ぺディグリーすかーれっと   作:葉虎

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第19話

唯でさえ注目を集める容姿をしているオウカ。

 

だが、先ほどのやり取りで尚も注目を集めてしまっている。

 

しっかし…

 

「なんですか?」

 

いやはや…サクヤさん見てたし、その片鱗はあったけど美人になったなぁ…こいつ。

 

此れで性格がおしとやかなら完璧なんだが……。

 

しっかし惜しいな…

 

初対面なら多分惚れていたかもしれない。

 

だが…昔、一緒に暮らしていたこともあり…

 

オウカはなんというか……妹という感覚が強く女性として見る事が出来ない。

 

まぁ、やたらと婿だのなんだの進めてくるおっさんが居たせいで半ば辟易していた事もあるが……

 

「いや、どうするんだよ。注目の的じゃねーか。」

 

「他者の視線など…気にしていても仕方がないでしょう。いいえ、むしろ他者の視線があるからこそ、シャンとしていなければなりません。ほら!」

 

「…日本刀で小突くのは止めろ」

 

そこに…

 

「くくく…いいねぇ~。二人とも美味しそうだ♡」

 

来た……奴が来た。

 

思わず身構える。俺とオウカ。

 

「……あなたですね。先ほどのトランプは」

 

「……凝は怠るなよ」

 

「分かっています」

 

教えた事は身に付いているようだ。

 

それを嬉しく思いつつ、見据える。

 

うげぇ…なんかあそこが盛り上がってるんですけど…

 

「ますますいい♡あぁ、そう身構えなくても良いよ。いま戦う気はないから。君たちはもっと時間を掛ければ美味しくなりそうだし♢」

 

じゃあ何しにきやがった変態。

 

「僕の名前はヒソカ……ちょっとした挨拶に来たんだ♤君たちは?」

 

「む?名乗られたからには名乗り返すのが礼儀ですね……私はオウカ・シラヌイです」

 

「……俺は名乗りたくない」

 

こんな変態に名前を覚えられたら大変だ。

 

俺の言葉を聞いて、本当に戦う気は無かったのだろう。

 

つれないなぁ…と呟いてヒソカはあっさりと引き下がった。

 

「…この礼儀知らず……私だけが名乗ってしまったではないんですか」

 

いや知らんがな。自分で名乗ったんでしょ?

 

「あぁ、いちおうこの試験中は俺、セタンタってなのってるから呼ぶならその名前で宜しく」

 

「偽名まで使っているとは……まぁ、何か事情があるのでしょう。細かい事は聞きませんし、無暗にあなたの名を広げる事もしません。安心してくださいクラン」

 

……態とやってるのかこのアマ。

 

まぁいい。

 

取りあえずオウカの事は置いておいて、受験生を確認する。

 

目下、注すべきは念を覚えている奴らだ。

 

まずヒソカ、次にそこでカタカタやってる…中身ゾルディック家。

 

そして、オウカと……

 

「ん?」

 

あんなの原作に居たか?

 

もう一人…纏を使っている女性が居た。

 

その女性は長い金髪にサングラス。

 

ジーンズにTシャツ…その上から薄手の上着を羽織っている。

 

そのジーンズが彼女の細い足と腰を強調しているように見える。

 

胸はあまり大きくはないが…スレンダーという言葉が似合うだろう。

 

サングラスで目元は見えないが…相当な美人と伺える。

 

そんな女性の様子を伺っていれば、俺達と同様ヒソカがちょっかいを掛けに行き……

 

どんなやり取りをしたのか、ヒソカは機嫌良さそうに去って行き、女性は苦虫を噛み潰したような顔を浮かべていた。

 

そうやって注意すべき人間を伺っていると…

 

「よう…久しぶりだなあんちゃん」

 

見覚えのあるおっさんに話しかけられた。

 

「あぁ、テンパさん」

 

「トンパだ!まぁいい、暫く見かけなかったが懲りずにまた受けに来やがったんか…」

 

さぁ、そうそうトンパだ。

 

過去にハンター試験を受けた時に何度か話したことがある。

 

「まぁいいや。お互いに頑張ろうぜ。あぁ、そうそうジュースがたくさん余ってるんだ一本どうだい?あぁ、安心しろよ。手の内を知ってるあんちゃんだ。変な物は入れていない。」

 

……信じられる訳もない。

 

「いや、自前のものがあるからいい」

 

「あ、私にも下さい。久しぶりに飲みたくなりました」

 

「……似たようなのは売ってると思うけど」

 

「あなたのは味が微妙に違うんですよ」

 

いいつつ、巾着袋からコ○ラの入った水筒とコップを2人分取り出す。

 

言わずもがな強欲な小学生の巾着袋である。

 

最近は常時具現化しっぱなしで腰にぶら下げていたりする。

 

いや、下手に出したり消したりするのを見られても言い訳が面倒だからな。

 

この能力はオウカも知っており…

 

「相変わらず…便利な能力ですね」

 

手渡すとオウカは早速ストローでちゅ~とすする。

 

ううん。ギャップが…

 

「お前の恰好ならお茶とかの方が似合いそうだけどな」

 

言いつつ俺も一口すすり……一次試験の始まりを待つのだった。

 

 

 

そして試験官が到着し、一次試験が始まる。

 

一次試験は試験官に着いていく…耐久マラソン。

 

俺とオウカも周りの受験生に習い走っている訳だが……

 

「……こうしていると初めて会った時の事を思い出しますね……」

 

「そうだな……」

 

並んで並走しながら、試験官を追いかける。

 

「………」

 

「………」

 

だからだろう。

 

何時の間にか中盤位に居た俺達は…

 

トップ集団に躍り出る。

 

示し合わせたわけでもない。

 

だが…じわじわと走るペースが上がってゆく。

 

俺が上げればオウカが並び…

 

オウカが上げれば俺も追いすがる……

 

「……ふふ…」

 

「…あは」

 

何だろう。久しぶりに楽しい……。

 

「……あの頃の私とは違いますよ?」

 

「……確かに…。けど前のあれが俺の全力だとでも?」

 

互いに目を合わせる。

 

言葉は不要。

 

やりますか?

