ぺディグリーすかーれっと   作:葉虎

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なんか知らないけど読者が突然増えた。

……なんで?

昨日の3連続が何らかの化学反応を起こしたのだろうか……


第10話

 

荒野を進むことしばし。

 

ようやく町に着いた。

 

結構大きい街だ。まぁ、俺の住んでたところに比べると大概都会なのだが…それでもそこそこ栄えているように見える。

 

取りあえず家にあったお金でカラコンを購入する。

 

……何色がいいだろう。やっぱり黒かなぁ。

 

あまり色素が薄いと緋の眼になった時にカラコン越しに瞳の色が変わった事を察知されるかもしれないし。

 

カラコンを何セットか購入して取りあえず公衆トイレで装着する。

 

ふむ…前世からコンタクトなんてつけた事ないからつけるときは凄いビビったし、付けた後もなんか違和感があるが…まぁそのうち慣れるだろう。

 

さて…次は

 

「やっぱり金稼ぎかな。それに住居も……」

 

あまり手持ちはなしな。

 

そして、俺はその両方を一片に手に入れられる都合のいい場所を知っている。

 

それは天空闘技場。

 

此処で200階まで行けば相当な額のお金が手に入る筈だし、確か住居も用意されている筈。

 

正に一石二鳥である。

 

取りあえず、天空闘技場へ向かうための交通手段を調べに電脳ネットが使える店に向かった。

 

店員に使い方を聞きながらどうにか調べた所、天空闘技場へは飛行船で行けるらしい。

 

その為のチケットも電脳ネットから手配できることが分かった。

 

だが…支払いは口座からの引き落とし。

 

そういえばそうだ。今後生きていく上でも銀行口座は必要になってくる。天空闘技場のファイトマネーもそこに支払われるし。

 

そして、改めて口座を作り。そこに幾ばくかの残り少ないお金を預けて。

 

チケットを手配する。もう手持ちは殆どない。

 

だが、折角なのでグリードアイランドについても調べようとしたのだが……

 

「……まともな情報がないな」

 

やっぱり、ハンター専用サイトじゃないと駄目なのだろうか?

 

だが、一般人でも知り得るだろう幾つかの情報が入手できた。

 

バッテラとかいう大富豪が買いあさっている事とかも。

 

そして、ヨークシンのオークションで毎年何本か競売に出されている事も。

 

グリードアイランドはどうにか一本だけでいいから欲しいな。

 

いざという時の逃走手段に使えるし。

 

だって、発を行えば一瞬でグリードアイランドへワープできるんだぜ?しかも出るときは国内の好きな年に送って貰える。

 

グリードアイランド→離脱のコンビネーションでその手の能力が無くても瞬間移動が可能なのだ。

 

それにグリードアイランド内のアイテムにも興味あるし。

 

「ま、でも目下のところは生活基準を人並みにしないとな」

 

とりあずはグリードアイランドの事を考えるのは一旦止めて、俺は天空闘技場へと向う事にするのだった。

 

 

 

さてさて…

 

飛行船に揺られて、天空闘技場へと到着した俺は早速手続きをし、一回戦を迎えた。

 

「なんだぁ?こんなガキが相手かぁ?」

 

対戦相手はレスラーのようなガタイのいいおっさん。

 

よかった…ちょっと不安だったんだ。

 

念能力者と当たったらどうしようって。まぁ、その場合は速攻で棄権するが。

 

ふむ…どうするか。

 

取りあえず、住居が用意される100階までは速攻で行きたい為、瞬殺の方向で。

 

100階以降は段々と苦戦するようにし、200階手前で勝ったり負けたりを繰り返してお金を稼ごうと思っている。

 

方針はそんな感じだが。どうやって戦おうか決めかねている。

 

俺の戦闘経験はお母様との訓練のみ。しかも念能力込みの。

 

流石に非能力者に念を使うわけには行かない。殺しかねないし、万が一生き残っても念に目覚められたら問題になりそうだし。

 

まぁ、纏は使うけど…。

 

多分、普通にやれば楽々倒せる相手だ。だが、それでは何の意味もない。

 

何事もやるからには何らかの自分の経験になるようにしたい。

 

だから俺は模倣する事にした。

 

目を瞑る。

 

思い出すのはお母様の流麗な動き…そして相手の力を利用しての…

 

開始の合図と共に突っ込んできた相手の服を取り、そのまま地面に叩きつける。

 

「し、勝者クラン!!」

 

駄目だな。今のは力技で強引に投げに行ったに過ぎない。

 

むぅ…難しい。

 

「君は10階まで行きなさい」

 

「……あ、はい」

 

呆けていると声を掛けられたので言われた通りに10階へと向かう事にする。

 

それからの試合。

 

俺は相手の悉くをお母様とは雲泥の差の半ば強引な投げで沈めていき。

 

1週間で100階に到達し、個室を得た。

 

「ふぁああ…幸せだ」

 

久しぶりの布団。ふかふかのベットにダイブし俺は幸福に浸る。

 

里を出てからは野宿の毎日。

 

天空闘技場へ来てからも、泊まる金なんて無いので……公園などでやっぱり野宿。

 

なんだろう……やっと文明人としての尊厳を取り戻した気がする。

 

とりあえず今日一日はゆっくり休んで。

 

