ぺディグリーすかーれっと   作:葉虎

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パルプンテに追い付き、追い越してしまった。


第20話

 

一次試験が終了し、二次試験が始まった。

 

課題は料理である。

 

「オレのメニューは豚の丸焼き。オレの大好物!」

 

ブハラと名乗った大男のお題は豚の丸焼きだ。

 

それくらいなら俺でも捕まえられそうだ。

 

そして各々…近くの森の中で豚の捕獲に乗り出した。

 

さてっと…

 

円を使用し、豚を探す。割とすぐ見つかった。

 

なんて便利なんだ円…。

 

つか豚?物凄い強暴そうなのですが…

 

だがまぁ関係ない。

 

フゴーーー!!っと突進してきたのをひらりと避け、適度に強化した拳をテンプルにお見舞いしてやる。

 

よし、仕留めた。

 

後は調理だな。

 

とと…近くを見れば俺に着いてきていたオウカも豚を仕留めている。

 

そして、二人でそれぞれ調理を開始したのだが…

 

「……ちょっ」

 

「なんです?」

 

いきなり豚を焼き始めたオウカ。

 

いや、血抜きとか内臓位取ろうよ。

 

……まぁ、喰うのは俺じゃないからいいけど…

 

そんなオウカに戦慄しつつ、自分の分を調理する。

 

そして…

 

 

「あ~もーおなかいっぱい」

 

豚の丸焼き…約七十頭完食しやがった。

 

……すげぇ…無駄に。

 

日々の食費が掛って大変だろうなぁ。

 

「もう全員合格なんて甘過ぎよ!でも、あたしは、ブラハと違ってカラ党… 審査も厳しくいくわ!」

 

そして二次試験の後半戦が始まる。

 

お題は…

 

「あたしのメニューはスシよ」

 

殆どの者が首を傾げている中、あからさまに喜んでいるハゲ。

 

お前忍者だろ。もっと表情隠せよ。忍べてないぞ。

 

「ふふん。大分困ってるわね……ま、知らないのもムリないわ。小さな島国の民族料理だしね」

 

美味いのに…勿体ない事である。

 

「スシはスシでもニギリズシしか認めないわ!それじゃスタート。あたしが満腹になった時点で試験は終了よ。その間に何コ作ってきてもいいわ!」

 

さてっと…

 

どうしようか?

 

寿司を知っているのはこの場に恐らく三人。

 

俺とハゲとオウカだ。

 

何より…

 

くいくいっと裾を引かれる。引いたのはオウカ

 

「なんだ?」

「ストック…ある?」

 

巾着袋を見ながらそう尋ねる。それと対になっているノートを開いて…。

 

「あるな……要るか?」

 

「要る…正直、材料があっても作る自信がありません」

 

……まぁ、別にケチる事ないだろう。結構たくさんあるし、

 

「良いぞ。でだ…ネタどうする?」

 

どうしよう…。

 

「アナゴ。私あまり好きじゃないから」

 

「駄目だ。俺、アナゴ好きだから…俺はイカにするかな。食えない事ないがそこまで好きなネタじゃない」

 

「じゃぁ…サバ」

 

サバか…まぁいいか。そこまで好きなネタじゃないし。

 

そう相談していると…

 

「魚ぁ!?お前 ここは、森の中だぜ!」

 

レオリオがそう叫んだ。

 

一声に魚確保に走る受験生。

 

これは好都合。

 

俺とオウカもその後に続き、人気がないのを確認して、皿と寿司を巾着袋から取り出して、それぞれイカとサバを盛り付ける。

 

んで、受験生たちが戻ってくる前に急いで試験官の元へ向かう。

 

まずは俺から…

 

「ほい、お題の寿司だ」

 

「!?速いわね…って、これは。あんた…いえ、あんたたち知ってたわね?」

 

驚くメンチ試験官。良いから食え。

 

「それに…イカよね……どうやって手に入れたの?」

 

「企業秘密だ。良いから食べてくれ」

 

「……良いわ。味を見てあげる。余りにも不味かったら…合格は……って、美味しい!?ネタとシャリのバランス。シャリは適度に握られていて、ほろほろと崩れる……。これはプロ業ねあんた、何者?」

 

「ただの受験生だ。んで、結果は?」

 

「……受験番号217番。あんたは合格よ」

 

おっし、楽勝。ありがとう大将。

 

「次は私の番です。どうぞ」

 

「こっちはサバ……。グルねあんたたち。まぁいいわ。手を組んじゃいけないっていうルールがあった訳じゃないしね。味も…こっちもプロが握っているわね。文句ないわ。受験番号320番。あんたも合格」

 

よし、二次試験クリアっと。

 

「アンタたち、スシの事は……」

 

「黙ってればいいんですよね?」

 

「話が早くて助かるわ。それじゃ、あんたたちは終わるまで自由にしてなさい」

 

……ふむ。

 

「どうするよオウカ…」

 

「見てたらお腹が空きましたね……。残ったネタを食べませんか?」

 

そうだなぁ。俺も腹は減ってる。

 

此処に来る前にステーキ定食を食べけどマラソンでカロリー消費してるしなぁ。

 

「いや、でも答えの寿司をあからさまに食べる訳にもいかないだろ。……う~ん…幸いコメはあるし。海鮮丼でも作って食べないか?」

 

「!?イクラ…イクラはありますか!?」

 

凄い喰いつきよう。あぁ、そういえばイクラ好きだったっけ?

