ぺディグリーすかーれっと   作:葉虎

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活動報告でも述べたけど。

データが消えるという危機に遭遇した。

怖いので書き溜めはやめて、投稿しようと思う。

データが消えるという現象は半ばトラウマになってるんだよなぁ。

幼少の頃…ドラクエ5で。

何回消えたことか…。

あのBGMもそうだよ。あれ、不吉すぎるだろ。


あ、話を戻しますが長くなったので2話に分けました。


第13話

 

「どうしてくれるのですか?犯人を逃がしてしまったではないですか…」

 

少女が叱責をする。

 

言われてもしょうがない。

 

当初の目的を完全に忘れて犯人そっちのけで追いかけっこをしていたんだ。

 

だけど…

 

「いや、君もだよね?」

 

それはこの少女にも言える話だ。

 

「し、仕方がないではありませんか……あんなこれ見よがしに私の少し前を走られては」

 

負けるのは嫌なので追いかけざるを得ないと少女は言う。

 

「まぁ、でも結局は俺の勝ちだけどね」

 

「……はぁ?何を言っているのです?勝負は引き分けでしょう」

 

は?何故そうなるんだ?

 

「どちらも犯人を捕まえられなかった以上。引き分けです。」

 

いやいや、単純にどっちが速かったかじゃないの?

 

転んで、怪我して走れなくなった君の負けだろ?

 

そう思ったが口に出すのをなんとか堪えた。

 

この子はあれだ…所謂負けず嫌いという奴だ。

 

しかも相当厄介な。

 

仮に明確な勝負を改めて行い、俺が勝ったとしても勝ち逃げを許さず。

 

その時は自分の負けを認めても、最終的に自分が勝つまで止めないタイプだ。

 

「あぁ、じゃあ引き分けだな。んで、大丈夫か?」

 

あの速度から派手にすっ転んだからなぁ……。

 

「だ、大丈夫です」

 

そう強がる少女。だが…

 

「……なら、立ったらどうだ?」

 

「た、立ちます。立ちますとも……ほ、ほら立ちましたよ」

 

よろよろと立ちあがる少女。

 

ただし、左足一本で。

 

さらに血で白い靴下が赤く染まっている。

 

ったく。

 

「なんでそんな無理するのさ」

 

言いつつ、ちょんと少女を小突き、体制を崩させた後そのまま、抱きかかえて、地面に降ろす。

 

「な、何をするのです!ま、まさか私の身体に欲情して……」

 

なにやらブツブツと被害妄想染みている少女を無視して、怪我の具合を確認する。

 

骨は…大丈夫そうだな。捻挫と後はあちこち傷だらけだな。

 

う~ん。まぁいいか。久々に見た美少女だしな。……まぁ、美しさは母様には劣るが。

 

【モグリの医者の愛用薬(ケミカルオブブラックジャック)】を発動させる。

 

この能力で変化できる薬の種類は全14種。それぞれ薬効が違う。

 

区別化の為、薬効ごとに名前を付けている。

 

そして、今回変化させるのは。

 

ありとあらゆる傷を治す。すごいきずぐすり

 

肩凝り、捻挫などに聞く。サロンパァァス

 

この2種類。

 

順番に患部に振りかける。

 

すると…

 

「なっ、痛みが…」

 

見る見るうちに腫れが引き、傷が塞がる。

 

元々、俺のこの能力は継承前は此処まで効き目は無かった。

 

精々、市販の薬よりも治りが速いくらい。

 

しかし継承後は変化系だったお母様のノウハウを引き継ぎオーラの量が増え、一回能力を使う際に使用するオーラの量を増やしたせいか。

 

格段に効き目が向上したのである。

 

「此れでもう立てるだろ。」

 

「な、何をしたのですか!?」

 

驚く少女を改めて、見てみる。

 

あれ…

 

この子…もしかして念を知らない?

 

……マジ?それなのに俺に着いて来れたの?

 

いや、オーラは走る際に使ってなかったけどさぁ。

 

「あー…えっと…ち、超能力?」

 

く、苦しい……

 

「……超能力ですか。確かに和尚も幽霊が見えるとか仰っていましたし。ボケが始まってしまったのかと戦々恐々して信じて居なかったのですが、現実に私の怪我が治りましたし…。世の中は不思議な事で溢れていますね」

 

信じたーーー!!なんだこの子。見た目は美少女なのに実は残念な子なのでは?

