発……俺の発……
今日も今日とて念の修行。その合間に俺は自分の能力について考えていた。
具体的には現在、入浴中である。
俺の系統は変化系だがまだ、操作系の能力を極めることを諦めた訳ではない!!そう、可愛い女子を思いのままにし、エッチな事をする為に!!
イメージとしては、身も心も操作して従順な女の子、積極的なエロい女の子、素直になれないツンデレ…などにする!おぉ、考えただけですんばらしーー!!
しかし、心もとなるとやはり難しいだろう。なので最初は身体だけ操作して、ヤリタイ放題というのも考えた。
だがしかし!だがしかし!!そんなのはレイプと変わりがないと気がついた!!
嫌がるのを無理やりっていうのは俺の趣味じゃない。そもそも、無理やりでいいんなら別に操作系の能力を覚える必要もない。
何故なら、念を使えない一般人の女の子を念を使用した状態で普通に襲えばいいからである。
つか、別に身体の操作は要らないんじゃなだろうか?と先の仮説から考えた。
心が俺の事を好き好き状態なら別に身体を操作することなく、合意の上でイチャイチャ出来るのだ!
うむっ、見えて来たぞ。俺の求める能力が!!
即ち心を操る能力だ。能力名は…
【これ何てエロゲ?(フラグクリエイト!!)】
よし、決定!ってな訳で早速、特訓開始!!
……差しあたっては緋の眼を自由に出せるようにならんとな。
能力を使用するにあたっての制約には緋の眼発動状態以外は使用不可を付与するつもりだ。その状態じゃないと操作系の能力は半端じゃなく精度が悪いしね。
どっちみち、緋の眼状態じゃないと使えないのなら制約をして、能力の底上げをした方が効率的ってもんだ。俺、あったまいぃー!
ってな訳で…
「よっしゃ行くぜ……緋の眼!!」
………よし、もういいかな。
そろそろ色が変わったかなと、湯船に映った自分の顔を覗き込んでみる。
「……どうみても変わっとらんな…つか、凝使ってるし!」
目に意識を集中させてみたが、色は変わらずに、ただオーラが目に集まり凝の状態に!
原作でクラピカは訓練したとかほざいていたが…
「ええぇい!!訓練方法ぐらい書いとけよ!」
だが、諦めん!諦めんぞ!!
「うぉおおお!!はぁ、はぁ、くっ、やるじゃねぇか……だがっ!?って、何!?うわっ、馬鹿。動くなって……ひっ!?おぇ!!こ、こっち来るなよーーー!!」
ズザーーっと距離を取る。くそ、あの野郎。
翌日、俺は今まで経験したことのない死闘を演じていた。
そう、相手は俺がこの世で最も嫌う爬虫類に属するあの野郎だ。
緋の眼を発動させ。その感覚を体で覚える。んで、徐々に自分の意思でその感覚に近づける!
それが、俺が思いついた訓練法。その為に、奴を利用する事にしたのだ。
本当は心底嫌なんだが、これも己の願望を成就するため。その為の試練なのだ!
そんなこんなで無謀にも、奴を捕まえようと森の中に入り、獲物を見つけたのだが……
無理っ、無理っす。助けてママン!!
滅茶苦茶気持ち悪い。そのうえ、捕まえる?あれを?触るの?
ちょっと、心が折れそう。
「せっかく、鏡まで借りてきたのに…」
お母様から借りてきた手鏡。当然、緋の眼であるかどうかチェックするため使用する。
懐から手鏡を取り出し、覗き込んでみる。
すると、なんということでしょうか。鏡に映ったのは…
「ひ、緋の眼!?」
そう、既に緋色の状態になった俺の瞳だった。
すっ、直に感覚を覚えないと!
そう考えたのだが…徐々に瞳の色は薄れていき、元の色に……
「……うぉおおっ、もう一回じゃー!」
思えばお母様に蛇を出された時も、ただ見ただけで色が変わった。と言う事はだよ、捕まえなくても希望はあるって事だ!
