6月1日
二宮隊 ボーダーB級ランク戦 開始
栞)ボーダー本部基地のみなさん、お久しぶりです。そして、こんばんわ〜。所用で本部を訪れたら、桜子ちゃんに"折角だから〜"と、引っ張り出されたボーダー玉狛支部所属の宇佐美栞です。(メガネ"スチャッ!")
B級ランク戦初日・夜の部、本日の解説者は…
東)同じく武富に引っ張り出された東です。
餅)同じく…ではなく、東さんの隣を自ら志願した太刀川です♢(キラーン)
栞)おお、初日とあってなかなか豪華な顔触れ。さてさて、転送開始までもうちょこっとかかるみたいなので、今日は初日らしく、B級ランク戦の今シーズンの見所や留意点なんかをお伝えしていきたいと思います。
栞)まずは、今シーズンからB級に降格となってしまった元A級の二宮隊と影浦隊ですが、それぞれB級中位グループの最下位である13位と14位からのスタートとなります。また、今回は13位以下にはボーナスポイントがありません。よって初期ポイントは1位が12点、そこから段々に1点ずつ減っていって12位が1点となります。
また、二宮隊と影浦隊については、初戦でのステージ選択権がないので、初戦では、その次に順位が低いチームがステージ選択権を持つことになります。
餅)まぁ、その程度ならハンデにすらならんだろうけどな。
栞)太刀川さんのおっしゃる通り、昼の部において影浦隊は初回5点を挙げています。これから戦う二宮隊ともども、今シーズンの台風の目となることは間違いなさそうですね。それから大量得点と言えば、下位グループの人見隊が、早川隊と海老名隊を相手に一挙6得点を挙げています。
餅)おお、マジか!
東)夜の部の結果次第ですが、人見隊の中位入りはほぼ確実でしょうね。
栞)それについてなんですけど、私、桜子ちゃんから「東さんにどうしても真偽を確かめて欲しい」とお願いされてる噂がありまして、
餅)お、なんだ、なんだ⁈
栞)なんでも、人見隊の小荒井くんが、自力で中位入りする事を条件に東さんが人見隊に入る条件を取り付けたとか、
東)まぁ、大体はあってます(笑)ですが、昨シーズン泣かず飛ばずでもがいていた結果、私に泣きついてきた小荒井に、自力で中位入りする条件を付けたのは私です。結局、昨シーズンでは惜しくも中位入りを果たすことができませんでしたが、彼らはそれから一ヶ月間、自分達に足りないものを補い、また、得意とするところを伸ばして今回、わずか一戦で中位入りを果たしました。
栞)今、モニターに出ているのが昼の部の人見隊の試合ですね。おー、キレがイイ!
餅)確かに、昨シーズンとは動きが別物だ…特にこの連携のレベルは風間隊に次ぐとさえ言っていい。
栞)おお、太刀川さんから望外の褒め言葉が!
東)彼らは"努力は必ず報われる"と言うことを、その身を以て証明してくれました。
栞)うぅ、不覚にもウルっときてしまいました…太刀川さんも何か一言どうぞ〜。
餅)へ⁈あ〜、うんと…
栞)おおっと、そうこうしている間に各隊の転送準備が整ったようだ〜‼
餅)オイ!
栞)ますます目が離せないB級ランク中位戦!まもなくスタートです!
※
「遅れてすいません!」
目前の戦いを控えて殺気立つ作戦室に、ひゃみさんは開始ギリギリになって飛び込んできた。潤んだ瞳の下はマスクで覆われ、いつもは綺麗に整えられた髪型も今日は心なしかボサボサ気味だ。その姿はあまりに痛々しく、僕はかける言葉が見つからなかった。
「ひゃみちゃん、今日は無理しないほうがいいよ。」
犬飼先輩が真面目な口調で諭すが、
「これ以上、自分の落ち度で隊に迷惑はかけれません。」
とひゃみさんは頑なに拒む。
"自分の落ち度"と言う言葉が妙に引っ掛かった。それは単に先日の防衛任務のことを指していたのかもしれない。しかし、或いは同じ女性隊員として、鳩原先輩の失踪を止められなかった事への責任を強く感じているが故の言葉だったのかもしれない。
彼女は手早くオペレータールームの席に着いた。ひゃみさんが無理をしている姿を見ると、何故か、毎回胸が痛む。いっそ、彼女の手を引き、ここから抜け出せたらどんなに楽だろうか…
「時間だ。」
その威圧感が滲み出た声に、僕の宙に浮きかけた思考が現実に引き戻される。
「トリガー起動」
唯一の救いは、戦闘体になれば余計な事を考えなくて済むという事だ。己の肉体がトリオン体へと取って代わられる。毎度の事ながら、自分(俺)であって自分(僕)ではない、新たな自我が目覚める奇妙な感覚に襲われる。そしてー
(転送開始)
無機質なアナウンスと共に、俺の戦闘体は仮想空間へと転送される。ようやく思考も冴えてきた。
"今の俺がやるべきこと。それは剣を振るう、ただそれだけだー"
太刀川 慶
年齢 19歳
誕生日 8月29日
身長 180cm
血液型 A型
星座 おおかみ座
好きなもの うどん、餅、コロッケ、ランク戦で勝つこと