 

やるか?

 

そして過ちは繰り返される。

 

 

今回は徐々にではない。

 

視線を合わせた瞬間…ギアをフルスロットルに。

 

俺達は弾丸となって駆ける。

 

トップ集団を置き去りに…

 

試験官をぶち抜き……。

 

ただただ目の前の道を疾走する。

 

違うのは俺に余裕がない事

 

オウカめ……。

 

速いじゃないか…

 

今回はオーラも使用している。

 

はっきり言って、速度は前回の非じゃない。

 

なのにしっかりと着いて来る。

 

そして俺達の決着は……

 

「……行き止まりか」

 

「そうみたいですね。また引き分けですか」

 

道が途切れた事でついた。

 

「……んで、試験どうするんだよ?」

 

頭が冷えた事で現状について話す。

 

走っている際にいくつもの分かれ道があった。

 

正しい道は当然のことながら知らない。

 

流石にいい加減、受かりたいんだが…

 

「取りあえず来た道を戻りましょうか…」

 

「お前、円は?」

 

「あまり得意ではありませんね。」

 

「じゃあ俺が使う…。何らかの気配をキャッチしつつ、正しい道を探そうか…」

 

俺達は先ほどよりペースを落とし、合流すべく駆け出す。

 

そして…

 

どうにか…討ち死にしている受験生の気配を辿りつつ…

 

ルートを割して…

 

丁度、長い階段を上り始めようとしている集団に追いついた。

 

その中に…先ほどは人込みで分からなかったが見覚えのある一人の男を目撃する。

 

クラピカ……。

 

そして隣を走る汗だくなのはレオリオか?

 

そして…その脇を抜けようとした所で…

 

「ぜぇ、ぜぇ、あ、あいつら…な、なんで後ろから…」

 

「た、確かに…あの二人は前に居たはずだ」

 

2人の会話が聞こえてくる。

 

つかレオリオ…苦しいなら無理に喋らない方が良いぞ?

 

まぁ、それは置いといて、俺達はこの二人に覚えられていたらしい。

 

目立つからね。隣の残念大和撫子が…

 

「むぅ…?なんですか?何やら謂れもない中傷を受けた気がしますが」

 

相変わらず勘が鋭い奴だ。

 

そして階段を上りきり、試験官が説明を始める。

 

ヌメーレ湿原、通称…詐欺師の塒。

 

そこに…

 

「騙されるな!!」

 

試験官に似た男が偽物だと騒ぎ出した。

 

何人かは疑いの眼差しで、引率してきた試験官の方を伺っている。

 

「オウカ…どう思う?」

 

「どう思うも何も……あっちはあからさまに…っ!?」

 

話の途中で数枚のトランプが偽物だと騒いでいた男に投げられた。

 

いや、他にも数枚。

 

引率していた試験官。

 

俺。

 

オウカ。

 

金髪美女にそれぞれ投げられる。

 

「…さんきゅ。オウカ」

 

「必要はないとは思いますが…ついでなので」

 

俺の分は隣にいたオウカが自分に向けられた分と合わせて、刀を抜き細切れにした。

 

他の二人も無事な様子だ。

 

たった一人…

 

偽物だと騒いでいた男は猿へと姿を変え、

 

トランプがあちこちに刺さりそのまま絶命した。

 

くそ、あの変態め…なんで俺達まで……。

 

その変態は悪びれる態度を欠片も見せず…

 

試験官に次に攻撃したら失格にすると忠告を受けていた。

 

甘い…

 

甘いよ。この場で失格にしろ。

 

 

そうヒソカを注意した後、またマラソンが始まる。

 

ヒソカが殺気立っているので出来るだけ距離を取りつつ…

 

ちらりと視線を向ければ、当然のように隣を走っているオウカと視線が合う。

 

「………」

 

「………」

 

「…やんないよ」

 

流石に三度目の正直。

 

「……いつか必ず決着を…」

 

「あぁ…」

 

決着をつけるときが来れば、必ず勝てる手段…

 

死世界・凶獣変生を使おうと思う。

 

 

 

死世界・凶獣変生

ニブルヘイム・フェンリスヴォルフ。

 

 

その効果はどんな速度や行動であろうと必ず誰よりも速く動くことができるというもの。

 

……欠点はあれだな。

 

詠唱が完了するまでに時間が掛るって事だな。

 

そんな事を考えつつ、大人しく試験官の後に続き、二次試験会場へと向かうのだった。




さて、最後に能力名だけ出しました。

ウォルフガング・シュライバー。この能力をもともと使ってる人です。

Dies iraeの登場キャラです。

そして、主人公が好きなキャラです。

いいや、正確にはキャラが好きなんじゃなくて…

名前が好きなんですけど。

ウォルフガング・シュライバー……

なぜだろう。思わずいい発音で口ずさんでしまうのは…

カッコいいよねシュライバー

特にシュライバーが。

シュライバーだぜ、シュライバー…。


こ、コホン。すまん…興奮してた。

よいよ原作に突入。

回避?させねぇよ。

もっとスマートにできればよかったんだが、これが俺の全力全開。

さて出てきた金髪女性。

たぶん、気づいてるんじゃないかな正体に。

今後、先ほどからくどいくらいに連呼した名前からイを取った展開が発生するかも……。


あとヒソカなんですけど、トランプのマークのうち、クローバーだけ変換されないんだけど……。

どうしよう…。

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