決意を新たに俺は、再び強大な敵の前にその身を晒すのだった。
そして…月日は流れていき……
「き、キタたぜ…」
鏡に映ったのは緋色の瞳の美少年。
ついに、ついに俺は自分の意思で緋色の瞳になる事に成功した。
が……一つ問題に気がついた。
それは緋の眼の発動時間。
目安は大体三分くらい。この間は問題なく行使できる。
だが、三分超えた処で徐々に身体が重くなり、動悸が激しくなってくるなど、身体に違和感が生じてくるのだ。
「Nooooo!!」
終わった……今度こそ、俺の夢は潰えた。
三分間で何ができる!!
アルファベットで言うと。Aは問題ない。舌まで入れられるだろう。雰囲気その他もろもろを度外視し、場所を選ばないなら。
次はB。これも問題ない。揉みしだき、吸いつくことだって可能だ。まぁ、其処に至るまでの過程を完全にすっ飛ばす必要性があり、同じく場所を選ばないならだ。
問題は最終段階だ。これは無理だろう。いくらなんでも短すぎる。
準備だけでもそれ以上の時間が掛かりそうだし、そういう事をする場所にまで女の子を連れ込まないと行けないのだ。
連続で緋の眼になり、能力を使用するという手もあるが…それも不可能だ。一回、限界まで緋の眼になったら、ちょっと休まないと身体に物凄い負担がかかる。
暫く、本気で塞ぎこんでいたが…
其処でハタと気がついた。
「………いや、まだだ…そうだよ。まだ俺の夢は終わらない」
そうだよ。原点に帰ればいいんじゃないか…。
例え、操作という裏ワザが使えなくてもまだ正攻法がある!
俺は変化系能力者だ…これは変えようのない事実。
そして、原作の変化系能力者の使用する念にはどんなものがあったか、考えた時に一人の人物が浮かび上がったのだ。
その名は、ビスケット=クルーガー。云わずと知れたゴンとキルアのお師匠さんである
彼女の能力【魔法美容師(マジカルエステ)】は、エステティシャンであるクッキィちゃんによる至福のマッサージだ。
エステティシャンであるクッキィちゃんを作る能力は具現化系に該当する。
まぁ、変化系のお隣さんに位置する具現化系ならば、それくらいの芸当は出来るってわけだ。
問題は次だ、クッキィちゃんを動かしているのは操作系の能力…
変化系とは相性が悪い系統である。
さらに、もう一人。キルアの爺ちゃんであるゼノさん。
彼も変化系能力者だが、オーラをドラゴンに変化させて空飛んだり、ドラゴンを飛ばして攻撃したりしていた。
ドラゴンを操っている部分は操作系の能力だと考えられる。
これらの点から見て、俺が推測したのは、苦手な操作系の能力でも自身の念の操作は可能なのではないかということだ。
本来、操作系の神髄は相手や物を自由自在に操る……敷き詰めていえば自身の力が及ばないものをだ。
それに比べて念はあくまで自分の力だ。意志によって御しやすいだろう。
つまりはだ、具現化系で俺好みの美少女を具現化し、操作してエッチな事をしてしまおうと…
「……って、それじゃ一人でしてるのと変わりないやんけーー!!」
……また、振り出しに戻ってしまった。そして、いい加減に俺は悟った。
念なんかに頼る事がそもそもの間違いなんじゃないかと…
「俺にはお母様譲りのこの容姿がある!!」
そう、今の俺…クランは美少年なのだ。
ゆくゆくは美青年だ。今の状態で現実世界に存在したとすれば、芸能人にだってなれる。
「そうだよ。念なんかに頼らず、普通に口説けばいいんじゃないか!」
これでまた、俺は生きていける……
んでもって、その日の夜。操作系の習得に向けての執念を切り替えた処で…
「あーーーー!!」
とんでもない事に気がついた。
操作系の事で頭がいっぱいで…スコーンっと幻影旅団の事を忘れていたのだ。
まじゅい…まじゅいよ…
あまりの衝撃に幼稚化してしまう。
だって、対策はなぁんも練ってません。念を覚えたくらいかな…AHHAHHA!そんくらいで逃げらるんなら苦労はしないっての!!