 

「あるよ。俺はどうしよう……ウニとネギトロと…」

 

ヤバい涎が。

 

巾着袋からウニ、イクラ、ネギトロなどを取出し、どんぶりに用意された米を盛り、ふんだんに盛り付ける。

 

イクラは途中でオウカにパクられた……って…

 

「欲張り過ぎだ。溢れてるじゃねーか」

 

「ふふ…イックッラ♪イックッラ♪イクラちゃん~~♪」

 

ばぁーぶぅー。って、キャラ壊れているぞ。そこまで好きだったっけ?

 

って…うぉっ。声。

 

物凄い視線を感じてそちらを見るが、メンチさんがメンチを切っていた。

 

目で私にも寄越せと言っている。

 

取りあえず…見なかったことにする。

 

そして、わさびを適量添えて…

 

ぐるっとしょうゆをまわしながらかけて…。

 

「「いただきます…」」

 

2人で手を合わせてから匙で一口……。

 

……美味ぇええ。

 

「はふぅ~♪」

 

オウカの口からも何やら色っぽい嘆息が。

 

「よく…よく。この能力を作ってくれました」

 

そしてオウカは上気した顔で撫で回す……俺の巾着袋を。なんか卑猥だが比喩表現じゃないぞ。言葉の通り、腰にぶら下がっている巾着を撫でているのだ。

 

そこに…

 

ダン!っと大きな音がする。

 

その音の方を見れば…

 

「ひっ!?」

 

思わず声が漏れる。

 

怖い…怖いよメンチさん。

 

見れば、オーラを纏った箸がテーブルに突き刺さっていた。

 

そんなメンチさんをブハラさんが必死に宥めている。よし、ブハラ頑張れ…超頑張れ…。

 

我関せずと言った風でイクラ丼を食べ続けるオウカに続くように俺も海鮮丼を食べていると…。

 

ちらほらと受験生が帰ってくる。

 

帰ってきた受験生は試験中に普通に飯を食べている俺達を奇異の目で見たあと、自分の作業に戻って行く。

 

そんな中…

 

「あ、美味しそう。ねぇ、何食べてるの?」

 

物おじせずに声を掛けてくる一人の少年。

 

……ゴンだった。

 

主人公だった。

 

うん、つか……。

 

コミュ力高けぇぇぇ。

 

よく見知らぬ人にそう気安く声を掛けられるな。

 

しかもそんな純粋な眼で…。

 

「あ、うん。海の幸をふんだんに使った海鮮丼なんだけど…一口食べてみる?」

 

なんだろう…。

 

ゴンに釣られるようにそう返していた。

 

……自分で言うのもなんだが俺はそんな社交的な性格ではない。

 

つか、人見知りだ。

 

なのに…なんだこれは。

 

此れが主人公のスキルなのか?

 

「え、いいの?食べる食べる」

 

「おいゴン!知らねー人間に食べ物貰うな!!それにそんな得体の知れない物…プチプチした気持ち悪いもの…美味くなんてねぇって!」

 

「前半には同意するが…レオリオ、実際にそれを食べている人間の前で失礼すぎる。」

 

ゴンを止めて、暴言を吐くレオリオ。それを窘めるクラピカ。

 

レオリオが言っているのは恐らくイクラの事だろう。

 

オウカがさぞかし怒るだろうと表情を伺えば…

 

うわぁ、何その見下すような視線。

 

怒る価値もないと言った風のオウカ。まぁ、怒り狂われるよりいいが…。

 

まぁ、それよりも。

 

俺はクラピカの様子を伺う。二度目の接触だが…どうやら俺がクルタ族とは気づいてないみたいだ。

 

まぁ、里でも殆ど話してないし、眼の色違うし、年齢も修行のせいで何歳か老けてるから気付かなくても無理ないかもしれないが…。

 

「んで、どうするんだ結局。」

 

「貰うよ。美味しそうだし」

 

ふむ、いい子だね。ゴン君は。

 

俺は新しい匙を取出し、ゴンに渡す。

 

「美味しい……こんなの食べた事ないよ!」

 

そうだろう……結構いいやつだよそれ。お値段もそれなりにした一品達。

 

「マジかよ。俺にも一口くれよ。」

 

「えっと…キルアにもいい?」

 

「あぁ、いいぞ。」

 

「……本当だ。美味い。」

 

そうだろ、そうだろぅ…あぁ、今頃物欲しそうな顔してもだめだ。レオリオお前にはやらん。

 

