ぺディグリーすかーれっと   作:葉虎

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書いてて楽しくなってきた。

自分で言うのもなんだが、近々の執筆速度はいつもに比べて異常だと思う……。

感覚が戻ってきたかな。




第9話

 

なんだろう。

 

胸に大きな穴がぽっかりと開いた感じ…。

 

あの後、お母様を埋葬し……。

 

俺は、部屋の片隅で唯々座り込んでいた。

 

死んだらこんな苦悩からも解放されるのだろうか?

 

だけど…

 

「それだけは…絶対に出来ないな」

 

それをやったらお母様の死を汚すことになる。

 

継承した念の知識で分かる。あの能力は使う側も、使われる側も負担がでかい。

 

俺なんてまだまだ未熟なガキだ。正直、モグリの医者の愛用薬が無かったらそのまま死んでいてもおかしくない。

 

通常ならもう少し俺の成長を待って施すはずだ。それをこんなリスクが高い…一か八かの方法を取ったという事は…

 

「俺の思ってたより、調子が悪かったのかな…」

 

これ以上、悪化したら能力が使えなくなるほどに…。

 

自分の死期を早めてまで、俺に能力を継承させた。

 

なら……俺も

 

「引き継がなきゃな。後世に」

 

俺がお母様の望みならば。

 

目標が出来た事によって、瞳に火がともる。

 

身体に力が入る。

 

俺は立ち上がって…

 

「そのためにもまずは此処から逃げないと」

 

まずは、死亡フラグの回避だ。

 

正直、継承した能力があれば旅団を倒せる。

 

それほど、俺の爺さんの能力は凄い。

 

ただ…今の俺には圧倒的に経験値が足りない。

 

オーラの量、メモリ、能力を使うための条件は揃っており、使おうとすれば多分使える。

 

だが、あくまで多分だ。

 

知識としてどんな能力で、何が起こるかは知っている。

 

だが、実際に使ったことがない能力を土壇場で使うのは自殺行為だ。

 

それに爺さんの能力は凄いが致命的な欠点がある。

 

それは能力発動までの条件。

 

別に制約がきついわけじゃない。ただ、多少時間が掛るのだ。

 

発動すれば恐らく無敵。だが、今の俺にはその時間を稼ぐ術がない。

 

安心して時間を稼げる前衛が居れば話が別なんだが…。

 

だからこそ…当初の目的通りに俺は逃げる事にする。

 

取りあえず、家の中の物を強欲な小学生の巾着袋に詰めていく。

 

そして、一通りの準備を終えた後……。

 

「……ごめんよ。母さん」

 

正直、後ろ髪を引かれる思いがあるが…

 

俺は生まれてからお母様と過ごしてきた家に火を付けた。

 

それは俺が居た痕跡を消すためである。

 

旅団には居なかったと思うけど…もし俺のDNA情報などからレーダーのようなもので追跡が出来る念能力者が居たとしたら、居場所がばれるからだ。

 

まぁ、バレた所で態々追いかけてまで殺しに来るかどうかは疑問だが、念には念を入れるべきだ。

 

後は、俺の情報が漏れるとすれば接点のある人間からだが…正直、同族を殺すなんて事は俺にはできそうにない。

 

結局は見殺しにするので虫のいい話かもしれないが…自分の手を汚す勇気がない。

 

旅団にはパクノダが居るのでもしかしたら俺の顔くらいは割れるかもしれないが。

 

まぁ、居場所がばれる訳でもないし大丈夫だろう。

 

……大丈夫だよね?

 

いいんだ。どのみち俺には口封じなんて出来ないし。

 

っと、とりあえず人が集まってくる前に行くか。

 

 

 

 

……さて、これからどうしようかねぇ。

 

取りあえず里からは抜けてきた……と思う。

 

つか、どこからどこまでがそうなのかが分からない。

 

ついでに現在位置も分からない。森の中……。

 

適当に俺の家から同じ方向にまっすぐ歩いてきたわけだ。

 

前途多難である。

 

目下の予定は取りあえず、人がいる場所に行って衣食住を確保しなければならない。

 

一応、絶の修行の時に狩りをしてたから食料の確保は出来るはずだ。円を覚えた今なら格段に効率よく行えるだろうし、強欲な小学生の巾着袋があるから保存も効く。

 

寝る場所も、母さんから継承した幸福の青い鳥の鳥籠と鳥籠の幸福空間を使えば、そこそこマシな環境で寝れる。結局は野宿だが、雨風は防げる。

 

とはいえ、やっぱり人並みの生活がしたい。

 

それにひとつ手に入れなきゃいけないものがある。

 

それは、カラーコンタクトだ。

 

言うまでもなく緋の眼を隠すためである。

 

発動後は言わずもがな、発動前でもクルタ族という事がばれる可能性が……あるのかどうか正直分からない。

 

発動前のこの瞳の色がこの世界で普通なのかどうか…。

 

判断が付かないのだ。周りがクルタ族ばっかだったから。

 

とりあえずはカラーコンタクトを手に入れるまで、人前では目を細めていようと思う。

 

……自分でも馬鹿らしいとは思うが…ちょっとの我慢だ。

 

まぁ、いい。それは置いといて何はともあれ。ある程度な都会……町を目指さねばな。

 

同じ方向に走って行けば、街道なり、川なり、海なり……何かしらあるだろう。

 