 

「あ、えっと…できればこのことは内緒にしてもらうと助かる。ほら下手に知られるとさ……色々と」

 

「そうですね…心無い者に知られれば…これほどの超能力です。我が物にしようとする輩も出てくる事でしょう。分かりました…他言はしません。」

 

「じ、じゃぁ。俺は此れで…」

 

そそくさと去ろうとする。あまり関わりあいにならない方が良い。

 

だけど…

 

がっしと腕を掴まれる。

 

「待ってください。まだお礼が住んでいません。受けた恩にはしっかり報いるのが…シラヌイの家の家訓です。」

 

知らないのか?美少女からは逃げられない。

 

 

 

 

無駄だと思いつつも犯人を捜しながら道中を歩く。

 

そして…少女。名をオウカ・シラヌイ嬢に案内されたのは和風建築の一軒家。

 

豪邸…とまでは行かないが、広い庭に道場まで付いている。

 

かなり裕福そうな家に見える…が……。

 

「あ、靴はまだ脱がないでください。床がささくれてて危険ですから」

 

思いのほか建物が古かった。

 

確かに…よく見れば結構年季が入った建物だ。

 

しかし補修もままならんとは……。

 

っとと、あんまり不躾に見るのも失礼だな。

 

そう考え、きょろきょろするのは止めて少女の後に大人しく続く。

 

「ととさま、かかさま、ただ今帰りました。」

 

この先は畳だからと靴を脱ぐように言われ、その靴を脱いでいるとオウカが部屋の外から声を掛け、一寸待ってから両手で静かに襖を空けた。

 

そして中にはダンディーなお髭を持ったおっさんと、黒髪を結い上げた着物が似合う女性が出迎えてくれた。

 

その女性に息を飲む。

 

自己主張を忘れない豊満な乳房にキュッと引き締まった腰…安産型のお尻。

 

優しそうな瞳は温和な雰囲気を醸し出し、左の目元には泣き黒子。

 

錯覚か?

 

藤の色をした和服なのに…黒い…喪服に一瞬見えた。

 

な、なんとういう俺の理想の未亡人。

 

ど、どストライクです。

 

夫が居るから未亡人じゃないけど……で、でもでも。

 

そんな風に目を奪われ、固まっていると…

 

「…かかさまを邪な目で見るな」

 

隣にいたオウカにどつかれた。

 

そんな俺達を尻目に中の二人は…

 

「さ、サクヤ!サクヤは何処だ!!」

 

「先ほどからずっと隣にいますわよ」

 

「お、おおお、おおおオウカが男を釣れてきた。じゃない…連れてきたぞ!」

 

「そのようですねぇ。とっても綺麗な男の子……オウカったらメンクイだったのね♪」

 

「な、ななな何を落ち着いている!?は、はやく結納の準備だ!!」

 

「あらあら」

 

……なんか不穏な事を言っているぞ?

 

「見た目はあんなにも可憐な少女に育ってくれたのに…オウカときたら剣以外に興味を持たず…男友達はおろか、女友達ですら殆ど居なかったんだぞ!?はっきり言って、剣以外に取り柄がない娘なんだぞ!?」

 

ひ、ひでぇ…。父親の余りの言葉に唖然とする。そしてプルプルと顔を赤く染めながら震えるオウカ。

 

「分かっていますよ。お料理は材料を消し炭にしますし、お洗濯をすれば衣類をボロキレに……お掃除を任せたら逆にゴミが増える始末…」

 

ま、マジか?ちらりとオウカを見る。俯いてしまい。その表情はうかがえない。

 

だが、耳まで赤くなって来て…震えも一層増す。

 

「うちは一人娘だ。剣一筋で見合いをしようにも隣近所や親類の男どもが敬遠してしまっているオウカだ」

 

「やはり、最初のお見合いで真剣を抜いたのが悪印象を与えてしまったのでしょう」

 

拳を構えるオウカ。やはり震えている。

 

あぁ、八つ当たりは勘弁してね。殺るなら回れ右だ。

 

「あぁ、婿の為り手が見つからない今、オウカの代でシラヌイ流剣術もシラヌイの血も絶えてしまうと…そう危惧してたところにだ…男を連れて帰ってきたんだ!いいか?婿殿を絶対に逃がす…へぶっぅ!!」

 

「……今、この手に刀がない事を幸運に思う事です」

 

は、速ぇ。

 

神速の踏込。

 

一瞬姿がぶれたように見えたぞ。

 

先ほどからえらい言いようで、見た目のダンディーさが欠片も無くなったおっさんは、オウカに殴られ、畳に沈み。

 

「わ、私は夕飯の支度をしてくるわね」

 

母親の方はそそくさと部屋を去って行った。

 

え…えっと…

 

「クラン…此処には老害どもが居ます。道場の方へ行きましょう」

 

いや…老害って

 

実の父親をKOした拳を見せられ、無表情でそう告げられ、断る勇気は俺にはなかった。

 

 

 


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