。最初はかわしていた明久だったがかわし切れなくなりそうになる。
「っ」
スペルカードを取り出した。
『夢幻の狭間』
どうにか現実と幻の間に身を置き、吹雪の猛攻を避けた。
「強い、威力がどうとか言うよりも弾幕の張り方とか、そういうところが凄い」
それでも明久は諦めようとはしない。いや、諦める気がないと言うべきかもしれない。
「でも、負けるわけには―――」
―― 少女弾幕中。
「やっぱり紫は強いなぁ」
紫の陽炎の弾幕をかわしながら、思ったことを口に出す。幽香さんやチルノや博夢さんが手加減してくれていたってことがわかる。
「だけど負けられない意地みたいなのあるし。負ける気は無いけど」
そう、だってもう一人、僕と一緒に戦ってくれている明久が居る。チルノのこと丸投げしたしこっちはこっちで頑張らないとね。
そう思った矢先に脳裏に何かイメージが浮かんだ。
「え?」
学校、笑いあった親友、一人ぼっちの作戦、それを僕はどこかで見ていた気がした。
「陽炎の見せる夢……あ、そういうことか」
陽炎の姿が一瞬ぶれる。そして、スペルカードが宣言された。
『陽炎夢』
「……やっと『呼んでる』のが誰かわかったよ」
彼女がここに来るなんてね。しかも探し人は僕じゃないし。
「ならなおさら負けるわけには―――」
―― 少年少女弾幕中。
スペルカードを取り出そうとした瞬間、目の前にスキマが展開された。
「え?」
「へ?」
びっくりしてちょっと固まってしまう。そこに同じ声だけど雰囲気の違う二つの声が降ってきた。
「そこまでよ。明久」
「はぁ、いきなりいなくなったからあわてて探したら何やってるのよ。明乃」
上を見てみれば、微妙に恰好の違う女の人がスキマに同じように座っていた。
「「紫?!」」
名前を呼べば、僕の知っている方の紫が破顔して嬉しそうに飛び降りてきた。
「探したわよ。明乃」
「だから小さな子ども扱いしないでよっ!」
そのまま抱きしめられる、何でこうなるの? ちょっとしたら放してくれたので明久の方を見てみた。
「えっと、紫。どうなってるの?」
「つまりね。あの子がこの世界に呼ばれたのに気が付いてあっちの私が探しに来たのよ」
「そこじゃないんだ。陽炎は?」
そうだった。ちょっと忘れてた。
「おーい」
みんなの視線が僕へ向く。
「「「?」」」
まあ、そんなのは今は関係ない。僕は『応え』なくちゃ
「出てきて、探してる人いるんでしょ?」
黒髪にセーラー服、それから赤いマフラー、うんやっぱりあの人だ
「お姉さんが誰かを探してここに来たのは知ってる。でも、幻想郷にはその人は居ないよ。っていうかお姉さん忘れちゃったの? あの人との一番思い出深いところ」
お姉さんが思い出したような顔をする。あの時見えた風景はお姉さんの思い出みたいなものなのだろう、あの風景を見たとき僕は「幸せ」みたいなものを感じていた。
「うん、そこで待ってなよ。そうすればいつか会えるから」
『ありがとう』
お姉さんは笑った。
「どういたしまして、僕には『応える』事しかできないから。いつか会えるといいね……文乃ちゃん」
彼女の名前を呼んでみた。もう、ここに陽炎は無いけれど。
―― 陽炎消失後。
「それにしても、つきあわせてごめんね」
明乃が心底申し訳なさそうな顔をする。それに明久は笑って答えた。
「別にいいよ。僕が行きたくて一緒に行ったんだから」
「そっか……ありがとう。君が一緒に行ってくれなかったら多分色々と大変だったと思う」
「どういたしまして、かな」
「それから、君って強いんだね」
明乃が明久の目を見ながら笑っていった。明久が少し困惑しながら答える。
「そうかな」
「……でもね、同時に脆いなって思うことがある」
「……」
明久は黙り込んだ。だけど、と明乃が続ける。
「多分、強くなれるよ。前だけ見てがむしゃらに進むのもいいけど、たまには振り返ってね。そこには大切な人が絶対に居るから、僕には居るよ。いっぱいね」
「……うん」
明久が少しだけ笑って答えた。頃合を見計らったように明乃の世界の紫が声をかけてきた
「明乃、もうそろそろ帰るわよ」
「あー、わかった。あ、そうだ」
明乃がふと思いついたかのように言い出す。
「?」
明久が首を傾げていると意地の悪い笑みを浮かべて明乃が言った。
「もう一つだけ教えておくよ。僕の名前は『吉井』明乃、異世界の『明久』だよ。君が心のどこかで呼んでくれれば多分『応える』から、ま、紫が連れて来てくれるかわかんないけど、それでも明久のためなら頑張るから、じゃあね!」
それだけ言うと、明乃は明乃の世界の紫が作ったスキマに躊躇なく飛び込んだ。
「え、えええええ?!」
少年の叫びだけが幻想郷に響き渡った。
―― 氷娘陽炎夢。 完
コラボはこれにて終了です。キャラクターを貸してくださった弧狗狸さん様、ありがとうございました。
訂正は随時受付中です。
それから地味にクロスオーバーってます。わかった方はそっと胸の奥にでも仕舞っておいてください。
スペカ紹介
凍雨『篠突く雨』
・冷たい雨を降らすスペルカード、炎系の弾幕を消す効果がある。
・ちなみに降る量がゲリラ豪雨並なので、まず行動できなくなる。
・明乃? 日傘持ってるから大丈夫だよ(オイ
白魔『ブリザード・モンスター』
・猛吹雪のような細かい白い弾幕を打ち出す。
・名前の由来は猛吹雪の異称である「白魔」とそれからイメージされる「モンスター」より
・普段はチルノはこんな弾幕使わないよ? 普段は