明日から試合と…念の修行を再開する事にしよう。

 

今までは中断してた。まぁ、系統別の修行で纏と練くらいは行っていたが。

 

だが、拠点を得た今…再開しても良いだろう。

 

お母様から託されたこの力を後世に継ぐ際に…俺自身念の練度を高めなければならない。

 

別に継承自体は子供さえ作れば可能だ。だが、しかしである。

 

爺様、お母様の念能力の練度に比べて俺はまだ未熟。

 

子供にお父さんの念はしょぼい…なんて思われてしまうかもしれない。

 

それは嫌だ。俺にも人並みのプライドってもんがある……。

 

だからこそ、俺は後世に受け継いでも恥ずかしくないように磨きを掛けねばならない。

 

それだけじゃない。これは俺の身を護る事にも繋がる。

 

この世界は危険と隣り合わせ。目下の死亡フラグであった旅団から逃げたとしても…俺が生きていくうえで、緋の眼がある以上、他の人間よりも狙われる可能性が高いのだ。

 

だから、自分の身を護る為の力がいる。

 

俺は町に出て適当な空き倉庫を借りる。

 

別に広さは無くてもいい。

 

自分で作るから。

 

緋の眼状態になり…

 

【幸福の青い鳥の鳥籠(ハピネスアレスト)】

 

目の前に慣れ親しんだドーム状の結界を作り出し…

 

【鳥籠の幸福空間(ケージオブエンヴァイロメント)】

 

結界の中を操作する。

 

取りあえず重力は三倍、空気は通常の薄さの三分の一の四次元空間に。

 

時の流れは変えない。

 

何れも俺が受け継いだお母様の能力だ。

 

若干の寂しさを感じつつも、俺は結界の中に入った。

 

 

 

結界の中に入った俺は、その場に座り込み。自身の能力を把握する事から始めた。

 

爺様、お母様から受け継いだ能力を含めて…俺が使える念能力は現在6つ。

 

 

【強欲な小学生の巾着袋(ジャイアニズムポーチ!)】具現化系

 

【モグリの医者の愛用薬(ケミカル・オブ・ブラックジャック)】変化系

 

俺が覚えた能力。

 

【幸福の青い鳥の鳥籠(ハピネスアレスト)】変化系

 

【鳥籠の幸福空間(ケージオブエンヴァイロメント)】変化系

 

お母様の能力。

 

何れも効果は分かっているし、お母様の能力は実際に使っているところも見たのである程度の使い方は分かる。

 

問題は爺様の能力。

 

【受け継がれる神様の特典(ネンハイチダイニシテナラズ)】特質系

 

俺に使われた念能力を継承する能力。此れに関しては今はいい。血縁者に使えない以上、今は使用不可だし。

 

……名前に若干のつっこみどころがあるがひとまず置いておく。

 

そして問題はもう一つの能力。

 

【永遠の中二病(エターナルオブドリーム)】特質系

 

……うん。もうちょっと何とかならなかったのだろうか?名前。

 

ま、まぁいい。重要なのは名前よりも中身なのだ。

 

 

とりあえず使ってみる事にする。

 

この能力は特質系の為、緋の眼状態じゃないと使えない。

 

先ほどの緋の眼の状態のまま使ってみる。

 

【永遠の中二病(エターナルオブドリーム)】

 

能力により具現化された本……というより、あんちょこが手に現れる。

 

別にこの本には殆ど能力がない。言うなれば能力を使う為に必要なものが記述されているというか…いや、使う際に必ずしも此れが必要かと言えば不要と言えるだろう。

 

暗記できれば。

 

「………」

 

パラパラと記述されている内容を眺め……そっと閉じた。

 

うん。予感はしてたけど…確信に変わった。

 

「爺様は…俺と同じ転生者だ」

 

あんちょこの中身の文字は見慣れた日本語、所々に英語、ドイツ語が混じっている物だったのだから。

 

【永遠の中二病(エターナルオブドリーム)】

 

その能力は唱えた詠唱の効果がその原作通りに発揮されるという物。

 

前提条件はない。例えば詠唱以外に何らかの条件が必要だった場合それは無視される。

 

必要なのはオーラと詠唱のみ。それで原作で本来の術者が使用する効果と同等の効果を発揮する。

 

……うん。

 

「こんなの俺みたいな転生者じゃないと意味分からないって」

 

第一、日本語なので詠唱が読めない。それに原作とか言われてもなんのこっちゃである。

 

再度、あんちょこを眺める。

 

其処には俺の知っている…詠唱もあれば知らない詠唱もある。

 

能力的にはこのあんちょこに載って居ないものも使えるのだが、肝心の詠唱を俺は覚えていない……つか、覚えてるやつがどうかしてる。

 

爺様は覚えていたのだろうか?

 

つか予測だが、爺様は転生時に何らかの能力を神様辺りから貰ったのではないだろうか?

 

受け継がれる神様の特典……この名前がまんまだし。

 

つか何この差。俺には何もなかったのに。

 

あれか?前世の俺の家が特にこれと言って神教って訳じゃなかったからか?仏教も齧ってたからか?どこの家も大半はそんなもんだろ。

 

……もういいや。

 

今日から修行と意気込んだが…なんかどっと疲れたので帰って寝る事にした。




うちの爺さんはチートだった物語。


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