街道があるなら道沿いに行けば何処かしら人がいる。

 

川があるならその流れに沿えば人がいる筈……川で洗濯をするお祖母さんとか

 

海があるならば、海岸沿いに移動すれば……多分人がいる。漁猟をしている人とか。

 

そう考え俺は歩き始めた。

 

まずはこの森を抜けよう。

 

森を抜けた先には…果たして何が待つのか。

 

出来れば街道がいいなぁ。多分人里に行くなら一番確実だ。

 

 

 

 

 

「……ジーザス」

 

別に前世がアメリカ人という訳でもないが思わず…口にした言葉。

 

つか、ちょっと懐かしさを感じる。

 

……現実逃避は止めよう。

 

適当に狩りをしつつ、俺は森を抜けた。

 

そして、目の前に広がるのは……。

 

荒れ果てた……荒野だった。

 

ええぇぇ!?いや、そりゃね。街道があるなんてそんなご都合主義は無いだろうとは思ってたよ。

 

だけどね。荒野……荒野って。

 

一気に食料確保が難しくなった。

 

森は良い。動物沢山、果物沢山、野菜沢山。

 

海や川もまぁ妥協点だ。昔の女王はこう言った。肉や野菜が無ければ魚を食べればいいじゃない。

 

でもなぁ、荒野って。

 

何があんの?テレビではサイとか鹿みたいなのとか…それを狙うハイエナとか狼とか居るみたいだけど……。

 

美味いのか?鹿はまぁ、食えそうだが。

 

水は問題ない。

 

雨が降れば補給できるし、最悪の場合は奥の手がある。って、奥の手じゃないか結構な頻度で使ってるし。

 

っと、そろそろストック無くなって来たし…やるか。

 

 

強欲な小学生の巾着袋から水瓶を取り出す。

 

ただし中身は普通の水ではなく、あるものが入っている。

 

取りあえず、その水瓶を置いて準備を始める。

 

「……っと、最近だんだんとコツがわかってきたんだよなぁ」

 

数分後、俺の眼は緋色に染まり。オーラの質も変化する。

 

そして、そのままその水瓶に向かい。練を行った。

 

暫くすると、ボコボコと水瓶から甘い匂いとシュワシュワと炭酸が弾ける音が聞こえ、黒い液体があふれ出してきた。

 

そう、俺の飲料水の確保方法は練である。

 

緋の眼の状態で行えば強化系のオーラも含まれている為、量が増えるのだ。

 

以前の水見式から度々、この練で変質した水…というか味はカルピ○ソーダだった…が飲みたくて行っていたこともあり。

 

飲み水の確保で真っ先に思いついた。

 

だが…

 

継承により俺のオーラの質が変化したのか……。

 

依然と反応が違うのだ。

 

強化系は水の量が増える。これは前と同じ。

 

放出系は水の色が変わる。これは前は白かったんだが、今は黒い。

 

操作系は葉っぱが動く。これはあんまり関係ないと思う。乗せてないから不明。

 

変化系は水の味が変わる。これも前と変わった。まぁ、甘くなるというのは前と同じ。

 

具現化系は不純物が現れる。これは前と同じ。多分これにより炭酸が生まれている。

 

特質系は上記以外の変化。これも前と同じ。俺の場合、水の温度が低くなる。ベストな冷え具合。

 

総合すると前はカル○スソーダだったのに。

 

一口飲んでみる。うん…懐かしい。

 

前世でよくファーストフードで頼んでいた。

 

「コ○ラだ…」

 

ペプ○なのか○カなのかまでは知らないが…味がそうなのだ。

 

個人的な好みから言えば、如何に冷えててもコー○は氷が無いと駄目。っていうスタンスだったんだが。

 

贅沢は言っていられない。冷えているだけいい。

 

温いよりマシ。常温よりマシ。

 

そんな感じで温くなる前にとっとと増やした○ーラをしまっておく。

 

ちなみに…緋の眼を使う前の変化は炭酸の抜けた○ーラに水の味が変わる。変化系の変化だ。

 

継承した所で系統は変化形のままらしい。

 

此れはホッとした。変わったら困る。

 

最も、俺もお母様も変化系。爺様は多分…特質系。変わるとしたら爺様の影響なのだが…。

 

つか、爺様が変化系じゃなくてよかった。もし、変化系だったら…うちの家系はきまぐれで嘘吐きばっかりという事になる。……根拠はないけど。

 

そんなアホな事を考えつつ、再び歩き始める。

 

歩き始めて暫くして。

 

俺は散々悪態を付いたが、森よりも荒野の方が良い所もあった。

 

それは、障害物が少なくより広い範囲で視界が確保出来ることだ。

 

つまり、何かがあったらすぐに気が付ける。

 

まぁ、そのおかげで取りあえず見える範囲は一面代わり映えのない荒野だっていうのが嫌でも分かったんだが。

 

はぁ…と一つ溜息を吐き。また歩き始める。

 

一体いつになったら着くのだろうか?




どうも…最近とみに暴走気味の作者です。

この辺りから書いてて楽しくなってきた。

パルプンテ~よりも読者が少ないので気が楽っていうのはあるかもしれない。

次話辺りで一回、タグ見直そうかと思っている。

原作キャラはクラピカ一人だけしか出ていないという罠。

それも一瞬だけ。

オリキャラ多数……は要らないよね?

何人か出したが初戦モブだし、メイン級はお母様位だし。

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