くっそー、この貴重な一年をだらだらと過ごしちまった…。
明日からだっ!そう、明日から動かねば!!
そして好都合な事に…
「学校ですか?」
俺と年齢があまり変わらない子供たちを集めての勉強会。
いわゆる、学校に行くようにとお母様から言われたのである。
いかに閉鎖的なクルタ族でも学校はあるみたいだ…
それもそうか、原作を見た感じクラピカは頭が良かったし、よもや独学ではないだろう。
「クラン。あなたは確かに聡明な子です。どこで知識を覚えてくるのか母も不思議に思うほどの……」
でしょうねぇー。日がな一日外をすっ飛びまわっているし……勉強なんて確かにまったくやっていませんしね…
「知識を深めることは良いことです。何をするにもまず知らねば、効率の良い結果は望めません。クラン、知っているということはそれだけで強力な武器になるのです。」
それは俺も同意だ。念という存在を知っていたために、今の年齢で基本を身につけることが出来た訳だし…
「より幅広く、様々な知識を身につけるためにも学校に行って欲しい。また、同年代の子供が集まる学び屋で友を見つけて欲しい。母はそう願っているのです。」
そうなんだよなぁ。思えば俺はこの世界に来てから、お母様以外に殆ど知り合いがいない。
というのも俺の家は、少々離れた場所にあるため、普段あまり人が来ない。
まぁ、時々手紙などを持ってくるおっさんなどが来るし、お母様は買い物などによく出かけているが…
俺はと言えば、念の修行に明け暮れ、当初の目的を完全に忘れていた為に家の周りから離れた事がないのだ。
これを機に原作ではあまり触れられていなかったクルタ族に関しての情報を集めるのも悪くはないし、クラピカの情報を得るという目的は達成しやすい。
よって、俺はお母様に学校へ行く事を承諾する旨を伝えるのだった。
んで…やってきましたよ。初登校の日が。
まぁ、登校って言っても、元の世界でお馴染みの校舎などは見えるはずもなく…
俺の家よりも広いお家にやっていた。
っというのも、先生を引き受けている人の家で授業を行うからである。
若くて美人の女の先生がいいな~~。
とか思いつつ、来訪を告げ待っていると。
「よく来たの。ワシが今日からお主の先生となる。ジェロというものじゃ」
出てきたのは、杖をもった、白ひげがイカス、ハゲた爺。
どこぞの仙人だよ!?と思わずには居られない爺さんだった。
爺さんはしげしげと俺を見ると…
「ふむ…お主、使えるようじゃな……」
そう漏らす。
使えるというのは念の事だろう。
念が使えるかどうかを見極めるのは結構簡単だ。と言うのも、念能力者は常時、纏で居ることが多いのである。
普段垂れ流しているオーラが勿体ないし…纏を使用することにより老化を遅らせる事ができるためである。
ゆえに…
「そういうジェロさんも…」
この纏を行っている爺さんも当然使えるって訳だ。
「挨拶が遅れて申し訳ありません。クランと言います。本日よりここで学ばせていただくことになりました。よろしくご指導のほどお願いします」
ぺこりと頭を下げる。自分でも礼儀正しくなったもんだとしみじみ思う。これもお母様の教育の賜物なのだ。
「ほっほっほ。まだ幼いのに礼儀ただしい小僧じゃの。お主なら悪しき事に念を使うことなどはないじゃろう」
満足そうにほほ笑む爺さんだが、その言葉はぐっさりと心に突き刺さった。
ごめんなさい……悪しき事、目茶目茶考えてました。
「して、分かっておるとは思うんじゃが…」
「はい、念の秘匿ですね?」
以前、お母様に言われていた事である。
俺の答えに満足そうにジェロ爺さんはほほ笑み、いくつか世間話を交わしながら、これから勉強を学ぶ部屋へと向かうのだった。