キルアからどんぶりを返して貰いつつ…

 

「んで、のんびり食べてていいのか?試験の方は?」

 

「あ、そうだった。あれ?でも…えっと…」

 

「名前?俺はセタンタ。んで、あっちの一心不乱にどんぶりをかっ喰らってるのがオウカ」

 

「そっか…セタンタにオウカ。えっと、俺の名前はゴン」

 

「俺、キルア。さっきのマジでうまいな。どこ行ったら食えるんだ?」

 

「あぁ、ジャポンだ。もっといろいろな美味い物がある。一度行ってみるといい。」

 

「そうなんだ。一度行ってみたいなぁ~。じゃ、無くて、セタンタとオウカは試験は?」

 

「あぁ、俺達もう合格してるから」

 

ゴンとキルアに自己紹介をしながら質問に答える。

 

そしてその言葉に聞き耳を立てていたレオリオが反応する

 

「何ぃ!?それじゃスシって料理も…」

 

「当然知ってる。あぁ、でも教えないぞ。試験官に口止めされているから」

 

まぁ、結局はあのハゲが喋ってしまう訳だが…。

 

そして案の定…

 

「メシを一口サイズの長方形に握ってその上にワサビと魚の切り身をのせるだけのお手軽料理だろーが!こんなもん誰が作ったって味に大差ねぇべ!?」

 

「ざけんなてめー鮨をマトモに握れるようになるには十年の修行が必要だって言われてんだ!キサマら素人がいくらカタチだけマネたって天と地ほど味は違うんだよボゲ!」

 

ハゲ散らかしてくれたよ。ハゲが。

 

そんなやり取りが聞こえてくる。

 

そして…

 

そのハゲがばらした作り方を聞いた面々がスシを作って持っていき…

 

「こうなったら味で審査するしかないわねぇ…」

 

そんな不吉な言葉を発するメンチ。終わったなこの試験。

 

「握りすぎ、シャリが下の上で崩れないじゃない」

 

「触りすぎ、ネタが熱を持っちゃってて全然美味しくない」

 

「わ、ワサビ付けすぎ……あ、あんた態とやったんじゃないでしょうね!?」

 

持って行っては、駄目出しと共に撃沈されていく。

 

つか、あんたを満足させられるスシを握れるなら、受けてないよハンター試験なんて。

 

そして…

 

「ワリ!お腹一杯になっちった」

 

二次試験終了。

 

受かったのは俺とオウカのみ。

 

当然、納得のいかないのは受験生の面々。

 

その中でもヒソカが殺気立っている。

 

それに呼応するかのようにメンチさんとブハラさんも臨戦態勢のオーラ。

 

俺とオウカも念の為、凝を使用し警戒態勢。

 

だが、そこで空気の読めない賞金首ハンター志望のぽっちゃりさんがメンチさんに殴りかかった。

 

うわぁ、勇者だ。この空気の中ツッコめるなんて…

 

自殺行為。

 

そしてその自殺願望者はブハラさんの一撃で吹き飛ばされた。

 

ちゃんと手加減してオーラを微弱に態々している事でブハラさんの人の良さが分かる。

 

だが問題は解決していない。

 

納得できるわけがないのだ。

 

そこに…

 

『それにしても、合格者2人はちと厳しすぎやせんか?』

 

上空から声が聞こえる。

 

そして上空を飛ぶ飛行船から一人の老人が落下してきた。

 

ハンター協会会長のネテロさんである。

 

その後は原作通り…。

 

ネテロ会長の取り成しで改めて試験が行われることになり。

 

俺もクモワシの卵に興味があったので取りに行こうとすると…

 

「あんたは受かってるから必要ないでしょ。卵も数に限りがあるんだから」

 

メンチに止められた。畜生……食べたかったなぁ……ゆで卵。

 

「……ところであんた。さっき食べてたウニとか残ってる?」

 

「イクラは全部食われたけど、ウニとネギトロなら…」

 

「…此処に私の取ってきた卵があるわ」

 

ガシッと握手を交わす。

 

交渉成立。

 

こうして俺はクモワシの卵を手に入れた。

 

取っておいて、後で卵かけご飯にして食べよう。

 

 




二次試験終了~~。

そろそろ金髪さんとも絡もうかと思う。

前回のあとかぎで書いたが結構人気だねシュライバー。

まぁ、俺はベイ中尉の方がキャラ的に好きなんだけど。

つか、声がいいね。いい声してる。

曲もカッコいいし…

特にベアトリスラジオのあのテンションの高さが最高だった。

どうにかして能力使いたいんだけど……難しいんだよなぁ。

自分に弱点ができちゃうっていうデメリットもあるし。


余談だが、イクラちゃんで思い出したが、タラちゃんのあの敬語具合はすごいと思う。

サザエさん…実はかなりのスパルタ教育なんだろうか?

にしても、あんな小っちゃい子が家族に敬語って……。

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